リオ五輪。思わずテレビ観戦で夜更かし。
卓球女子を真剣に見ちゃう。石川佳純ちゃんがカッコイイね。ホレるわ!
●あと福原愛ちゃんの、先生っぷり。12歳年下の伊藤美誠ちゃんにかける目線がお姉さんすぎて優しい。
レスリング女子もスゴイね。みんなが金メダルとっちゃうんだもんね。土性沙羅さんというニューキャラにビックリ。「ドショー」ってかなりの珍名さんじゃない?伊調馨「イチョー」ですらかなりの珍名だと思ってたのに。しかも、どちらも名前のインパクトに負けない迫力の持ち主。なんだかジオン軍の重モビルスーツみたいだよ。「シャア専用ドショー」とかありそう。

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いまや「熱帯主義=トロピカリズモ」はブラジルのアイデンティティ。
●あの、ふぉにゃっとしたフォントデザイン、カラフルすぎるボランティアさんのユニホーム、やっぱりカラフルな、メダル贈呈のアシスタントの女の子のワンピース、どこもかしこも緑濃いジャングルと豊かな生態系を連想させるデザインで、とりもなおさず「熱帯主義」つまり文字通りの「トロピカリズモ」を連想させる。かつては保守層から疎まれ、アーティストが軍事政権の圧迫で亡命を余儀なくされた、というのに、いまや「トロピカリズモ」ブラジル文化の王道だ。

そして新しい伝統が王道になろうとしてる。「バイレファンキ」。
●一方で開会式で気づいたこと。EDM のスタイルでグッと更新洗練されてたけど、ゲットーミュージックとして出発した音楽スタイル「バイレファンキ」が見事にセレモニーを盛り上げていた。「ファンキ・カリオカ」(カリオカ=リオっ子の意味)とも呼ばれ、リオのゲットー、ファヴェーラの中で行われていたブロックパーティで鳴っていた音楽だ。それが、国家的セレモニーで鳴らされている。「トロピカリズモ」の主導者 CAETANO VELOSO & GILBERT GIL と一緒にパフォーマンスした ANITTA という女性シンガーも「ファンキ(最近は単純に短くこう呼んでるっぽい?)」の人気シンガーだという。新たな王道が誕生しているというわけだ。


そういうことで、今日は「バイレファンキ」関連の音源を、聴いてみようと思う。

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●DVD「MR. CATRA キング・オブ・バイレファンキ」2005年
「バイレファンキ」が世界的に注目された2000年代中盤に届けられた、ファヴェーラの中を写し取ったドキュメンタリー。ここでの主人公は MR. CATRA という名のパフォーマーだ。これがナカナカなギャングスタぶりで、めっちゃ怖い。実際にギャングのメンバーでもあり、妻子もいながら街のそこらじゅうに愛人もタップリいる。そんな彼はゲットーのヒーロー。キッズ達は彼の生き方にあこがれてるし、彼もゲットーのロールモデルになろうとしてる。マリファナを吹かし、女性にだらしない、でもカネを見事に稼いで自由を謳歌する。無法と暴力がのさばるゲットーで、コミュニティを守ろうと意識してる。
●ブロックパーティの様子もすごくラフ&タフ。DR. DRE「THE NEXT EPISODE」のトラックをまんま使って、勝手なフリースタイルのポルトガル語ラップを載せている。「バイレファンキ」が、ヒップホップの影響下にある気分がここではコッテリ濃厚。そんな彼の音源は入手できるのか?と思ったけど、それはナンセンスかな〜と思ったよ。彼のパフォーマンスに集うキッズは、みんなCDプレイヤーなぞ持ってない。とことんゲットーなんだもん。そんな場所からこのワイルドな音楽「バイレファンキ」は立ち昇っているんだな。さくっと WIKI ポルトガル語版を覗いてみると、彼のキャリアは1990年代まで遡れるようで、ブラジルのヒップホップ及び、このシーンの先駆者的存在なんだなと改めて納得。

MIA「MAYA」

M.I.A.「MAYA」2010年
リオのゲットーミュージック「バイレファンキ」が世界的な注目を浴びたのは、鬼才トラックメイカー DIPRO が2005年にプロデュースした M.I.A のファーストアルバム「ARULUR」でこのスタイルを採用したからだ。これに全世界がビビった!ヒップホップ、ダンスホールレゲエ、マイアミベース、ジャングル〜ドラムンベース、エレクトロ、そしてブラジル音楽のグルーヴなどなどが突然変異で配合してしまったような独特なダンスミュージック。ボクは速攻で「バイレファンキ」の音源を必死に探したもんだ…コレがナカナカ入手困難で。新宿タワーレコード全体で、3〜4枚あったらラッキーって感じだった。
●ただ、DIPRO のトラックだけが素晴らしかったわけじゃない。タミル系スリランカ人である M.I.A. の貫禄がこの異形のトラックにさらなる迫力をもたせている。ブラジルと無縁なルーツの女性が、このグルーヴに強い魔力を加えている。このアルバムは彼女の三枚目のアルバムで、DIPRO はエクゼクティブプロデューサーとしてクレジット。その魔導の力はなおも健在。そんな彼女の個性にあの MADONNA も興味津々で、2012年のスーパーボウルハーフタイムショーに、NICKI MINAJ とともにフィーチャリングシンガーとして召喚されてる。

BONDE DO ROLE「WITH LASERS」

BONDE DO ROLE「BONDE DO ROLE WITH LASERS」2007年
●さて、本場ブラジルの「バイレファンキ」男女2人組ユニットを。リオ名物・コルコバードのキリスト像の目からレーザー光線発射!高圧エレクトロ濃度、バッタバッタしたリズム感覚、ズルムケラップ調の男女ボーカル、時としてヘビィメタルギター炸裂、下手したらレゲトンまで!なにかと乱暴なトラックのザックリさがワイルド加減を上昇させてる。それでもダンスミュージックとしての快楽を損なわないのは、ダンス帝国ブラジルの遺伝子のなせる技か。ボーカルに関しても、世界でもっとも音楽的とも言われるポルトガル語の響きを、よくもまあコレだけズタズタにしてメロウに聴かせないように頑張ったなあと思うほどのザックリぶり。それが残念に終わらずラフ&タフな生命力になってるのが絶妙。実は彼らもプロデューサー DIPRO にフックアップされた存在。リオではなくサンパウロ方面の出身で、後述するバンド CSS と同郷の関係。

CSS「CANSEI DE SER SEXY」

CSS「CANSEI DE SER SEXY」2007年
サンパウロ出身、女性中心のロックバンド。彼女たちはワリと初期から「自分たちの音楽はバイレファンキじゃない」と主張してたっけ。リオの音楽「バイレファンキ」サンパウロのシーンはちょっと違うようだ。斬新なダンスミュージックということは間違いないけど、彼女たちの音楽はしっかりとしたバンドサウンドで、むしろ同時代のイギリスで盛り上がっていたニューレイブのスタイルに近いものだった。ただし、突然飛び出してきた斬新なグルーヴは「バイレファンキ」の出現と完全にシンクロしてて、当時地球の裏側・日本から見た印象としては「なんか知らんがマジでブラジルがヤバイことになってる!」としか思えない状態だった。バンド名の由来であり、アルバムタイトルでもある「CANSEI DE SER SEXY」とは、ポルトガル語で「セクシーであることにはもうウンザリ」という意味。根っコの部分ではライオットガールな気分も。
●これは彼女たちのデビューアルバムのデラックス盤2枚組。ノーマル盤にあたる部分は、チープなシンセとドラム&ベースがグイグイ推進するバンドグルーヴが最高。ボーカル嬢 LOVEFOXX のカリスマティックな存在感にも病みつきになれる。その他にもリミックスがタップリ。前述の盟友 BONDE DO ROLE や鬼才 DIPRO、ヨーロッパのエレクトロ組、SIMIAN MOBILE DISCO HOT CHIPCALVIN HARRIS、アメリカ勢では SPANK ROCK、PRINCESS SUPERSTAR といった同時代の俊英たちが、見事なエレクトロに仕上げてる。「ALALA」とか「LET'S MAKE LOVE AND LISTEN TO DEATH FROM ABOVE」といった代表曲が、バッキリキマッてる。

CSS「DONKEY」

CSS「DONKEY」2008年
●バンドサウンドがしっかり地に足ついて、ポストパンク系のユニークさにも繋がってきた二枚目のアルバム。彼らが今日の音源の中でも特に普通のダンスロックバンドっぽい感じが強いのは、歌詞の全てが英語だってことにも関係してるかも。現在じゃメンバー全員イギリス在住だっていうし。ただ、ポルトガル語ってだけでイキナリ不思議な印象が出てきて、普遍的な評価ができなくなるんだな。言語が変わると選択されるメロディラインもガラリと変わるんだろうな。
「バイレファンキ」の発見という衝撃の中で聴いたファーストに比べると、地味な印象のセカンドだけど、よく聴いてると味が滲み出てくる。そもそもで所属レーベルがシアトル・グランジの代名詞 SUB POP なんだよね。SUB POP の生み出した数々の傑作音源の中に、きちんと収まるオルタナティヴロックとして、真っ当な存在感。…レーベルの話でいうと BONDE DO ROLE も英 DOMINO からの世界デビューなんだよな。

TETINE「LET YOUR XS BE YS」

TETINE「LET YOUR X'S BE Y'S」2008年
●英 SOUL JAZZ RECORDS からリリースされた「バイレファンキ」。これもまたサンパウロ出身のユニット、女性が前に出る男女2人組と、なんとなく CSS、BONDE DO ROLE と印象が似通うのだが、実は芸歴が格段に長い!結成は1995年で地元シーンの大先輩らしい。イギリスでリリースされたこのアルバム以前に、ブラジル国内で8枚のリリース経験あり。CSS の中心人物 LOVEFOXX が最高の敬意を表してる。そんな世代の違いなのか、トラックは今日の音源の中で一番ハウシーかつテクノ的。洗練されたトラックは、むしろ80年代テクノポップ的ですらある。ダブステップベースミュージックに積極的な SOUL JAZZ が食指を動かすのも理解できる。そこに味のある男女のボーカルが交錯。よく聴くと男性ボーカルがザラリと渋いな…。

リンダ三世「VIVA! リンダ三世」

リンダ3世「VIVA! LINDA SANSEI」2014年
「バイレファンキ」の最後の一枚が、いきなり日本の地下アイドルグループとな。群馬県の日系ブラジル人コミュニティから飛び出した、日系三世の少女5人組が自然に「バイレファンキ」やってるという奇妙な事態に震撼!デビューシングル「未来世紀 EZ ZOO」2013年の段階でノケゾるほどの大ショックを受けましたが、このリオ五輪にあわせてアルバムも購入しました。もう全部が勢い任せでタマラン。
「バイレファンキ」アレンジに仕立てた「MAS QUE NADA」カバーや「BRAZILLIAN RHYME」カバーが達者。なにしろポルトガル語がネイティブだから、外国語を歌わされてる感じがなくてすごく自然に楽しんでる。むしろ日本語がカタコトで無理がある。



●動画をあれこれ探してみよう。

●MR. CATRA「ADULTERIO」




●M.I.A.「XXXO」




●BONDE DO ROLE「OFFICE BOY」




●CSS「ALALA」 血まみれだけど、LOVEFOXX がカワイく見える。




●TETINE「I GO TO THE DOCTOR」




●リンダ3世「未来世紀 EZ ZOO」ライブ




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