ヨーロッパのジャズで夜が更ける。

MICHAEL JAEGER KEROUAC「OUTDOORS」

MICHAEL JAEGER KEROUAC「OUTDOORS」2009年
●ユニオン下北沢100円コーナーからすくい上げた、スイスのジャズカルテット。サックス奏者 MICHAEL JAEGER が自分のバンドにビート作家ジャック・ケルアックの名前をつけた。ケルアックの代表作「路上」の延長なのか、アルバムタイトルは「野外」
夜更けの暗闇で不安げに響くサクソフォーン。奔放で不穏なソロが展開していくうちにテーマの痕跡は消え失せて、アベコベの角度から複数のソロイストがバラバラに音を差し込んでくる。ボクは自分の位置を見失い、ルールのわからない音の配置に翻弄される。震えるリズムは小節の頭がどこだかわからなくなるほど細切れに痙攣して、それでも奇妙にスウィングして、思わず足がビートを刻んでしまう。踊れないはずのダンスミュージック
●ゲストにニューヨークのサックス奏者 GREG OSBY が参加。1980年代のジャズ集団 M-BASE の所属メンバーという意味でボクは認知してた。90年代の音源ではアシッドジャズ/ジャズヒップホップ的なものに共鳴してたが、本来はフリージャズ系のプレイヤーだ。もう一人のゲストはギタリスト PHILIPP SCHAUFELBERGER。彼の慎ましやかなギターがこれまた不安をかもす。
●オーソドックスなジャズのように思えて(テーマに始まりテーマに戻ってくる構造は残ってる)、何かを外して、脱臼させて、崩して、聴くものの予想を絶えず裏切って、安定と不安定をゆらゆらと往復して、カタルシスに到達させない宙ぶらりんの緊張状態を継続させるスリル。焦点は常に移動していて、どの楽器を、誰の演奏を、なんの音を聴き取ればいいのかわからない。そうしてすり抜けていく音の流れは、繰り返して聴けば聴くほど新しい発見が見えてくる。どこまでも地味だけど、不断の揺らめきが怪しく鈍色に光り、蠱惑的に艶めく。

BENJAMIN KOPPEL「BREAKING BORDERS #4 HERITAGE」

BENJAMIN KOPPEL「BREAKING BORDERS #4 HERITAGE」2015年
●これまた100円ジャズ。デンマークのサックス奏者がピアノと二人で奏でる可憐なメロディ。綺麗に伸びるサックスの音が甘くて耳に優しい。相方はアメリカ・フィラデルフィア出身のピアニスト URI CAINE。クラシックから JOHN ZORNとのコラボ、ドラムンベースとのフュージョンまでこなす異彩だが、ココでは繊細な演奏でストレートアヘッドなジャズに徹している。時に敢えて朴訥な間合いを狙って楽曲に不思議な陰影をもたらすのもワザあり。実は、MICHAEL JAEGER の音楽について「なんだかウルサイ」とワイフから苦情を受けたので、もう少し綺麗に聴ける音源に切り替えた。
●アルバムタイトルは「遺産」ユダヤの民俗音楽メンデルスゾーンのクラシック、KOPPEL の祖父でデンマークの戦後を代表する作曲家であった HERMAN D. KOPPEL の曲を採用している。自らのルーツを掘り下げていく姿勢が凛々しい。祖父の楽曲の佇まいがどこか爛れたキャバレーの香りがするのはナゼだろう。ユダヤ民俗音楽が艶やかな繊細さを持つのはナゼだろう。「遺産」の解釈は自由で、その自由さをそのままにして未来へ託すのが彼の姿勢なのか。シリア人クラリネット奏者 KINAN AZMEH の立ち振る舞いに奇妙な怪しさがあって、ボクの耳は彼らのジャズのアンバランスな脆さに吸い寄せられていくようだ。打楽器系がほとんどいないのに、リズムの骨格はキチンと見える。常に思い知らされるが、ジャズは不思議な音楽だ。


勢い余って、コンチネンタルタンゴを。

ALFRED HAUZE

ALFRED HAUSE「VERY BEST OF CONTINENTAL TANGO VOL.2」1954年
●今日は、ヨーロッパ系ミュージシャンのジャズを聴いているが、もう一枚ヨーロッパ系の音楽を。タンゴだ。もちろんタンゴの本場はアルゼンチンだが、そのタンゴを南米から旧大陸に持ち帰って作られたものコンチネンタルタンゴと呼ぶらしい。アルゼンチンタンゴコンチネンタルタンゴ。実は細野晴臣さんの本で最近知った言葉。で、そんな流れの関連音源をレコードショップ 吉祥寺 RARE で発見。7インチのシングル盤サイズだが33RPMで収録分数は少し長く、4曲収録されている。これも100円。
ALFRED HAUSEドイツの演奏家。戦中からキャリアを起こし自分の楽団を率いて録音を始めたのは1950年代。よくわからないが、この音源は1954年の録音なのか?1965年には来日して演奏、人気を集めたようだ。しかしボクはタンゴはまるで不勉強。かつてアルゼンチンタンゴの巨匠 ASTOR PIAZZOLLA の音楽にハマったコトはあるが、タンゴの全容はよくわからない。ただそんな素人の耳にもはっきりわかるのは、ASTOR PIAZZOLLA の音楽と比べて、主役であるべきバンドネオンの存在感が薄い!というか味付け程度以下の役割か。定食の中でのパセリのような存在。
大編成のクラシックオーケストラが、弦楽器を前面に押し出してメロディを奏でる。なんだかゴージャズな「ムード音楽」のような趣き。確かにリズムのアクセントはタンゴだけど、アレンジが軽音楽風でラウンジ寸前というか。実際 ALFRED HAUSE 本人はバイオリン奏者でベースはクラシック音楽、レーベルの要請でタンゴに転身したとか。奇しくも HAUSE PIAZZOLLA と同年生まれだが、バンドネオン奏者として活動を始め、タンゴを軸にして他の音楽を学んだ PIAZZOLLA とは真逆のアプローチかと。
●演奏がドイツ人であることに加え、さらに楽曲もヨーロッパ産。戦前タンゴ「夜のタンゴ」「夢のタンゴ」「バラのタンゴ」はドイツとフランス、イタリア産。「ブルータンゴ」はなんとアメリカ産で妙に派手。古典ハリウッド映画のサントラみたいな勢い。
●はー、本当に音楽の世界は広い。まだまだ聴くべき音楽がたくさんある。



●4月期のドラマが始まったぞ。

フジテレビ月9の「貴族探偵」が壮絶。かつては無敵のブランドを誇りながらも昨今は低迷が長引く「月9枠」に、嵐・相葉雅紀を主演に迎え、絶対に負けられない状況のフジ制作陣。推理モノはあまり好きなジャンルじゃないが、そのフジの今の本気を見てみようと思った。
周りを固めるキャストがビビるほど豪華。ぶっちゃけ単体で主演を張れる人たちがイッパイいるんだから。武井咲がヒロインとして可愛く振る舞い、生瀬勝久さんがコミカルすぎてムロツヨシみたいになってる。執事に松重豊さん、使用人に滝藤賢一さんと重厚な布陣、ここに中山美穂さんがなんとメイド役でハマる!クレジットにあった仲間由紀恵さんが出てこないなと思ったら、武井咲スマホの人工音声の役だった!アホなお嬢様の木南晴夏は独自のポジション確保でいいねー。井川遥も謎の妖しさ出してて良い。
●というコトで、周囲は鉄板で、実際に完璧にいい仕事してる状況。はっきり言って個々のプレーは見事ですよ。とりあえず中山美穂さんが予想以上のイイ味。なのに、その中央にいる相葉ちゃんが壮絶にダメ!というか「貴族」という設定が無理すぎ。相葉ちゃんでも、他の誰でも、絶対に正解が見出せない難役だよ。同じ貴族ものの海外ドラマ「ダウントンアビー」でリアリズムを勉強しよう。
初回視聴率は11.8%。普通のドラマのスタートとしてはボチボチレベルで及第点とは言えない。ましてやこんだけアクセル踏み込んでるんだ。もっと結果出さなきゃ!
●最近大不振のフジテレビ。ホントにやばいのかもね。

TBS日曜劇場「小さな巨人」。まさしく「半沢直樹」の再来か?今度は警視庁組織内、エリート捜査一課 VS 現場の所轄の対立を描く。香川照之さんの悪役顔芸が炸裂。堺雅人のポジションには長谷川博己がエントリー。長谷川の奥さんに市川実日子「シンゴジラ」組じゃねえか。キムタク「A LIFE」よりは痛快なカタルシス得られそう。
TBS「リバース」湊かなえ原作を読んだ方がいいかな。予告から藤原竜也がまたしても慟哭咆哮してて、だんだんついていけなくなってきた。

日テレは「フランケンシュタインの恋」が期待かな。綾野剛+二階堂ふみ。日テレの中でも、河野英裕プロデューサーは世界観がユニークすぎる異次元クリエイター。時に「文芸」モードへ躊躇なく踏み込むことで有名。「すいか」「野ブタをプロデュース」「セクシーボイスアンドロボ」「銭ゲバ」「Q10」「弱くても勝てます」…醸すヴァイブスが異質で数字は期待できないのが玉にキズ。


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