微熱と胃のムカつきにウナサレながら、聴いているのは PORTISHEAD 。
●病気の時には、この程度くらいホドよく病んだ音楽がちょうどいい。女性ボーカリスト BETH GIBBONS の声が、頭の中でネバネバと糸を引きながら悪夢を繭で包んで溶かしてしまう。そんな気分。


DummyDummy
(1994/10/17)
Portishead

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PORTISHEAD「DUMMY」1994年
●デビッド・リンチ監督の描くような悪夢の世界に迷い込んだようだ…。ベルベットのカーテンを背にしてキャバレー・シンガーが悲しい歌を歌ってる。チープな照明に照らされた安いステージ、場末のキャバレー、無人のフロア。誰も聴いてないのに歌う悲しいシンガー。「誰も私を愛してくれない…本当のこと…あなたのようには愛してくれない…」メランコリックに響くワウワウギターとフェンダーローズ。ウイスキーをストレートに飲んだかのように身体が火照る。壊れたラジオが電波を拾い集めて、古い音楽から削り出されたサンプルの断片をまき散らす。ああ、シンガーはマネキン人形だった……ターンテーブル仕掛けで動くカラクリ人形……彼女の心臓はシーケンサーで、BPM90でビートを鳴らしてる。回る回る回る、全てが回る、ターンテーブルの上に乗って全てが輪を描いて回る。めまいと吐き気が止まらない。

PortisheadPortishead
(1997/09/30)
Portishead

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PORTISHEAD「PORTISHEAD」1997年
●悪夢はまだ続いている…。マネキン人形が倒れて粉々に砕け散る!でも歌声は止まない…砕けたマネキンの頭蓋から古びたスピーカーが転げ落ち、そこから擦れた声が響いている。暗闇の中に深く大きな穴がある……ひざまずいて穴の底を覗くと、そこは大きなオーケストラピットだった。穴から立ちのぼるカビの匂いと、亡霊たちが奏でる弦楽器とシンバル。規律正しく演奏する亡霊すらもがターンテーブル仕掛けの操り人形。床は生温かくて結露に湿り、手足が滑ってもう立ち上がれない。全身から汗が噴き出る。心臓の鼓動と重低音ベースがシンクロして、上下左右の感覚がなくなる。鼓膜の内側でギターが鳴り響く。床に横たわって高い天井を見上げると、シャンデリアが振り子のように大きく揺れている。蜘蛛の巣まみれのシャンデリア…規則正しく規則正しく、シーケンサーが刻むビートと共に、シャンデリアは揺れる。高い天井に歌は響く。めまいと吐き気はまだ止まらない。

ThirdThird
(2008/04/28)
Portishead

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PORTISHEAD「THIRD」2008年
●悪夢の質が変わった……古い配管が破れて高音の水蒸気が吹き出た。白い煙と強い熱に目を開けていられない。部屋の温度はどんどん高くなる。喉が焼け付くように熱い。金属が真っ赤に光って溶け落ちる。心臓の鼓動はどんどん早まり、重低音はもう凶暴な本性を全く隠さない。尖ったビートの牙が肉に食い込み激痛が走る。こめかみに錆びたネジを捻り込むかのような、容赦ないリズムの拷問。その向こうで安いガットギターを引っ掻く音がする…死に逝く者への鎮魂歌を奏でるように。歌声が聴こえる…ターンテーブル仕掛けの天使の声。しかしビートは地獄の業火。地面は割け、その下には溶岩の流れが見える。吹き上がる熱気。皮膚が焦げる匂いは吐き気を催す。
●ああ…「MACHINE GUN」の掃射が始まった。天使の美声の下で殺戮が始まった。BPM105のペースで悪魔の機銃が凶弾を連射する。一発で人間の頭蓋を打ち砕く破壊力。重低音テロが人民をなぎ倒す。ターンテーブル仕掛けの天使は、人々を救わない。死を悼むために涙することもあるかも知れないが、世界を焼き尽くすビートの業火の上をただ漂うだけの彼女には、何もできることはない。密室に始まった悪夢は、今や全世界に拡散して戦慄と恐怖を振りまいている。めまいと吐き気は止む気配がないが、睡眠薬が引き起こす不自然な眠気が、ボクを暗黒の深淵に突き落とす。
PORTISHEAD は自分たちの狂気を隠すことを止めた。世界の病みと歪みを、憎しみと悲しみを込めて、音として放射するようになった。トリップホップは、バッドトリップの媒体になった。

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