●うーん、最近は、うまく眠れないよ。少しクスリを増やしてるんだけど。

●ノーベル文学賞、カズオ・イシグロさん。読んでみたくなった。本屋さんに行こう。
アンソニー・ホプキンス主演のイギリス映画「日の名残り」の原作者だったのか。あの映画は好きだったよ。
●最近のアンソニー・ホプキンスの重要な仕事といえば、ちょいと悪趣味なドラマ「ウエストワールド」だけどね。


10月1日にラスベガスで起こった銃乱射事件。
死者58人、負傷者500人以上。アメリカ史上最悪の銃乱射事件になったとな。
●地元に住んでた64歳の白人男性が、19丁の改造銃をホテルに持ち込み、コンサートの観客の頭上から銃弾を連射し続ける。射撃地点から会場までは数百m離れてて(GoogleMapで一目瞭然)警察ですら最初はどこから射撃されてるかわからなかったほど。そんな強力な銃を犯人に売った店主は「彼はごく普通の男だったよ(EVERYDAY MAN)。趣味に使うと言ってた」…一体どんな趣味だ?全部で50丁近くの銃を持ってたんだぞ。
それでもトランプ氏は、銃規制問題には一言も言及しない…。

アメリカ合衆国憲法・修正第二条に書いてある…「(人民の武装権)規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。」修正第一条が「信教・言論・出版・集会の自由」だから、アメリカでは「銃で武装する権利」はめっちゃ高いレベルの自明な権利なのね。日本国憲法なら第一章「天皇」に続く、第二章「戦争の放棄」みたいなポジションだよ。憲法の根幹の位置付けだよ。

●アメリカドラマ「ウエストワールド」を見た後では、アメリカの見え方も変わってしまった。
●法も秩序も及ばない開拓時代のフロンティアは丸腰では生き残れなかった場所で、自分の命と財産を守るのは「銃」以外になかった。それを大過去の歴史として「かつてサムライは日本刀を持ってた」なんて流さないで、今だにアメリカ人は「銃」の威力を信じてるトコロに驚く。ハイテクテーマパークに再現された開拓時代の辺境で、絶対に抵抗しない人造人間たちを銃を向けて射殺したりレイプしたりして楽しむ観光客が「本当の自分を見出すために、欲望に忠実になれ」と楽しげに言う気分に、底知れない恐ろしさを感じたよ。

●そんで、ボクは事件が起きてから、このラスベガス出身のロックバンドを聴き続けてる。
●名前が THE KILLERS ってのは、たまたま過ぎる偶然だけど、バツの悪い皮肉みたいだ。

THE KILLERS「HOT FUSS」

THE KILLERS「HOT FUSS」2004年
●何もない砂漠の真ん中に煌びやかな歓楽街が建設されたのは実は戦後以降のことで、このラスベガスには100年分も遡れるような歴史はほぼない。そもそも街を作ったのはニューヨークのマフィアだし。そして今は年間4000万人以上の観光客(←これ日本全体の訪日外国人の2倍)を集める大都市。なのに、この街から生まれたロックバンドはこいつらしか思いつかない。彼ら自身も「新人バンドには演奏する場所もないし、そもそもミュージシャンも少ない」とインタビューでぼやいてる。そんな場所なのか。
●さてこの連中、2000年代前半のガレージ・リバイバル/ポストパンク・リバイバルの中から登場してきたたくさんのバンド群の中の一つ、という印象だった。このシーンはどちらかといえばイギリスで盛り上がったバンドブームで、最初ボクは THE KILLERS もイギリスのバンドだと思ってた。ところが聴いてみると、なんだかすごく野暮ったい音楽。同期として FRANZ FERDINANDO の名前が上がるけど、彼らのようなアート学生風の洒落っ気はないし、このシーンで重要だったキレのいいギターサウンドもイマイチ。ベターッとしたギターや雑なシンセ使いが田舎臭いと思った。そしたら出身地がラスベガス。ギャンブルに高揚する観光客で賑わうカジノの灯りを、オレらには関係ない場所、または将来の勤め先、みたいにぼんやり眺めてた若者が鳴らすロックなのか。まーそんな第一印象だったので、割とリリース直後に買ったのに、ちょいと聴いただけでそのまま放置してた。
●ただ、今週は、このバンドをずーっと聴いている。本国よりも先にイギリスでブレイクしたというけど、擬似ブリットポップな気分は全然ない。THE LIBERTINES ARCTIC MONKEYS のようなヒリヒリするガレージ感覚とも違う。でもバンド自身が公言してたようだけど、当時のアメリカのメインストリームだったポップパンクエモとは圧倒的に距離がある。でも、こんだけ聴いてると、ジワジワ効いてくる。何が効いているのか、説明できるかな?
●ビートを走らせてスピードのカタルシスが得られるでもなく。トリッキーなアレンジのギミックを仕掛けるでもなく。ボーカルにとびっきりの個性があるわけでもなく。ただ、ひたすら実直に、骨太のギターサウンドを鳴らし、ボーカルが朗々とクッキリとしたメロディを歌う。ただそれだけ、でも小細工ナシの潔さがある


THE KILLERS「SAMS TOWN」

THE KILLERS「SAM'S TOWN」2006年
●前作からチョッピリな比率で関わってた英国王道のサウンドメーカー ALAN MOULDER U2 などの仕事で知られる FLOOD までが全面的にプロデューサーとして参加しているのに、むしろアメリカンロック濃度が上昇したセカンドアルバム。シンセサウンドの存在感は増えてるはずなのに、泥臭さ埃臭さは増量してる気がする。そしてそれはこのバンドの個性がよりはっきりしていくコトであって、ボクとしては歓迎だ。前作「HOT FUSS」とペアで聴きながら、ボーカリスト BRANDON FLOWERSバタ臭い熱唱とキャッチーなメロディに心揺さぶられる。こんだけ毎日聴いてると、この骨太感覚がタマラン。モッタリした感じもむしろ安心させてくれる。
「SAM'S TOWN」というアルバムタイトルは、ラスベガスに実在する同名のホテルのコトらしい。バンドメンバーが若い頃に窓からココのケバケバしい看板を眺めてたとな。検索してホテルのサイトを見ると、確かにケバい。ケバすぎる。しかしお値段は割とお安め、泊まってみようかなーと思ったら、GoogleMapで見ると中心街からドエラく離れた町外れ。ラスベガスの街が東側で終わるあたりにある。銃乱射事件の現場とは完全に無縁な場所だわな。彼ら THE KILLERS のメンバーが見て来たのは、煌びやかな街のイメージとはウラハラに、そんな煌びやかさの中途半端でパチくさい側面をずっと鼻先に見せつけられ、自分の何者でもない日常との格差を思い知らされ続けた風景、そんな環境を想像してしまう。その奇妙なネジレはロックが発火するに十分な火種になるだろうね。一瞬 BRUCE SPRINGSTEEN を連想する場面もあった。

THE KILLERS「DAY AGE」

THE KILLERS「DAY & AGE」2008年
●ここに来て、ハッキリとしたメリハリでアレンジのスタイルが変貌してます。シンセ比率が増大しまして、荒ぶるギター圧力が減少してしまう。びっくりするほどダンス志向に転換。シングル「HUMAN」なんて、リリックに「ARE WE HUMAN ? OR ARE WE DANCER ?」って歌っちゃってるし。彼らが影響されたアーティストに PETSHOP BOYS、NEW ORDER などなどが挙げられるのがココに来て理解できた。しかも本作のプロデューサーは STUART PRICE。一瞬忘れてたけど、LES RHYTHMES DEGITALES の名で知られるフレンチハウスのクリエイターだ。マジでダンスミュージック化か。とはいえ、バンドサウンドが完全に脱臭されるはずもなく、メロディの実直なバタ臭さは健在だ。
●WIKIを見てたら、彼らの音楽を「HEARTLAND ROCK」と位置付けてる表現を見つけた。「ハートランドロック」ってなんだ?初耳。WIKI をさらに熟読すると、労働者階級の視点から発信された80年代のロックのコトらしい。先ほど名前を出した BRUCE SPRINGSTEEN、先日このブログで取り上げた JOHN COUGAR/MELLENCAMP、そして TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS が代表選手。アメリカの東端・西端の先進地域じゃなくてど真ん中の田舎の生活。主だったテーマは、中西部からラストベルト(衰退する工業地帯)に住む白人ブルーワーカーのための、都市の物陰に隠れたロマンス、苦いノスタルジー、故郷の衰退、失業と限られたチャンス、幻滅と疎外と絶望の物語。たとえ THE KILLERS の音楽がダンスロックに接近しようと、彼らが歌っているのは、こうした名もなき人物の悲喜こもごもであるというわけだ。「DUSTLAND FAIRYTALE」とか曲名が直球でそんなメッセージを含んでると思わせるよね。

ラスベガスの銃乱射事件の犯人が何を考えていたのか?それは全然わからない。
●64歳まで歳を重ねて、地元でフィリピン系の女性と愛ある交際をしていた。犯行の直前には彼女のフィリピンの実家に家を買う資金を送ったりもしてる。数十丁の改造自動小銃を集めてたコトは常軌を逸してると思うけど、周囲の印象は「ごく普通の男」だったわけだ。「ごく普通の男」が先進地域カリフォルニアと中西部ネバダの境目にあるラスベガスで眺めてた風景は、幻滅と疎外と絶望と苦いノスタルジーだったのかな。その絶望に、他人を引きずり込むことは決して許される行為じゃないけど。



●この動画、ロケーションがなぜか東京、歌舞伎町周辺とか。


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