AKB48「総監督」高橋みなみが、グループを卒業する。
だから、敢えて、AKB48について考えてみる。


AKB48 問題。音楽ファンとして、AKB48 とどう向き合うか?
●旧来の音楽ファンにとって、この問題はノドに刺さった骨のように、ずっとツカエた存在だったはず。

「AKB商法」という言葉が出回る頃から、急速に音楽産業が変質/衰退を始めた…。
AKB48 のフォロワーやエピゴーネンが次々と登場して「アイドル」が市場を埋め尽くした。
●だから、AKB48日本の音楽シーンを堕落させてしまった、そんな風に捉える向きもあったはず。
●結果、AKB48 を無視してしまう態度もあるだろう。

しかし、AKB48 は本当に「悪」か?
●日本の音楽市場は1998年をピークに売上を落とし続けている。そしてそれを解決することができない。
●一方、全世界の音楽業界も長い不況を突破することができない。いつしかフィジカルのセールスは溶け落ち、CDショップが街から消えて、ストリーミング・サービスに置き換わってしまった。そしてその新ビジネスモデルはかつての売上を補完するほどの規模には到達していない。
●しかし、日本はフィジカルセールスがまだ存在感を残す特殊市場。いわばガラパゴスだ。賛否はあろうとフィジカルに付加価値を与えてマネタイズする方法を開発したのは、まさしく AKB48 である。衰亡する市場をなんとか支えたのが AKB48 なのだ。これは評価されるべきだ。
音楽の消費スタイルを一変させたのも事実。確かに「音楽」を消費するのではなく「アイドル」を消費する、という習慣を日本人、日本のユースカルチャーに定着させたのも事実。正直に言えばボクは音楽ファンなので、どこまで行ってもこの事実には違和感がある。ただ、これは時代/社会全体の趨勢だ。「モノの消費」から「コトの消費」へ消費社会が成熟する中で、「会えるアイドル」というコンセプトを2005年に打ち出していた秋元康氏の慧眼は見事。「アイドル」という少女の成長を消費するモデルで大勢のファンをずっと牽引し続けて。エンターテインメントの消費様式に多様性があることが時代を豊かにしているとするならば、コレはコレでアリだ……そして10年がたった。

GYAO+AKBたかみな卒業公演

「祝 高橋みなみ卒業 "148.5cmの見た夢” in 横浜スタジアム」
「プレミアムGYAO! 完全独占生配信」…これも時代だ。第1期生として最初期から今まで10年もの間グループを支え、「総監督」という別格のポジションを与えられたコア中のコアメンバー・高橋みなみの卒業。このセレモニーが、Yahooグループがキモ入りでローンチしたSVODサービス「プレミアムGYAO!」の最初の目玉コンテンツとして、コンサート全編がネットで生配信される。その瞬間を目撃したいと思った。

●その前に、過去の映像を見る。

DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?

●DVD「DOCUMENTARY OF AKB48 - TO BE CONTINUED - 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」2011年
2010年の AKB48 を切り取ったドキュメンタリー。劇場開設から5年、スーパーグループとしてとうとう大ブレイクを果たしたその瞬間。2009年から始まった選抜総選挙、この年から始まったじゃんけん選抜、最初期から継続していた TEAM-A(第1期生)、TEAM-K(第2期生)、TEAM-B(第3期生)、の構成を初めて大胆にシャッフルした「組閣」、そして「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテション」「BEGINNER」といったビッグチューンの大ヒット、激動の時期。そんな時期のグループの主要メンバーに、じっくりとインタビューを聴く構成。実はこの作品、製作総指揮が岩井俊二
●今ではグループを去った歴戦の猛者たちが登場する。前田敦子、大島優子、秋元才加、篠田麻里子、板野友美、河西智美…。もちろん、古参の現役メンバーも。渡辺麻友、小嶋陽菜、峯岸みなみ、柏木由紀、指原莉乃…、NGT48を率いることになった北原里英、3月末に卒業となる宮澤佐江も。それぞれが、グループの中の自分の役割、果たすべき責任、夢とプレッシャーを語る。その中でも、高橋みなみだけは別格だった。誰もが「たかみなは特別」という。「たかみなに頼ってる」「たかみなにはなれない」「たかみなに任せた」
●彼女自身が語る。14歳から一期生として AKB48 に関わった彼女。しかも奇しくも誕生日が4月8日。そんな彼女に秋元氏が誕生日に送ったメールは「嫌われる勇気を持て」。彼女の持つ「ヤンキー的」とも言える厳しさはふわふわしがちな女子の集団の中でピリリとした緊張感を作る。たるんだステージの後には声を荒らげてメンバーを叱咤する。率先して声を出して、公演直前のメンバーに気合をいれる。根っからのリーダー、部活なら鬼キャプテンというところか。自分に課す水準も高い。ソロ仕事で練習が足りないとしても、絶対に妥協はしない。5年前からこの立場を貫いてきた高橋みなみの存在って…スゲえ。
AKB48〜秋元康のリリック世界って、ままにして、夢や希望へ向かうことの美しさ、それに向けて無限の努力の偉大さを描くよね。もう少し踏み込めば「夢や希望へ無限の努力」を強いるよね。恋愛禁止をメンバーに課した段階で恋愛テーマ楽曲はどこまでも綿菓子のようなファンタジーだが、スターダムへの苦闘はマジのリアル。が故に総選挙もじゃんけん選抜でさえも誰もがムキになる、メンバー当事者もファンもね。そこへいくと自分自身でも盲信してはいない「努力は必ず報われる」というテーゼを何回も連呼する高橋みなみ秋元康氏からみれば、AKB48においてエリート将校のような存在だったにちがいない。気合と努力、夢と希望、完全にマイルドヤンキーの世界。AKB48の現代的本質がここにあるのかも

●その一方で、その「総監督」というポジションを、今年2016年に高橋から引き継ぐ横山由依
●京都出身の彼女はしゃべり方がはんなりしてて、ややヤンキー体質な高橋とは全く違うタイプだ。この人事はナニ?と発表段階から不思議に思ってた…。第7期生・横山はこのDVDの収録段階、2010年は研究生から正規メンバーに昇格した瞬間。
●研究生の彼女は、グループ一番の年長者であった篠田麻里子のサポートを実直に務めていた。ソロ仕事が多い篠田の代わりにリハや練習を完璧にこなし、その様子を全て篠田に伝える。研究熱心で練習の様子をメモに記録、誰よりも長い時間リハに付き添う。メンバーの誰しもが最高の努力家と評価する。篠田自身が「たかみなの他で唯一尊敬するメンバーです」と語った。
●控えめで線の細い美少女。でもちょっと印象は薄い…。そんな彼女が、高橋が長く担ったグループ全体の大黒柱の立場を継承する。高いハードルが課せられる。しかし、隠れた努力家としての彼女の力が、これをキッカケに開花するのかもしれない。今回の「プレミアムGYAO!」3月26日/27日配信「AKB48単独コンサート」「第1回AKB48グループ 東西対抗歌合戦」などで、締めのMCを必死にこなしていた…ちょっぴり不器用だけどね。きっと大きな重圧を感じてるにちがいない。そんな様子に、がんばってね、と声をかけたくなった。ここまで縁もない女の子に感情移入できるなんて「アイドル」消費も悪いもんじゃないね。


AKB48 のドキュメンタリーは毎年リリースされている。ボクが見てるのはあと2本。

「DOCUMENTARY OF AKB48 - SHOW MUST GO ON - 少女は傷つきながら、夢を見る」 「DOCUMENTARY OF AKB48 - NO FLOWER WITHOUT RAIN - 少女たちは涙の後に何を見る?」

●DVD「DOCUMENTARY OF AKB48 - SHOW MUST GO ON - 少女は傷つきながら、夢を見る」2012年
●DVD「DOCUMENTARY OF AKB48 - NO FLOWER WITHOUT RAIN - 少女たちは涙の後に何を見る?」2013年

●取材/撮影時期は2011年から2012年。つまり「東日本大震災」の時期を収録している。ここでメンバーたちは日本社会と自分たちの関わりを深く考えることになる。
●本来、AKB48 はグループとして劇場公演を回しつつも、メンバー個々と大手芸能事務所のマッチングが成立したら、単体のタレントとして独立し卒業していくことが想定されたシステムだった。メンバーは女優なり歌手なりそれぞれ個人の希望を持ち、その夢を実現させるために努力する。秋元康氏始め AKB 運営は、原石を発掘し研磨して、芸能界へコンスタントにタレント人材を供給する。各芸能事務所は、コレと思ったタレントをフックアップして自社所属のタレントとして世に出す。こう見ると、いわばAKBグループは本来ファーム/養成所のような存在で、通過し卒業していく場所。劇場がキャパ250人程度と小規模なのも、最初期にはこのグループ活動自体があくまで実験場と想定されてたことを物語っている。ここまでグループ本体が肥大化したのがむしろ想定外だったのかも。グループでは事務所 AKS が管理しているのに、著名メンバーの個別活動では別のマネジメント事務所が管理するという、一見いびつな関係もココに由来する。例えば高橋みなみ、峯岸みなみ、小嶋陽菜は大手事務所・プロダクション尾木の所属で、が故に3人でユニット・ノースリーブスを組織している。
●だから、メンバー個人の集中力はあくまで自分自身のキャリア形成が主体。これは大島優子の発言だったろうか…「若いメンバーがAKB入りすること自体が目的になってしまっていることに危惧を感じる」といった旨を語っていた。しかし、高橋みなみはこの大震災に際し、「今までは自分が自分がとばかり考えていた…でも私たちにもできることがあるんだと思えた」と発言する。最終的に、AKB482011年だけで7回もの被災地訪問を行い、ステージトレーラーでのパフォーマンスを行った。あらゆるエンターテインメントがあの時は「自粛モード」で機能不全に陥った。しかし AKB48 は戸惑いながらも即座に活動を始めチャリティや現場への訪問を始めるのだ。

巨大化するグループと慢心への危機感。西武ドーム2日目の激闘。
●この年、AKB48初めてのドーム公演を経験する。「AKB48 よっしゃぁ~行くぞぉ~! in 西武ドーム」。しかしこの初日の出来が最悪だった。秋元康自身が、終演後のバックヤードで、メンバーから運営、そして自分自身も含めて反省を促す。「今まで見てきたコンサートで一番最低だった」と。AKB姉妹グループ全てが参加する巨大公演に、全体の一体感がなにもない。そんな批判に対して、高橋みなみが声を出す。全メンバーに対して檄を飛ばす。そして失地回復のための2日目の公演。このバックヤードが戦場と化す。
●カメラはステージ上のパフォーマンスではなくて、その下のバックヤードの様子を写す。小柄な女子ですら屈まなければ通れない鉄パイプで覆われたステージ下の小道を走り、衣装替えしながら、自分の次の出番を決められた場所で待つ。メンバーの気合が違う。強烈な危機感と使命感が彼女たちを限界へと連れていく。過呼吸や熱中症を起こすメンバーを、スタッフと他のメンバーが力を合わせて支え合う。そこはまるで野戦病院。出番が来るまでギリギリまで休み、そしてまた強い照明に輝くステージへ笑顔で出ていく。その壮絶さが、胸を打つ。
●多くの部分でフロントを担う、前田敦子大島優子が倒れていく。パニックに陥り、過呼吸を起こす。駆けつけるスタッフ。その中でも高橋みなみは気丈に振る舞い、前田たちをフォローしていく。スタッフがつぶやく…「このままだと高橋も倒れるぞ…」でも、休憩時間を稼ぐためにMCを少しでも伸ばしたり、ステージ上でも常に肩に手を置いて励ましてやったり。強い責任感が彼女を駆り立てるのか。そして終演後、安心しきった表情すら浮かべて、彼女も倒れるのだった。AKB48 のステージ、時にはちんたらと脇が甘く見えるのは事実だ。しかしそれでも最善の内容を伝えようとする彼女たちの努力は、決して無視できない。

2012年は、巨大な空白がグループを襲う。前田敦子の卒業だ。
●舞台の床には立ち位置を示す番号が記されている。AKB劇場では最大6まで。中央に近づくと数字は小さくなり、ど真ん中のセンターは「ゼロ」が振り当てられている。第1期生として絶対的エースを担ってきた前田敦子の卒業宣言は「グラウンドゼロ」=爆心地としてグループ全体の均衡を崩す。次のエースは誰か?センターの重圧とはなにか?選抜総選挙の悲喜こもごも。前田に代わり一位へと返り咲く大島優子。一方「スーパー研究生」として注目を浴びていた光宗薫は圏外に終わり、客前から隠れた袖に入った瞬間ばったりと倒れて嗚咽する。巨大組織となった AKB 集団内ヒエラルキーはかくも残酷なシステムを作り上げた。…光宗薫はこの年の内に脱退。
恋愛スキャンダルも続発。異性との写真流出などで活動辞退を余儀なくされるメンバーたち。握手会会場に響く謝罪の言葉…スタッフすらがバックヤードで嗚咽する…こんなことで…。破竹の急成長を続けるアイドルグループは芸能メディアの格好の標的になったのだ。高橋みなみはインタビューで端的に感情を語っていた。「本当に大人が嫌いになりましたね」指原莉乃もスキャンダルが発覚、HKT48 への移籍が通達される。本人も HKT メンバーも当惑する中、最初の顔合わせ挨拶は、実に微妙な空気に。顔合わせの後に、床にへたりこんで嗚咽する指原の様子をカメラはじっと押さえている。
●そして念願の東京ドーム公演、「AKB48 in TOKYO DOME ~1830mの夢~」が開催される。1830mとは、秋葉原・AKB48劇場から、東京ドームの物理的な距離だ。この1830mの移動に7年の時間がかかったわけだ。そしてこれが前田敦子の実質上の卒業公演。涙の晴れ舞台。そこからの電撃的発表が追い打ちをかける。高橋みなみが新設ポジション「総監督」に就任。2009年以来の大胆な「組閣」人事。前年に新設されたばかりの若手グループ TEAM 4 の解体。宮澤佐江SHN48 移籍、高城亜樹 JKT48 移籍など、海外まで射程距離に置いたシャッフルに、ファンもメンバー当事者も驚いた。

●その後のDVDシリーズはまだ見ていないが、AKB48 グループは波乱が常に巻き起こっている。峯岸みなみ「丸刈り謝罪」YouTube動画アップ騒動(詳しくはコチラの過去記事に書いた)。まさかの指原莉乃・選抜総選挙1位、そして「恋するフォーチュンクッキー」のメガヒット(詳しくはコチラの過去記事に書いた)と、同曲の「踊ってみた」動画の氾濫ぶり。前田敦子と双璧をなしたスーパーセンター大島優子の卒業。2014年全国握手会で起こったメンバーへの傷害事件。ライバルグループ・乃木坂46の台頭。新設姉妹グループ・NGT48の発足…。
●さらに今回の2日間公演で、AKB48に、新たな姉妹グループが創設されることが決まった。台湾・台北の TPE48、フィリピン・マニラの MNL48、タイ・バンコクの BNK48。海外進出…というかもうこれ「フォーマット販売」みたいなもんだろうか?ノウハウは日本由来でもメンバーはローカルなのだから。2020年東京オリンピックでは、AKB が日本の代表文化として開会式を盛り上げることになってしまうかも。そんで日本国内に限らずパンパシフィック規模で各国選抜メンバーが集合するとか。


●と、AKB48 の歴史を簡単におさらいした上で、実際の卒業公演を見る。
丁寧に一曲づつ聴いていきたい。会社の先輩が真顔で言ってたんだよね「AKBは歌詞がイイ!俺は本当にそう思う」45歳のオッサンが真顔で語る内容があるらしい。そこにもフォーカスを当ててみたい。
●さあ、これが "148.5cmの見た夢” の最果て。

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「思い出のほとんど」2012年
●一曲目は、アルバム「1830m」に収録された友情のバラード高橋前田敦子のデュエット曲だ。でここでいきなり前田敦子本人が登場。会場のどよめきがすごい。卒業から時間が経った前田敦子の表情は、現役時代のプレッシャーから解放されたリラックス感と大人の女性に成熟した落ち着きが身についていて、本来の持ち味だったはずの清潔な可憐さがにじみ出る。あの現役時代の「病み」具合は、いかにグループの中央にあり続けることが困難なことだったか、と感じさせる。そして高橋もその重圧からやっと解放されるのだ。

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「ヘビーローテーション」2010年
●このバラードのしんみりした気分をいきなり切り替えるのが、花道方面から駆け込んでくる大島優子大島だけでない、OGが続々ステージに登場。板野友美、篠田麻里子が参上する。「I WANT YOU, I NEED YOU, I LOVE YOU」周囲から頼られ、愛されていた高橋への明るいメッセージをかつての盟友たちが集いて歌う。

「ポニーテールとシュシュ」2010年
●さらにビッグヒットチューンを投入。季節外れのサマーナンバーだけど、熱い青春の日々の甘美さを振り返るには、サビのメロディがとても可憐でふさわしい。「ポニーテール揺らしながら 君が走る僕が走る 砂の上 ポニーテール揺らしながら 振り向いた君の笑顔 僕の夏が始まる」素敵な情景描写。ポニーテールは高橋のトレードマークだからね。

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「君はメロディー」2015年
●ここで「10周年記念シングル」でもある最新シングル。新世代エースの貫禄を備えつつある宮脇咲良センターの楽曲。なみいる古参やOGに負けないアイドルオーラを漂わせて宮脇自身もステージで歌う。この曲、ボクは好き。いつかは忘れられていくだろう流行歌のメロディに、いつか淡く切ない郷愁を感じるだろう感情を優しく歌う。「僕のメロディー メロディー サビだけを覚えてる 若さは切なく 輝いた日々が蘇るよ」それと、間奏のエレピのソロフレーズがいい。

「少女たちよ」2011年
●これが典型ヤンキー的な「気合と努力。夢と希望」ソング「ステージの片隅でもがき続ける 悔しさも空しさも青春の時 少女たちよ もうすぐ夜明けが来る 夢の未来はここから始まる 何もあきらめるな 悲しいことなんか すべて捨てて 全力で全力で走るんだ!」アルバム「ここにいたこと」の一曲目。高橋らしい、まっすぐな努力の賛歌。

●ここで一旦MC。高橋はこの公演で全曲に参加すると表明。「たかみな全部出ます。美味しいところだけじゃなくて、全部やりきります!」そして、ここからは、さらにクラシックな AKB 初期ナンバーが数々炸裂。

「PARTYが始まるよ」2005年劇場初出・2007年音源化
AKB劇場でのこけら落とし公演(第1期 TEAM A 初回公演)の一曲目がまさしくこの曲。つまり AKB48 の第一歩。そのパーティは10年が、たった今なおも継続中。この日のステージでは一番の新興グループ NGT48 高橋が歌う。このブロックは姉妹グループと高橋の共演がポイントとなっている。

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「会いたかった」2006年初出・2007年音源化
「会いにいけるアイドル」というグループ・コンセプトを象徴した初期の超名曲。「SET LIST〜グレイテストソングス 2006-2007〜」でも一曲目に収録されてる。ここでは AKB48 TEAM 8 と共演。「TEAM 8」とは、全国47都道府県を代表する形で各県から1名が選出されたチームで、全国各地へメンバー自身が動いていく「会いに行くアイドル」をコンセプトにしている。2014年から始動した新しい、より突っ込んだアプローチだ。

「制服が邪魔をする」2007年
この楽曲リリースあたりで、ボクはリアルタイムで AKB48 というグループを認知した。個人的には思い出深いかも。この曲もこの次のシングル「軽蔑していた愛情」もシリアスなタッチで AKB の中ではやや異色な印象が。だからこそ、リアルタイムで注目してしまったんだけどね。ステージでは HKT48高橋を囲む。兒玉遥&宮脇咲良、若きこのグループの2トップは目下どんどん進化中だ。

「背中から抱きしめて」2006年劇場初出・2007年音源化
●ここでは NMB48 と高橋の共演。山本彩の貫禄っぷりの一方、須藤凛々香がイントロで高橋にへんな絡み方をして実に意味不明。こうした残念なトコロも含め須藤には注目。こんな天然の彼女も NMB48 ではシングル「ドリアン少年」のセンターを務めた次世代エース候補の一人。楽曲は「会いたかった」と同時期の最初期ナンバー。

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「ONLY TODAY」2007年劇場初出・2013年音源化
松井珠理奈が率いる SKE48 が舞台花道に列を作って高橋を囲む。そして全員が高橋とハイタッチ。この曲はシングル「BINGO!」のカップリングだったのかな。ホーンアレンジとリズムにちょっとスカテイストの入った元気な曲。

「AKB48」2005年初出・2007年音源化
秋葉原の固有名詞を羅列する最初期のナンバー。「愛しの AKIBA は石丸・ソフマップ・オノデン・ロケット・サトームセン…」こんな曲もあったんだな知らなかった。合流したAKB メンバーが高橋お得意の決め台詞を叫ぶ!「努力は必ず報われる!」AKB ヤンキー主義炸裂!

「ひこうき雲」2009年
●ブレイク直前の名シングル「RIVER」のカップリング曲。「空にひこうき雲 白く棚引く線よ 誰の思いが残るの? 振り向く余裕もないまま… 時のひこうき雲 爪を立てたみたいに 細く生々しい傷跡 僕はぼんやりと眺めていた … 君は悲しみを見送っていた」初めて聴いた曲なのに、爽やかなメロディに繊細なリリックがセンチメンタルでよかった…。やっぱリリックの良さが無視できないよ、AKB&秋元康。

●ここでMCを挟んで…、一旦地味な選曲になっていく。

「愛しさのアクセル」2010年
●ここでは、高橋が、左右に3月末卒業の宮澤佐江とOG秋元才加を従えてパフォーマンス。なにしろ高身長の二人と、148.5cm の高橋ではオトナとコドモほどの差が開いてて…そもそも148.5cmって娘ヒヨコ中学二年生と同じだからね…チビ!でも、宮澤佐江、秋元才加、そして高橋三人とも実に男前。キレのある動きとレザー風の黒い衣装、手元のライトセイバーがクールだわ。ボク、秋元才加宮澤佐江も好きだったよ。サッパリとボーイッシュなタイプで、わざわざ困難を買って出る努力家のイメージがあったから。二人とも年齢を重ねて綺麗になったような気がする。

「BIRD」2006年劇場初出・2007年音源化
●続けて、SKE 松井珠理奈 & OG 篠田麻里子と組んでクール&ダークなロック歌謡を。背中に羽根をつけた衣装でゴステイスト。映画「ブラックスワン」を連想する。

「ガラスのI LOVE YOU」2006年劇場初出・2007年音源化
●タフな曲が続いたが、ここで打って変わって、スウィートなアイドルソングを。渡辺麻友、柏木由紀、板野友美が登場。現役古参兵と引退組の組み合わせが続くね。まゆゆゆきりんの80年代アイドル再生産イメージは確信的すぎる。特にまゆゆはサイボーグかと思うほど自己イメージをカッチリ規定し過ぎててコワイ。ツッコむスキがあるゆきりんの方がまだ生身の人間として感情移入できる。

「ヒグラシノコイ」2007年劇場初出・2013年音源化
●今度はNMB山本彩とのデュエット。昭和アイドルのジメリとした湿度を漂わす稀有な存在・山本彩の持ち味がよく出てる。アコギもエレキも駆使してパフォーマンスに取り込んだり、メガヒットとなった朝ドラ「あさが来た」の主題歌「365日の紙飛行機」でセンターを担うなど、ますます重要度が増している。彼女には今後も注目。なんだかんだで層が厚い AKB 一派。

「Bye Bye Bye」2007年劇場初出・2013年音源化
●うって変わって、思い切りバブルガムに振り切ったアイドルポップスを、王道清純アイドルとして成長する宮脇咲良と、邪道の遠回りが特殊な存在感を放つに至った指原莉乃が、高橋を挟んで歌う。ボクにとっては宮脇咲良ちゃん、Hulu配信のヤンキー格闘ドラマ「マジすか学園4」の主人公が初遭遇だったんだけど、やっぱあの根性喧嘩ヒロインは彼女に向かないよ!華奢な彼女にはもっとふさわしい立ち振る舞いがあるわ。この王道路線でスクスク育ってくれ!指原に関しては、バラエティの世界でウダウダ生きてってくれ。日本テレビ「今夜くらべてみました」のレギュラーっぷりはマジで見事だよ。

「純愛のクレッシェンド」2007年
●ここでは同じ事務所の盟友、そしてユニット・ノースリーブスのメンバーである、峯岸みなみと、小嶋陽菜と共演。高橋の卒業で、AKB第1期生はこの峯岸小嶋だけになる。

●その一期生と共に3人でMC。高橋がハケた後で、峯岸+こじはるがイジり倒す。愛おしいとか言っといて「へんな笑顔」をディスり倒す。10年のつきあいがなせるツッコミ。笑う。
●でここからまたビッグチューンが連発。

「BEGINNER」2010年
AKB がブレイクしていく中での重要な場面で繰り出されたシングル曲。イントロのビートとラップ風なニュアンスに、EDM が流行し始めた頃の洋楽ポップスのテイストを感じ取ってた。リリックはタフ、そして気合と努力とヤンキー主義的な向こう見ず。「僕らは夢見ているか 未来を信じているか 支配された鎖は引きちぎろう 僕らは夢見ているか 未来を信じているか 怖いもの知らず 身の程知らず 無鉄砲のまま」

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「RIVER」2009年
●これも同じ路線の気合と努力のヤンキー主義「君の眼の前に川が流れる 広く大きな川だ 暗く深くても流れ早くても 怯えなくていい 離れていても 向こう岸はある もっと自分を信じろよ 闇の中をひたすら泳げ!振り返るな!」まさしく名曲。ある意味で実に AKB 的だと思う。ストンプなイントロが雄々しくて、ミリタリー風の衣装もタフ。このへんに JANET JACKSON「RHYTHM NATION 1814」の雰囲気嗅ぎ取ってしまう。前田・篠田・大島・板野・秋元とOGも合流してキメる。

●「夕陽を見ているか?」2007年
同じ路線の気合と努力のヤンキー主義と表裏一体にある「慰めの自己肯定」ソングを優しく柔らかに歌う。「それなりの今日が終わり すべてリセットする夜が来るよ 家路を急ぐ君は一人きり どうして自分のことを誉めてあげないのか ねえちゃんとみてあげようよ 君が君らしく生きてること」ミリタリーの衣装を脱ぎ捨てると、真っ赤なギンガムチェックの衣装が出てくる。兒玉遥、宮脇咲良、島崎遥香、次世代エース候補も合流。

●で、ここでMC。特報として、高橋みなみソロアルバム今秋発売が発表されるとな。楽曲提供は、元プリプリ岸谷香THE ALFEE 高見沢俊彦槇原敬之。なんか本気だな…。彼女は本来シンガー志向なので、なんか、よかったね。うーん、でもボクは聴くかなあ?

「愛の存在」2015年
●アルバム「ここがロドスだ、ここで跳べ!」収録曲。ここからラストスパートで加速!「夢をあきらめたくない 輝いている未来 10年後の僕らへと叫ぶ」10年前の AKB はこんな未来を想像してたかな?そして10年後はどうなっているのかな?

「フライングゲット」2011年
●言わずと知れたビッグヒット。横浜スタジアムの特大ステージを埋める200人の少女たち。あまりに大勢で誰が誰だか全然わからない。生中継配信には絶対映らない場所で一生懸命踊ってる子もいるんだろう。「機動戦士ガンダム」に喩えれば最終決戦のア・バオア・クーみたいだ。アムロとシャアの激闘を描きながらも、その背景で多くの無名戦士が星の藻屑に消えていく。大量生産型のザクやジムが人知れず戦って散っていく。寒風吹きすさぶスタジアムで白い息を吐きながら、気合と努力と夢と希望のために頑張ってる女の子。搾取と指さされるギリギリの崖っぷちに成り立つアイドルのファンタジー。そんな虚しさすら感じるよ。

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「重力シンパシー」2012年
●この曲は、京楽産業「CRぱちんこAKB48」のために書き下ろされたオリジナル楽曲の一つ。この曲をリード楽曲にして公演を成り立たせる数の12曲がわざわざ書き下ろされたとな。そしてこの公演に関係する全16曲が全部シングルカットされたとな。パチンコ産業すごい!

「言い訳 MAYBE」2009年
AKBクラシックにふさわしい1曲。「MAYBE MAYBE 好きなのかもしれない」決して叶わぬ恋愛ファンタジー。会いに行けても、握手ができても、リアルでは絶対に踏み込んではいけない恋愛領域。

「EVERYDAY、カチューシャ」2011年
●ビッグチューン!娘ヒヨコに言わせればカチューシャはこめかみ痛くなるだけのナンセンスなアクセサリーらしいが、この歌はそのカチューシャを外した解放感と恋愛のトキメキを歌ってるんだよ。

「大声ダイヤモンド」2008年
●これも文句無しのAKBクラシックだねー。「大好きだ 君が大好きだ 僕は全力で走る 勇気を出して言おうよ 黙っていちゃそのままさ 恥ずかしくなんてないんだ 好きって言葉は最高さ 好きって言葉は最高さ 好きって言葉は最高さ」弱いキミへの全肯定ソング。まず、ここから始まれ。

●終盤MCで、後継者・横山由依ちゃんとトーク。高橋は熱いらしいけど他全員は極寒だわ。なのに高橋「ゆいちゃんハナミズでてるよ」慌てる横山「ゆいちゃんハナミズ手でふいた」「ゆいちゃんその手を衣装でふいた」ゆいちゃんイジメんなよー!頑張って仕切ってるんだから!オモシロイこと言おうって精一杯なんだから!この子のヤリ切れない感じが不安な一方で、めっちゃ応援したくなる。ちなみにオモシロイところは全部指原に持ってかれた。

ゆいちゃんハナミズ

(ハナミズつっこまれて、キョドるゆいちゃん。愛おしいわー。)

「唇に BE MY BABY」2015年
高橋自身がセンターを務める彼女のラストシングル。と思いきや、しみったれた感傷なんてゼロの、ウブな恋愛ファンタジーソングでした。でも、卒業する彼女にとっちゃ、恋愛はもう解禁だからノビノビとラブラブキスキスを謳歌してください。

「楽しかった!私まだまだやれる!あと二倍いける!」高橋みなみまじパワフル。ここで一旦ハケて…アンコールへ。

「背中言葉」2016年
●VTRで過去のフッテージが流れて、しんみりモードの幕開け。ピンで登場した高橋の涙のスピーチを経て、ラストシングル「唇に BE MY BABY」タイプDだけに収録されてるカップリングソングへ。この曲が直球の高橋みなみ卒業ソング。「一歩目を踏み出して初めて気がついたよ 隣に誰もいない 私だけ一人きり みんなとは別の道 旅立ちの順番が来てしまった」これに応えてメンバーたちからは「いつだってその後をついてきただけだった 頼りっぱなしでごめんね 本当はあなただって泣きたかったのでしょう」振り向けば去り難くなるから、生き様で伝えるメッセージ、それが「背中言葉」。どれだけ彼女が太い存在だったか。しかも背中でモノ語っちゃうって半端じゃないよね。任侠だよね。舞台と衣装にプロジェクションマッピングを照射して、小林幸子ばりの巨大ドレスを作る演出も秀逸。

桜の木になろう

「桜の木になろう」2011年
AKB にはをテーマにした歌が多いよね…「桜の栞」「10年桜」「桜、みんなで食べた」 HKT か。つまりは卒業ソングが多いんだよね。この歌詞の主体は、卒業していくものをこの場所に残って見送るスタンス。メンバーとOGが高橋を囲んで歌う。「永遠の桜の木になろう そう僕はここから動かないよ もし君が心の道に迷っても 愛の場所がわかるように立っている」

桜の花びらたち

「桜の花びらたち」2005年劇場初出・2006年音源化
●そしてこれが最後の曲。この曲は AKB48 にとってインディーズ時代含めて一番最初の音源。そして高橋みなみが単独センターの楽曲。学校のチャイムが響いてきて、このチャイムのフレーズを基調に、卒業式の情景を感情たっぷりに歌う曲。「涙の花びらがはらはら 思い出のその分だけ美しく 目の前の大人の階段 一緒に登って手を振ろう」 チャイムが無限ループで鳴り響く中、主要メンバー一人一人に言葉をかける高橋…その様子はPAされず音は伝わらない。きっと鬼軍曹だったんだろうなあ、姉御というより兄貴っぷりがスゴイよ。「桜の花びらたちが咲く頃 どこかで希望の鐘が鳴り響く 私たちに明日の自由と勇気をくれるわ」

高橋みなみ、退場。コンサートの締めMCは、新「総監督」横山由依ちゃんの健気で真面目な挨拶でした。重ね重ね頑張ってね、ゆいちゃん。主役のたかみななんかより、君のことの方が100倍好きになっちゃったよ。


30曲近いほどの AKB ナンバーを真剣に聴くのは、やっぱ大変だったけど、いろいろ得るものもあったかな。
●音楽に仕込まれたデティールとギミックや奇妙な逸話に引っかかってる音楽マニアのボクには、今まで淡白にしか聴こえなかった AKB の音楽。でも、一般のリスナーの人はそんなもんどーでもいいんだよね。リスナー自身の生活の節目節目にそっと寄り添うメッセージとメロディがきちんと響くこと。それがポップスには一番重要。これに加えて、シンガーの個人史がこれに結びつくとより一層ドラマチックになるよね。それがよーくわかりました。
●あと、「WIKIPEDIA」ならぬ「エケペディア」というサイトがあるのね。ボクは AKB のことなんて全然わからんから、このサイトの詳しい情報にはお世話になりました。


●参考音源集。

「SET LIST 〜グレイテストソングス 2006-2007〜」

AKB48「SET LIST 〜グレイテストソングス 2006-2007〜」2006〜2007年
●初期すぎて、顔が若すぎて、でとにかくみんな辞めまくって、誰が誰だかわからない。中野のアイドルショップ TRIO で買ったんだっけかなあ?

AKB48「神曲たち」

AKB48「神曲たち」2008〜2010年
●これは下北沢ディスクユニオンで買ったのかな?初めて買った AKB の音源かもしれない。「神曲」ってフレーズに、これまた上手いなあ、と唸った覚えがあるよ。

AKB48「ここにいたこと」

AKB48「ここにいたこと」2010〜2011年
●こっちと下の「1830m」は、DORAMA CD/DVD/ゲーム店でまとめ買い。中古半額セールだったから買ったんだけど、今回初めて真面目に聴いたね。

AKB48「1830m」

AKB48「1830m」2011〜2012年
●結局、前田あっちゃん在籍時代しかアルバム持ってないんだな。研究が足らないなあ。この後のアルバムも買わないとな。あ、あと乃木坂46の音源が欲しいのに、全然値崩れしないんだわ。今一番いい感じだと思うんだよね。

AKB48「君はメロディー(劇場版)」

AKB48「君はメロディー(劇場版)」2016年
●このシングル、全部で6タイプもあって全部収録曲が微妙に違うのです…で、この「劇場版」に収録されているカップリング曲に注目。「M.T.に捧ぐ」って曲が、横山 TEAM A のパフォーマンスで収録されてるんです。「M.T.」って、ズバリみなみ高橋でしょ。「あの日遠い場所で見てきた彼女はこんな坂道を登っていたのか つらい急斜面 その先も見えず 石ころだらけの歩きにくい日々を…」最後のフレーズは「あなたから いつか褒められたい」

akb48-1-ribbonbaka.png

●そこまで尊敬されてる人の、このシャツが大好き。「リボンバカ」。


●それとね… GYAO のライブ配信は画質・音質ともに不安定で、ちょっと不満。アーカイブになったら安定してるのはもう当たり前。動画配信サービスはここからもっと洗練されていくはずだよ。コンサートとスポーツはライブが命。ここに大きな商機があると思う。


●アホみたいな内容に、すげえ時間かけた…。不毛…。
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