新垣結衣主演のドラマ「掟上今日子の備忘録」が楽しい。
西尾維新原作小説のドラマ化。一度眠ると一日の記憶が消えてしまう女性が名探偵として活躍するお話。彼女は毎日朝起きて、昨日の自分が自分のカラダにマジックで書き留めた「掟上今日子は探偵」という言葉で自分の役割を知り、普段から会っている周囲の登場人物たちと、初めて出会う経験を毎日繰り返し、そして依頼された事件をその日のうちにスピード解決する。そして「今日はいい日だった!」と微笑む。どうせ全てを明日には忘れてしまうのに…と問われると「だからこそ今日に悔いを残したくないんです」。彼女のイノセントな笑顔は、毎日を初めての世界として受け止めるフレッシュさで輝いてるようで。そんでメガネがかわいい。

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●しかし最近テレビの調子がおかしく、いつもみたいに CHROME CAST で HULU が見られない。最近のガッキー渾身のヒットドラマ(ボクの個人的見解)が見られないので軽くイラつく。
●それ以上に、日曜でも休日でも各所から電話やメールで仕事の問い合わせが来るのがもっとイラつく。作らないといけない書類がタップリあってイラつく。

●ワイフが最近、三ツ矢サイダーの「三ツ矢梅」とかいうモンにハマってる。ボクにはとても美味いと思えない。

●ハロウィンでお菓子配り係に誘われた息子ノマドは、AMAZON で赤いパーカーと黄緑のウィッグを注文。なんの仮装なのか?と聞いたら、ボーカロイド GUMI の楽曲「マトリョシカ」(Pはハチって人)の動画に登場する衣装なのだそうな。

GUMI の楽曲「マトリョシカ」

●こんなんでいいのかノマド。おまけにこのキャラ女の子だぞ…。というわけでノマドはズブズブと順調に自分のサブカルチャーにのめり込んでいる。よしよし。深くハマっていけ。


●さて、ボクが注目しているのは、このユニット。

TK FEAT TK UMABI #RUN

TK FEAT. TK「#RUN」2015年
●今の所、YOUTUBE のみでしか視聴できないけど、このエレポップがいい!小室哲哉(TK)と、気鋭のビートメーカー TOFUBEATS(T)&実力派シンガーとしてブレイクした神田沙也加(K)。全部あわせて TK FEAT. TK日本中央競馬会のサイト「UMABI」http://umabi.jp/)のテーマソングとしての書き下ろし楽曲だ。「競馬」というモチーフから導かれた軽快なエレポップ感覚が今時 EDM とちょっと違うし、イントロも出走のファンファーレみたいだし、なんかニヤリとさせる演出がいっぱい。神田沙也加さんのボーカルもメロディも全盛期コムロサウンドを連想させる。ミュージックビデオもかわいいよ。そっちは小島藤子ちゃんが出てる。
●これ、CD発売はおろか、配信すら決まってないみたいなんだけど、カチッと世に出してもらえるといいな。

小室哲哉「DIGITALIAN IS EATING BREAKFAST 2」

小室哲哉「DIGITALIAN IS EATING BREAKFAST 2」2011年
●そんで、改めて小室哲哉という人物と、この前激安ワゴンで見つけたこの音源が気になった。少し前のコムロさんソロアルバム。CDの帯コメが気になったから買ったのさ。「僕がまだ20世紀でやり残していたこと、今やるべきこと、そして今後に書き留めていたいこと」。あれだけ仕事しておいて、まだやり残してることがあるのかーと思ったが、フィーチャリングアーティストを見てなんとなく「やり残し」+「今やるべきこと」ってのがボンヤリわかった。コムロさん、ヒップホップをきちんとやっておきたいのかも!だって、KREVA、ZEEBRA、VERBAL、そして米クリーブランド出身のラッパー KRAYZIE BONE まで招いているんだよ。AAA のメンバー日高光啓 A.K.A. SKY-HI も達者なラップを披露。とにかくだいぶ本気。
●この人は、シンセポップに出発して、ユーロビートからドラムンベース、トランス、エレクトロ〜 EDM まで、80年代以降のダンスミュージックフォーマットは大概手を出して、それなりの成果を出してる。しかし、ヒップホップだけは自分のモノに出来てない。MARC PANTHER の少々痛いラップを GLOBE に採用してるが…アレはイケてないでしょう。しかし、ヒップホップ/R&Bのトレンドが昨今 EDM 側にどんどん接近している時期、この場面でもう一度シッカリヒップホップに向き合うべきと考えた、そんな風にボクは考えてる。
●ただし、コムロさんはトラックメイカーではなく、シンセサイザーを駆使したコンポーザー。クラブでプレイをしてもDJはやらない…全部シンセ演奏だ。そのためか、シンセフレーズの自己主張やコードの転調がナニゲに饒舌で、肝心のラップがうまく機能していない気がする。ラップのフロウとシンセ演奏がうまく混じり合ってないのだ。だから聴くのがちょっとシンドイ。おー天下の小室哲哉にも苦手分野があったとは。自分自身のボーカル曲とかも収録してる。それは普通にシンセポップだね。
●ちなみに、これは「2」じゃないですか。「1」はというと1989年リリースだって。22年ぶりの続編だ。

安室奈美恵 WITH スーパーモンキーズ「TRY ME」 安室奈美恵「BODY FEEL EXIT」

安室奈美恵 WITH スーパーモンキーズ「TRY ME 〜私を信じて〜」1995年
安室奈美恵「BODY FEEL EXIT」1995年
コムロサウンド全盛といったら、やっぱアムロちゃんとの仕事だろう。で、聴く。これもフリマで一枚100円だった。
●で冷静にクレジットを見たら、「TRY ME 〜私を信じて〜」にはコムロさんの名前はなかった。あースーパーモンキーズ時代はコムロプロデュースじゃないんだー。スーパーモンキーズ、または安室奈美恵 WITH スーパーモンキーズ名義では7枚のシングルとそれをまとめたアルバムがあるが、この段階ではコムロさんは関与してない。「TRY ME」のヒットを受けて、初めてエイベックス・MAX松浦氏が二人を引き合わせる。そしてコムロ+アムロの第一弾になるのが「BODY FEELS EXIT」ってわけだ。

「TRY ME」は今の耳で聴いても、ピキピキと神経質にシンセが弾みまくるし、ガバみたいにハイスピードで、ハッキリ言ってだいぶ狂ったサウンドだと思う。プロデューサーはイタリアのユーロビート職人 DAVE RODGERS。ああ本物だったんだ。それじゃしょうがない。この狂ったサウンドをド真正面から力強く受け止めて乗りこなした、エキゾチックなオキナワ美少女ボーカリストの登場に世間は圧倒されたってワケだね。なるほどー。ちなみに DAVE RODGERS2000年前後に大流行したパラパラブームに対しても大量の音源を供給。どれもこれもブーティでハイスピードで奇形的とも言えるサウンドだった。来日ライブパフォーマンスもやってたな。ボクどっかのパラパライベントで見たもん。

●で、ユーロビート路線があと2枚リリースされて、登場するのがコムロ初プロデュースシングル「BODY FEELS EXIT」。今ではウィスパーボイスの印象の方が強いアラフォー・アムロちゃんであるが、ハタチ前の彼女は攻撃的で爆発力のあるハイパワーボーカリスト。これでもかというほどの強靭なダンストラックを相手にしても、一ミリたりともブレない主役の存在感が逞しい。で、コムロサウンドの魅力は、どんなにアゲアゲのダンストラックであろうと、どこかで憂の気分を漂わすコード感があって、切なさや寂しさを伴っているコトとボクは思ってる。どんなにパワフルなボーカリストであろうと、実はリリックの中で孤独や葛藤にさいなまされている。バブル期〜崩壊の女性たちは、社会的な強さを身につけたようでいて、実はその強さと従来から変わらない脆さの狭間に戸惑っていた。安室奈美恵、浜崎あゆみ、華原朋美…実は楽曲でも実人生でも強さと脆さのバランスに迷ってるシンガーがコムロさん周辺にはたくさんいたような気がする。コムロさんには関係ないが、この時代の女性像としては、AV女優からテレビタレントに転身するも孤独死してしまう飯島愛も象徴的だと思うよ。で、コムロさん自身にもいろいろなコトがあって…そして今がある。

●こっから本題。
でもね、小室哲哉よりも、ずっと興味津々なのは TOFUBEATS の方ですわ。

TOFUBEATS「FIRST ALBUM」

TOFUBEATS「FIRST ALBUM」2014年
●最近のコムロさんが一番注目しているサウンドクリエイターが、この TOFUBEATS くんだ。コムロさんの中には日本のデジタルシーン史観があるようで…まず YMO は別格として、TM NETWORK〜小室哲哉が第一世代。浅倉大介が第二世代。中田ヤスタカが第三世代。そしてこの神戸出身&インターネット出身24歳の、TOFUBEATS が第四世代なのだという。ボクも彼が大好き。ネットレーベル MALTINE RECORDS DJ NEWTOWN として活動してた頃、そして盟友・オノマトペ大臣との名曲「水星」で、ボクの心はもう彼に鷲掴みされてる。
●これは去年の彼のメジャーデビューアルバム。おまけに初回限定版、ディスク2でインストトラックも聴けるヤツ。発売即座に買いました。けど、本当に好きなアーティストは、このブログでは即座に紹介できないのですわ。自分の感覚を客観化できないから。今でもあまり客観視できてないけどね。そのくらいの名譜ですよコイツは。でもリリースから一年位たった今のタイミングでこれに触れてみる。

TOFUBEATS の音楽は、ダンスミュージックでありながら、ダンスフロア不在のポップ感がある。
●インターネットのネットレーベルを活躍の舞台に選んだ彼は、ダンスフロアの現場感の中から自分の音楽感覚を養ったわけではない。ネットに無数に散らばる音源ソース全てが彼の滋養になっていて、その音楽そのものに没入している。そこにはクラブのフロアを盛り上げるアゲアゲ機能主義的な発想から遊離した自由がある。ジャンル越境的でフォーマットのお約束からも自由になってる。音楽制作の動機は日本語ヒップホップだったと聞いたが、その日本語ヒップホップの文脈からも自由。ボーカリストとしてのキャパも少々頼りないがそんな気負いからも自由。ダンスミュージックであることは間違いないけれども、お決まりのアゲアゲフォーマットとは無縁の楽しさがある。そしてその自由は根源的なポップネスに収斂され、全てが「音楽」への愛情に向けられている。
●そこを自覚してか、彼はこのメジャーデビューに際してはより自分のポップネスに意識的で、ここには高機能ジェイポップが満載。アイドルグループ・東京女子流のメンバー新井ひとみをフィーチャーした「COME ON HONEY !」の楽しいパーティソングが、アイドルポップスとグラマラスなライトディスコが見事に結合してるのもワザアリ。ある意味でダンスクラシックになった「ナンダカンダ」でお笑い以外にも足跡を残した藤井隆がボーカルを担う「ディスコの神様」も、いつもいつもパーティや「音楽」そのものに関心が収斂する TOFUBEATS のリリック傾向のど真ん中を貫く多幸感ダンスチューンがナイス。彼は「水星」のリミックス版に今田耕司 AKA KOJI-1200 をサンプルさせてくれとよしもとに交渉したけどそん時は素人が何言ってんだ的な対応をされたらしい…結局使えたみたいけど。神聖かまってちゃんのフロントマン・の子をフィーチャーした「おしえて検索」は彼のやや神経質でピリピリした持ち味をきちんと反映したエレポップトラックを用意してる。そしてアルバムのクライマックスは、あのバブルレジェンド森高千里をフィーチャーした「DON'T STOP THE MUSIC」。コムロサウンドの内面に強さと脆さを併せ持つ女性ボーカリストとは全く異質の、アッケラカンと内面の葛藤を白痴的に放棄しました、と宣言した稀有なアイドルが、10年以上の専業主婦生活を乗り越えて、全くのブランクも感じさせないボーカルを聴かせてくれる。そしてここでもリリックの内容は TOFUBEATS の関心のど真ん中「音楽」讃歌になってる。BONNIE PINKい をフィーチャーした楽曲はピアノメインのスローナンバー。ダンスミュージックではありません…彼女のイメージの延長にある素朴なトラックとその中で艶めく声という構造を尊重。
TOFUBEATS 自身のボーカルは、それはそれで味がある。ヒップホップ上がりだからフロウに偏りと揺さぶりがあって、結構味のあるラップになってる。歌ってみても、彼の低めの声はそれなりに聴けちゃう。とっても味のあるメロディックなラップが一曲あるなーと思ったら、それは RIP SLYME PES さんのラップだった…。MALTINE の盟友 OKADADA がフィーチャーされてる曲もある。
彼の音楽愛に収斂していく内容のリリックやモチーフは本当に何回も繰り返されてて、本当に音楽好きなんだなと思わせる。これもボクにとっては魅力。名声とかお金とかじゃなくて、音楽が好きなんだ!ってステートメントがここまでハッキリしてるってうれしいよ。

TOFUBEATS「STAKEHOLDER」

TOFUBEATS「STAKEHOLDER」2015年
●ミニアルバム〜シングル?扱いで出てきた音源。ゲストが華々しい前作に比べると少々地味目の感は否めない。でも表題曲「STAKEHOLDER」「君と利害関係したい」と粘っこく歌う TOFU くんのボーカルがサイコでいいかも。シットコム風のジャケ写も最高。


●でね、8月のことなんだけど、TOFUBEATS にゆかり深いイベントに行ったのですよ。
MALTINE RECORDS 10周年記念イベント「天」 @ 代官山UNIT。

MALTINE天

●ネットレーベル MALTINE ROCORDS が主宰者 TOMAD 氏によって設立されたのが10年前の2005年。それを記念して、MALTINE を代表するアーティストたちが UNIT の三フロアで同時並行にバッキバキにプレイする一日。ここに TOFUBEATS も出演するというので見に行きました。楽しかった。
そもそもで、MALTINE って存在の不思議さに言及しておこう。主宰の TOMAD は現在25歳。それで設立10周年ってことは…つまり、このレーベルなんと彼が15歳、高校生の頃に立ち上げた代物なのだ。まだニコニコ動画もなかった時代に、自分たちの仲間が作った音楽を世間に発信するために、思いついたのがネットレーベルという形態だったのだ。
音源は基本すべてダウンロードで配布されて、しかもそれが全部無料。その学生時代からの運営方針を維持して現在でもフリーダウンロード方式を採用している。今回はたまたまイベントだけど、そのイベントだって MALTINE 主体では今までまだ数回程度しか実施してないはず。最近は物販なんても始めてるけど、その商売っ気のなさは「意識高い系」ヤング起業家が跋扈する最近においてピュア過ぎて不安になるほど。音楽への純粋さに混じり気なし。
●でも、彼の美学の元に、いまや世界中から若きクリエイターが作品を提供してフリーで公開している。インドネシアからヒューストン、オーストラリアのタスマニア島まで、そのカバー領域は本当にネット経由全世界。この MALTINE に音源を提供し、そしてメジャーに舞台を移した TOFUBEATS すらが「彼はものすごいキレモノ」と評する人物が TOMAD だ。いったいどんな男だろう。
●今でこそ、YOUTUBE やニコニコ動画、SOUNDCLOUD といった音楽配信プラットフォームが多種多彩に存在しているが、そうしたインフラがなかった当時のネットレーベルは、単純に音楽配信の場ではなく、レーベルという名の通りレーベル主宰者の一貫した美学がリリース作品全てに貫かれて、非常に個性豊かだった。この見事な個性が MALTINE は圧倒的に面白いんだよね。SOUNDCLOUD にはありとあらゆる音楽があるけど、一貫した美学の個性が備わってるわけではないよね、だってアレはサービスなんだもん。MALTINE には独特の美学あり、その美学が実にクール。あっというまにボクは惚れ込んだね。
●東京少年 TOMAD と神戸少年 TOFUBEATS がどうやって知り合ったかは知らないけど、彼ら MALTINE 人脈は日本各地に居住地が散らばってる…ネット世代の感覚で結びついてるんだろう。別名義 DJ NEWTOWN としての MALTINE 初登場は2008年頃かな? TOMAD も若いが TOFUBEATS も現在24歳。1990年生まれだから18歳頃に楽曲発表したということか。イベント「天」で活躍した MALTINE 初期からのアーティスト OKADADA、DJ WILDPARTY も盟友のような関係らしい。

●で、イベントも超楽しかった。
クラウドのほとんどが20代前半〜10代含む?という若さで、四十を越えたボクがいていいのか?ようワカラン気分。でも、久しぶりのクラブ遊びの気分、汗だくで踊ってビールやヴォルヴィック飲みまくって、轟音の中ワメイて全然友達と話通じなくってノド痛くなる感じ、めっちゃ久しぶりだった。

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●最初はフロアの遠くから眺めてるだけにしとこう、なんて思ってたんだけど、いざ TOFUBEATS 登場となると一気にお客が前に流れ出し、その勢いで何気に最前列のすぐ後ろまで突き出されてしまった。もう女の子も男の子も元気に踊るので、ボクも楽しくなっちゃって踊るしかない。
TOFUBEATS も煽る!「昔の曲しかやらないぜ!わかんないヤツはツイッターでもみとけ!」きゃー!メジャー音源はうっちゃって MALTINE の過去音源をラウドにプレイ!ブースの上に立ち上がって、歌いまくるし、サックスと同じ感覚で演奏できる ウインドMIDIコントローラー WX5 を吹きまくったりと大活躍。バックのモニターにもアニメネタ含めニヤリとさせるVJも展開してアゲアゲですわ。

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●ライブ終盤には、名曲「水星」を二人で作った盟友・オノマトペ大臣が乱入。本業では大阪でサラリーマンをしている大臣は副業禁止が故に、「水星」のヒットで得たお金を受け取ることができない。そこで TOFUBEATS は本来大臣が得るべきの配分額を一銭も手をつけずにプールし続けているという。厚い友情だね!もちろん「水星」会場全体でシンガロング。泣けるぜー!(下写真、右が TOFUBEATS、左がオノマトペ大臣。)

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●翌日。やっぱり予想通りに足腰痛くなってました。TOFUBEATS だけじゃなくて他のパフォーマンスまで欲張ってたら再起不能になってたかもね。


●さて、MALTINE RECORDS の音源もここでチェックしなくっちゃ。
MALTINE に関しては今までもこのブログでいくつか音源を紹介してきたけど、TOFUBEATS という視点から紹介はあまりしてこなかったなー。

MP3 killed The CD star ?

VARIOUS ARTISTS「MP3 KILLED THE CD STAR ?」2010年
●ということで、5年前に編まれたコンピアルバムを聴く。タイトルはもう分かりますね。80年代MTV時代到来を皮肉った THE BAGGLES のヒット曲「VIDEO KILLED THE RADIO STAR」の故事にちなんでるわけですよね。ネット時代において、CD は MP3 に駆逐されると宣言。そんでその予言が5年後の現在マジマジに世界の音楽業界全体を揺さぶってるんだからスゴイ。ネット世界の片隅で発信された学生の妄想が目下全世界を覆っております。ちなみに、噂に聴くと、このコンピはリアル媒体でもリリースが検討されたという。しかし、「空っぽのCD−R&楽曲DLコードのセット」という形で販売して「あくまで MP3 をダウンロードしてCD-Rに焼いてください」というジョークで固めようとして。で、流通を拒まれたって経緯があるらしい。コレもすごい発想でしょ。
●一曲目のパジャマパーティズ「MP3」という楽曲がすでに象徴的。ヤケクソ気味のエレクトロビーツ&ボーカルが若すぎる。リリックがいいんだよね野心たっぷりで。「MとPと3を持って外へ出ようぜヒキコモリ!歩いていこう!街へ出よう!スティーブジョブスの言う通り!ダンスする!ダンスする!あの子とダンスする!」乱暴だけど世界を転覆してやろうという生意気な鼻息の荒さがパンクと同じ硝煙の臭いがする。
●ここに TOFUBEATS の音源が収録されている。正確に言うと TOFUBEATS FEAT. DJ NEWTOWN 名義。この二つの名義は結局同一人物だけど。で、この楽曲「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」が傑作。ネット世代のダンスアンセムとして、何回も繰り返されるタイトルのフレーズが、彼の音楽愛を象徴してるようで。汗だくで踊り明かした夜の終わりに軽い疲労と恍惚感を優しく包むようなメロディが感涙もの。そしてこの曲はメジャーデビュー盤「FIRST ALBUM」にも再収録されることになる。

●ここまで来て、MALTINE で紹介されている DJ NEWTOWN 名義の音源を紹介してみる。

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DJ NEWTOWN「FLYING BETWEEN STARS (*SHE IS A GIRL)」2008年
BONNIE PINK さんの声がみじん切りでサンプルされてる気がする痛快なエレクトロハウス「FLYING BETWEEN STARS (SEIKAN-HIKO)」がキラキラ過ぎる。そもそもでこの DJ NEWTOWN という名義の由来は、彼が神戸の新興住宅地出身だから、ということらしい。ニュータウンの郊外生活とネットが彼のリアリティ。ココから全ては始まった。あ、ジャケがグリッジ気味すぎるけど元からこういうデザインなんでご心配なく。

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DJ NEWTOWN「HIGH-SCHOOL GIRL (WE LOVED)」2009年
アニメのセリフをカットアップするナードコア風味は初期の MALTINE 音源に一貫してる隠し味。そこからつまみ上げたツンデレ少女(惣流アスカ?)のセリフをイントロに、深いトークボックス風エフェクトでニュータウンの憂鬱を歌い上げる、耳に優しいスローナンバー。クールなメランコリーにうっとりする…。日本語ヒップホップに憧れてたという TOFUBEATS らしく、BUDDHA BRAND + SHAKKAZOMBIE の合体ユニット = 大神「大怪我」の勝手リミックスも収録。

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DJ NEWTOWN「DANCE WITH YOU」2009年
「2005」という曲がイイ!TOFUBEATS 流の2ステップ。軽妙に洒落たビートが心をウキウキさせるね。さらには、めっちゃ痙攣的な声ネタみじん切りサンプルを駆使した高速ハウス「SILKY HEART」は、サビフレーズの「24時間ずっと…」で検索したら堀江由衣さんという声優さんの同名アニソンに到達。アニソンまで研究して素材使いしちゃうのね。その一方でアメリカのミドルスクール系ヒップホップグループ DAS EFX の勝手リミックスは実にデフです。「HIGH-SCHOOL GIRL (WE LOVED)」のリミックスもタップリ。ニュータウン……。

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DJ NEWTOWN「CUTEGIRL(.JPG)」2009年
●ブレイクビーツハウス「SWEAT & TOUGHNESS」のサビフレーズにしつこくサンプルされてる「願いは地球を変えるよー」っていう女性ボーカルが気になって、これまた検索してみたら時東ぁみ「SWEET & TOUGHNESS」って曲のサンプルだった…すげえなアイドルポップスまでも研究してるのか。別にシングル曲でもないのに…あ、浅倉大介さん提供曲だった。それと2ステップ佳曲だった「2005」がここではドエラくマッシブなアシッドハウスにリミックスされてる。909 STATE ってヤツの仕業だ。808 STATE の名前を堂々とパクるセンスもヨシ!

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COCOP FEAT. DJ NEWTOWN「MOSAIC」2010年
COCOP って人がどんな人でどういう位置づけなのかよくわかんないけど…女性のフィーチャリングシンガーかな?とにかく「2005」のリミックスがここでも満載。2ステップ風味を残した楽しさが様々な解釈で改変されてる。「2005」って MALTINE が設立された年だよね。「HIGH-SCHOOL GIRL (WE LOVED)」のリミックスや、最後のエレポップ楽曲「わたしはアイドル」でロリータボイスを披露している様子が可愛いな。これが COCOP さんの個性かなー。

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DJ NEWTOWN「SWEET DAYS, SWEET MEMORIES」2011年
●メロウなテンションで始めるとみせかけて、徐々にアクセルを踏み込んでいく展開。3曲目で登場するフィルターハウス「FRIDAY K.I.S.S.」のサンプルネタは、どうやら80年代アイドル早見優「少しだけ FRIDAY KISS」って曲らしい…なんてところからネタを拾うんだ…すげえよホント。多幸感が催眠的な「空をかけぬけて」、アシッドなダブステップ「BREAKMYBEAT」と後半にかけて多彩な芸風が分裂症気味に炸裂しまくる。


●その後、彼は、TOFUBEATS FEAT, オノマトペ大臣「水星」2012年を自費流通させて世間の注目を浴び、自主制作アルバム「LOST DECADE」をメジャー流通させる。このアルバムタイトルもセンスがいい…彼の人生は全部「失われた10年〜20年」にカバーされちゃってるから。そしてとうとうメジャー契約へ。その一方で「LOST DECADE」のリミックスアルバムはやっぱり MALTINE にまるっと公開されてる気前の良さも健在。

MALTINE RECORDS は絶えずリリースを更新し続けている。雑誌「SWITCH」の別冊扱いで全部「MALTINE」特集のムックも出てるはずだ。これもゲットしないとね。




●動画もつけます。どれも TOFUBEATS による「音楽賛歌」。

●TK FEAT, TK「#RUN」




●TOFUBEATS「朝が来るまで終わる事のないダンスを」(メジャー版 ALBUM VER.)




●TOFUBEATS FEAT, 森高千里「DON'T STOP THE MUSIC」




●TOFUBEATS FEAT, 藤井隆「ディスコの神様」(LIVE WITH 池田智子 FROM SHIGGY JR.)




●DJ NEWTOWN「SWEAT & TOUGHNESS」




●DJ NEWTOWN「SILKY HEART」




●COCOP FEAT. DJ NEWTOWN「2005」




●DJ NEWTOWN「HIGH-SCHOOL GIRL (WE LOVED)」(SMOOTH)




●TOFUBEATS FEAT. オノマトペ大臣「水星」





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