読書。徳川光圀、連合赤軍、戦争を知らない子供たち。

冲方丁「光圀伝」

冲方丁「光圀伝」(上下巻)
●この小説は、「イムリ」などの作品で知られる三宅乱丈によってコミカライズもされてるんだけど、あえて原作で読みたいなと思って。有川浩といい冲方丁といい、ラノベ出身からエンターテインメント小説のメインストリームに躍り出た才能にボクは今興味があるのです。で、心の準備ができたらラノベ本体にダイブする。
●とはいえ、ここで描かれる徳川光圀(=水戸黄門)は、印籠見せて事件解決の好々爺なドラマイメージを大きく裏切る、大胆不敵なカブキ者と描かれてる。「大日本史」編纂といった文芸振興の教科書的史実も、穏当な教養人とは言えない由来から動機が発生していることが生々しく描かれている。これが迫力満点。
光圀徳川家康の孫で、三代将軍・家光のジェネレーション。生年は1628年で、大坂夏の陣も終わって10年以上経った「戦後世代」という訳だ。長い長い内乱時代から脱した日本社会で初めて生まれた「戦争を知らない子供たち」。でも職業的戦闘員としての「武士」という性分は決して簡単に消えるわけではない。猛獣のように猛り狂う彼の情熱。彼の荒ぶる魂が葛藤や苦悶を経て成長していく様。戦国武将が幕府官僚へ移行していく時代の、最後の烈火。
●さて、現代日本の「戦後世代」はどうなんだ?民主党政権以前の第一次安倍内閣が、最初の「戦後世代」首相内閣だ。彼らは、血まみれの戦争がイメージできているのか?

山本直樹「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」1〜2

山本直樹「レッド 最後の60日そしてあさま山荘へ」1〜2巻
連合赤軍の内ゲバ殺人、いわゆる「山岳ベース事件」を題材にした作品「レッド」は8巻まで行って、そこから改題。本格的な集団リンチが始まる。この1〜2巻、実時間にして1972年1月1日〜18日でもう5人死亡、6人目も処刑目前。「共産主義化を勝ち取る自己総括」という理屈を押し付けられ、その禅問答のような「総括」ができないものは全員でリンチ。つーか「総括」に成功したものはいない…「総括」に指名されたら絶対にリンチまで行く。意味のわからんリンチが延々に続く。
●彼らも「戦後世代」で、普通に年齢を重ねたら安倍首相と変わらない連中。戦争を知らないが、「革命」の「美名」のもと、その戦争を日本社会の内側でしでかそうとしてた。彼らはテロリストであろうとしたが、今世間を騒がす IS と同じなのか別物なのか。結局、暴力を内部へ向けて自壊していった彼らは、テロリストとしても未熟だったのかも。彼らの戦争は乏しい想像力と机上の空論でしかなかった。IS はもっと即物的なトコロに動機がある。連中は戦争を知っている。戦争がすでに目の前にある。宗教はさして大きな問題ではない。殺されたから殺し返す。憎くて殺したい奴を殺す。殺される前に殺す。誰でもいいから殺す。殺して殺して支配する。そこに「戦後」日本がノコノコ当事者ヅラで顔を突っ込もうとしてるとするなら、「戦後世代」総理の想像力の乏しさが露見したってことだ。そして、テロを輸入してしまうだろう。9月11日のニューヨークや、11月13日のパリのように、いつか東京が炎上する。



●無作為に、最近聴いた音楽。なんとなくガールズロック。

SPACIALTHANKS「SEVEN SHOWERS」

SPACIALTHANKS「SEVEN SHOWERS」2009年
●ジャケもカワイイが、音楽もカワイイ、キャッチーなポップパンクバンド。ボーカル/ギターの MISAKI ちゃんは当時18歳で声が若い!陽性エモの英詞メロディもいい感じ。2009年頃の「ITUNES STORE 今週のオススメ」みたいなコーナー(当時は新しいアーティストを見つけるのに役立ったが、いつしか消えてました)でフリーダウンロードした覚えがあったけど、真面目に聴いたのは今回が初めて。なにせ、これもワゴン売りで100円だったもので…。

TRICOT「おやすみ」

TRICOT「おやすみ」2013年
「おちゃんせんすぅす」爆裂マスロックぶりで海外にまで一気に名を馳せた女性トリオバンド+男性ドラマー。そのファーストアルバム「THE」からのシングルカット。アルバムのエンドを飾る、メランコリー漂う気分がいい感じ。鋭角的なマスロックアプローチは薄まってないけどね。カップリング曲の「ORANGE JUICE」「おちゃんせんすぅす」のインストトラックだった。これはこれで嬉しいアイテムだね。

チャットモンチー「CHATMONCHY HAS COME」

チャットモンチー「CHATMONCHY HAS COME」2005年
チャットモンチーは大好きなバンドなのだが、メジャーデビュー最初期のミニアルバムであるコイツをゲットできたのはつい最近のことだった。一曲目「ハナノユメ」はその後のアルバムと重複してるけど、あとは初めて聴く曲ばかり。青春ナミダちょちょぎれソングがテンコモリだわ。大人になる不安とか、去り行く学生時代への郷愁とか、そういう甘酸っぱい気持ちが詰め込んであったよ。
チャットモンチー、メジャーデビュー10周年ということで、「FOREVER EDITION」という名前のバージョンが今年発売されてるらしい。リマスタリング盤+当時のライブ収録とかとか。聴きたい…。

チャットモンチー「きらきらひかれ」

チャットモンチー「きらきらひかれ」2012年
チャットモンチー二人体制期に入ったばかりの時期のシングル。アルバムとしては「変身」の時期。疾走するギターロックが勇ましい「きらきらひかれ」がいつもよりもパンキッシュ。カップリングの「カリソメソッド」 ASIAN KANG-FU GENERATION 後藤正文の作曲提供&ボーカル参加。こういう共演ってこのバンドじゃ珍しい気がした。これも100円だったっけ。

JOAN JETT THE BLACKHEARTS「ALBUM」

JOAN JETT & THE BLACKHEARTS「ALBUM」1983年
●いきなり80年代物で恐縮。JOAN JETT のソロ3枚目のアルバム。THE RUNAWAYS のセンセーショナルな活動でガールズロックの先駆を切り開いた女傑が、バンド分裂後のキャリアを実直に積み重ねてる時期。ボクとしては、ザラついたギターロックで SLY & THE FAMILY STONE「EVERYDAY PEOPLE」をいたなくカバーしてるトコロが一番好き。

JOAN JETT THE BLACKHEARTS「GLORIOUS RESULTS OF A MISSPENT YOUTH」

JOAN JETT & THE BLACKHEARTS「GLORIOUS RESULTS OF A MISSPENT YOUTH」1984年
JOAN JETT 自身が鬼才プロデューサー KIM FOWLEYと共作した THE RUNAWAYS の代表曲「CHERRY BOMB」を一曲目からセルフカバーしてる。JOAN にとって THE RUNAWAYS は最悪な解散の仕方をしてるはずだ。でもこの曲を取り上げてるってことは、JOAN 自身がこの段階で過去を客観視できるようになったのかな。この曲が元来持っていたパンク魂はそのままだし、彼女がこのアルバムに叩き込んでるザラつきもパンク由来であることには間違いない。
THE RUNAWAYS の短かった栄光と混乱をボーカル担当の CHERIE CURRIE の視点で描いた「ランナウェイズ」って映画があったはずだ。主演がダコダ・ファニング。あれが観たいな。

NENA「FEUER UND FLAMME」

NENA「FEUER UND FLAMME」1985年
1982年の一発ヒット「99 LUFTBALOONS」で知られるドイツのバンド。これはそのヒットからちょっと経った時期のアルバム。邦題「ウーマン・オン・ファイヤー」。ドイツ語は全然わからん。もっとポップロックな感じと思ってたのに、予想以上にシンセポップ色が強い…これが1980年代風か。キャリアしょっぱなのビッグヒットがデカすぎたのか、その後の活動はシリスボミで1987年にバンドとしての活動は終了。その後は NENA 本人のソロワークがコツコツと続くも、その影響はドイツ以外には響いてないらしい。「99 LUFTBALLONS」は2002年と2009年にリレコーディングされてるらしいので、そいつが聴いてみたい。

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