●ある日の下北沢。北口、駅前市場跡。

うさや2015年2月

●「うさや」がぽつん。


●最近読んだマンガ。

山口貴由「エクゾスカル零」8

山口貴由「エクゾスカル零」8巻。完結。
●このマンガ、作者の中で繰り広げられた、限界状況における「正義」を巡っての思考実験というか、激しい葛藤がそのまま、戦士の決死の格闘戦としてI繰り広げられていたのだなと、なんとなくボクの中で着地。シリキレトンボのようにも見える結末かもしれないが、作者自身が文章で綴ったあとがきには、渾身の力を込めて描いた達成感がある。連載開始は2010年。そこから東日本大震災、東アジア情勢の緊張関係、中東情勢とテロリズム、もはや日常となったソーシャルを舞台に荒れる喧々諤々の議論……。主人公が立脚すべき「正義」の概念がグラつく場面が社会の中で実際に起こった。その結果なのか、そのストイシズムで自らに苛烈な試練を課してきた主人公・葉隠覚悟(作者の代表作「覚悟のススメ」の主人公でもある)が研ぎ澄ましてきた「正義」を、敢えて新しい少年ヒーロー・御菩薩木紡に委託するかのように、引き渡していくことで物語は幕を閉じる。「正義」は多様化し、それぞれの戦士はそれぞれの立場で戦い続ける。ただ、「正義」とは別の概念として新ヒーローに象徴される「希望」という概念が生まれる。それがたとえ無根拠でも、人が人であるための支えになるなら、「正義」に比する規範になりうる。これが、作者の今のところの結論だろう。突っ込んで言わせてもらえば、今の中東に必要なのは「希望」。明日を安心して生きる保証。様々な政治勢力が様々な「正義」を振りかざして、為政者をコロコロと入れ替えてきた。結果がこの無政府状態だ。本来は「希望」になるはずの宗教を「正義」に結びつけて戦争や政治に利用するな。
●前作「シグルイ」から少年マンガとしてのユーモアやカタルシスから遠のいていた作家・山口だが、新連載「衛府の七忍」ではどのようなアプローチを見せてくれるのか楽しみだ。タイトルから予想するに、この作品の主人公は「エクゾスカル零」葉隠覚悟の強敵となった動地憐が主人公になるような気がする。覚悟とは思考回路が違うこの愛すべき巨漢は、新しい山口世界を切り開いてくれるかもしれない。

●あとは、「テラフォーマーズ」11巻、「シドニアの騎士」13巻も楽しんでる。
●マンガアプリの COMICO も興味深い。どこかでしっかり考えてこのブログに記録したい。


ネブラスカのエモバンド、CURSIVE。

CURSIVE「THE UGLY ORGAN」

CURSIVE「THE UGLY ORGAN」2003年
●先日の記事で、BRIGHT EYES = CONOR OBERST のことを書いて、彼の活動拠点であるネブラスカ州という土地が気になった。ネブラスカなんていっても、BRUCE SPRINGSTEEN の自宅収録弾き語りアルバム「NEBRASKA」1982年のこと以上のイメージが湧かない…あのアコースティック盤は昔よく聴いたけどね。あ、地理でいうとちょうどアメリカのど真ん中。かつてはここから西部のフロンティアですって境界線になってたと思う。
●そんで、BRIGHT EYES のコトを調べてて、このバンド CURSIVE の存在に突き当たった。BRIGHT EYES が契約してた SADDLE CREEK RECORDS ってのは、このネブラスカを拠点としてて、そもそもでいえば BRIGHT EYES の音源を出すために、彼の兄弟?の JUSTIN OBERST って人物と、プロデューサーでもありバンドメンバーでもある MIKE MOGIS が立ち上げたモノだった。ただ、その後はこのエリアのアーティストやバンドをザクザクとフックアップして、この田舎のシーンを盛り上げる存在になってる。今でも多くの所属アーティストを引き連れ、積極的にリリース活動をしてる。
●で、この CURSIVE。バンド名は「筆記体」って意味。地元においては BRIGHT EYES の先輩格に当たるバンドで、やはりこの SADDLE CREEK RECORDS から音源をリリースしてる。これが、すげえ直球にエモい。エモすぎる。1999年に現行メンバーが固定化し、2001年から女性チェロ奏者を正式メンバーに組み込んで、バンドとしては脂が乗ってきた時期。ぶっきらぼうな演奏にみえて緩急の揺さぶりが実にワザアリな構成、もちろんエモーショナルなボーカルが実に痛快。
●最後の曲「STAYING ALIVE」が10分越えの大曲。なんだかんだで圧殺され気味なチェロの響きが奥行きを作る。そしてジックリと時間をかけて高まっていくエモーション。やっぱ00年代ってエモの季節だったんだなー。単純なポップパンクやパワーポップには成し得ない、感情の押し引きの表現構成。それがエモの真骨頂だね。

CURSIVE「MAMA, IM SWOLLEN」

CURSIVE「MAMA, I'M SWOLLEN」2009年
●チェロ奏者はちょい前に脱退して、4ピースバンドとして活動してる時期のアルバム。Amazonで買って届いた瞬間、ジャケがカビてるぞ!と憤ったのだが、なんか元からそういうデザインみたいね。…内容はやはり、エモい。エモすぎる。雄々しいギターとボーカルが拒めない勢いでコチラの感情を高める。90年代グランジ/オルタナティブは80年代の整理され過ぎた産業ロックの反動で、ワザとバランスを崩した音質や音響でスカしたオフビートを演出し、ワザとカタルシスを避けてる気配があった。そこから見ると、90年代末から00年代にかけて支持を伸ばしていったエモというジャンルが、90年代の反動で真正面からカタルシスを掴み取ろうとした気持ちは、10年代も真ん中に差し掛かった今になってよくわかる…あ、ボク90年代育ちなんで、エモの最初期とかは「なんか甘っちょろいな」とか思ってたのですよ SONIC YOUTH とか聴きながらね。素直にキチンと聴けば、ストレートなロックで、元気が出るね。最後の曲がやっぱり少し長めで、ジリジリとボルテージを盛り上げていく構成。これが王道なのね。



●動画も入れといた。「続き」からどうぞ。

●CURSIVE「ART IS HARD」。アルバム「THE UGLY ORGAN」より。




●CURSIVE「I COULDN'T LOVE YOU」。アルバム「MAMA I'M SWOLLEN」より。



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