リオ五輪、終わっちゃったなあ。こんなに楽しんだオリンピックは初めてだったかも。
パラリンピックも楽しもう!9月にやるんだよね?

リオ五輪閉会式1

あの閉会式も、いろいろな意味で楽しかったよ。
世界の人がアレ見てどう思ったろうね?
キャプテン翼ドラえもんキティちゃんが登場して、アスリートと新幹線700系が一緒に走ってて、パックマンたちがトラックを走ってて、土管で繋がった地球の真裏からプライムミニスター・アベシンゾウマリオコスプレで登場!PERFUME のライブで実験されてたテクノロジー演出を一流のチーム(真鍋大度さんたちライゾマティクス)がバッキバキに使って、目がチカチカするほど!「理解不能のバッドセンス」って響いたかな?

●ボクは「理解不能のバッドセンス」で十分だと思うよ。むしろソッチの方が面白い。
ゲイシャ/フジヤマ/サムライ/ショーグン/スシ&サケとかのステロタイプに迎合してないし、トヨタ/ホンダ/ソニー/パナソニックみたいな時代遅れになりかけてる企業イメージにも乗っかってない。明らかに一般的な外人さんが日本に抱くイメージをことごとく裏切ってる。その上で「クールジャパン」という名前で日本人自身だけがイケてると思ってるイメージだけで勝負しちゃったのが今回の閉会式。世界の皆さんには理解不能のダダスベリだったとしたら、そんな内外のイメージギャップの存在そのものが興味深い。
●そもそも奥ゆかし過ぎる日本人が自己イメージをあそこまで堂々と全世界にデモンストレーションするチャンス自体が稀なわけで、自己表現が苦手な民族が自分のコトを目一杯大声で叫んでみたら予想以上のトンデモ野郎であることが判明で全世界がビックリ!な状況が実に愉快。だってマトモな神経で考えたら総理大臣をスーパーマリオにしないだろう。クラスで一番静かなコミュ障メガネ野郎を引っ張り出して一芸披露させたら、常識外れのイマジネーションが大爆発してしまった、みたいな居心地の悪さがシテヤッタリって気分。

リオ五輪閉会式2

(アベマリオ。衣装を脱ぐタイミングがちと早かったかな。)

●そんなワルフザケを中核メンバーとして仕掛けてたのが椎名林檎と聴いて、これまた面白いと思っちゃった。

椎名林檎「日出処」

椎名林檎「日出処」2014年
椎名林檎名義の今のところ最新のアルバムを聴く。バンド東京事変解散後初めてのオリジナルアルバムとあって、発売直後に購入してたんだけど、実はあまり聴いてなかった。ちょっと予想以上に<日の丸>イメージが濃すぎて、少し聴いただけでギブアップしてしまったのだ。2014年ワールドカップブラジル大会NHKテーマソングになった「NIPPON」という曲。本来なら彼女の最高の持ち味である疾走感満載の痛快ロック、歌い出しの「フレーフレー日本晴れ!」とかはいいんだけど、「また不意に接近している淡い死の匂い」とウッスラと不吉な気配を醸している。そんでダメオシに MV で大きな<日の丸>をガンガンに振る。この辺りの表現がボクのナショナリズム観のナイーブな部分に抵触した。2014年というタイミングも微妙だった…東日本大震災で「日本」+「絆」のメッセージが溢れかえって、右派政権返り咲きの形で安倍内閣が成立したのが2012年。2013年に韓国で朴槿恵政権が成立して反日路線のピリピリモード。浦和レッズサポーターがゴール裏応援席入口に「ジャパニーズオンリー」と幕を掲げたのもこのころ。そんな中で<日の丸>ブンブンするもんだから、微妙な気分になっちゃった。

ところが、今のボクは、彼女の表現をフラットに受け入れられる。スポーツに興味がないボクに「スポーツ・ナショナリズム」をどうとらえたらいいかは今も分からない。ただ、今回のオリンピックは、日本選手個人の表情に魅せられた。彼らは確かに日本を代表するアスリートとして大会に参加するのだけれど、インターネットも含めてガンガン生放送/生配信された彼らの勝負は、あくまで彼ら自身の努力の結実であって日本という国のモノではない。卓球3姉妹の激闘を超えての福原愛ちゃんの泣きベソや、波田陽区似の水谷隼くんのガッツポーズ、予選から記録を伸ばし続けた女子高生スイマー池江璃花子ちゃんの急成長ぶり、バーベルにハグしちゃう三宅宏実さん、ウサインボルトですらビビった男子400mリレーの銀メダル、モビルスーツみたいな名前の女子レスリング金・土性沙羅さん、記念品を「歯ブラシ立て」呼ばわりの天然天才・白井健三くん、競歩50kmで根性の競り合いドツキ合いを見せた荒井広宙さん、リボン4本投げを最後でシクッちゃった新体操団体、強豪に揉まれながら最高3位タイまで食い込んだゴルフ女子の野村敏京さん(はるきょうって名前もイカす)。バトミントン女子ペア・松友美佐紀のジミかわっぷり…。そんな名場面をシッカリ見たあとの爽快感は、メダルの有無と関係なく彼らが日本の素晴らしさを世界に見せつけてくれて誇らしいという感情に変わっていったよ。ボクは今までマジメにスポーツを見てなかったんだよな。椎名林檎が嗅ぎ取った「淡い死の匂い」は、世界を目指すアスリートが生と死の限界状態へ突入する様だったと、初めて理解できたよ。

●そんな椎名林檎がクリエーティブスーパーバイザーとして、「理解不能のバッドセンス」を演出したのが愉快。彼女がどんなシンガー/ソングライターであったかを考えれば、ただ普通にキレイにまとめるはずがない。中田ヤスタカのエレクトロでダンサーが踊る場面が普通にテックでクールである一方で、そこ以外でかかってた曲はどこか「和製バーレスクショー」のような印象だった…その正体は野田秀樹さんの舞台のサウンドトラックみたいね。彼女独自の和洋折衷ミクスチャー感覚は、まぎれもなく日本でしか育たない感性の発露。陰影と日光、退廃と清純、酩酊と覚醒、女と男、昭和と未来、キャバレージャズとエレキギター、アンバランスな不安定感が脆いようでマッシブ。このアルバムにはそんな要素が詰まっている。

●蛇足で付け加えると、今回の閉会式の映像ディレクターは児玉裕一氏が担当。元電通のクリエイターで独立後は椎名林檎の MV を数々手掛けている。その他サカナクション「ネイティブダンサー」などなど、その仕事は高水準でハンパない。で、この人が現在の椎名林檎の事実婚的なパートナーらしい。オタク体質な児玉氏がクールジャパンキャラ演出を盛ったり、太いコネクションがある椎名林檎とセットで動いたのは納得できたが、個人的にそこまで深い関係になってるとは今回まで知りませんでした。
●あと、コシノ3姉妹の母親をモデルにした朝の連ドラ「カーネーション」2011年の同名主題歌も収録。ボクが朝ドラ見るキッカケになったのはこの作品からだったな。今の「とと姉ちゃん」も一応見てる。こっちは宇多田ヒカル「花束を君に」が主題歌だけど、彼女の久しぶりのニューアルバムも楽しみ。宇多田ヒカル椎名林檎は、東芝EMIからの同年デビュー1998年って縁もある。

椎名林檎「加爾基 精液 栗ノ花」

椎名林檎「加爾基 精液 栗ノ花」2003年
椎名林檎音源をもうちょっと聴いてみる。彼女の美意識が、一般常識ラインとズレてるのがタイトル一発で理解できる例かと。「精液のニオイはカルキ臭か栗の花の香りか?」そんな雑談からアルバム名を決めました。でも繊細な模様で飾られた陶器に漢字でこの文字が添えられると、一気にノーブルになる。リードシングル「茎(STEM)」男根の隠喩とのこと…。それでも彼女はこともなげに言うのだろう、美しい言葉じゃありませんか?
●ファースト、セカンドで鳴らしてきた、一発録りな勢いのラフなロックと絶唱系パフォーマンスで描いてきた猥雑な世界観(新宿系なんて呼ばれてたっけ…歌舞伎町の女王だしね)を大きく裏切るアプローチ。プログラミングからオーケストレーションを採用して、アレンジワークに力を入れた作風。ここで彼女はロックのパワフルさから距離を置いて、独特のアレンジから醸し出すビザール感〜ジャズの退廃〜バーレスクな怪しさを会得したとボクは思った。まーこのアルバムも馴染むのに数年かかったよ、だってロックのカタルシスを鮮やかに回避して、闇の濃い淫猥な世界に埋没する彼女は、どんどんリスナーを突き放してるように思えたんだもん。
●結局のところ、「茎(STEM)」は今ではフェイバリットソング。プログラミングからストリングス、和琴まで採用した流麗な演奏に、美しいメロディと彼女の声が印象的で。
●実のところ彼女は、このアルバムを最後に引退を考えてたらしい…最初の旦那さんとの入籍&出産を明けての場面、もう家庭に入ってしまおうかと思って、最後のアルバムにやったことのないアプローチを採用したらしい。しかし周囲がこの才能を逃がすわけではなく、しょうがないからバンド・東京事変が結成されることになるとな。

椎名林檎「13 JOURS AU JAPON 〜2020年日本の夏〜」 椎名林檎「ジユーダム」

椎名林檎「13 JOURS AU JAPON 〜2020年日本の夏〜」2016年
椎名林檎「ジユーダム」2016年
●さて、このチャンスを商売にと考えてた方々がいて、閉会式タイミングに配信限定シングルがリリース。一曲目フレンチポップス60年代の名曲「13 JOURS EN FRANCE(邦題「白い恋人たち」)」を日本語カバー。洗練されたラウンジジャズなアプローチ。小品って感じかな。
「ジユーダム」も、カワイらしいポップスをキュートに歌ってる小品。ピアノが楽しく弾んで歌詞も珍しく楽天的な感じ。そんな小品でも椎名林檎サウンドはベースがすっごくグルーヴィ。リミックストラックでヒャダインが参上、ロービットエレクトロにしちゃってる。


●動画。
●「NIPPON」。<日の丸>、気になるかな?気にしすぎたのかな?



●「茎(STEM)〜大名遊ビ編〜」(シングルバージョン)。




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