ハッキリ言って、落ち込んでいる。
●音楽聴いても全然オモシロくない。耳に入ってこない。ウルサいだけだ。文字通り、一日中ふて寝して過ごした。寝て、メシ喰って、寝て、メシ喰って。テレビも本も読まない。ただ黙ってクスリを飲む。胃腸薬、整腸剤、漢方の風邪クスリ、そしてイツモのワンセット。3種類の精神安定剤に抗うつ剤、睡眠薬に4種類の気管支ぜんそくのクスリ、おまけに尿酸値を下げるクスリまで。もう手に負えねえよ、自分のカラダが。復職が白紙になって、荒れてしまってる自分のココロが制御できない。なんのやる気も起きない。


でも、このDVDを見て、元気が出た。
●コドモが寝静まった静寂の中で、DVDを1人見るのが最近の習慣だ。ホントは観る気になれなかったのだが、返却日が迫ってるので、なんとなくデッキに乗せてみた。

アート・オブ・トイピアノ マーガレット・レン・タンの世界

「アート・オブ・トイピアノ マーガレット・レン・タンの世界」
マーガレット・レン・タンは、シンガポール系のピアニストだ。前髪パッツン、サイドも鋭角に切りそろえた漆黒のボブに、小柄な身体。現代風にアレンジされたチャイナドレスでピアノをプレイする。年齢は50歳くらい? 華麗で神秘的なオリエンタル美人を想像する?とんでもない。本編開始5分で度肝をヌカレた。
●本編冒頭から、ビックリするようなピアノ奏法を見せつけられる。鍵盤を使わないのだ!グランドピアノの中に頭を突っ込んで、内部の弦を直接叩き、弾き、爪弾く。そして巫女のようなうなり声を上げるのだ。まさにピアノと格闘する鬼ババア。恐ろしい。

●シンガポールの華僑の家に生まれた彼女は素晴らしいピアノの技術を見込まれて、単身16歳でジュリアード音楽院に入学、この音楽院で女性で初めての博士号を取得した才女だ。しかし彼女の大冒険はここから始まる。クラシックピアノの世界を捨て、アヴァンギャルドの前衛音楽に飛び込んでいくのだ。
●彼女の解説で、20世紀の現代音楽の進化が端的に説明される。今まで本で読んでた知識なんぞ何も役に立たない。そのプレイを眼前に見せつけられて、初めてその凄まじさを思い知らされる。あの手この手の卑怯な裏技で、ピアノの限界を追求するのだ。特に彼女の直接の師匠であるジョン・ケージ(20世紀現代音楽の超重要人物)との交流と技術の継承には伝説を観てるような気分になる。

●彼女が繰り出す荒技は、是非本編を見てビビってほしいと思うんだけど、バカなボクはちょっとだけネタアカシをしちゃいます(注意!)。彼女は鍵盤を叩くにも指だけじゃ足らない。ヒジ全部を使ってダーンとピアノを押しつぶす。曲によっては、ピアノのフタを開けずにフタをパタパタ叩いて演奏する。どの指でピアノのドコの部分を叩くのか全部楽譜で決まってるんだと。そして、かの有名なプリペアド・ピアノ。ピアノの弦にネジを挟み込んでしまう。スゴい音が出る。望ましい音を得るためにネジの大きさ選び、位置合わせに数時間もかける。ネジの設置で指はボロボロになり激痛に悩まされるらしい。さらには紙だ皿だ食器だをピアノの中に放り込んでかきむしる。本で知識を得ていても音は聴こえてこない。まさしく目からウロコ。

●タイトルの「トイピアノ」は彼女のキャリアのほんの一部だ。でもパワフルなパフォーマンスとは裏腹なカワイらしい音を出すトイピアノはとても魅力的だ。パリの街を、トイピアノを小脇に抱えて歩く彼女はとてもキュートだ。

●彼女は前人未到の領域に1人で突っ走ってる。そしてその演奏は美しい。彼女のドキュメンタリー、そして演奏を観て、ボクの中に勇気と冒険心が湧いてきた。また明日も戦える。何と戦うのかは、よくわかんないけど。
 
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