本谷有希子さん、芥川賞受賞。

本谷有希子「異種婚姻」

本谷有希子「異類婚姻譚」
●とうとう獲りましたね芥川賞。三度目の正直ってヤツっすね。今回はなんだかバッチリの安定感で…これって結婚&出産を経ての変化?毎回シビレるほどのヤバい人物が出てきてその不安定感が絶妙だったのに、今回はキャラが醸す不安定感はそれほど前に出てなかった。でも十分に示唆的。テーマは夫婦関係。夫婦ってなんだか似てくるよねーみたいな感じをとっかかりにして、微妙で奇妙な世界に読むものを連れていく。キャラがヤバいんじゃなくてキャラの間の関係のヤバさ。
●で、すでに結婚15年経過、初めて会ったのは25年前の15歳の時、というボクとワイフの夫婦関係に目を振り向けると、まー長い時間をかけてマイルドになり、ボクにとっては実にイイ湯加減のほわわ〜んとした感じに仕上がりました(ワイフがどう思ってるかは不明だけど)。世間にはとても晒せないほどのダメ人間ぶりや極端なカタヨリコダワリ歪みっぷりを開示公開できる人間関係はボクにとって地球上に唯一。ボクがノーマルな社会生活を送るためのガス抜き安全装置を担ってくれているワイフがいなければ、とっくの大昔にボクはブッ壊れていたでしょう。実際、一回根本的にブッ壊れた場面においても、キチガイ相手によくぞうまく捌いてくれましたと、本当に感謝の思いを感じるのです。そして実際のところ、年を重ねていくごとにボクはワイフにどんどんラブラブになっていくのです。今と比較すれば、結婚前なんて異常に淡白だったわ。

●そんな事情も感情もコミコミで、作品中の「旦那」は、不気味キャラながらも他人に思えなくて。自分を客観視するのが得意じゃないボクは、この「旦那」の不気味さはボクにも備わってるのではないかと心配になるのです。ただ一方で、これまた客観視が難しい「夫婦関係」という孤立した最小単位の社会は、世間一般においても奇妙な不気味さがヌクヌクとのさばる温床になってるのかもしれない、とんでもない狂気が堂々と小さなカプセルの中でジクジクと巣食ってるのかもしれない、とジンワリ思うのでありました。




●ちょっと前に見た、映画の話。
●会社の帰り、渋谷パルコ・シネクイントに駆け込んだのよ。
●お目当は、映画「STRAIGHT OUTTA COMPTON」

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伝説のヒップホップユニットにまつわる実話を映画化。
●1980年代後半から1990年代初頭にかけて活躍した「ギャングスタラップ」の先駆 N.W.A(ニガズ・ウィズ・アティチュード)がそのキャリアを立ち上げ、スターダムにのし上がる様子を描いた伝記映画。過酷なロサンゼルスのゲットーライフ…ドラッグディールをやめて音楽で身を立てようと決意する仲間たち…そして成功と享楽の日々。だが、いつしかチームは分解し、取り返しのつかない悲劇が彼らを襲う…。これが実話だというコトにゾクゾク。そして当時十代だった自分にそのままシンクロする。
●注目は彼らの攻撃的なサウンド!激しいライブと過激でスキャンダラスな発言が社会に波紋を広げる。「世界一凶悪な音楽グループ」といわれた彼らのスタイル。ファックだのニガだのという言葉が社会のタブーだった時代(今もそうか)にそれを躊躇なく撒き散らすフテブテしさに世間の良識は眉をひそめる。でも、理由のないイライラが止まらないティーンのボクはそんな彼らに震えたよ。これがヒップホップなのか!生まれて初めてヒップホップを聴いた瞬間の、ショックに感電した記憶が頭の芯の中で熱く震えだす。猛り狂った感情をダイレクトに表現し、権力に容赦なく噛み付く。そうだよ、ここから始まったんだよ…。

●加えて、役者さんたちがアーティスト本人に実にそっくりなわけですよ。
EAZY E の挑戦的な目つき、DR.DRE の面長な感じ、ICE CUBE に至っては実の息子さんが演じてるから、完全に本人が若返ってるように見えますわ。チラチラでてくる脇役もかなり忠実。グループを引き裂く SUGE KNIGHT のヤクザな威圧感、DRE がプロデュースする SNOOP DOGG のゆとり世代風な立ち振る舞い、2PAC の元気のいいチンピラなキャラもかなり雰囲気そっくりでテンションが上がる。これが、1996年くらいまでのウェッサイ・ギャングスタラップに彩られて、ヒップホップ史として有名すぎる一連のドラマが描かれる。

映画「STRAIGHT OUTTA COMPTON」舞台あいさつ

●オマケに、この日の夜の回には、N.W.A のオリジナルメンバー DJ YELLA 本人の舞台あいさつがあったんだ。
●つーか、会社でペコペコ検索してた時にたまたま見つけたんだ…「1月29日 舞台挨拶 DJ YELLA 来日!」今日かよ!行くしかないじゃん!早めに会社抜け出して、雨の中パルコまで走って行きました。お客はイカツイBボーイBガールさんがいっぱい、チケットも最後の4枚ってトコロで滑り込みセーフ。
●ぶっちゃけグループの中で YELLA って存在感薄いので何した人か何してる人か全然わかんないです。でもあの激動の時代をリアルタイムに経験したってことには敬意を感じる。登場したご本人は、N.W.A 時代と同じ全身黒のスウェット、ただ大幅におデブな、でもどこか愛嬌のあるオッサンになってました。「みなさん、写真撮影のコーナーです、どうぞイェラさんの写真を…」と司会のアナウンスが促したら、ご本人が一番夢中で写真撮って「インスタに上げるからみんなフォローしてね!」って言ってたもん。

●彼の言葉で印象に残ったのは…「当時のコンプトンってどんな感じだったんですか?」という質問への答え。
YELLA「コンプトンにもいいところはあるんだけど…実際のところ、ドライブバイでの銃撃や殺人が日常茶飯事でまるでウォーゾーンのようだったよ。マジでマジてタフな場所だった!」そっか…部外者には恐ろしいゲットーは、その土地の当事者には快適なのだろう、なんて錯覚があったんだけど、彼らの街コンプトンはそこで生まれ育った者であっても馴染み切れないほとワイルドで危険なんだ…。ギャングスタラップのスーパースターですら、タフな立ち回りをしないといけない場所だったのか。実際のところ、彼らは本物のギャングじゃなかった。しかしギャングに囲まれて生活していたのは事実だ。グループの初期活動資金も、EAZY のドラッグ稼業だったのも有名な話だし。学生だった CUBE がスクールバスに乗ってたら、ギャングの幹部がバスをムリヤリ止めてピストル片手に若者に説教たれるなんてシーンもある。その後ブレイクしたグループに世間が噛み付く…「あなた方の音楽は暴力礼讚では?」彼らはこう切り返す。「暴力礼讚?オレたちはストリートの現実を伝えているだけだ。現実をよく見ろ、オレたちは正直なだけだ」

●それと YELLA はこんなことも。「全米40カ所を回るライブツアーも思い出深いが、一番はスタジオの中での作業だ。DRE と二人で一晩中音楽作りにハマったのが印象深い。映画の中でもライブやスタジオのシーンは特にみどころだ」確かにスタジオのシーンは和気あいあいだ。コンソールの中も外もノリノリで体を揺すぶってグルーヴを共有する。黒人さんの陽気さ、ファンキーさが楽しい。
「オレが映画の中では女好きに描かれてるって?そりゃまー女の子は好きだよ!プールサイドで濡れ濡れパーティやってるシーンはオレも現場にいて実に楽しかったねえ」彼は映画の監修の立場で、当時のスタジオの様子、機材、みんなが着ていた衣装などにも意見しているという。

「それとよく見て欲しいのは、警察官の様子だ。いやがらせをたくさんしてくる」
●これ、本編を見て本当に恐れ入った。これがロサンゼルスの現実か!黒人と見ると、自分の家の前を歩いてるだけで、警察官が突然「両手を挙げて後ろを向け!」そんで後手を捩じ上げらてパトカーのボンネットに押し付ける。職質じゃないよこんなの!犯罪者である理由をムリヤリ見つけたいだけだ。駐車場に突っ立ってたら言いがかりをつけられてそのままブタ箱に一晩ぶち込まれるとか。
●こんなシーンもある。レコーディングスタジオの前でグループが会話してたら、やはりパトカーが現れて警官が叫ぶ。「全員頭に手を置いて地面に伏せろ!」あ?今メシ食ってるんだよ?その瞬間警官はパシッとハンバーガーをはたき落とす。「お前らの方が人数が多い!今から応援を呼ぶ!」なんでオレらがこんな目に?白人マネジャーが必死に抗議する…彼らはアーティストなんだ!それでも容赦しない。「こいつらはギャングだ!」
●そんな人種差別的な弾圧の結果、あの1992年「ロス暴動」が発生する。スピード違反で警官に止められた黒人男性ロドニー・キング氏は、無抵抗に指示に従ったにもかかわらず、警官20人にメッタ打ちのリンチに会う。この様子が近隣住民の手で撮影され、全世界のメディアで放送されて世論は大きく揺れるも、裁判所の判決は警官を全員無罪に。これに黒人住民は激怒して暴動が発生。このときばかりは、ブラッズ vs クリップスの対立ギャングも手を握って抗議に出る。こえー!これがロサンゼルスなんだよ!

この暴動の不穏さが冷めない1994年、ボクは初めてのアメリカ旅行をする…ロスは怖かった…。
●当時ボクは大学生。滞在場所は、その頃ロスで駐在員生活をしていたボクの両親&妹の暮らす家。だからハリウッドやサンタモニカみたいないわゆる観光エリアと違う場所、関東平野に匹敵する面積で広がるのっぺりとしたロス郊外まで行動範囲が及んだ。拠点はトーランス地区。日系/アジア系がたくさん住んでるエリアで比較的治安はいい。当時世界最大だったショッピングモール DEL AMO FASHION CENTER がある…タランティーノの映画「JACKY BROWN」に登場する場所だ…あまりに空虚に広いので全然楽しくない。人気も薄くてなんか不気味に思えた。
●ここは治安がいいとしても、もう少し南に進めば SNOOP DOGG の地元ロングビーチに至る。もう少しダウンタウン方面に移動すれば、いわゆるサウスセントラル=ずばりコンプトンのソバに至る。そもそもロスのダウンタウンは観光地とは少しズレた場所で、なんだかキナ臭いテンションが漂う場所だった。ボクはここにある MOCA:THE MUSEUM OF CONTEMPORARY ART に行きたかったんだけど、さすが完璧な自動車社会、歩行者ゼロ。平日ならオフィス勤めの人もいるかもしれないけど、週末に行ったからか、街中がほぼ無人の殺風景さが怖くて。で、賑やかそうな場所を探してちょっと下町めいたトコロにたどり着いたら、100%黒人さんとチカーノだけの市場にさまよい込んじゃって…これがキツイ。オマエの来る場所じゃねえオーラがハンパない。ボクらオリエンタル系と黒人さん&チカーノ系との人種間摩擦も無視できないようで。観光地じゃないから、向こうもボクを旅行者と思わない。弾き出されるようにその場所から逃げ出した…。
●地元民が放つ余所者への敵意をムキ出しにするあのヒリヒリした感じ。海外旅行慣れしてなかった若造のボクにとってあの瞬間のロスは、ギャングスタと暴動の街だった。その時の緊張感をこの映画を見て思い出したね…。今から20年以上も前。ビビり過ぎだったかな…。

●世代で見え方が違うロサンゼルスという街。
●先日、元 EAGLES のメンバー GLENN FREY が亡くなった。彼ら EAGLES はこの街でバンドとして活躍し、ソロに分裂してもロサンゼルスを体現する音楽を鳴らした…いわゆるウエストコーストサウンドだ。HOTEL CARFORNIA のジャケは今でも健在のハリウッドの高級ホテルだし。アラフィフの先輩があのニュースを受けて「オレは彼らの音楽を聴いては、オシャレなアメリカ西海岸に行きてえ!って思ったもんだよ」としみじみ語ってたよ。
●一方ボクは、ああ、ここに世代の切断があると思った。先輩、それは70〜80年代のロス。ボクにとっての90年代ロスはギャングの街、ゲーム「グランドセフトオート」を地でいくような、ワイルド過ぎる街。00年代以降のロス?それはなんだろうね。この前、新入社員とロスの話をしたら、どーでもいい存在らしくて全然話題が膨らまなかった。シリコンバレーがあるサンフランシスコや、SXSWが行われるオースティンの方がホットらしいよ。


●さて、音楽を。

NWA「STRAIGHT OUTTA COMPTON」

N.W.A「STRAIGHT OUTTA COMPTON」1988年
●さて、映画のタイトルにもなっている、N.W.Aデビューアルバムを聴くのであります。恥ずかしながら、N.W.A はベストなどを持ってたから、コレを買ってまとめて聴くのは初めて。しかも今回の再発は高音質の SHM-CD で(←あんまり価値わかんない)、ボーナストラック5曲追加(こっちは嬉しい!)と立派でございます。
●二曲目に収録されてる「FUCK THA POLICE」の破壊力はやっぱりスゴイ。露骨な人種差別で街をノシテいた市警察への反感を、ダイレクトな言葉で、雄々しく叫ぶ。ICE CUBE のパワフルさ、EAZY E の甲高いトリッキーな声、ザクザクとトゲっぽいビート、それぞれが実にロッキン。郊外の白人リスナーからの支持を得たのもうなずける。どんなロックよりもロックしているからだ。デトロイト公演では警察からこの曲を演奏すれば逮捕すると警告を受ける。しかし、かれらは躊躇なくこの曲をプレイして逮捕されることを選ぶのだ。映画のこのシーンが実に熱い!
●3曲目「GANGSTA GANGSTA」も有名曲だね。色々なところで聴いてきた。激しくロッキンでありながら、ファンクネスも光る。途中で、後の DR.DRE の必殺技になるピーヒョロロ〜なキーボード使いも登場する。Gファンク直前の段階。
●その一方で「8 BALL (REMIX)」のガリガリギター使いは、むしろ80年代後半当時のニューヨーク/ DEF JAM のトレンドを追随した感じ?RUN DMC「WALK THIS WAY」みたい。この作品/ユニットがヒップホップの歴史の切断面にあることがよくわかるね。
DJ YELLAN.W.A の楽曲で一番好きだと言ってたのが表題曲「STRAIGHT OUTTA COMPTON」「COMPTON'S N THE HOUSE」の2曲だ。「一体誰がコンプトンなんかに興味を持つ?」 メンバー自身でさえ最初はその価値がわからなかった。しかし、EAZY E はニューヨークの連中が自分たちの街サウスブロンクスクイーンズを取り上げたように、自分たちのリアルを自分たちの地元の名で広めるべきだと固く信じていたらしい。この街の有様を美化するつもりはない。ただ、これがオレたちの日常なんだ、という意味で。「STRAIGHT OUTTA COMPTON」のザラついたサンプルが醸す疾走感、まるで PUBLIC ENEMY のようにスリリング。鮮やかなマイクリレーも実にクール。
●ボートラは、実は彼らの後輩筋に当たるアーティストたちのカバーが中心。BONE THUGS-N-HARMONY による「FUCK THA POLICE」は狂犬のような攻撃性を少し抑制して腰の座ったファンクとして機能させてる。SNOOP DOOG & C-MURDER による「GANGSTA GANGSTA」が本当に傑作。独特の軽妙なフロウで味が出まくっている。これは美味!

NWA「NIGGAZ 4 LIFE」

N.W.A「NIGGAZ 4 LIFE」1991年
●こちらのセカンドアルバムは完全にリアルタイムで聴いてた。当時ボクは高校生。ヒップホップという音楽の存在を知って、手に取った最初のCDかもしれない。昔すぎて記憶が定かじゃないが、L.L.COOL.J「MAMA SAID KNOCK YOU OUT」DE LA SOUL「DE LA SOUL IS DEAD」コレか、がボクにとっての最初のヒップホップだ。もう誰も気に留めないジャケの隅のマーク「PARENTAL ADVISORY EXPLICIT CONTENT」の存在に「なんだこりゃ?」と思ったのもこの頃だ。そんなことを懐かしく思ってしまう…実際にこの盤聴くこと自体が10年以上ぶりじゃなかろうか。
●緊張感を煽りまくるようなヒリヒリしたトラックは、今のヒップホップからは大分異質。テンポが速くて耳障り。特に「APPETITE FOR DESTRUCTION」「REAL NIGGAZ」はその尖り具合が顕著。さらには、この翌年に起こる「ロス暴動」を予感させるような銃声の連発がインタールードとかにたっぷり。一方で、ピーヒョロロなキーボードもやっぱり登場。「REAL NIGGAZ DON'T DIE」「NIGGAZ 4 LIFE」などに、N.W.A 以降の DRE サウンド〜90年代Gファンクの萌芽がハッキリと認識できる。
●このセカンドアルバム(そしてラストアルバム)の段階で、すでに ICE CUBE は脱退してて不在なのよね。実はこの映画を観るまでソレに気づかなかった。確かによく聴いてみると ICE CUBE の声がないわ。MC REN の活躍が目立つようになってる。オマケに脱退した ICE CUBE をディスり始めるのもこの時期。当然脱退した ICE CUBE もソロアルバムで応戦する。決裂が決定的。乱闘騒ぎまで…。さらにはこのアルバムのあと、DR.DRE も脱退。
N.W.A. 分解の後も EAZY E はレーベル RUTHLESS RECORDS を運営し、自らのソロや関連アーティストを世に出す。N.W.A の再結成のために CUBEDRE との和解を探っていた。しかしエイズを発症、1995年に、31歳でこの世を去る。

BONE THUGS-N-HARMONY「STRENGTH LOYALTY」

BONE THUGS-N-HARMONY「STRENGTH & LOYALTY」2007年
EAZY E に憧れて、オハイオ州クリーブランドからわざわざロスまでやってきた後期 RUTHLESS RECORDS の看板グループ。映画の中ではエイズを発症した EAZY のベッドに YELLA が彼らのデビュー盤のテープを置いていくシーンがある。結局 EAZY はこのファーストアルバム「E.1999 ETERNAL」1995年が世に出て大ヒットするのを見ることなく亡くなってしまうわけなのだが…。
●このグループの特徴は、独特な不安を煽るメロディアスなラップと、それを正確なユニゾンやハーモニーで聴かせるスキルだ。メロディックな部分と速射砲的早口ラップの緩急が油断ならない緊張感をもたせている。2007年まで時代が下ったこの作品の頃には、独自な存在感で安定した評価を得てもいたのだけど、イマイチ5人のメンバーが安定しない。カリスマティックな魅力を放つ BIZZY BONE はドラッグとスピリチュアル方面に目覚めちゃってグループから脱落。FLESH-N-BONE は服役中。コアメンバーだった LAYZIE BONE KRAYZIE BONE もソロ活動に分散しちゃってまとまりを失ってた時期。ですのでこの段階3人体制
●そんな状態の彼らに手を差し伸べたのが、辣腕プロデューサー SWIZZ BEATZ ! 今まで客演に色気がなかった彼らのアルバムに、SWIZZ 人脈で大物が集まってきた。AKON、TWISTA、WILL.I.AM、THE GAME、そして MARIAH CAREY まで!ホラーコア的な不吉感はいつものように漂わせながらも、ド派手に攻める時は大ネタも使う。アルバム冒頭の「FLOW NATION」では JIGSAW「SKY HIGH」をザックリと転用して一気にアゲアゲモードに。「STREETS」では WILL.I.AM らしいトラックというべきか、名曲 BOBBY WOMACK「ACROSS 110TH STREET」をガッツリサンプル。随所に登場する AKON のボーカルも相変わらず塩辛渋い。
●翌2008年に、めでたく FLESH が出所。BIZZY の奇行もやや収まったのかオリジナルメンバー5人は再結成。今でもそれぞれのソロ活動を続けながらこのグループは動いております。

BONE BROTHERS「BONE BROTHERS」

BONE BROTHERS「BONE BROTHERS 2」

BONE BROTHERS「BONE BROTHERS III

BONE BROTHERS「BONE BROTHERS」2005年
BONE BROTHERS「BONE BROTHERS 2」2007年
BONE BROTHERS「BONE BROTHERS III」2008年
BIZZY BONE は、超高速ラップ、それでいてソフトなフロウ、高めキーのオリジナリティで、グループの中でも光る存在だった。しかしどうも奇行が目立つ。レコーディングまではしっかりしてたのにビデオ収録をすっぽかすとか。宗教に目覚めちゃうとか。ドラッグ使いすぎちゃうとか。手を焼きすぎて、2003年頃にはとうとうグループから追い出されて、地元に帰ってしまう。
しかし、メンバーの友情が切れたわけではなくて。LAYZIE BONE と二人だけのユニット BONE BROTHERS を結成。この名義でコンスタントに音源をリリースしてる。LAYZIE BONE には責任感があったのかなあ。BONE THUGS-N-HARMONY のメンバーのうち、服役してた FLESH LAYZIE の兄弟だし、一番の地味キャラ WISH も彼の従兄弟だ。そんな人間関係のハブとして LAYZIE BIZZY ともこうして繋がっていたかったのかも。実の兄弟を差し置いて、「BROTHERS」を名乗るほどだからね。
●実際、2007年と2008年のリリースあたりで5人揃っての再結成が実現。BIZZY 合流後も、BONE BROTHERS の名義は死なずこの後もリリースを続けている。ゲストも結局 BONE THUGS メンバーがたくさん出入りしてて、結局同じメンツで音楽作ってるんじゃないか!と思うところがある。ズバリ「BONE THUGS-N-HARMONY」という曲もある。君たちどんだけ絆強いんだよ!
ウタモノとラップが入り混じったような独特のメロウなフロウスタイルは、どのアルバムでも同じで高性能。アゲアゲテンションを詰め込んだ内容じゃないので、イイ意味でのスキマ感が耳をリラックスさせてくれる。特にファーストの「HIP HOP BABY」は佳曲だねえ。
●…実は、ここまで語っておきながら、ジャケを見てもドッチが BIZZY でどっちが LAYZIE か区別がつかない…。ファーストのジャケでモジャモジャなのが LAYZIE ってのは間違いないんだけど、二人が同時に編み込みを始めたら…なんか二人はソックリじゃん。ちなみに KRAYZIE も似た印象の人で…。血縁ない人の方がソックリなんだよ…。

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DR. DRE「COMPTON」2015年
●問題作「2001」1999年以来、15年ぶりの DRE 名義のアルバム。しかもサブスクリプションサービス APPLE MUSIC で先行配信するなど、寡作ながらも都度都度オドロキを提供してくれる巨匠 DRE常にヒップホップのファンク解釈を革新するスタンスが見事。トラックメイカーが誰であれ DRE のミキシングを通過すると、見事にドロリとした黒いファンク汁が滲み出てくるから不思議。シンプルに聞こえる四つ打ちの一打一打がなぜか濃厚で聴き飽きない。まずはその音響の快楽に浸ってしまおう。
●そして、進取の気勢に富んだ、新進アーティストの抜擢が眩しい。先日のグラミーでは11部門でノミネート、見事5冠を制した超新星 KENDRICK LAMAR を大々的にフィーチャー。数曲を任されているトラックメイカー DEM JOINTS という人物も気になる。彼のトラック「GENOCIDE」の強烈な重低音キックが地面をグラグラと揺るがす。R&B デュオ FROATRY の片割れ MARSHA ANBROSIUS の美声、南ア出身のインド系女性シンガー CANDICE PILLAY のユニークな声も実に新鮮。ANDERSON .PAAK というシンガーも今回が初見。当然、古い付き合いの仲間たちも参集。N,W,A の盟友 ICE CUBEDRE がフックアップした SNOOP DOGGEMINEM も登場。EMINEM のキリキリと神経質なラップはやっぱ稀有だわ。
●サンブルソースがすごかった。イタリアのファンクやプログレッシブロックを使ってる。BONE THUGS-N-HARMONY EAZY E の共演曲も使ってる。ボクが大好きになった重厚なファンク「GENOCIDE」 THE GAP BAND がソースらしい。元ネタ聴いてみたいな。


●さて、動画でいいものがあるかなあ?

●N.W.A「FUCK THA POLICE」




●N.W,A「REAL NIGGAZ」




●BONE BROTHERS「HIP HOP BABY」




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