春がやってくるね。新宿南口のヒガンサクラ。

IMG_6107.jpg

●こんなトコロに植えられてた木がサクラだったとは知らなかった。そしてそのサクラを記念撮影する人が大勢いるのも不思議だった。どうやら外国の人には珍しいモノらしい。アジア系の観光客のみなさんが楽しそうで何より。
●連休休みの月曜、ワイフとともに新宿に出向いて娘ヒヨコの塾の説明会。春から中学三年生だからアレコレ考えなくちゃイケナイ。でも正直まだ具体的なイメージもわかず、とりあえず紀伊国屋でマンガ買って、ヒヨコの大好きなロッテリアに行ってトロトロのチーズバーガーを食べた。ロッテリアってもはやレアだから、見かけると食べたくなるね。


読書。応仁の乱とアレッポ陥落のイメージがダブる。

呉座勇一応仁の乱

呉座勇一「応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱」
●帯コピーに惹かれた。「11万部突破『地味すぎる大乱』が、なぜか大人気!勃発から550年 SINCE 1467」って書いてある。なんだか妙にポップだな。ヒットドラマ「地味にスゴイ校閲ガール河野悦子」を連想させる。しかし、おっしゃる通り、年号は憶えてても中身はよく分からんわな。そんで全部読み通した今でも、ヒトクチに説明できる気がしない。メッチャ複雑な利害関係が絡んで誰が誰と争ってるかよく分からなくなる。
●ただ、天下の内乱と言いつつ、主だった戦場は首都・京都。完全に「市街戦」ということだ。京都市街に拠点を持つ将軍や有力大名が自分の屋敷を要塞化して立て籠もる。道路まで掘り返して外堀にしてしまう。しかも同じ街の数ブロック先に敵陣地がある。だいぶ緊張する状況。正規兵とは別立てで編成された軽装歩兵「足軽」が初めて採用され、ゲリラ作戦&略奪をしてたってのも興味深い。
「市街戦」というキーワードで連想したのが、シリア内戦の激戦地・アレッポの惨劇だ。ロシア軍を後ろ盾にするアサド大統領の独裁政権と、「アラブの春」に始まる民主化運動から生まれた「自由シリア軍」の激戦が、4000年の歴史を持つ古都アレッポで繰り広げられた。塩野七生作品「ローマ人の物語」「十字軍物語」でもお馴染みだった街が、政府軍の激しい空爆で完膚なきまでに破壊し尽くされる様はツライ。陥落した後に住民は全員街から追放された。反政府軍エリア内で人道的立場から医療を続けた医師たちも政府から見ればテロリスト。包囲網の中から政府軍の虐殺行為をソーシャルで糾弾すればテロリストのプロパガンダとされてしまう。そして彼らは皆空爆の攻撃対象になってしまう。いつしか反政府軍の中にはイスラム原理主義者も浸透し始めて、アメリカも支援を躊躇するようになる。シリアを取り巻く大国の思惑を含めて、様々なプレイヤーが参戦したり退場したり。
応仁の乱も、様々なレイヤーでプレイヤー各々が自己主張する。有力大名の家督争いに、将軍家の後継問題、幕府の分裂(東幕府と西幕府)や、地方荘園の不在地主と現地代官の確執、優柔不断な政策転換に裏切りや策謀で京都〜畿内地方はまさしくカオス。「家臣が主君を選ぶ」気風が下克上の始まりを連想させるし、土一揆/国一揆も発生する。室町幕府の失政で絶対的権力不在が社会を不安定にしたのだろう。誰もが明日をサバイブするために駆け引きを続ける。民兵組織が乱立して混乱を続けているソマリアやイエメン、スーダンの様子と似ているのかもしれない。この辺の国はシリアも含め、トランプ大統領令が難民の入国拒否対象にした国だ。
●ただ一方で、応仁の乱には呑気な気分もあって。最重要なキーパーソンの一人、この時代の将軍・足利義政銀閣寺を作って東山文化を振興した人物だし、連歌や茶の湯の流行もこの時代の出来事だ。京都から地方に落ち延びた貴族階級が全国に先進文化を普及させたという側面もある。室町時代の人々は思った以上にしたたかなのかもしれないね。



土曜日は、息子の学校の行事で、池袋方面を歩いてた。そこでナイスなカフェに出会う。
●そこからの、ニュークラシックソウル〜ネオソウル関連音源へ。

ERYKAH BADU「NEW AMERYKAH PART ONE (4TH WORLD WAR)」

ERYKAH BADU「NEW AMERYKAH PART ONE (4TH WORLD WAR)」2008年
●土曜日は、ワイフと二人で池袋を歩いてた。少々疲れてお茶が飲みたくなったので、脇道に入ったトコロの雑居ビル2階にカフェを見つけてコーヒーを飲んだのだった。ちょうど老舗レコ屋「だるまや」のお向かいみたいな場所にあるお店だ。一つ一つの席が広くて、シックなインテリアも落ち着く。フリーのワイファイもあるし、チーズケーキが美味しい。名前は「キッチンアジト」って書いてあったかな。地元下北沢でお気に入りのカフェが立て続けにいくつか閉店して悲しいボクとしては、こういうお店が近所にあったらなーと思った。そしたら毎週末入り浸るのにね。
●そんで、このお店は音楽もよかったのよ。上品な00年代のニュークラシックソウル/オーガニックソウルが流れてた。気になる音楽が聴こえたら、スマホアプリ SHAZAM に音声を聴き取らせて楽曲名を調べてみるのがボクの習慣。すると出てきたのは、JILL SCOTT LES NUBIANS、その他ボクの知らない渋めのインディソウルだった。素敵なカフェに素敵な音楽は欠かせない。ますます気に入った。
その気分のまま、家に帰ってこのへんのオーガニックソウルのCDを引っ張り出してみた。ERYKAH BADU。まさしくニュークラシックソウル・ムーブメントの中心人物だね。彼女の音楽はカフェでもかかってたよ。このアルバムでは、絶妙に抑制された彼女のボーカルの極上の浮遊感が、ジャジーかつアブストラクトなエレクトロニカ・トラックでより引き立つ。ソウルの王道を目指しながらも懐古主義には陥らない革新的表現が実にクール。
●クレジットを読むと SOULQUERIANS の同志 QUESTLOVE(FROM THE ROOTS) BILALJAMES POYSER の名前が。他にも個性的なトラックメイカー MADLIB 9TH WONDER、プロデュースユニット SA-RA のメンバーたちが積極的に関与。70年代のビンテージなファンクがたっぷりサンプルされてるし、大事な部分では一流のプレイヤーが生ドラムを叩いてる。奥ゆかしいヴァイブス。
●最初の一曲目だけ、バリバリの70年代ファンク!ROY AYERS 関連のジャズファンクバンドをまるっとサンプルしてるのかな?こういうレアグルーヴを見つけたら感動するだろうなー。

KEVIN MICHAEL「KEVIN MICHAEL」

KEVIN MICHAEL「KEVIN MICHAEL」2007年
同じ時代で、同じアフロ頭の音源を聴こう。実はニュークラシックソウルという言葉はもうこの00年代後半の時代には廃れてて、「ネオソウル」という呼び名が定着してたっけ。男性シンガーとしては高めのキーで張りのある若々しいボーカルを聴かせてくれるファーストアルバム。ERYKAH の奥ゆかしいスタイルとは異質な、ライトなポップ感覚が颯爽とジャンルを横断していく様が清々しい。若さが成せる技かな。JUSTIN TIMBERLAKE ばりのダンサーから、WYCLEAF JEAN とコラボしたラガ風味の歌モノ、ナード系ラップの俊英 LUPE FIASCO を招いたヒップホップもこなす。SOULQUARIANS の一員でもある Q-TIP(FROM A TRIBE CALLED QUEST)も参加。

MESHELL NDEGEOCHELLO「COOKIE THE AUTHPOLOGICAL MIXTAPE」

ME'SHELL NDEGEOCELLO「COOKIE : THE AUTHROPOLOGICAL MIXTAPE」2002年
ニュークラシックソウルの路線を90年代初頭から先取していた女性シンガー兼ベーシスト。まさに「ネオソウル」の先駆とも言うべき彼女の音楽と、時代がシンクロしてきた頃の音源。ニュークラシックソウルが盛り上がるのは2000年前後だからちょうどピッタリだな。ソウルの王道を標榜するといいつつもヒップホップの影響を濃厚に受けたこのムーブメントに対し、クールなファンク志向だった彼女がヒップホップのアプローチを採用してグッと接近した場面。女性としてはグッと低音のボーカルを、歌唱とラップの区別のないやり方で駆使、腰の据わったトラックに乗せている。クールで中毒性の強いループ感がヒップホップ的に聴こえるけど、重要な部分ではベースやドラムは生演奏で実にファンキーに粘つく。ちなみに彼女はアフロじゃなくて、ツルツルのスキンヘッド。
●最後に MISSY ELLIOTT によるリミックスを収録。REDMAN の派手なラップと ROCKWILDER との共闘によるフューチャーファンクなトラック換装が、これまたある意味で00年前後の空気感。

FINLEY QUAYE「MAVERICK A STRIKE」

FINLEY QUAYE「MAVERICK A STRIKE」1997年
90年代の UK ソウルまで手を伸ばしてみたよ。UK ソウルはナニゲにジャマイカ系に強く影響を受けてるので、彼のボーカルも完全にレゲエマナー、トラックはトリップホップ経由のダブの気配が濃厚。それでもクールなジャズ風味とクッキリとしたファンクネス、シリアスなソウルミュージックへの敬意が見える。しかし、低音がイイ。今日紹介している音楽を引き締めているのは、全部低音域の緊張感だね。
●彼がトリップホップの代表格 TRICKY の叔父にあたる人物ってのは豆知識。年齢は年下だって話だけど。

KYLE JASON「REVOLUTION OF COOL」

KYLE JASON「REVOLUTION OF COOL」2005年
●なんだかよく分からないけどニューヨークの人みたい。PUBLIC ENEMY 人脈近辺でファンクバンド・レビューをやってるような人らしいのだけど、この音源のスタイルはズバリ1990年前後のアシッドジャズにそっくり。人力演奏のジャズファンクをクールにこなしてます。かつてアシッドジャズのコンピアルバムで「THE REBIRTH OF COOL」ってのがあったね、それを思い出したよ。スキンヘッドとソフトスーツがチカーノギャングみたいな雰囲気醸してます。もうこの辺になると、アーティストさんの素性もよく分からない。まー誰も読まないブログなのでどーでもイイんですがー。

MADLIB「SHADES OF BLUE MADLIB INVADES BLUE NOTE」

MADLIB「SHADES OF BLUE: MADLIB INVADES BLUE NOTE」2003年
●最初に紹介した ERYKAH BADU のアルバムに参加していたトラックメイカー MADLIB が、ジャズ名門レーベル BLUE NOTE のお墨付きで膨大なジャズの遺産をサンプルしまくってるアルバム。サンプルソースは、HORACE SILVER から WAYNE SHORTER、DONALD BYRD、BOBBI HUMPHREY などなど。まさしくジャズまみれ。
●とはいえ、彼の音楽がストレートなジャズであるかというとそうではなくて。ジャズを再構築した極上のヒップホップだ。60〜70年代のジャズを解体/翻案して、一番甘美な部分を絞り出してくれてる。ボクのような非ジャズ系リスナーにとって最適化してくれてるのだ。奇しくも MADLIB は年齢でボクと同い年。ストレートアヘッドなジャズはあくまでボクや MADLIB から見れば親世代の音楽。そんなジャズへの距離感がボクと彼では同じくらい。だから、これほど彼の音楽が心地よく聴けるのかな。サンプルプロデューサーである彼自身は、訓練されたジャズプレイヤーにコンプレックスがあるそうだけど、そのあたりの先達への敬意を含めて親近感を抱いてしまう。
MADLIB は、アングラヒップホップの重要レーベル STONE THROW の看板プロデューサー/アーティスト。様々なクリエイターとのコラボ経験があり、その度に様々な名義を使い分けてる。夭折の天才トラックメイカー J DILLA とのユニット JAYLIB や、MF DOOM とのユニット MADVILLAIN、自身の変名 QUASIMOTO、BEAT KONDUCTA、自身が率いるジャズユニット YESTERDAY NEW QUINTET などなど。プロデューサーとしての仕事も膨大。全然チェックしきれてません。この手のウエストコースト・アンダーグラウンドって把握しづらいよ。
●ちなみに、池袋の老舗レコ屋「だるまや」にはこの日初めて行ったけど、ジャズたっぷりだったなー。BLUE NOTE だけのコーナーとかもあったしなー。少なく見積もってもアナログ在庫10万枚くらいありそうで、とても手に負える分量じゃなかった。ジャズは今後も勉強しなくちゃ。

THEESATISFACTION「AWE NATURALE」

THEESATISFACTION「AWE NATURALE」2012年
●このCDは義弟 KEN5 くんからもらった音源だわ(KYLE JASON もそうだね)。これまた不思議な代物。レーベルは SUB POP。つまり NIRVANA を輩出した90年代グランジロックの拠点。そこから奇妙なヴァイブを放つソウルミュージックが発信されてるというだけでボクにはビックリ。二人の女性シンガー(ラッパー)が、ジャジーなトラックの上でフワフワと漂うように歌う。どこか不安げに響くピアノがエコーの中で蠢いて、奇妙なほどにスクエアなビートがバランスをより一層不安定にしてる気がする。ただ二人の女性はメランコリーとセクシーさをユラユラと往復するように立ち振る舞って、どこか底知れない優雅さを醸し出してもいる。ただならぬ傑作かも。
●あ、最後にアフロ頭に帰ってきたね。







●しかし、こんな音楽紹介しても、何のニーズもないわなー。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://unimogroove.blog4.fc2.com/tb.php/1975-38741011