気分が落ち込んでいる。
「今日は、しょんぼりモードですか~?」ワイフが聞く。「はい、そうで~す」ボクが答える。自分の部屋にこもって大昔のカセットテープを静かに聴いてた。どろ~ん。そうか、こういう気分を「しょんぼりモード」と呼ぶのか。気分が最悪なのは分かっていたが、その気分に名前がつくとちょっと安心する。マヌケな名前をつけてもらうと、より安心する。

●ワイフ「ノマドに小学生クラスのバレエを見学させたんだけど、全然やる気がないのよね~。おとなしく椅子に座ってないし、と思ったら居眠りしたり。とにかく目がどろ~んってしてんのよ」男のクセになんの因果かバレエ教室に通う息子ノマドは、妹と一緒のベビークラスから、この春ワンランク上のクラスに進級する予定だ。果たして本人にやる気があるのか?
●ワイフ「で、しょうがないから途中で帰ってきちゃった。ノマドって時々何考えてるんだかサッパリ分からない時あるのよね。でもあのどろ~んとした目を持つ人間が、この家にはもう一人いるんだ、と今気付いたわ」息子が自分に似すぎるのはホントに困る。ノマドよ、くれぐれも真っ当に育ってくれ。父のような「しょんぼりモード」にハマらないでくれ。

●夕食時にバレエの話をノマドにしたら、結構やる気になってた。進級すれば同じ幼稚園のマリちゃん(美少女)と同じクラスになるのだ。ヤツの第一のモチベーションは、マリちゃんだ。おお、パパはそういうヨコシマな動機付けは大好きだ。男子たるものモテたくて努力するもの。間違ってないぞ、ノマド、それは真っ当だと思う。


今週は新橋に行った。

新橋の風景

●新橋という街は、ボクには微妙に居心地がいい。どこかクタビレていて、そのクタビレた気分をダラダラ引きずっていても許してくれるようなだらしなさがある。中央通りを一本挟んだ汐留エリアとは雲泥の差だ。仕事していた時のボクは新橋と汐留をクルクル往復しながら……クルクルクルクル……目が回ってしまったようだ。

●新橋での用件は、会社の用事だった。経理上つじつまが合わないお金があるので、ボクの業務用口座の取引履歴を遡って調べてほしいというのだ。どうやって調べるんだろ? 家に一番近い支店に電話をかけたら「口座のある取引支店でお話しください」とのこと。サラリーマンでありながらこのテの堅苦しい手続きが死ぬほど大キライなボクは、この時点でムカムカしてくる。あ~?わざわざ新橋まで行けと?
●で、その新橋駅前に到着して、さらに愕然とした。あると思ってた場所から銀行が消えてる。ビルは空っぽ。さすが半年休職、まさにボクは浦島太郎! 半年経てば銀行も移転するのか! たまたまソバに立ってたお巡りさんに尋ねた。「そういえば前はありましたね…。どこ行っちゃったんでしょうね?」ソレを聞きたいのはボクだよ!ムカムカ!
●空っぽになったビルの前から 104 で新橋支店の番号を調べる。で早速電話すると…「00銀行でございます。自動音声によるご案内をしております…」ああ、イラツク!「店舗のご案内は1を押して…」1!それでも自動音声がまた登場。「支店名をおっしゃってください。音声を認識して所在地をご案内します」新橋支店の番号にかけてんのになんで支店名を言うんだ?「新橋支店!」「了解しました。西心斎橋支店の場所は…」殺す!殺す!殺す!早く生きてる人間を電話に出せ!

●その後30分ほど新橋をうろついてなんとか支店に到着して目的を達成する事が出来た…。病気によって感情的なパワーを全て失っていたボクに、一番最初に戻ってきた力は「イライラするパワー」だった。うぜー。中途半端だわ。もっと前向きになれないものか…。


今週は、美容院にも行った。
●このクサクサした気分を解消するために、バッサリ髪の毛を切ろう!いいアイディアだ! ヒヨコの七五三でお世話になった下北沢の美容院に電話した。「今日、30分後でいいですか」速攻である。
●超無精モノであるボクは3~4ヶ月くらい、極端なときは半年くらい髪の毛を伸ばしっぱなしにしてる。おかげでリアルに「ゲゲゲの鬼太郎」みたいな髪型になってた。前髪が口に入るほどですよ。ボク「もう限界です」美容師さん「そうですね、ちょっと伸び過ぎですね…」ボク「バッサリイッて下さい。前回も言いましたけど、またココに来るのは4ヶ月くらい先ですから、そこまで保つように」美容師さん「unimogrooveさん、もういらしてくれないと思ってました。前回が9月のアタマでしたから、ホントに4ヶ月ですね。予言通りですね」それってノストラダムスみたいだ。

シャンプーの時。
●美容師さん「頭皮、疲れてますね~」ええっ?「疲れてるとか、わかるんですか?」「一応プロだから、触ると分かるんですよ」疲れてるとどうなるんですか?「頭皮がとってもカタいんです。血行にも影響しますから髪の毛に栄養が行き渡らなくなりますね」うっ!実は最近前髪の後退がちょっぴり気になってた…!ショック!「目も疲れてるようですね。肩から首、頭、目の回りの筋肉は全部つながってますから、肩もコってらっしゃるんじゃないですか?」そのフレーズ鍼灸師さんもまんま同じ事言ってた。そして見事的中。先週から激しい肩凝りと背中の痛み、眼精疲労が止まらない。だから気分も最低なのだ。「頭皮クレンジングマッサージしてみます?2500円ですけど?」図星を突かれてドギマギしてしまった。「…お願いします」うっ、まんまとヤられたかも。


今週は、いつもの鍼灸治療にも行った。
●年末年始で一週空けてしまってボクのカラダはもうガタガタだった。ココに来るのが待ち遠しかったですよ~。毎週の常連さんになってしまったボクに対して、ここの女性の先生はボクのコトを、まるで息子か弟かのように扱ってくれるようになってる。「お~よしよし、痛いわね~、可哀想に」今週は特に念入りに治療してくれて、気付けば3時間たってた。

そんで夕暮れの東銀座。

演歌屋ミヤコ

「銀座の演歌屋・ミヤコ」
●鍼灸院の近所、晴海通り/三原橋の上にある、根性の演歌専門レコードショップ。その硬派な存在感は独特のオーラを放っていて、かなり前から気になりまくっていたが、さすがのさすがにこの店でボクが買うモノはないだろうと思ってた。でも今回初めてこの店に入ってみた。
●すげえ、ホントに演歌しかない。しかも在庫がスゴい。50%がCD、10%が7インチアナログ、そして40%がカセットテープなのだ!演歌業界は今でもカセットで新曲をリリースしてるのか、それともこの在庫自体がデッドストック的なヴィンテージなのか。恐るべし「銀座の演歌屋」
●ボクが欲しかったのは、カセットデッキのクリーニング液だ。先日古道具屋で買ったカセットデッキ、音が良くねえなと思ったら、ヘッド部分がスンゴく汚れていたのだ。しかし今の世の中、カセットのヘッドクリーナーなどどこに売っていようか?…で、考えたのがこの店だ。カセット売ってるならクリーナーもあんじゃないか?
●正直、こんなにカセット在庫があるのは予想以上の衝撃だったが、ホントにクリーナーも売ってた。一個だけ。ホコリかぶって超キタナい。十数年だれも触ってこなかったような感じ。カウンターに持ってくと、ご主人、値段が分からないみたいで、「うーん、300円でいいや、最後の一個だし」ゆるい!このゆるさはイイ!

テープクリーナー

●で、これがその戦利品です。ハコを丁寧に見たらキチンと800円って書いてあった。日に焼けて色が薄くなってたけど。音はウンと良くなりました。


●つーことで今日、カセットテープ聞いてたわけです。「しょんぼりモード」で。そしてコドモが寝た後、気持ちを入れ替えようと思ってみたのが、三木聡監督作品。「時効警察」で気になったこの監督が今超注目。

「イン・ザ・プール」

「イン・ザ・プール」2004年
●出演:松尾スズキ・オダギリジョー・市川実日子・田辺誠一。ちょっとオカシなココロの病気にかかった人々が、かなりオカシな神経科医のトコロに訪れ、ヘンテコなコトに巻き込まれてくコメディムービー。患者さんたちのビョーキっぷりが、ボク個人にスゴく心当たりがあるので一層笑える。声出して笑ってるボクに、ワイフは「大丈夫、こんな映画観ちゃって?」ボク「いや、多分ギリ!」
オダギリジョーは、継続性勃起症のサラリーマン。ズーッと立ったまんまで治らない。自律神経のバランスが崩れ、副交感神経が交感神経に優位に立つとこういう事になるらしい。あはは、コレボクとちょうど逆じゃん!
市川実日子は、強迫神経症のライターさん。ガスを消したか、戸締まりしたか、気になってしょうがない。不安がピークになると「がびーん」になって大事な仕事も放り出して家に戻ってしまう。コレね、ホントにダメになると、リアルにこうなるんだよね。気持ち分かるね~。
田辺誠一は、プール依存症のプロジェクトリーダー。3人の中じゃ一番マトモそうに見えて、一番ヤバいです。デカいプロジェクト任されて、溜まるストレスをプールで泳ぐ事で発散してる。でもいざプールに行けなくなると……。この人の崩壊の仕方が、一番ボクに似てるかな。ボクも一時期ジムに通ってましたよ。本来は運動大嫌いなんだけど、30分ランニングマシンの上を走ってると、クラクラめまいがしてきてある意味気持ちイイ。
●医者である松尾スズキが誰よりも深く狂ってるんだけど、その狂ったお茶目っぷりが深刻さを全部吹き飛ばす。ワリとその辺にリアルに転がってるココロの病気を、カラリと笑わせてくれる三木監督の脚本がイイ。しょーもない笑いの手数の量がスゴい!細かーい意味なしギャグがチョビチョビ積み重なって、結局最高に笑わせてくれる。ホントにムダばっかりなんだけど、ジワジワ笑えるんです。あ、笑わせてくれるけど、病気は治んないよ、やっぱり。
●セリフの密度、テンポ、スピード感に、細心の注意を払って演出されてる。さすが「トリビアの泉」の構成作家、あれもナレーションのテンポだもんね。「実際にやってみた…。」実際にやんないでいいよ!でもそのムダ感が最高。

「ダメジン」jpg

「ダメジン」2006年
●やはり三木聡作品。ホントは2002年に撮り終わってたんだけど、プロデューサーが逃げてしまいお蔵入りになりかけてたらしい。プロデューサーの気持ち、ちょっと分かる。これはホントに下らないんだもん。ダメ過ぎる。ダメ過ぎて超笑える。例えるならば、まるでキタナい靴下100本が洗濯機の中でクルクル回ってるのから目が離せなくなってるような状態。
●出演:佐藤隆太・緋田康人・温水洋一・市川実日子。3人のホームレスの実にしょーもない毎日を、これまた手数の多いムダで意味なしギャグで彩る。これまたシュール度は「イン・ザ・プール」の8割増。ドブ川に浸かって一生を暮らしてるオジさんとか、トルエンでラリると見える女子高生の幽霊とか、黄金に光るサイババ星人とか賑やかでしょうがない。ストーリーは特になし!ただダメな人々を眺めるだけの映画!
「時効警察」にも出てたけど、ふせえり・岩松了の二枚看板は三木作品には欠かせない。皆勤賞じゃないすか。もうふせえり出てきた瞬間だけで笑えるようになった。
 
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