●週末は大学時代の先輩に会って楽しい時間を過ごす。
●趣味がカブる人たちとノビノビとマニアックな情報を交換するのは楽しいねー。

●で、今年2016年のベストディスクとか語らったんだけど。
ボクの今年のベストディスクをココでもご紹介しておきます。うん、とても音楽ブログっぽいね!

乃木坂46「それぞれの椅子」2

乃木坂46「それぞれの椅子」2016年
え、今年のベストディスクが、乃木坂46かい!アイドル物件行っちゃうかい!…実はボク、相変わらず枚数だけは半端ない数買ってますけど、もうリアタイ新譜購入とかは滅多にないんですよ。ブログに紹介するなんてほんの一部の音源で、今月の購入枚数だって余裕で30枚以上イってますよ。そのペースで買うってことは、新譜なんて高すぎて眼中に入れられない訳で。中古激安コーナーかレンタル落ちボロボロ音源だけですよ。今年で新譜買いなんて、宇多田ヒカル APHEX TWIN ハイスタ16年ぶりのニューシングルくらい?しかないんですよ。

でもそんな事情抜きにして、これは今年の重要な一枚だと、本気で思ってる。
「音楽は永遠に古びない」とボクは思うから、どんなに昔の音楽でも新鮮な気持ちで向き合えるし、焦ってリアタイ聴取にこだわるのをほぼヤメてしまった。しかし AKB 以降の現代「アイドル状況」においては、「アイドルは鮮度だ」と思うようになった。ここで消費/受容しているのは音楽ではなくアイドルであり、人間の創造物ではなく生身の人間そのものだ。そしてアイドルという職業は、音楽家とは違って一生続けるものではない。生身の女性がその人生の中で一時期だけ担うことができる、キャリアのワンステップだ。
●そしてその意味で言えば、乃木坂46というグループは、2011年の結成以来から5年の歴史の中で、今年に一つのピークを迎えたと思う。ライバルとして想定されてる AKB48 は、既に初期メンバーが卒業〜独立、後から加入する新世代(最若手は16期)や日本各地の関連グループから新しい才能を輸血して世代交代を行いながら、グループとしてのパッケージを維持している。しかし、乃木坂はその世代交代をまだ経験していない。この5年の歴史で実質的なメンバー追加は2期生の追加だけで、3期生は今年9月にお披露目されたばかり。正規メンバーは40名弱だが、ロックバンドのような結束を感じるほど。
ただ、今後はどうなるかわからない。今年2月に永島聖羅、6月に深川麻衣が卒業、来年2月に橋本奈々未も卒業することになった。こと、橋本奈々未 aka ななみんのような存在感の強い重要オフェンスプレイヤーの喪失はグループの質を変えかねない。深川麻衣 aka まいまい aka 聖母の卒業ですらイタイと思ったのに…。ティーンだった1期生はいつしかほとんどが成人して、次のキャリアを考える時期に差し掛かる。重要メンバーの卒業は今後も続く。だから、2016年の彼女たちを記録したアルバムを、今年にシッカリ聴いておかないといけない。来年は質の違うグループになっているかもしれないのだから。「アイドルは鮮度」なのだ。

その一方で、乃木坂46のプレゼンスは高まっている。
●中学生の娘ヒヨコは、体育のダンス課題の選曲乃木坂の楽曲を持ち帰ってきた。このアルバムの収録曲「今、話したい誰かがいる」だ。中学生女子の合議で素朴に踊りたいと多数が認めたって、かなりのハイレベルなプレゼンスでしょ。まーどんなダンスかと言えばそれほど凝ったモノではないらしく、3歳からバレエをしてるヒヨコにはちと物足りないようだ(ヒヨコは「フォーチューンクッキー」も数回合わせただけで踊りこなした。今は「逃げ恥/恋ダンス」が気になってるようだ)。
●アイドルといえば青年マンガ誌の表紙&巻頭グラビアが主戦場と思うが、乃木坂のコアメンバーは一流の女性ファッション誌でモデルとして活躍している。前述の橋本は、西野七瀬とともに「NONNO」で、最年長組となったクールビューティ白石麻衣は赤文字系雑誌の代表格「RAY」、ややゴス要素すら感じさせるアンニュイな陰の持ち主・斎藤飛鳥は宝島社の看板「CUTIE」〜「SWEET」で活躍している。運営の戦略が前提ではあるが、秋葉原の特殊カルチャーを代表した AKB とは違うレベルで、女性支持もカキ取るメジャー感を彼女たちは獲得しつつある。
●で、ボクの中では決定的な印象に結びついたことなのだが、地下鉄千代田線乃木坂駅の発車チャイムが彼女たちの代表的アンセムの一つ「君の名は希望」になってたことだ。乗り換えに失敗して普段は用のない乃木坂駅のホームに立ってて気づいた。確かにファーストアルバム「透明な色」のジャケはこの乃木坂駅で撮影されてるけど、チャイムにしちゃうほどってナカナカでしょ。アルバム「それぞれの椅子」のジャケはやはり乃木坂にある新国立美術館で撮影されてる。新国立美術館とも今後なんかやっちゃうのかな。


●で、音楽の内容だ。ボクは AKB48 と比べても、ずっと聴けると思ってる。
●当然だが、AKB48乃木坂46 では作詞家が同じ、全部、秋元康氏だ。で、作曲編曲も秋元氏の意向が深く関与するに違いないだろう。でも、AKB 乃木坂 ではプロダクションの質が違って聴こえる。ソニーミュージックエンターテインメントが手がける乃木坂の方が作りが繊細で丁寧キングレコードAKBは比較すると大味だ。これはメーカーであるところの、キングとソニーの地力の違いなのだろうか。作曲編曲陣の名前を見ると、AKB の作家とそんなにカブっていないみたいだ。両方を手がける人の方が少ない…手がけていてもどちらかに偏るというか。
●初期は特殊少女・生駒里奈がほぼワントップ状態で主要ポジションを担ってた乃木坂だが、このセカンドアルバムでは多頭体制が完成していて色が多彩。ファースト「透明な色」段階ではまだ無色無味無臭の集団だったこのグループが、交換不可能な役割を分担する個性の集まりに成熟したようだ。それが「それぞれの椅子」というタイトルの意味だろう。

●特にシングル表題曲2曲でセンターを務めた西野七瀬 aka ななせまるの躍進が目覚ましい。引っ込み思案でバラエティではいつも不安げな表情をしているシャイな彼女は、芸能人であることを本当に楽しんでいるのかコチラが不安になるほど。その一方で、故郷の関西弁を絶対に曲げないなど自分の中の原則にガンコなほど忠実な側面も読み取れる。イラストやマンガの趣味や、爬虫類好きなトコロにも、ただの美少女で片付けられないフックを感じるんだよね(すんません、要するにボクは「ななせ推し」です、小さな声の優しい関西弁も好きです)。
●そんな彼女がセンターを務める「命は美しい」は、そんな不安を抱える彼女が生命が持つ強さに触れていく様子を描く楽曲。女性にはしんどいほどの低音からスタート、「何のために生きるのか?何度問いかけてはみても 空の涯まで暗闇が黙り込む」と苦悶しながら、可憐なピアノに導かれて大サビの「命は美しい 初めて気づいた日から すべてのその悲しみ 消えていくんだ」へと飛翔していく力強さに、ウットリできる。
西野白石麻衣 aka まいやんがダブルセンターを担う「今、話したい誰かがいる」は、内気な男子の主観から歌われる内容の楽曲だ。これは秋元氏の戦略なのか、乃木坂では歌詞の主体が「僕」と名乗るナイーブな男子であることが割と常套手段になっている。ここでは、そんな「僕」がいつしか異性である「君」に心開くようになる物語が描かれる。西野の周りに漂う脆くて儚いイメージが(実際の彼女は決して脆いとは思わないけどね)、この物語に説得力を持たせる。

●シングル「ハルジオンが咲く頃」深川麻衣の卒業ソング。グループ結成時からメンバー最年長として仲間を見守ってきた彼女のキャラは「聖母」と呼ばれるほど。無駄に出しゃばらず、何があっても動じない、温厚で優しい笑顔。確かにその落ち着きぶりたるや、新婚の奥様ですか?くらいのオーラ出てました。そんな彼女のグループ内の位置付けにピッタリ即したリリックと幸福感いっぱいの楽想がナイス。これも「アイドルの鮮度」リアルな時系列の中で本人のキャラと役割というコンテクストを理解することで内容を楽しめる。
●そしてグループ超最初期のアンセム「乃木坂の詩」も収録されてる。まだグループの方向も定まらない時期、最初のシングルに収録されてた楽曲だ。「乃木坂がどこに あるかなんて 僕らは何も 知らずに来たんだ」と初心に立ち戻るフレーズがすごく瑞々しい。

●ただ…「AKB商法」という言葉があるけど…ソニーさん、あんたもっとエグいよ。
●ボクはさすがに握手券目当てには買い物しないよ。純粋に楽曲が聴きたいし、観られるならDVDも観る、それだけ。なのに、このアルバムは、タイプが5種類もあって、収録曲が全部違うし、DVDの内容も全部違う。それはエグいでしょ。2014年の夏ツアーファイナル@神宮球場のライブは、3種のアルバムを購入しないと全容が観られない。すげえなあ!シングルでもカップリング曲のバリエーションが豊富すぎて困る。AKBだってもうちょっとシンプルだよ。
●あと、これは理由がわからないんだけど、乃木坂のシングルは中古CD屋にはあまり出てこない。AKB関連は腐るほど束になって売られてるのに。なんでだろ?


調子に乗って、もう一枚行きますよ。乃木坂を。

乃木坂46「透明な色」

乃木坂46「透明な色」2015年
●最初のシングルから10枚目までを網羅するファーストアルバム。前述したように初期の乃木坂生駒里奈 aka いこまちゃんのワントップ体制で、最初から5枚目のシングルまで彼女一人が連続してセンターを担当してる。彼女がこれまた一筋縄でいかない不思議な子なんだけど、乃木坂楽曲が「僕&君」という男子を主体にしたリリックが多いのは、彼女のボーイッシュ…ズバリ少年?な性質に秋元氏がインスパイアされたからなのではないだろうか。グループ最初のシングルで「男子禁制!」と歌うモータウンノリのガールズポップ「ぐるぐるカーテン」以外は、生駒センターのシングル楽曲は全部この「僕&君」スタイルになってる。
●でこの生駒ワントップ期の注目チューンが「制服のマネキン」だ。「マネキン」はボクが乃木坂で最初に聴いた楽曲。ちょうど「AKB48峯岸みなみ丸刈り事件」が起きた頃で、この楽曲で描かれていた「恋愛禁止の鉄則と葛藤するジレンマ」を煽るリリックに注目したものだ。(このへん、2013年2月にボクは記事で書いてます→リンク)丸刈り事件よりもずっと先行して制作された楽曲だから直接の関連は実際ないだろうが、秋元氏が恋愛できない彼女たちを挑発し、ダブルスタンダードを強いているかのようにも思える。「アイドル消費/受容」は楽曲という創作物を消費しているようでも、どこかで生身の人間を直接消費/消耗させるシステム。だから、キャリアとして「アイドルであるか/卒業して非アイドルになるか」のオール・オア・ナッシングがより際立って強いられる。他の職業じゃありえない理不尽だよね、モラハラどころじゃない。その危うさに自己言及した作品だ。
●そしてビッグアンセム「君の名は希望」千代田線乃木坂駅の発車チャイムに採用されたのは今年3月のこと。圧倒的に非リアで孤独な少年の、淡い心の動きを主体に据えたリリックが、「命は美しい」と同じ種類の繊細さと清らかなメロディで描かれる。これが「君&僕」路線の完成形AKB でももちろん男子主観「君&僕」楽曲はあるが、ある意味での挑発的なアゲアゲヤンキー主義が色濃い印象(例えば「フライングゲット」とか)。もう一歩踏み込めば、グループ乃木坂46の個性が完成した瞬間とも思える。

●この時期の事件は、7枚目シングル「バレッタ」で、2期生投入の瞬間にその2期生の1人堀未央奈をセンター抜擢したコトだろうAKBでいうところの「ポニーテールとシュシュ」「EVERYDAY、カチューシャ」に対応する、髪の毛アクセサリーをモチーフにした歌なんだけど、そのワリにはマイナー調でちょっと個性的すぎるアレンジのこの楽曲に、未知すぎるキャラ堀未央奈 aka みおなをブッ込んだのは暴挙か蛮勇か。結果的にややスベった挑戦になったと、後の歴史を今知るボクらは知っているのだけど。
●ただし、特殊少女・生駒で最初の推進力を得た乃木坂が、やはり正体が掴めないタイプを次のエンジンにと目論んだ気持ちはなんとなく理解できる。ただ彼女は未だに正体が掴めないし、おそらく本人自身も自分の正体をグリップできてない気がする。だってまだ20歳の子だもん、しょうがないよね。あの眼力に吸い込まれる気持ちは理解できるが、吸い込まれた先はまだ謎だらけのブラックホール
●この前後に、白石西野センター抜擢生駒体制から軸足をずらすトライがなされる。ただボクの中では白石「ガールズルール」西野「夏の FREE & EASY」も単純な AKB エピゴーネンに思えてしまった。この二曲はなんだかハシャギ過ぎだよ〜。この二人のポテンシャルが本当に開花するのはやはり「命は美しい」「今、話したい誰かがいる」を待たなければならなかったという気が。
●ただ、生田絵梨花センターの「何度目の青空か?」はナニゲに新しい味だったかも。80年代アイドル歌謡の成分も微妙に含まれてるこの曲。デュッセルドルフ生まれの才媛、ピアノは音大入学の腕前、資格検定マニア、実年齢は若いくせして学級委員みたいなシッカリもののキャラを出す生田絵梨花 aka いくちゃんのポテンシャルを開花させるものだったかも。シッカリしすぎるあまりに、シッカリと変わり者だということも今では明白で、その立場を彼女は楽しんでる。


●と、アレコレ乃木坂を語っても、簡単に語り切れるものじゃなくて。
●だってサブテキストが無限にあるんだもの。

●Huluを駆使して、日テレ系の深夜冠番組「NOGIBINGO!」シリーズのアーカイブは全部見てしまった。風邪で寝込んでた日に一気見したよ。落語部の女子たちのグダグダ日常を描く舞台「じょしらく」も配信で見たっけ。山下敦弘監督の映画「超能力研究部の3人」は本当に不思議な作品だったなあ。橋本奈々未が普通によかったけど、秋元真夏という珍味の存在も楽しめた。他のメンバーだって、気になる子いっぱいだよ、今回はセンターの子ばっかになっちゃったけどさ。

●DVD「DOCUMENTARY OF 乃木坂46 悲しみの忘れ方」と書籍「乃木坂46物語」は、メンバー個人のバックボーンや最初期の苦悩が仔細に描かれてて。彼女たちは、いじめ被害の経験や故郷や周辺への違和感でこの場所・乃木坂に来るしかなかった、ある意味での「不具者」の集団だ、ということが克明に強調される。彼女たちにつきまとう憂の表情に理由が見つかり、やっと乃木坂を理解できるかもと思えた作品だった。
●今回の橋本奈々未の卒業もこの意味では象徴的だ。彼女は経済的困窮からこのグループのオーディションにたどり着いてるし(「アイドルになればロケ弁が食べられる」と思ってた)。そしてその経済的困窮が解決したから卒業して芸能界からも足を洗う。「乃木坂46物語」では「勝ち逃げしたいですね」って語ってたくらいだし。これが彼女の「勝ち逃げ」なのか分からないけど、秋元真夏 aka まなったんのナチュラルボーン計算ぶりっ子とは正反対の、アイドル稼業への冷淡な距離の取り方が、橋本を完璧なクールビューティにしていたのは間違いない。

●そして、特殊少女・生駒里奈の存在。ここは今回踏み込まなかったけれども、依然として、いや今だから一層、彼女の動向が気になる。彼女が何者なのか?そしてどこに行くのか?ボクの関心は今そこにあるのだけれども、それはまた別の機会に。だって、文章が長くなりすぎたんだもん。



●動画は「命は美しい」。西野・白石・橋本の現行3トップがクールだよ。
●ピアノが牽引してるトラックだけど、ナニゲに EDM なクリシェも採用されててイチイチ技アリ。




西野七瀬 aka ななせまる、とか書いてる時、ボクの頭で連想してるのは、いくつものステージネームをもつヒップホップ集団 WU-TANG CLANのメンバーたちね。GHOSTFACE KILLAH aka THE IRONMAN aka TONY STARK とか RZA aka BOBBY DIGITAL aka PRINCE RAKEEM aka THE ABBOT とか。ボクの中で、ニューヨークのスタッテン島のアンダーグラウンドと、東京港区乃木坂一体は同じだから。


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