●先日、ライブに行ってきました。
奇妙礼太郎トラベルスイング楽団「2016 LAST TOUR」@恵比寿リキッドルーム。

news_xlarge_kimyo_lasttour.jpg

「ラストツアー」ってのは文字通りで、このトラベルスイング楽団というバンドはこれで解散という意味。奇妙礼太郎ソロ名義や、天才バンドという別名義で彼は今後も活動するけど、このバンドはおしまい。うーん残念だね。ドラム+ベース+ギター+パーカッションに、ホーン隊三人&キーボード二人と豪華な編成で弾き出す熱量高いファンクロックグルーヴは、文字通り「ドカドカうるさいロックンロールバンドさ〜」って感じで、80年代全盛期の RC サクセションのような迫力があったのだ。アルバムで聴いてた「どばどばどかん」がライブで聴くとまさしくRC節でホントたまらん!
●マッチ棒のようにヤセっぽっちな印象だと思ってた、奇妙礼太郎その人は、スリムな体にタイトなスーツがバチっと決まってて、ステージでの立ち振る舞いが実にクールだった…。マイクをつかみながら身をよじらせて声を絞り出すその様子が実にカッコイイのだ。少々支離滅裂で人を食ったMCをダラダラ続ける様子も、タダモノじゃないオーラを感じさせるのだ。ああ、この人の歌はもっと聴いていたい。
中でも素晴らしい一瞬となったのが、松田聖子のカバー。「赤いスイートピー」「スウィートメモリーズ」。この二曲がなんと雄弁なことか。男性シンガーにしてこんなに説得力を持って松田聖子が歌える人間が他にいるだろうか?大幅にメロディを崩しながらもすごくソウルフルに仕上げてパワフル。ああなんていい歌だろう、そう思えるパフォーマンスだった。解散ツアーだというのに、カバーが満載。大迫力ファンキーレビューな「東京ブギウギ」もすごかったな。
●今度はどんなスタイルで活動していくのかな。ライブで感じたのは、彼が独特なチャーミングさを漂わす存在ってこと。あの飄々とした佇まいが、時に爆発的に燃焼するのが実に楽しいんだ。


●こんな感じで最近はロックバンドの活動停止のニュースをよく聞く。

N夙川BOYS「THANK YOU !!!」

N'夙川BOYS「THANK YOU !!!」2011〜2013年
奇妙礼太郎と同世代、同じくらいの活動キャリア、同じ関西出身、そんでハチャメチャなロックンロールを目指す!なのに絶妙にキャッチー!という点でなんとなくイメージが似通うこのバンドも解散してしまうそうな。
●男女3人のスリーピースロックバンドで、担当楽器はその時の気分で持ち替えるみたいなラフな加減が実にガレージロック。気のせいか録音もすごくラフで、その粗末で雑な感じが勢い任せの疾走感とロックの遠心力にすり替わって、聴くモノの耳をガリガリと八つ裂きにしてくれる。このアルバムはメジャーデビュー2年目にしてリリースしたベスト盤。初期楽曲は再録もしてるが、全然洗練されてないのでご安心。ボクは「物語はちと?不安定」が好き。
●とはいえ、メジャーファーストアルバムは、故・佐久間正英氏なもんだから、ナニゲにその荒々しさを丁寧に制御してポップスとしての強度が強くなってる。「プラネットマジック」とかが象徴的かも。
●このバンドを知ったのは、映画「モテキ」のサントラで BARBEE BOYS「目を閉じておいでよ」をカバーした時だったな。あのカバーはよかった。ボーカル男のマーヤLOVEと、ボーカル女のリンダDADAツイン体制の危うい均衡がそのままこのバンドのスリルになってたし、バンドとしての艶っぽさにもなってた。BARBEE BOYS もそういうバンドだった。このベストでは、なんと THE CURE「BOYS DON'T CRY」のカバーをやってるけどね。

モーモールルギャバン「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」

モーモールルギャバン「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」2011年
●こちらも男女ロックトリオ。2014年に無期活動休止へ。やっぱ関西系、同世代、同時期デビューのキャリアを持つ。しかし2015年に復活、ニューアルバムをリリースしてライブを旺盛にこなしている。復活ってやり方があるのだから、ロックファンは一喜一憂することはないのかもね。
●編成もとってもフシギだよ。ドラム兼ボーカル、キーボード女子、そしてベースってバンド編成。ギターはいつしかいなくなっちゃったようだよ。だから、ロッキンなナンバーだとベース圧力がブリブリとパワフルでカッコいい。キーボードのドラマチックな繊細さもイイ。DOORS のキーボードみたいにサイケに作用する瞬間もある。そして、このバンドも男女のツインボーカルが特徴的かも。グラムロックな外見も N'夙川BOYS に似てるかも。
●でも、ただのロック衝動で壁をつき壊せ!みたいなポジションだけじゃなくて、本来的にはリリック重視のバンドなのかも。「J・O・E」って曲が気になるのさ。ピアノ基調の中でボーカル男ゲイリー・ビッチェがファルセットで優しく歌うリリックは、詩的で柔らかくて…その優しい甘美さが、真っ白く灰になった男の姿を連想させるのさ。ボーカル女ユコ=カティの担当曲は、ユーミンが出てくる寸前みたいな懐かしい甘さまであるよ。



●さて、世間から退場するのはバンドだけでなく…レコ屋も退場する。

中野レコミンツ

中野ブロードウェイのCD屋さん「レコミンツ」が今年4月で閉店してしまうという。
●ショック…これ友達がFACEBOOKでつぶやいていたので知ったよ。ついこの前にもここで買い物したのに!今年で50周年を迎えるという中野ブロードウェイ、あそこのサブカル的磁場はコスプレからオカルトまで全方位型に散らばってたのが面白かったはずなんだけど、さすがに、ここ数年はまんだらけ方面ばっかりに偏りすぎてるよな。レコ屋系で言えば頑固なニューウェーブ専門店「SHOP MECANO」がまだ健在。特殊書店「タコシェ」はこれまた踏ん張ってるし、村上隆「ZINGARO」「BAR ZINGARO」から「PIXIV ZINGARO」まで)のようなアート拠点もあるから、ボクとしては縁はまだ切れないと思うけど。

●でもね、そんな縁のあったお店が消えてしまい、街は面白くなくなるだけではなく。
どんどん面白くなっていく、復活していく街もあると思うのです。

●高円寺の超個性派レコ屋「円盤」オーナーで音楽評論家の田口史人さんと軽くお話しする機会があって。
「円盤」というお店を通じて高円寺という街をずっと眺めていて、どんどんダメになっていく様子に残念さを感じていたという。ボクも高円寺に住んでたことがあるが、レコ屋が徐々に減っていって…むむむ。ところがここ最近、またユニークなお店が増えつつあるらしい。幡ヶ谷にあったこれまた個性派のお店「ロスアプソン」が高円寺に移転したし、新しいお店も出来てるらしい。街はダメになるときもあるけど、よくなるときもある。

●ボクが暮らす下北沢は、再開発の影響で、ボクが暮らし始めた約10年前から比べても激変した。それを知人は「久しぶりに行ったら知ってる店が全部なくなって、どうしちゃったのよって感じよ!」と評したもんだ。この変化はまだ途中であってもっとさらに激変してくだろう。大好きなカフェが閉店したし、レコ屋も店長さんが入れ変わっちゃったりね。
●でも、それはあくまでボクらオッサン視点のノスタルジーで、今のキッズにとって価値化されてるお店はナニ気にどんどん発生してるのですわ。老舗お風呂屋さんの跡地にできた古着屋「NEW YORK JOE」(←これ絶対「入浴場」のモジリ)はいつも買取希望の若者で行列が出来てるし、2012年位にできた個性派書店「B&B」はトークイベントをどんどん繰り出してネットメディアによく取り上げられてるし、ライブハウス GARDEN は2011年に改装してグッと存在感増したもんね。たしか今月は「リアル脱出ゲーム」 SCRAP が直営する「ナゾビル」ってのが出来て、ゲームを常設のハコで楽しめるようになるんだよ。悪いこともあるけど、いいこともある。

●だから、中野もね。今は残念な時期だけど…ブロードウェイから音楽の専門店が減っちゃったけど、きっと面白いことがまた起こるさ。息子ノマドはあそこの本屋さんのラノベのラインナップを気に入ったみたい。ブロードウェイで見つけた、ボカロキャラをもじった赤いパーカーを買ってお気に入りにしてるよ。悲観はしないさ、簡単には。

●だから、前向きな気持ちも込めて。
●このレコミンツで今まで買ったものを聴く。

NETWORKS「WHITE SKY」

NETWORKS「WHITE SKY」2010年
●これは、職場のフシギ女子から教えてもらったバンドだね。「インストなんですけどメッチャかっこいいんですよー、ライブ必ず行ってるんですよー」東高円寺在住の彼女はこのバンドを、あの街にある UFOクラブ とかで見てるんだろうか?なぞとテキトーに聴き流していたんだけど…SEO対策を無視したそっけないバンド名だし、あんまりその会話だけでは興味がわかなかった。でも。このレコミントで見つけてしまった…CDを。400円で購入。
●そしたら、華麗なマスロックだった。幾何学ギター+リリカルキーボード+テクニカルドラムのロックトリオ。ポリリズミックなグルーヴの積み重ねでキラキラと音楽が光る。5曲のミニアルバムと見せかけて、10分超えの楽曲が多くて聴き応えもある。マスロックなアプローチは、アメリカだとヘヴィロックの文脈の先にあるけど、日本だと澄み切ったポストロックの延長線にあって進化が独特。とても気持ちがいい。

OPUS III「MIND FRUIT」

OPUS III「MIND FRUIT」1992年
あーこれはもう「懐かし」型な買い物です。大学生になって12インチアナログを買うようになった最初期の一枚が、このアルバムからのリードシングル「IT'S A FINE DAY」1991年でしたわ。テクノもハウスもレイブもまだ未分化だった時代の、ディープなボーカル物テックハウス。ほとんど坊主までに短く髪の毛を刈り込んだジャケの女性 KIRSTY HAWKSHAW の神秘的で透明感あふれる声が、少しトーンの暗いビートの中で美しく響く。全英1位になったはずですわ。ボクもフジの深夜番組「BEAT UK」のランキングで知ったんだもん。 JANE という歌手が歌ってた1983年の同名曲のカバーだってのは、今回CDアルバムの解説を読んで初めて知った…25年後も経ってるのに。今度元ネタも探そう。二曲目もKING CRIMSON「I TALK TO THE WIND」のカバーだ。原曲の持つ奥ゆかしい静謐さを、このユニットのテクノ感覚は丁寧に細工してて気持ち良く聴けるようにしてくれる。ダンスミュージックとして扇情的、というより、涼やかなグルーヴの中でチルしてくれる感じ。えーと、確か200円コーナーで拾ったんだっけかな。
●これも今回初めて知ったんだけど、この作品を出してる 380 RECORDS ってのが、80年代ユーロビートで大活躍したプロデューサーチーム、STOCK AITKIN WATERMAN の関係レーベルなんだって。テクノハウスは、90年前後に突然発生した新型音楽のように思えてたんだけど、その手前のダンス・ムーブメントと人脈的つながりがちゃんとあったんだね。OPUS III と同世代的に THE KLF を結成してレイヴカルチャーアンビエントをメジャー化するパンキッシュな連中 JIMMY CAUTY BILL DRAMMOND も、下積み時代はこの一世代前のプロデューサーチームに関与してたって解説されてる。ふーん。THE KLF もね、当時買いまくったよ。大好きだった。

THE ROLLING STONES「LIKE A ROLLING STONE」

THE ROLLING STONES「LIKE A ROLLING STONE」1995年
●テクノでカバーした案件から、そのまままたカバー案件にいくね。THE STONES BOB DYLAN の名曲をカバー。彼らがこの曲やるってあまりに直球だけど、こんなに長いキャリアで今更かよーもっと前にやってなかったのかよー、なんて感じたりもする。この曲を収録したアルバム「STRIPPED」は確かまだ持ってなかったね…もう THE STONES の仕事は網羅しきれないよー。全然ワビサビることもなく、ゴリゴリとローリングしてます。「HOW DOES IT FEEL ? HOW DOES IT FEEL ?」こいつも200円コーナーで見つけた。

ERIKA「FREE」

ERIKA「FREE」2007年
沢尻エリカのシングルですわ。まだ映画「ヘルタースケルター」は見てない…いつでもSVODサービスで見られるんだけどね。この曲は気になってた…ちょうど中川翔子「空色デイズ」みたいなロックとしての痛快感がちゃんとある。異分野の人がそういうことをするってのが、この時期にはよくあったからね。アニソンかと勝手に思ってたけどただのCMタイアップ曲だった。でも ERIKA沢尻エリカは別人設定というありがちなオルターエゴ物語がウザい…その一方で、彼女が映画/ドラマの中のシンガーソングライターとして歌った KAORU AMANE 名義シングル「タイヨウのうた」もそのうちゲットしたい。
●さすがにハイパーメディアクリエイターとの混乱した私生活やヘンテコなトラブルには閉口したけど、映画「パッチギ」のヒロインとしてデビューした瞬間の彼女はマジで可愛かったよ…。まーがんばってください。200円からさらに30%オフで買ったね。それ以上の価値はないと思う。

松浦亜弥「松浦シングルMクリップス1」

松浦亜弥「松浦シングルMクリップス1」2002年
モーミング娘。「LOVEマシーン」で全日本を制圧した時期に、そのハロプロ一派のアイドルとして14歳で芸能界デビュー。そのキャリアの最初期2001〜2002年のシングルMVをまとめたDVDミドルティーンにして、この完成度はスゴイ!13歳の茶髪ゴマキがやや荒削りのままモー娘。のフロントを務めてく一方で、つんくさんはじめアップフロント幹部が、彼女はグループの一員ではなく一本立ちでイケると判断したのは、ひとえに彼女の才能がスゴかったからだと思う。ボクは当時の彼女を「アイドルサイボーグ」って呼んでたもんね(野村萬斎「狂言サイボーグ」みたいな感じね)。確かな歌唱力とダンスセンス、親しみやすいルックス、多彩な表情を状況に合わせて的確にくるくると変える賢さが完璧すぎる。ここでは初期の代表曲「YEAH! めっちゃホリディ」「LOVE涙色」などのビデオを収録。200円の30%オフで購入。
●もう時間も経ったので、ある事件を、思い出として語る。
●デビュー1年目の頃だと思う…たしか日比谷野音の野外ステージで彼女のミニライブがあった。多くのファンの前、ピンク(または赤)のチューブトップを着た彼女がサービス満点のはしゃぎぶりでおもてなし。しかしあまりにも彼女が元気よくピョンピョン跳ねるもんだから、なんとこのチューブトップがすとんと落ちてしまって、中身がポンと丸見えに!一部の情報では全部が見えちゃったという話にもなったが、ぼく現場にいたのでちゃんと証言しますけど、肌の色と同じベージュのプラジャーが見えただけ。でも14〜15歳の女の子だったら、数百人の前でそんなことヤラカシたら恥ずかしくてその場で座り込んじゃったりしても不思議じゃないじゃん。なのに彼女、ダンスに夢中で一瞬その事態に気づきもせず、気づいた瞬間も「あ!やっちゃった!テへ!わたしってドジっ子!」みたいな満面の笑みで、振り付けの中で落ち着いてチューブトップをグイッとズリ上げ直す。その爽やかな処理にボクは「この子スゲえ!完璧じゃん!この清潔感ある手際の良さ、まさしくアイドルサイボーグ!」と感動したものだよ。この日のライブはテレビ局の取材もいっぱい入ってたけど、ワイドショーではこのハプニングは一ミリも紹介されなかった。ま、そりゃそうか。14歳の少女をわざわざ電波で辱める必要はない。一部のファンだけが目撃した出来事。
●今では立派なアラサーのママになって落ち着いた家庭生活を送っているのでしょう。辻希美ちゃんのように私生活をビジネスする必要もないようだし。おしあわせに。

安田レイ「BEST OF MY LOVE」

安田レイ「BEST OF MY LOVE」2013年
●このシンガーは、キラキラハウスユニット・元気ロケッツのボーカリストとして活動してた人。ただ、元気ロケッツ「LUMI」という架空のキャラクター(30年後の未来の17歳、宇宙生まれで地球を知らない)を設定、ライブもわざわざホログラム映像を用いていたり、MC部分は声優さんをつかうなど、まるで今でいう初音ミクみたいなバーチャル存在を目指したもんだから、生身の彼女の存在は極力薄められてしまっていて。まー彼女はまだ当時13歳だったし、突き抜けたハウス感は気持ちよかったし。結果的に元気ロケッツは今でもボクは好きだし。そんなわけで実名の彼女としては更地からの再出発だよ。この二回目のデビューシングルは、レコミンツじゃなくて、SHOP MECANO の方で300円で買った。
「中の人」を卒業して再デビューした彼女のことは、その当時から即座に気になった。けど…軽く視聴したらちょっと違うというか…あれれ、普通のシンガーになっちゃったぞ元気ロケッツと制作陣は変わらないはずっぽいのに、着うた世代の和製R&Bみたいな、西野カナのエピゴーネンみたいに聴こえちゃって。きっと声が変わっちゃったんだ。元気ロケッツ=2006年から、安田レイ=2013年までで、女の子って激変するよね。子供から大人の女性になっちゃった。そのギャップにボクがまだついていけてない。今回、少々時間をかけてやっと買ってみたけど、やっぱもうちょっとハウシーな方がたのしいな。

LITTLE TEMPO「MUSICAL BRAIN FOOD !」

LITTLE TEMPO「MUSICAL BRAIN FOOD !」2003年
●日本が誇るルーツレゲエ/ダブバンドもこのお店で買ってみた。土生 "TICO" 剛が演奏するスティールパンが聴きどころのはずなんだけど、このアルバムにおいては、エキゾチックなオリエンタル風味が漂うフシギな質感が耳を奪う。なにしろ一曲目のタイトルが「MOROCCO」リアルにモロッコ旅行に行ってきたボクにとっては、あの国に流れていた独特のグルーヴを連想させるえも言われぬ芳香がプンプンしてきて。…でも、あの国で大量に買ってきたCDたち、完全に消化不良で全然聴けてないんだよね。そもそもジャケの文字が100%アラビックで、英語表記がゼロって段階でくじける…。



スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://unimogroove.blog4.fc2.com/tb.php/1835-369ff435