中学三年生、高校受験に向けて勉強中の娘ヒヨコは、残念ながらおバカさんである。
●偏差値は悪くないのである。意外なほどに。時々ボクがびっくりするほどの成績を持ってくる。学年でもテストの点数はトップ10%に入る。
●なのに。
●社会の試験の準備でしっかり「公民」を勉強してたのに、テストの問題の半分は「歴史」だった。試験範囲を知らないし、知らないことに危機感もない。
模擬試験で志望校を記入する欄に、きちんと自分の志望校が書けない。結果を見ると、知らない学校の合否判定が出てくる。この前は男子校を志望してて「合否判定不可能」と出てきた。
●第一志望の学校で「合格率80%」の判定が出た!と浮かれまくって鼻高々のドヤ顔で塾から帰宅。信じられないから判定結果の書類をよく見せろといったら「あ、ない!塾に置いて来ちゃった」
荻窪の試験会場に向かうために中央線に乗ったら、いつの間にか立川に来てた。完全に遅刻。中央特快に乗ったらしいが、せめて手前の三鷹で気づいてくれ。そもそもJRとそれ以外は違うという概念をこの前まで知らなかった。
●今日気づいたが、ヒヨコはいつも時計を持たずに試験を受けてる。残り時間はどのくらい?とペース配分する発想はないんだ…。試験の終わりが近づくのは試験官のお姉さんの「あと10分です」で察知するとか。
●素行も悪い。友達とフザケあってトイレを水浸しにして大目玉。これが内申書に響いてる。精神年齢は小学生男子。
●テストの答案の中で失敗するなら、対策の勉強をガンバレと言えるのに、ヒヨコは答案の外で失敗しまくる。もう対策のしようがない。こうなったら、入学試験本番までに全ての失敗を全部やり尽くしてほしい。やりきったら本番で失敗しないだろうよ。

●この前の修学旅行では、奈良公園でシカセンベイを普通にボリボリと喰って、男子もドン引き。「すげーパサパサで、呑み込むのが大変だった」そこまでして食べるもんじゃないはずだ。


一方、息子ノマド高校一年生は、友達からSFの古典を借りてきた。

「2001年 宇宙の旅」

「2001年 宇宙の旅」1968年
●おいおいおい!息子ノマドよ、おまえ自身が2001年生まれだろ、なんでソコでこの映画なのよ?友達から借りた?その友達も変わってるねえ。でも古典的名作だし、クライマックスは意味不明のブッ飛びムービーになってるから、さあさあ一緒に見ようよ。で予想通り結末部分で「えーなんじゃこらー」とノマド口あんぐりしてた。
スタンリー・キューブリックがリアルな人類の月面進出の一年前に発信した宇宙の叙事詩はザックリいって4部構成。(1)おサルさんの群が謎の黒い物体・モノリスに接触して知性を獲得、人類の始祖になる。(2)一気に時代はワープ、月面までの快適シャトル旅行をたっぷりのミッドセンチュリー風レトロフューチャーでドヤっと描写。(3)木星探査宇宙船ディスカバリー号のクルーに対する人工知能 HAL-9000 の反乱。(4)そして木星圏でブッ飛びのトリップ体験。AIがリアルな技術になった昨今では第3部の HAL は興味深い。ただし、やっぱ最後のブッ飛びだけは何回見ても理解できないわ。
●でもさーキューブリックが変人だとしても、アーサー・C・クラークの原作はどうなってるんだろう?ちゃんとしてる人だから本当はちゃんとしてる内容なのかな?と疑問を発信したら即座にノマド「原作小説もセットで借りて来た」マジで!じゃあコレ読ませて。息子の友達が貸してくれた本をその父親が読む。なんだかヘンテコだが、まーしょうがない。

アーサー・C・クラーク

アーサー・C・クラーク「2001年宇宙の旅」
●映画では説明不足な部分がコチラにはシッカリ書かれてました。そもそも最初は脚本を書くつもりが、スタンリーが想像力をふくらますために小説として一本書いちゃってよお願い!と馴れ馴れしくリクエストしたことで書くことになったもの。結局、原作も脚本も映画制作もほぼ同時並行だったとあって、厳密に原作とも言い切れない存在だ。だって、映画じゃ木星探査船の設定が、小説では土星探査船になってたもん。美術スタッフの土星の輪の映像的描写にスタンリーが納得できなくて、木星に変更したとな。へー。
●映画「2001年宇宙の旅」といえば、ヨハン・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」が有名だ。娘ヒヨコは「日清カップヌードルのCMみたいだ!」と言ったがコッチが元ネタだ。早速スポッティファイ交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」の全体を聴いて見たが、やっぱりあの導入部こそがスゴくて、あとはよくわからんかった。
●また、映画では完全に省かれているが、小説には人工知能 HAL-9000 のクルー全員抹殺をギリギリでサバイブした主人公が、HAL を停止させてからの孤独な宇宙旅行が細かく描写されてる。地球との連絡も乏しく黙々とルーチンをこなすだけの時間を続ける彼は、気を紛らわせるために船内のオーディオシステムを音量最大で鳴らしてみたりするのだ。仲間は全員死んで、故郷から遠く離れて、帰還の保障も失って、虚空の中を一人進む。苦悩が滲む。とはいえ船内のオーディオライブラリーは同時代の60年代ロックという訳ではなくて、クラシックの名曲ばかり。その中で気になったのがジュペッゼ・ヴェルディ「レクイエムのミサ」。オペラで有名な彼は「アイーダ」などが有名みたいだけど、これも聴いてみたらとても悲痛な歌劇だった。絶望に負けそうになりながら宇宙の果でこの音楽を大音量で鳴らす。
●スマホとスポッティファイと、通勤の地下鉄と息子の友達の文庫本。それでも心は土星航路。


ボクはボクで、ボクの20世紀を振り返る。

PIZZICATO ONE「わたくしの二十世紀」

PIZZICATO ONE「わたくしの二十世紀」2015年
●1990年代の東京を鮮やかに盛り上げた「渋谷系」の代表選手 PIZZICATO FIVE が解散したのは2001年3月31日のことだ。木星/土星の有人探査船は実現してなかったけど、ニューヨークの911テロ〜イラク戦争も、311東日本大震災も、まだ知らずにいられた頃。あの解散イベント@渋谷オンエア(現・O-EAST)にもボクは行ったよ。
●その後の小西康陽氏は裏方の仕事に徹してて、初めてソロアルバムをリリースしたのは10年後の2011年だった。このアルバムは PIZZICATO 解散から15年の月日が流れた後のソロセカンドアルバム。たった一人なので PIZZICATO ONE という名義を使っているけど、小西氏のプロデュースの元、様々なシンガーが PIZZICATO 時代などなどの名曲をカバーするという企画だ。
●とはいえ、雪景色のジャケが暗示するように、あえてカラリと能天気に振る舞った90年代 PIZZICATO FIVE とはうって変わって、最小限の楽器とアレンジで仕上げたアコースティックまたはスモールコンボジャズな雰囲気は、あの「渋谷系」の喧騒とはウラハラに、あまりに静かすぎて、まるで「晩年」の気分すら感じる。今年3月に亡くなったムッシュかまやつさんのフォーキーな語りを聴くと、よりそんな気分が高まる。
PIZZICATO FIVE 後期の楽曲「私の人生、人生の夏」小泉今日子さんが歌うのがステキ。彼女の声は一瞬で認識できるほどのインパクトがあるんだね。甲田益也子という女性の大人な魅力にもウットリ。アラフィフというよりアラカンに近い女性の落ち着き。モデルからキャリアを起こし、女優さんとしても活躍。80年代のポップユニット DIP IN THE POOL のボーカルだったとな。ああ、このユニットは聴いたことがない。今度探してみよう。UA、YOU、市川実和子さんなども参加。でも一番好きなのは、原曲も大好きな「マジックカーペットライド」のピアノバージョン BY 西寺郷太(ノーナリーブス)& ENAHA のデュエット。彼ら二人のデュエット「恋のテレビジョン・エイジ」もステキ。


●唐突ですが、アイドル音源。小西康陽プロデュースなので。

NEGICCO「アイドルばかり聴かないで」

NEGICCO「アイドルばかり聴かないで」2013年
●アイドルグループに、「アイドルばかり聴かないで」と言わしめる逆説的なメッセージが愉快で小西さん風のアイロニーになってるポップミュージック。「どんなに握手を慕ってあの子とはデートとか出来ないのよ、ざんねーん!」
●それと、PIZZICATO FIVE が何回も使ってたフレーズ、「A NEW STEREOPHONIC SOUND SPECTACULAR」NEGICCO ちゃんたちがオンリーでしゃべってる様子が収録されてます。シークレットトラック扱いでね。声ネタで使ってみたい方はどうぞご参考に。
●ちなみに、PIZZICATO ONE でボーカル参加していたノーナリーブス西寺郷太氏が、NEGICCO のこの音源の次のシングルをプロデュースしてるってことに気づいた。「ときめきのヘッドライナー」2013年だ。この音源もたまたま持ってたので聴いてみると、元気一杯のダンスポップでした。別のシングル「愛のタワー・オブ・ラブ」も彼の仕事で、リミックスはオーセンティックな四つ打ちハウスになってた。
●さらにおまけに言及すると、80年代 PIZZICATO FIVE の2代目ボーカリスト・田島貴男も彼女たちのシングル「サンシャイン日本海」2014年をプロデュースしてる。NEGICCO の運営は「渋谷系」依存症なのか??田島氏も楽しい仕事だったのか、自分のアルバムでセルフカバーしてるとな。へー。これもたまたま持ってたので聴いてみたけど、レトロなグルーヴがユニークね。



●PIZZICATO ONE(feat. 甲田益也子)「フラワー・ドラム・ソング」。
●これも全盛期 PIZZICATO の傑作だった曲だわ。これがこんなにジャジーになっちゃって。



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