●この文章は、栃木・日光で書いてる。
ワイフ二人で、日光東照宮に観光に来ているのだ。
●創業140年というクラシックホテル「金谷ホテル」に滞在。外国人向けリゾートとして発足、アインシュタインからリンドバーグ、ヘレンケラーなどなどを迎えた由緒あるホテル。コドモのいない優雅な一泊旅行を楽しんでる。地元食材(ベニマスが立派!)を生かしたフレンチのコースを食べたり。ワイフ「こんな食事二人でするの、新婚旅行以来じゃない?」そうだっけ…?ボクはフレンチとか元来興味ないしな…。

●さて、日光東照宮は、ご存知、徳川家康を神様として祀る神社。1616年に家康は亡くなったから、今年はソコからちょうど400年の節目。ところがどっこいそれが裏目に出たのか、各所大改修の工事に入ってて、重要物件がみんな野暮なシートに包まって鑑賞ができない!

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●ああ、かの豪華絢爛なジャパニーズバロックの傑作「陽明門」がこんな姿になっちゃって!なんのためにこんなトコまで来たのか!ポケモン探して帰るぞ!
●ということで、名物・湯波そばとか食べて、気を紛らわしてる。改装終了は2019年だって。3年経ったら出直すわ。


●話題はガラリ変わって。

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東大生協「ほん」編集委員会、「ほん」。
●たった12ページのフリーペーパー、なんとなく手にとってバッグに入れといたモノ。コレがとても面白くて、ビックリした。思わずスミからスミまで熟読してしまった。内容はタイトルからそのままズバリの書評集。特集テーマに沿った作品と新刊書の書評がコンパクトに収まってる。1971年10月25日創刊。季刊らしい。連絡先は東大生協組合員センター内とのこと。確かにコレを見つけて手にとったのは、東京大学・本郷キャンパスの生協書店の中だった。こんなモノが40年以上もずっと続いているとは、東大はやっぱ一味違うなあと思ったよ。
●書評がこんなに楽しいとは、久しぶりに感じた感覚。初めて知る本はもちろん、読んだことのある本も、読んでみたいなと思ってた本も、あたらめてきちんと読みたくなった。書評を書ける人ってホント利発だと思うよ。ボクには評論とか無理。とりあえず、オススメされてる平田オリザの今出てる本はすぐにでも読んでみよう。以前から気になってたんだけど、やっぱ面白いらしい。
●一方で、編集委員が少なくなっちゃったから、今号からページ数が減ってしまったそうな。本の読み手が少なくなってしまってるのかなあ。出版業界自体が元気がないってことは、読者も元気がなくなってしまうことなのか。

●こんなアイテムを偶然見つけてうれしくなってるけど。
こんなアイテムが置いてある、東大生協書店に行ったのは理由がある。



今、ボクは原子力関連の本を探して読んでる。
●しかし、普通の本屋さんじゃ適当な本がなかなか見つからなくて。だから、研究書みたいなシッカリしたヤツは、研究者がいっぱいいるところにあるだろうって思ってね。ついでの用事もあったんでわざわざ東京大学まで行ってみた。
●一時期までは、原発関連本は世間にいっぱいあったような気がするけど、今になっては全然置いてないよ。まるで世間が原発問題を忘れちゃったかのようだ。忘れたくて仕方がないのか?専門外の文化人がアレコレ言ってる本ですらホンのチョットしかなかったよ。実は、東大生協でもそんなに豊富には在庫はなかった…最終的には実に面白い本を見つけて楽しく読んでるけどね。

なんでボクが、原子力うんぬんのニワカ勉強をしてるのかというと。
息子ノマドが「原子力発電所の廃止措置と放射性廃棄物の処分」という激タフなイシューを、中学卒論のテーマに選んだのだ。当たり前だが、当の本人はだいぶ手こずってる。中学3年生で「卒論」てのが既にユニークな気がするのだが、確かにノマドが通う中高一貫の学校は教育スタイルが根本的にユニークすぎるので、もはやボクもワイフもこの程度のことにはもうビビらない。
●しかし、学校の先生から、テーマに沿ってどこかに取材に行って来いとアドバイスがあって。で、ノマドが「どこか原発に行きたいんだけど」と相談してきた。これが2ヶ月前くらい。むー。日本には全世界の10%にあたる43基の原発があるけど、あの震災以降で再稼働してる原発なんてほんのチョットでしょ。鹿児島の川内原発、そしてまさに今日稼働した、愛媛の伊方原発だけ。
●コチラには福井県の原発銀座まで出向く気もあったのだけど、結果、十分な内容で施設見学をさせてくれるトコロなんて見当たらなかった。まー子供向けの「原子力ってナニ?」的なPR施設はあったけどねー。なぜか地元の特産を紹介する施設もセットになってたりして。でもそういうことじゃないんだよな。コッチが聞きたいのは「廃止措置の方法」なもんで、使用年数40年のルールをうっちゃってなぜか期限延長を決め込んだ福井・高浜原発「どうやって原発は廃炉するんですか?」なんて皮肉な質問がマトモに出来るか甚だ微妙だなと。そもそもでキモいところの見学は「テロ対策〜保安上の理由でお断りしております」と明白に先方が発信してる。抗議運動が邪魔なのが本音じゃないの?

●それでは稼働うんぬんではなくて、「廃止措置」実績がある場所はドコだ?と考える。
●原子力発電所、またはそれに準ずる原子炉施設の「廃止措置」(世間でいう「廃炉」という意味で捉えています)が日本でどれだけあるか?福島第一原発みたいにヤラカシちゃったケースでなく、真っ当にお役目終わらせたケースはあるのか?という観点で検索してみると、茨城県東海村に3件あるらしい。
●まずは、日本で最初の商業用原子力発電所、日本原子力発電株式会社東海第一発電所だ。1998年に運転を停止。そこから20年以上をかけてちょっとずつバラして、2014年から原子炉の解体に入ったそうな。そして同じ東海村の、日本原子力研究開発機構(前述の日本原子力発電株式会社と混同してた)は、日本で最初に臨界を迎えた JRR-1 という実験用原子炉の廃止、そして日本最初の発電用原子炉 JPDR の廃止を完了している。……ん?ちょっと待て、日本での廃炉実績ってたったこれしかないの?終了してるのが2件、途中が1件。これに加えて、静岡県の浜岡原発1号機2号機が関連装置の解体を進めてる模様。つーか、予想以上に少なすぎるよ!これしか経験がないのに、フクシマみたいな超難易度の応用問題にガチ当たりしてんのかよ!マジで大丈夫?これ、今回の最大のビックリポイントでした。
●ともかく、この観点だと、日本原子力研究開発機構(省略して、原子力機構、または原研と呼ばれるらしい)がなんだか頼もしい。この原子力機構が今現在廃止措置を進めている原子炉設備が、東海村ではなく同じ茨城県の大洗の施設にあるという。ここの施設はフクシマの廃止措置のための技術研究も行ってるみたいだし。この大洗研究開発センターは、現在も施設見学には前向きの模様だ。
●で、一ヶ月ばかり、見学意図や日程、見学の内容調整などなどを、先方広報担当の方とやりとりをした結果、なんとセンターはボクと息子ノマドのためだけの、独自の見学メニューを作ってくれた。この点に関しては、全くのストレスもなくスムーズにヤリトリを進めてくれて本当に感謝。中学生1人を相手に、ここまで真面目に対応してくれるなんて、本当にありがたい。
●そこまでしてもらって、親のボクが知識ゼロじゃ申し訳ないだろう、ということで、あわてて三冊の原発関連書籍を読んでみたわけだ。この本の読書はすごく面白かったのだが(複数読んだってのは著者のポジション、原発推進派/脱原発派での読み比べを意図した)、まずは実際の見学の様子を報告しよう。



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ということで今月。実際に見学ツアーでセンターを訪れた。
●海水浴場として有名な大洗の市街地からタクシーで15分ほど離れた寂しい海沿いの場所に、センターはあった。皇居よりやや広いという大きな敷地は二重のフェンスにぐるり囲まれてて、その内側は緑眩しい雑木林がたっぷり。その向こうに窓のないコンクリの建物や煙突がちょっとだけ見える。見学はよくても写真撮影は保安上の理由で不可、ということでお見せできる施設内の写真はない。下の写真は施設外から撮影したタクシー車窓風景ね。
●あ、グーグルマップとかで見るとすぐわかるんだけど、敷地のど真ん中に池?湖?がある。これが実は人造湖。目の前に海があるけど、わざわざ遠くから淡水を引き入れてるとな。有事の際にはこの豊富な水量で対応する仕掛け。2011年の震災の際には、この施設も全電源喪失に見舞われたとな…ゾッとする話だよ。津波だって4.5m級が押し寄せた。しかし非常用電源設備がキチンと機能して一週間の停電&断水を耐え忍び、地域の人々に給水まで実施したほどだという。ホッ。

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●さて、ボクら父子は、交流棟という建物に案内されてスタンバイ。本来は大学院生の人たちが大勢くる場所のよう。普段は50人程度にレクチャーしてる講堂の隅っこにチンマリスペースを構えてくれて、テーブルを付き合わせて担当者の方々のレクチャーが始まった。最初にこの交流棟でパワポ資料を用いた40分の説明。その後は広い構内をワゴン車で移動しての、各施設の見学だ。基本的に、各部門の課長ランクの方々が、代わる代わるボクとノマドにいろいろな説明をしてくれた。こちらからアレコレ質問もさせてもらった。ボクが根掘り葉掘り質問するものだから、予定が押してしまって恐縮。でも、どの担当者の方も、丁寧で誠実、研究に対する真面目さを感じさせる人たちだった。お忙しい中、時間を割いて勉強の場面を作ってくださり、本当にありがたいと思っています。
●で、いろんなお話うかがったんですけど。一番強く印象に残ったのは以下のヒトコト。


一口にいうと、原発の研究は、新開発も廃止措置もハイパー時間がかかる!
●脳ミソパンパンになるレクチャーの全てをここに書ききれるワケがないので、アレコレ書くのはやめとく。それでも言及したいのは、原発研究には途方もなく時間がかかる、人間の寿命を考えればその担当者の一生を捧げてしまうようなモノになってるってことだ。

●まず、「廃止措置」。ここでは DCA という実験用臨界装置の廃止を現在進行形で進めている。これがすでに廃止作業開始から約20年経っている。今後さらに5年以上かけて最終的に更地に戻していく。規模で言えばこの施設、商業用原発に比べて実にチッポケ、それでもこれだけの時間がかかるのだ。原発の寿命は40年とされてるが、準備期間を含めれば少なめに見積もっても廃炉には30年くらいの時間がかかる。稼働期間と廃炉期間がほとんど変わらないって…。なんだか果てしないよ!
この過程で出てくる廃棄物の量も教えてもらえた。金属が300トン、コンクリートが9000トン!これが全て放射性廃棄物になるワケではないのだけれとも、コンクリートの壁一枚の厚さに対してどこまで安全でどこから特別な措置が必要になるのか、実績から読み取って判断しながら丁寧に分別していくという。ここで排出される廃棄物は、全てこのセンター内で処理・保管されるそうで、さらには廃棄物処置施設も新規に建造しているそうな。でもさ、この施設は小規模だからセンターの内側で決着がつくけどさ、商業用発電所がこの程度の廃棄物の量で済むはずがないでしょ。どうすんのさ!

●そして、「新技術開発」。このセンターには、原子炉が3つ存在してる。敦賀にある高速増殖炉「もんじゅ」の実験炉「常陽」があるのは結構有名みたい。こっちは増殖しないので「高速炉」ってことらしい。彼らとしてイチオシなのが「HTTR」という原子炉。冷却材にヘリウムガスをもちいた「高温ガス炉」ってヤツで、世界にここしかないタイプとのこと。日本にしか持ち得ない加工技術を用いて、高いエネルギー効率と安全性、コンパクトな建設思想と安価な建設コスト、などなど様々なメリットを追求しているそうな。なにやらスゴイぞ。担当の方々もややドヤ顔気味の解説だったぞ。
しかし!これもスゴイ時間がかかっている。この原子炉が動き出してすでに約20年弱。なのに、これを実際にエネルギーに変える発電設備がまだできてない!水素社会到来を見越して水素製造装置を合体させる予定なのだが、これもまだ合体させられる段階には早い(すごくデカイ装置は見せてもらったけど、まだまだ課題はタップリらしい)。え、じゃあドコにもつながっていなくて、この原子炉は一人でカンカンに熱くなってるだけなの?すげえな…下手するとこのままお蔵入りしかねないなあ…「もんじゅ」が事実上のお蔵入りになってるからなあ。コレ、いつになったら実用化するんですか?「いまのところ、受注がないもので…」あ、ココから市場原理が登場するのね!実際に商業的ニーズが発生するとさらに前に進むってことか。資料の隅っこには2040年代って書いてあったような。やっぱり果てしないなあ。

でも、原発はいつか必ず廃止されなくてはならない。
原子力発電を継続推進しようと、この世代で廃絶しようと、この問題には関係ない。いま日本に存在する40基以上の原発は、早晩老朽化して使用期限が切れる。廃止しなければいけない時期がくる。震災直後には「廃炉は高コストで負担不可にて非現実」というロジックが推進派意見の拠り所だった気がするが、この高いコスト、経済的にも時間的にも環境負荷的にも超ド級の巨大コストは、最初から不可避のモノとして折り込まれなくてはいけないはずのモノなのだ。古くなったら安全に始末する、この当たり前から目をそらしてはいけない。そしてその廃止措置は誰かが絶対に担わなくてはいけない仕事なのだ。それが果てしなく大変な作業と、痛いほど分かった。一人の人間が一生をかけて担う単位の仕事。そして同時に、未来に向けてその担い手を継続的に育てなくてはならない仕事でもある。実際、日本の廃炉実績とその研究開発は、世界中の研究者を通して各国の施設閉鎖に貢献しているらしい。

息子ノマドがどんな論文を仕上げるつもりなのか、ボクは知らない。ボクからはアレコレ意見を差し込んだりはしていないし、ノマドが原発推進派なのか脱原発派なのかも問うてはいない。それはこれからヤツが自分で考えることで、親のイデオロギーが挿し挟まるべき領域ではない。さて、この経験をどう料理するのか?頑張ってちょうだいな。



●音楽は、UKバンド、THE WONDER STUFF だ。

THE WONDER STUFF「HUP」

THE WONDER STUFF「NEVER LOVED ELVIS」

THE WONDER STUFF「CONSTRUCTION FOR THE MODERN IDIOT」

THE WONDER STUFF「HUP」1989年
THE WONDER STUFF「NEVER LOVED ELVIS」1991年
THE WONDER STUFF「CONSTRUCTION FOR THE MODERN IDIOT」1993年
●このブログ、ボクの聴いた音楽をただ並べていくだけなのに、最近はダラダラ長くなりすぎてシマリがないなあ。どうしたらシマリが出来るのかよくわかんないし。まー誰も読んでないからどうでもいいか。
●ということで、全然時勢と関係ない、80年代末期〜90年代前半に活躍したイギリスのギターロックバンド、THE WONDER STUFF のセカンド&3枚目&4枚目のアルバムを。今ボクの中では、こうした80年代にひっかかった時期のバンドサウンドを好んで聴いてたりもしてるんだ。特にイギリスのモノ、特にこのバンドは、躍動感の中にリリシズム溢れる繊細なギターサウンド、しかもアイリッシュテイストすら忍び込んでくるアレンジの鮮やかさがなんとも生真面目で、聴いてて清々しい気持ちになれるんだ。時代が進むに連れて、ギターロックとして洗練されていくけど、イギリスっぽさはどうしても消えない。でもアメリカのオルタナシーンとかが気になってるんだ…だからこの連中、その後のブリットポップ時代と全然違って、すげー汚いロン毛なんです。
●この連中と交友関係にあったバンド、POP WILL EAT ITSELFNED'S ATOMIC DUSTBIN も聴いてみたくなってる。NED'S ATOMIC DUSTBIN のアルバムはすでに購入済みなんだな。楽しみだよ。




●動画。「ON THE ROPES」。「HUP」収録曲。

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