東京都美術館「生誕300年記念 若冲展」。
●にこの前のGWに行ってきました。スッゲー混んでた。

若冲展1

若冲展2

奇想の画家、伊藤若冲。1716〜1800年。
既存の画壇や流派に深く関与することなく、たった一人で異色の絵画を描き続けた作家。元来は京都の青物問屋に生まれその商売を引き継ぐも、40歳には隠居して画道に専念。異端ながら創意工夫溢れた超絶技巧やトリッキーな画風が鮮烈。85歳で亡くなるまで精力的に制作に勤しむ。
●ボクがこの江戸時代の画家を知ったのは、村上隆「スーパーフラット」2000年がキッカケだ。現代作家としての自己の存在を、古典日本美術史〜東洋美術史のコンテクストに接続するこのステートメントは、海外アートマーケットの中で自分の価値を分かりやすくプロモーションするロジックとして機能して彼を世界的な作家にするキッカケになった。
●その一方でこの「スーパーフラット」は、日本人としてのボク自身が現代感覚から自国の古典美術と分断してしまっていたことを自覚反省させ、それを村上隆&伊藤若冲というメインストリームとは言えない異端者を経由させた上で価値化し、歴史の流れと繋がりを認識させてくれた。まさに目からウロコの体験だった…。ここをキッカケに、ボクは若冲から琳派、狩野派、浮世絵、明治時代の日本画、禅美術と茶の湯文化、平安絵巻物の系譜、白鳳天平の仏教美術、日本刀などなどまでに出会うことが出来た。これがそのまま20〜21世紀のマンガやアニメ、ゲーム、サブカルチャー全般同列で見通す感覚って痛快だよ。

オマケに、この若冲を、娘ヒヨコ中学二年生が見たいと言い出した。
「真田丸」の直後に始まる「NHKスペシャル」を続けて見てしまう習慣が最近ウチのテレビに備わってしまって。そこで「伊藤若冲」の特集を2回にわたって紹介してた。そしたらヒヨコが舞い上がって、ホンモノ見たい見たいと大騒ぎヒヨコは動物が好きなのだ。写真展「岩合光昭の世界ネコ歩き」に行ったのも同じ動機だ。カワイイ動物をいつまでも愛でていたいのだ。最近はこれに植物まで加わって。中学で華道部やってる延長で、いつの間にかウチの庭に植木鉢がいっぱい登場して色々な花が咲くようになった。最近はハイビスカスまで咲いてる…潰れちゃった近所の花屋さんが片付けしてる様子をじーっと眺めてたら、お店のお姉さんがハイビスカスの鉢植えを恵んでくれたという。全部の植物に個別の名前がついてるんだよ…確かアサガオシーちゃんだったかな。

●ということで、いざ出撃してみたら、ハイパー混んでる。
●twitter で現場の様子を探ってみると、入場に平気で2時間以上とか言ってる。これに加えて券売は別に並ぶ。マジかよ。しょうがないので開場一時間前に上野へ行ったよ…それでも1000人くらいの行列ができてた。中に入ってもシンドイ。展覧会だってのにライブハウスのモッシュピットみたいに文字通りの押し合いへし合いをするとは。後ろからガンガンに押されるし、押さないと全然前に進めない。環境は最悪だった。「NHKでやってたのと同じねー」というオバさんたち…テレビ番組の内容を再確認する程度だったらもう現場こないでいいよ、テレビで十分じゃん。

●とはいえど、やっぱ若冲はすごかった。
●今回の目玉は宮内庁が所有している30幅の連作「動植綵絵」「釈迦三尊像」と共に京都・相国寺に寄進された作品で、この制作に若冲は10年の時間をかけている。あまりの立派さに、江戸時代でも年に一度の特別公開を行って大勢の人が集まってたみたい。

●微細な筆致やグラデーションを効果的にするために、紙の表から普通に描いた上で、同じくらいの手間をかけて紙の裏側から同じ絵を描くほどの勢いで彩色してるという。その筆使いには迷いがなくて、描き直しも見当たらない。動植物の観察もすごく丁寧でリアル過ぎる。博物図鑑のスケッチのように羽根の模様、めしべの本数まで正確に描いているよう。地の画力の高さと創意工夫のテクニックが盛り込まれている。大好きなニワトリたちは何回も登場するが、その重厚な鮮やかさでドッシリ安定しているかと見せかけて、一瞬しか成り立ちえないようなヘンな姿勢を、超スローモーション、またはストップモーションのように切り取っている。

●その一方で、若冲リアリズムとは逆方向のグラフィカルなデザインセンスも発動しててビックリ。アジサイの花びらを鮮やかな青タイルのようにリズムを持って配置したり。背景のはずの山葡萄?の、プチプチしたツブツブを画面の主役にすべく高明度で押し出したり。一方で本当に背景扱いの松はその針葉が限界まで単純化されてたり。梅の花を描くようでいて、実は花びらはすごく単純化されてて花のめしべの構造ばかりに注意が偏ってるとか。鳥たちの羽根模様は写実主義では括れないリズムで支配されてて、いつまでも見飽きない…。

●あの有名な、画面をモザイクタイルのように分解した「樹花鳥獣図屏風」の展示もあった!これ大好き!本物見られて本当に嬉しい!このモザイクタイル処理が若冲グラフィックデザイン的最前衛アプローチだろうが、ここでは動物たちがアニメキャラ級にデフォルメされてて実にカワイイ。コンセプト先行じゃなくて細部までにユーモアとデザイン思考が浸透してることがわかって、より一層この絵が好きになった。

安定しすぎてる背景と主題の関係に、一つ要素をワザと差し込んでバランスを崩すことで軽やかさを演出するのも鮮やかなセンス。鳳凰の絵でもハート型の赤い羽根に対して一枚だけグリーンを混ぜたりする。松と白いオウムで十分成立している画面に、後から無理に描き足したようにこれまた明るいエメラルドグリーンの小鳥(これまた舶来の?)を入れる。着陸寸前のスズメの群れにワザと純白のアルビノを混ぜたのも見事だが、そこに気をとられると見過ごすのがスズメの視線。着陸寸前とあって数十匹の姿勢は全員同じと見せかけて、一部のスズメは微妙に首の向きを傾けて眼下の粟畑のゴチソウを狙ってる。画面の隅にミミズとアリの群れ。ドラマが満載。

●でも彼は人物画にはまるで興味がなかったようで、お釈迦様やだるま様は別に置いておいて、それ以外は「売茶翁」という人物しか展示がない。この「売茶翁」が、彼の画風/世界観に大きな影響をもたらした人物らしいのだけど。京の名門豪商に生まれながら、酒もタバコも芸事も、結婚もしなかった若冲は、2年間も行方をくらまして丹波地方山中に引きこもったこともあるくらいだから、よっぽどの人嫌いみたい。しかしこの「売茶翁」の肖像を見る限り、この人なら頑なな若冲のハートにも忍び込むだろう、と思えるユニークな人物だったんだろうと思える。容貌がすでに動物っぽいし。ヤマネコの妖怪が化けてますと言われたら信じる。

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ヒヨコ「今は若冲とたわむれてたいんだよー!」
●基本的にはモッシュピットほどのクソ混雑でウンザリしたボクは、いつもなら無駄遣いスポットのミュージアムショップもスキップしてとても疲労コンパイ不機嫌だったが、ヒヨコは小柄なのでスイスイと好きな絵の前まで入り込んで十分に堪能、「動植綵絵」30枚の絵ハガキセットを買ってきてた。で、家に帰ってもウットリとそれを眺めてる。中学生女子が、江戸時代の古典絵画をアイドルの生写真みたいに眺めてるのは正常なのかどうなのか?「この子がカワイイんだよねー」と品評するけど、それは300年前に描かれたカエルとかアユとかニワトリなんだよね。一つだけ不満があるのは、これだけニワトリ大好き若冲なのに、ヒヨコにはほとんど関心を払ってない…襖絵にちょこっと描かれてるモノもあったけど、ニワトリへの情熱の10%もエネルギー割いてないっていうか。積年劣化で色抜けました?いや最初から描いてない気が…。
●翌日になったら、それをフローリングの床に並べて、一番いい配置を探り始めちゃった。これは魚ペアで、こっちはツルと鳳凰のペア…なんか花札っぽい遊び方?宿題しなさい!と怒られたら「今は若冲とたわむれていたいんだよー!」だって。
●あー、でもね、イヌに関しては、応挙の方がカワイイんだってさ。生意気に。





●音楽のブログだから、一応書くけど軽めにね。

ラッツ&スター「夢で逢えたら」

ラッツ&スター「夢で逢えたら」1996年
息子の中学校の文化祭バザーで購入。100円だった。この曲、好きなんです。だからシングル発見は嬉しかった!大滝詠一作詞作曲で、吉田美奈子のオリジナル版も好きなんだけど、実はコッチがかなり好き。深くて浮遊感のあるベースワークがモダンなダブ感覚に聴こえるんですわボクには。ラッツ&スターだけでも十分なんだけど、この時期の鈴木雅之さんソロワークにもこの曲はあるはずだから、聴き比べたい。リミックス版もあるみたいだから、ソッチも気になる。
●それと、この時代には、まだ田代まさし氏、芸能活動してたんだね。この前の清原博和薬物事件で、普通に中毒経験者としてワイドショーのインタビューに出ててビックリした。今は薬物依存リハビリ施設で働いてるんだって。死ぬほどゲッソリしててやっぱ薬物はヤバイと思ったわ。

THE GOSPELLERS「ハモリズム」

THE GOSPELLERS「ハモリズム」2011年
●ここで男声ハーモニーを聴きたくなっちゃって、ゴスペラッツで合体経験がある THE GOSPELLERS を棚から引っ張り出してみた。NHKの番組「亀田音楽専門学校」でハーモニーの講習回のゲストで出演した時は、即興パフォーマンスが見事でさすがだなーって思っちゃった。「亀田〜」はもう一回全部見たい番組。坂本龍一「スコラ」も大事だけどそっちはすでに全部録画済み。
●豪華なディスコトラックに乗っかっちゃうと、ハーモニーワークってよくわかんなくなっちゃう…ボクはすぐにグルーヴに関心が持ってかれちゃうので、ボーカルや歌詞にフォーカスが合わなくなるんね、これ悪いクセ。そもそもリリックに関心薄いし。でも彼らはトラックとハーモニーの配分が適切だから耳にリリックがよく沁みてくる。
●しかし、彼らが歌うリリックって、赤面モノのベタベタなラブソングで、コレ日常生活で使えないだろうと戦慄するほど。「どうして口づけする度涙がこぼれるの」とか「最初のキスで全てを見つけたよ 永遠の続き一瞬で飛べる きっと」とか。こう言うセリフを上手に駆使できたらボクの人生変わってたかな?

THE GOSPELLERS「LOVE NOTES II」

THE GOSPELLERS「LOVE NOTES II」2000〜2009年
ラブソングベスト盤2枚目。うおーよりメロメロ度が高純度で結晶した内容ですなー。ハーモニーも効かせまくってる。一曲目からアカペラで決める「ひとり」が実にクール、続く「永遠に」「ミモザ」もグッとくるね。ミモザが植物の名前だってのも初めて知ったけどね。「ガラスの靴で踊るミモザ」って歌詞からじゃ意味不明じゃん。映画の主題歌になった「宇宙へ 〜 REACH FOR THE SKY 〜」のスケール感も好き。
●ボクのDVD盤に収録されてる「ウィスキーがお好きでしょ」アカペラMVも小洒落てていいね。このCMソングをフルでちゃんと聴くの初めてかも。ボクはウィスキー好きじゃないけど。

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