●今回の芥川賞作品、山下澄人「しんせかい」は、あっさりした内容だったな。
●電車の中でサクッと読み終わっちゃったよ。
倉本聰先生が北海道の富良野でやってたコミューン的私塾での生活がモデルなんだね。ふーん。



突然だが、代休消化で会社を休んで、草津温泉に行ってきた。

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草津温泉のランドマークといえば「湯畑」なんだろうが、どこから撮影すればいいのか正解がよくわからんかった。気分伝わってますか?
●そもそも、ボクには温泉そのものに根本的な興味がないのだ。お風呂を楽しむ感性が備わってない。露天風呂なんてナンセンスすぎる。熱いと寒いの両極端を全裸で往復するだけの罰ゲームじゃないか。夫婦旅行としてワイフのリクエストに従ったまでだ。
●帰りに群馬・高崎に立ち寄って地元のレコ屋に行ければ、と思ったが、なんと高崎にはレコ屋が存在しないらしい!マジかよガッカリ。宿の予約まで済ませた後なのに「あーもう行く気が失せた」とか言ってワイフを困らせたりした。ボクは基本的に大人気ないのだ。コドモを連れてかない旅行とあれば、大人として振る舞うつもりはないのだ。

●しかし、気になるものを見つけた。これでいきなりモチベーション上がった。

温泉らくご

草津 温泉らくご@「熱の湯」
温泉で落語だなんて、オツなものではないか。なんか昭和っぽいじゃん。コレで草津に行く価値が発生したよ。大人1000円と格安だしさ。で、宿で夕食を済ましてから、「湯畑」に面した「熱の湯」という場所に出張ったのでした。

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で、現場の様子がコレ。うわー予想の斜め上を行く展開に爆笑。
高座の前に温泉が湧いてる。その周りに柵があってその外でお客は落語を聞く。なんだこのシュールな空間は。
●この場所「熱の湯」は、「草津よいとこ一度はおいで〜」とお姉さんたちが歌いながら「くさつ」と書いた板を使ってお湯を撹拌する、いわゆる「湯もみ」というパフォーマンスを見せる場所だ。入浴できない高温度を調整するのが元来の「湯もみ」なので、この目の前の温泉からはガチでモクモク湯気が立ち、硫黄臭がしまくってる。
しかもスタート20分前にして、お客はボクら夫婦2名。やべえ。落語超初心者のボクらと噺家さんの、温泉を跨いだ1対2なプライベートすぎる公演になったらどうしよう。…なんとか開演までにお客は15人ほどになって最悪の事態は免れた…フライヤーに「おかげさまで七周年!」って書いてあったから、もっと賑わってるイメージがあったのに。会場としては200人くらい入りそうな勢いの広さなんだよ。

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やっぱ、遠いわ!この距離感は、遠いわ!お互いの空気感掴めなくて、噺家さんもコッチも戸惑うわ。マイクはあっても PA ほとんど機能してないし。マクラの部分とか何話してるんだか聞こえないし。残念。
●演目は「時そば」(「蕎麦屋の勘定をごまかす話」と検索)と、「牛ほめ」(「与太郎、伯父さんの新居を褒める」と検索)。落語、ボクらほんと初心者、噺を聞いただけでは演目がわからないので、その後検索することでやっと演目が判明する。でもいざ始まっちゃうとなんとなく楽しい。扇子をおハシに見立ててソバを食べる形態模写がわかりやすい「時そば」は、圧倒的な落語初心者ばっかなこの場所向けに選んでくれた内容なんだろうな。「牛ほめ」の与太郎もチャーミングなおバカキャラでした。
●高座下手の客席に座ってるご夫婦は普段から落語に親しんでるのか、終始ニコニコして時に笑ったりで、とても楽しんでる様子。一方正面に座った20歳代の女性は、真剣な顔で手ブレを防ぎながらスマホ録画してた。その動画、絶対見返すことない気がするし、見返しても面白くない気がする。
落語、人生初体験のワイフに感想を聞く。「早口でナニしゃべってるかよくわからなかった」あーキミは標準の日常会話でもペース遅いほうだしね。「あと、あんなに大きな音でソバをすするのは、さすがにどうかと思うけど」ソレ言ったらもうミもフタもないよね。「笑ってあげないと申し訳ないと思うんだけど、どこで笑ったらいいのか全然わかんなくて」まーボクも正解はわかんないけど、普通にしてたらいいんじゃないかなー。ボクは来てよかったーって気分だよ。
●しかもこの「熱の湯」では、月一回くらいの頻度で「ゆけむりジャズ」と称したジャズライブまで聴けるという。これも結構オツなもんだよね。やっぱ温泉を挟んで聴くんだろうけど。


なぜココで突然、落語なのか? マンガの影響である。

昭和元禄落語心中(3)

雲田はるこ「昭和元禄落語心中」全10巻
●コレちょっと前にすごくハマって読んでたマンガ。今はアニメ化されてるらしい。昭和戦後、とある落語家の青年期の悔いと、彼がバブル期を迎えた晩年の寂しさを淡く描き、それを埋め合わせるかのように、無邪気な青年が弟子入りを請うてくる設定。そして新しい因果が転がりだす。時代の流れの中で変わるもの変わらぬものを抱きしめて行く落語文化への、作者の敬意と憧憬が全編に漲ってる。セリフ一つの言い回しが全部落語風の気持ちよさ。寄席の入場券を「テケツ」と呼ぶのは、やっぱ「チケット」のなまりなんだろうね。
●戦後昭和から現代平成へ、60〜70年の時代を跨いで描かれる物語。1950年代はテレビの登場で「一億総白痴化」、落語は大衆娯楽の花形から徐々に地位を下げ始める。1980年代は「マンザイブーム」で大衆はスピードを求める。30分も話を聞いて何回か笑う程度の落語はテレビのフォーマットには絶対にハマらない。かつての盟友は寄席の空気と観客が落語の生命と主張して型破りに振舞うが挫折する。主人公は敢えて孤高を選んで芸を高く極める道を選び、自分の世代を最後に落語を滅ぼそうと思う。大衆へおもねるのか、伝統芸能として閉じて行くのか、エンターテインメントとしての有り様の二者択一が作品に一貫した通底音として響いているのだ。しかし新しい世代は新しい解釈で新しい落語を切り開いて行く。それぞれがそれぞれのやり方で落語を愛し、落語を通じてお互いを慈しむ。そんな優しさに思わず涙ぐむ。結局、主人公は落語と心中はできなかった。
●そんなこのお話、物語中盤のクライマックス近辺で、温泉落語の様子が描かれている。温泉で落語!「草津 温泉らくご」の情報を見つけた時は、この作品にあるような距離の近いアットホームな場面を連想してテンションがすごく上がったよ。客は皆温泉上がりの浴衣を着てて、リラックスして楽しい噺を聞く。まー草津のケースはちょっと想像と違ったけどさ。会場が広すぎるのでダウンジャケット脱げなかったよ。

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神保町・神田古書センター「らくごカフェ」
●ワイフは草津温泉「熱の湯」が落語デビュー戦でありましたが、ボクは事前に一人で落語デビューしておりました。
●かつて落語を熱心に勧められたことがあって、図書館から借りたCDで落語を聞いてたりもしてたんだけど、この「昭和元禄落語心中」やっぱライブじゃなきゃダメ!と思い至ったわけですよ。
●そんな時に便利なのが「東京かわら版」という月刊誌。ちっこい判型でジーパンのポッケに突っ込めるサイズなんだけど、その月に行われる東京一帯の落語/演芸の公演情報を全部網羅してくれてるのだ。(←イベント情報が雑誌に細かく掲載されてるって、在りし日の「ぴあ」を思い出させてくれる懐かしい感覚)都内では毎日どこかしらで落語は必ずかかっている、これさえ買えば、突然ポッコリ時間が出来た時にすぐ落語を聞きに行けるという知人のアドバイスを思い出して、そのまま訳も分からず会社を出たのですよ。

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「熱の湯」では距離感が遠い!とビビったのに、ここ「らくごカフェ」は近すぎる!「熱の湯」の温泉部分の面積で客席全部が収まるくらい。神田古書センターだけあって、壁面は書架で囲まれてて落語関係の書籍やCD、グッズがいっぱい。10人も入れば座る場所がなくなる程度のイス&テーブルがあって、簡単な飲み物&サンドウィッチとかが食べられる。そして、唐突に高座がある。畳一枚分程度のスペースに、緋毛氈&座布団がある。
しかもやっぱりお客が少ない…開演30分前に現場到着したら、ボクの他はお客さん1人。あとは飲み物作ってるお姉さんと店の入り口でモギリしてるお兄さんだけ。やべえ、これまた超プライベート公演になるかもしれない…最終的にお客は全部で7人。店の密度感としては結構入ってる感じにはなったが、何しろ距離が近いので、噺家さんがボクの顔をガン見してマクラを語りかけてくるのはやっぱ緊張する。そうなるとこっちも目が反らせない状況で、コーヒーすら飲む暇ないわ。
●ただ、落語家さんはやはりプロ、徐々に自然と噺の世界に引き込まれていく。マクラを終えていざネタに入ろうという瞬間に、ハラリと羽織を脱いで肩から落とす様がオシャレだね。「粗忽の釘(ソコツのクギ)」というネタと「万金丹(まんきんたん)」というネタを堪能。ただ、常連さんが笑うポイントとボクが笑うポイントが違って少し微妙な気分に。でも常連さんは本当に声上げてワハハと笑うのね…7人だけのお客だけど静かってコトはなかったよ。こんなマニアックな店にくるくらいなのでお客側も醸すオーラがスゴイ。浴衣を着たお姐さん(還暦手前?)が最前列でオーラ出しまくってて、スゲえなって感じ。初心者ばっかの温泉落語と気分が違った。

落語家さん二人の噺が終わると、司会を交えてトークショー。落語社会のシキタリみたいなモンを昔話を交えて楽しく話してくれる。とはいえ聞くとこの落語家さんも司会さんも1979年生まれとボクより年下!真打さんと来年真打になる二つ目さんとのことだったけど、笑点のイメージでいくと年下の落語家ってなんかビックリ。しかも、最近は女性の落語家さんもどんどん増えてるそうで。最初の頃は男ばかりの楽屋に女性のイイ匂い!なんて思ってられたのに、この前は自分以外は全員女性でコッチが気を使って一人トイレに逃げてしまったとか。楽屋は男女の別を想定してないから着替えも同じ部屋、いろいろ気を使うみたいよ。へー。
「熱の湯」の噺家さんも言ってたけど、確かに今は「落語ブーム」というのが来てるらしい。上は「笑点」メンバーを代表とする超ベテランが活躍、若手も入門者が大勢登場でどんどん突き上げてくる。中堅に当たる二つ目さんや真打なりたての人がとってもシンドイらしい。


●話は戻って、草津温泉
●ここには「ゆもみちゃん」というキャラクターがいるらしい。ツイッターフォローしてみた。

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●その後、「草軽交通」という安易な名前のバスに乗って、軽井沢まで移動。車窓は一面雪景色、そして浅間山
●大きなアウトレットで、アディダスのスニーカーとラコステのローファーを買ったよ。



●さて、音楽。
●夜中は、コーヒーを飲みながらのアナログレコードが楽しい。

山下達郎「BIG WAVE」

山下達郎「BIG WAVE」1984年
達郎さんが、アメリカのサーフィン・ドキュメンタリー映画に提供したサントラアルバム。結構前に下北沢のフリマにて激安で買いました。確か100円。肝心の映画がどんなもんだったか全然知らないけど、音楽は完全に達郎さん一流のAORスタイル。90年代以降のヨコノリのスケーターカルチャーにつながる感じじゃなく、ましてや JACK JOHNSON に連なるアフターサーフなフォーク感覚でもなく。シズル感たっぷりの80年代ウエストコーストサウンドでございます。更に言えば松任谷由実「SURF & SNOW」1980年なリゾートミュージックな感じ。同じサーフィンなのに時代で捉え方全然違うね。海水にはトンと無縁なボクでも、彼の声がかもす真夜中のウェットなメロウネスは、チルアウトにバッチリだ。
●さすがの達郎さん、クレジットを見るとほぼ全ての楽器を全部自分一人で演奏してます。鍵盤各種からアコギにエレキにベースにドラム、パーカッションまで。多重コーラスも全部自分一人。特別な部分だけポイントで外部プレイヤーが関与。全ての楽曲が英詞だけど、ここだけはロスから友人のソングライターを召喚して、リリックの翻訳と徹底した発音訓練のサポートを受けたとな。
●B面は、達郎さん世代からもう一歩古い、60年代サーフェン解釈であるところの、THE BEACH BOYS のカバーで染めてます。でも「SURFIN' USA」みたいなわかりやすいヒット曲はなくって、むしろドゥーワップな気分漂うメロウネスがA面からそのままの気分が流れてる。でも知らない曲ばかりで、あらーボクはまだ THE BEACH BOYS の勉強が足りなかったなと反省する次第。このアルバムの前年1983年に亡くなった、かのバンドのメンバー DENNIS WILSON に捧げられてます。

山下達郎「ARTIZAN」

山下達郎「ARTIZAN」1991年
●これはCDで聴いてるよ。1975年の SUGARBABE 以来70〜80年代に傑作を量産してきた達郎さんが、リリースペースをぐっと落とす90年代の入り口に当たる作品。これまでソロ名義だけで10枚オリジナルアルバムを作ってきたのに、90年代全部でたった2枚、2000年以降でもう2枚しか彼はオリジナルアルバムを発表してない。だからボクの中では、もっと近作だと思ってたほど。買ってみて初めて25年前の作品と気づいた。
●CDの時代とあって、1984年の「BIG WAVE」とは全然違うね。クッキリした音響がクリアに響く。「アトムの子」は1989年手塚治虫死去の報を受けて急遽10日で作った楽曲とな。リズムがドカドカ楽しい名曲だよね。その他の曲もチョッピリだけヒネくれたアレンジが施されてて油断が出来ない。


●と、ぼんやり音楽聴いてたら、TOKYOFM 山下達郎さんの特番があるって知って、速攻でエアチェック。radikoとgaragebandで録音!
「山下達郎 ”夜”の SUNDAY SONGBOOK 〜珍盤奇盤 R-18〜」
「R-18」というだけあって、マジで下ネタお色気系音源満載の50分間だったー。達郎さんも素性を知らない SUZIE SEACELL という人の「ME & MY VIBRATOR」なんて曲はホント直球すぎてビビった。スネークマンショーにもスゴイのがあるんだねー。プチ・マミーという人の「ベイビードール」ってのもかなりなモンだったな。應蘭芳さんの「ドラマチックブルース」もお色気ムード満載。すげー、こんなの選曲できる達郎さん引き出しイッパイだな。ツイッターのトレンドにも達郎さんの名前が出たくらいだったわ。


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