また、悲しいテロ事件が起こった。
●5月22日、イギリス・マンチェスターの巨大アリーナでISによる自爆テロが発生。アメリカのシンガー ARIANA GRANDE の世界ツアーに集ったティーンの少年少女たちが被害にあった。現在22人とされる死者の中には8歳の女の子までいる。ソーシャル上では、未だ連絡が取れない家族の情報を求める人々の声が発信されてる。
●このテロは何を目的としてるのか。ARIANA GRANDE の音楽を聴きたいと思った若者に、責められるべき政治的問題があったのか?破壊すべき軍事的脅威があったのか? 彼ら IS が喧伝したいのは、文字通りの恐怖だ。全く関係のない者を殺すことで、安全地帯はどこにもないとプロパガンダしたいだけだ。

ARIANA GRANDE「YOUR TRULY」 
ARIANA GRANDE「MY EVERYTHING」 

ARIANA GRANDE「YOUR TRULY」2013年
ARIANA GRANDE「MY EVERYTHING」2014年
ARIANA GRANDE のアルバムを聴く。彼女がアルバム「YOUR TRULY」でデビューした時は「次世代の MARIAH CARRY」というような宣伝文句がついてたっけ。広いレンジを巧みに使い、可憐に響く彼女のボーカルは、確かにデビューした瞬間の MARIAH CARRY を彷彿とさせる。15歳でドラマデビューして、20歳の時のファーストアルバムで世界的ブレイク。そして今23歳。若者らしいヤンチャは少々あっても、基本的には育ちの良いお嬢さん、イメージは清純派。イマドキのアイドルとあって男女交際にフランクだけど、チャリティに熱心で、生意気さを振りかざすような印象はない。
●そんな彼女が、このテロでどんなことを感じただろう?自分の音楽を聴きに来てくれたばかりに無実の人々が爆弾でバラバラにされた。自分に落ち度があったんだろうか?ISに標的にされる理由があったのか?私がヴィーガンだから?LGBTのイベントに出演したから? MADONNA が立ち上げたマラウイの孤児のための基金に参加したから?黒人人権運動の支援をしてるから?いつもポニーテールにしてるから? 彼女が twitter で発信したのはたった一言。「BROKEN. FROM THE BOTTOM OF MY HEART, I AM SO SO SORRY. I DON'T HAVE WORDS(どん底まで叩きのめされてもうボロボロ。本当にごめんなさい。もう言葉もありません)」。ただただ自責の念に苛まされて、苦しんでいる様子が手に取るようにわかる。ライブで大勢の人を集めるのが怖くなっても不思議じゃない。
●そんな彼女の音楽が好きだった少年少女が、彼女のように無垢で素直な子たちだったと想像すると、ボクの心も本当に苦しくなる。ボクだってコドモはいるからね。未だ所在不明の子供を探すためにソーシャルへメッセージを発信する家族たちの気持ちを想像するだけで、本当にツライ気持ちになる。

●別にボクは ARIANA 個人がどんな女の子なのかなんて、本当は知る由もない。それでもこんな妄想を抱いてしまうのが、彼女の音楽が確かに清廉なポップスだからだ。ファーストの「YOUR TRULY」は最新形のギミックを仕込んだトラック(チキチキと乾いたスネアが連打されるアレンジね)ながら、プロデューサーとして R&B の王道を行く大御所 BABYFACE がしっかり随所で関与して、真っ当なポップソングとして機能させてる。奇をてらった際どい演出はゼロ。モータウン気分のバラードだってこなしてみせる。
●コラボレーターや客演も粒ぞろいの人選。BIG SEANKANYE WESTG.O.O.D. MUSIC からフックアップされて世に出てきたデトロイトの技巧派ラッパー。MAC MILLER はピッツバーグ出身のユダヤ系ラッパー。彼は ARIANA とのコラボで名を挙げたようだな。ポップソングのライティングに定評あるシンガー MIKA とは連名で、これまたポップな佳曲を発信。その名も「POPULAR SONG」。男子アイドルグループ THE WANTED から NATHAN SYKES というイケメンを召喚してるのもポップだね。
●セカンド「MY EVERYTHING」となると EDM への接近がハッキリしてくる。ZEDD、DAVID GUETTA の名前がクレジットに登場。ノルウェーやスウェーデンのクリエーターを大勢連れてきてダンスポップを作ったりもしてるね。その一方でファンキーなテイストをグイッと盛ってくれるプレイヤーも召喚。オーストラリア出身ながら、アトランタの帝王 T.I. のレーベル GRAND HUSTLE に発掘された女性ラッパー IGGY AZALEA、前作に続いて参加の BIG SEAN、ハイトーンボーカルでデュエットしてくれたトロント派のシンガー THE WEEKEND、トリッキーなトラックに付き添うニューヨークの新進ラッパー A$AP FERG らがイイ仕事。そして、JESSIE J、NICKI MINAJ と三位一体で合体した「BANG BANG」が元気ノリノリ!
●サードアルバム「DANGEROUS WOMAN」はまだ聴いてない。タイトルから考えると、余計な自意識芽生えて不良路線に流れちゃう先輩女性タレントと同じになるのか?と不安になるけど、彼女に関してはまだホントに「危険」ではないみたい。ウサ耳なマスクを被って結局カワイくまとまってるから。オルターエゴごっこもこの程度ならカワイイもんだね。


●しかし、こうした本物のテロが日本に上陸した時、我々の社会は対抗できるのだろうか?
「共謀罪」とか「テロ等準備罪」とかで大騒ぎしてるけど、ソーシャル経由で感化されたローンウルフのテロリストには対抗できないという意味で、機能しないような気がする。巨人戦のような東京ドーム5万人の動員イベントでテロが起きたら、誰がこの5万人を安全に避難させられるだろう?誰がケガ人を助けてあげられるのだろう。今国会で議論されてるコトと、テロへの具体的な対策が、ボクには全然イメージが結びつかない。








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