●先週末はコドモたちの運動会だった。

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最近の小学校は、6月が運動会シーズンなんだよね。
●クソみたいに天気がよくて、日に焼けてしまった。炎天下に長時間晒されるのは病気的に厳しいので、ナカヌケして学校の近所の喫茶店で読書して過ごしたりもする。息子ノマドは徒競走で事前目標を見事達成、前年度比ワンランクアップ。つまり去年はビリだったけど、今年は3位だった。娘ヒヨコは言うまでもなくビリですが。でもヒヨコはバレエで鍛えたセンスのおかげかオユウギの身のこなしがズバ抜けて安定してて、我が娘ながらビビった。これで、もうちょっとスタイルがよければイイのに。見事な赤ちゃん体型なんだよな…。


そんな休日を送ったがためか、実にカラダがカッタルイ。
●先週は復帰第一週目として少し気負って会社に挑んでいたが、今週はイイ感じに肩のチカラが抜けて仕事にあたっていられる。くだらないトークで時間を過ごしたりしてて実に脱力。もっと巧妙に仕事をサボるテクニックを身につけたい。ある意味正常な感覚に近づいてきた。サボり願望が「正常」ってのも、ちと困りモンだけどね。



さて、今日の音楽は、ミドルスクールのヒップホップだ。
●1989年、DE LA SOUL などの文系ヒップホップな連中が、ソレまでのヒップホップと自分たちの世代感覚を区別するために、「ニュースクール」という言葉を使った。「オレらが新世代。ソレまでの連中は旧世代」という言い分。「ニュースクール」の系譜は紆余曲折を経て、今だに「ナードラップ」「バッグパッカー」という名前で文系ヒップホップの伝統を繋いでいる。そんでソレらはもれなくボクの好物でもある。
●しかし一方で、「旧世代=オールドスクール」の連中が退屈かというとそうではない。80年代の段階でヒップホップはそれなりの進化と深化を遂げ、ニュースクール/オールドスクールと区切る事も実は乱暴なハナシだ。ソコで、マジモンのオールドスクールとそうでない世代を区別する言葉もアトから生まれた。「オールド」ではないオールドスクール「ミドルスクール」と呼ばれるようになったわけだ。
「ミドルスクール」の世代には重要なユニットが数々含まれる。RUN D.M.C. PUBLIC ENEMYL.L. COOL J も、オールドともニューとも言えない中間世代だ。やや性格が違うので括りにくいが、BEASTIE BOYS だってこの時代にキャリアを起こしている。そして、ニュースクール登場後もミドルスクールは特別な存在感を示していた。今日はそのヘンを聴くのである。


EPMD。金儲け大好きのファンクマスター。
ERIC SERMON PARRISH SMITH の2MC。''E'' ''P'' の二人組が、カネを稼ぎ出す(MAKING DOLLARS)。この頭文字が「EPMD」。あくまでオレらはカネにコダワルぜ!というコトで、アルバムタイトルには必ず「BUSINESS」という言葉が含まれてる。そんな連中だけど、そのトラックは超重量級ファンクで腹に響く。半端なファンクじゃカネにはならねえ!そんな根性が男前。

EPMD「STRICTLY BUSINESS」

「STRICTLY BUSINESS」1988年
''E'' ''P'' のファーストアルバム。厳密にビジネスだそうだ。しかし内容は厳密にファァァ~ンク。ベースが太くて黒くて固い。ラップが技巧的とは言わないが、チンピラちっくな凄みは半端じゃないです。あと時代が大らかだったのか、超弩級有名ファンクをドッカンドッカンサンプル投下してます。一曲目から BOB MARLEY作/ERIC CLAPTON 版の「I SHOT THE SHERIFF」を硬派に決めてるし、ZAPP BAND「MORE BOUNCE TO THE OUNCE」を骨組みにして、KOOL & THE GANG「JUNGLE FEVER」をサクッとブレイクに使う曲もあって実に大胆。その他 OTIS REDDING THE J.B'S、RICK JAMES、そんで STEVE MILLER BAND まで使っちゃう。そしてソレをザックリファンクにオトし込むセンスが硬派以外の何者でもない。

EPMD「UNFINISHED BUSINESS」

「UNFINISHED BUSINESS」1989年
ビジネスは順調に進行中、オレらは永久に止まらないゼ。ネタはより王道ファンクへ接近し、 FUNKADELIC JAMES BROWN、B.T. EXPRESS、THE STYLISTICS、MFSB などなどをガッツリ使用。ファァァ~ンク。小細工ナシの太いビートに揺さぶられて、ドスの利いたラップに凄まれて、気分は映画「ダーティハリー」のようなイタナイ70年代クライムムービーを犯人目線から見ている感じ(特に3曲目「GET THE BOZACK」やJB使いの「THE BIG PAYBACK」)ワルモンに囲まれて、サツにも追われて、てっとり早く大ピンチで、気持ちよくボコボコにされます。ネタで注目は、ラスト曲で DAVID BOWIE「FAME」を声ネタで使用してるトコ。それと弟分の K-SOLO が一曲客演。K-SOLO のこの時代のソロアルバムもかなりヤバい気配濃厚なんだけど、まだ未聴。音源ゲットしてえっす。

EPMD「BUSINESS AS USUAL」

「BUSINESS AS USUAL」1990年
●ヤベえヤベえ。取引の現場を押さえられて、ショットガンで武装した警官隊に囲まれちまった。とんだドジを踏んだぜ、なあ相棒。しかしどんなピンチでも余裕な二人。だって二人はファァァ~ンク。ファンクがあれば何でも出来る。そんなジャケ。実はコレはリアルタイムで聴いてた一枚。当時高校生だったボクに、明確にヒップホップのヤバさを教えてくれた。一曲目「I'M MAD」の高速ファンクで一気に発狂。今クレジットをキチンと見ると、客演で愛弟子 REDMAN が初登場。同世代のラップスター L.L. COOL J も参上。

EPMD「BUSINESS NEVER PERSONAL」

「BUSINESS NEVER PERSONAL」1992年
ビジネスに個人的な感情を入れこんじゃあイケねえなあ。あくまで冷徹冷酷に。それがクールってモンだろう?……とは言うものの、実はレコーディング中に ''E''''P'' の二人にカネのトラブルが発生。あげくソレが''P''の家への強盗騒ぎに発展し、オマケにこの犯人が「''E''にそそのかされました」と証言。カネの切れ目が縁の切れ目か、このファンク兄弟の絆に決定的な亀裂が出来ました。PARRISH SMITH はユニット名「EPMD」からシレッと「E」の字を抜き、ナニゴトもなかったかのように「PMD」として活動を続行。ERIC SERMON は自分に近い舎弟を集めて DEF SQUAD なる組織を形成、REDMAN、KIETH MURRAY をプロデュースしていくのでありました。
●そんな残念な結果になってしまうんだけど、アルバム自体の完成度は素晴らしく、第一期 EPMD として最高のセールスを達成。PARLIAMENT をネタに使い、REDMAN、K-SOLO らも集結したシングル「HEAD BANGER」はファンク魂がまさしく大噴火。ROGER TROUTMAN のトークボックスネタをサビにガツッと使った「CROSSOVER」は文字通りのクロスオーバーヒット、ビルボードで42位まで上昇。また、EPMD 一派の重要グループ DAS EFX が見参。やはり彼らもファァァ~ンク。PARLIAMENT ネタでもう一曲「PLAY THE MEXT MAN」は BPM早めで日本人好み。遅くてヘヴィなのはその次の曲「IT'S GOING DOWN」。なんと MARVIN GAYE 使い。そして重い。聴き所多いわ!

●その後、''E''''P'' の二人は1997年に仲直りして再結成。復活作「BACK IN BUSINESS」1997年、「OUT OF BUSINESS」1999年を発表します…が往年のファンクパワーはなぜか薄まってしまい、ちっともオモシロくない凡作に仕上がってしまいました。残念残念。


MARLEY MARL と LORDS OF THE UNDERGROUND。
ミドルスクールの重要プロデューサーとして MARLEY MARL も忘れられない存在。彼はレーベル COLD CHILLIN' と自身の一派 JUICE CREW を率いて BIZ MARKIE、BIG DADDY KANE、ROXANNE SHANTE、KOOL G RAP などの才能を世に送り出し、 ERIC B. & RAKIM L.L. COOL J にもトラックを提供します。つまり時代の寵児。彼の持ち味はホコリっぽいブレイクをサンプルして構築するトラックメイキング。80年代をこのスタイルで席巻し、サウスブロンクス出身の KRS-ONE とクイーンズ出身の自分たちとで「橋をまたいで、ドッチがヒップホップの元祖か?」と舌戦を繰り広げたりもしました。
●そんな MARLEY MARL が90年代に面倒を見たユニットが、LORDS OF THE UNDERGROUND。ニュージャージー出身の 2MC & 1DJ のトリオでゴザンス。やっぱりコレが実にファァァ~ンク。EPMD が分裂/失速する中、イーストコーストのハードコア路線を体現していくのであります。

LORDS OF THE UNDERGROUND「HERE COMES THE LORDS」

「HERE COMES THE LORDS」1993年
●地下世界の君主サマがやって来る!「ヒカムダローズ!ヒカムダローズ!ヒカムダローォォォオオオズ!」キックとビートの強いトラックはファンク度高し!でもサンプルのネタは実はジャズ系で固めてる。GANGSTARR D.I.T.C.一派が登場してきたこの時期では、ファンクをまんまサンプルしてファンクを練り出す手法は確かにアウト気味になってたのでしょう。しかし矢継ぎ早にリレーする2MC のラップは、甲高い声質とちとトリッキーなフロウで、キラリと光る奇妙な個性。そしてそれが結果としてファンクに機能する。加えてキャッチーなサビラインをミンナで連呼して、それが実にキャッチー。ちなみに MARLEY MARL がプロデュースと見せかけて、結構な比率(四分の一)で弟子筋の K-DEF というオトコがトラックを組んでる。

LORDS OF THE UNDERGROUND「KEEPERS OF THE FUNK」

「KEEPERS OF THE FUNK」1994年
ファンクの継承者というタイトルを冠して放ったセカンド。そのタイトル曲では、ファンク大明神 GEORGE CLINTON & P-FUNK SINGERS をお迎えしてコーラス参加してもらってる。でブリブリベースは生弾き。従って仕上がりはファァァ~ンク。ピーヒョロロロ~なキーボードにウエッサイな G の香りも。クレジットにネタの表記が入ってサンプルが分かり易くなった(多分ダマでサンプルしたモンのホンの一部に違いないだろうけど)。LES MACCANLOU DONALDSON など、クールなジャズファンクが目立つが、R&B の珠玉 DENIECE WILLIAMS「FREE」の可憐なサンプルもグッとくるのです。トラック制作は MARLEY MARL を中心に、弟子 K-DEF との二枚体制。
● iPod で鳴らしながら家に帰ったら、コドモたちがボクを出迎えてくれたので、ヘッドホンを二人の耳につけて聴かせてみた。トランペットのサンプルで出来たループにノマドが声を上げ、ヒヨコはキックに合わせて踊り出す。コレがヒップホップだよ、コドモたちよ。



リアル・オールドスクーラーの意外な転身。凶悪 UKダブ に転職しちゃった。
知ってる人はフツウに知ってるが、知らない人には「へー」な話。世界で初めてのヒップホップのシングルは THE SUGARHILL GANG「RAPPAER'S DELIGHT」1979年だっていうのは基本常識ですわな。つまりはコイツらこそホンマモンの「オールドスクール」で、ディスコファンクに早口言葉を楽しく乗っけたようなモンを鳴らしてた。あと「APACHE」1980年という有名曲もありますわね。言わば古典ね。でもでも、THE SUGARHILL GANG はニュージャージーの連中で、ストリートでヒップホップを編み出したニューヨークの連中とはちと違い、ヤマっけのあるヴェンチャーなレーベル SUGARHILL の女社長がでっち上げた気配がある。ホンマモンのオールドスクーラーはまだまだ他にイッパイいたのですね。
●それはそれで置いといて、この THE SUGARHILL GANG、マジでオールドスクールなんで、後ろに控えているのが DJ&ターンテーブルなのではなく、リアルなファンクバンドだったのです。で、コイツらがスゴい。ベースの DOUG WIMBISH は先鋭的なブラックロックバンド LIVING COLOUR のメンバーだし、ドラム/パーカッションの KEITH LEBLANC もギターの SKIP MCDONALD も敏腕スタジオミュージシャンだった。そんな三人がある日、不思議なイギリス人に出会ってしまった。そのオトコの名は、ADRIAN SHERWOOD。UK ニューウェーブシーンの重要人物で、レーベル ON-U SOUND の主宰、そして希代のダブマスターである。そんでコイツが言うのだ。「オレとダブしねえ?」
●結果、THE SUGARHILL GANG のバンド部門はヒップホップの歴史の幕開けを飾ったという栄誉あるキャリアをポイッと捨てて、この奇妙奇天烈なイギリス人について渡英してしまう。バンドの名前もサクッと変えた。その名も、TACKHEAD

TACKHEAD「POWER INC. VOLUME 3 (LIVE)」

TACKHEAD「POWER INC. VOLUME 3 (LIVE)」1985~1994年
TACKHEAD は 当時のポストパンク最前線を張っていた ON-U SOUND のハウスバンドに変貌、様々なアーティストの革命的な録音に立ち会う。THE POP GROUP を解散させた凶悪ダブ野郎 MARK STEWART と組む時は THE MAFFIA と名乗り、MARK STEWART & THE MAFFIA 名義のアルバムを3枚も残した。ON-U の中核アーティストAFRICAN HEAD CHARGE や DUB SYNDICATE、NEW AGE STEPPERS、BARMY ARMY などなどの音源にも参加、メンバー各人のソロ活動までするのだ。オールドスクーラーの転職先が、パリパリに尖った UK ダブ だってのは、意外でオモシロいと思わない?

●そんでそんな TACKHEAD の活躍をまとめたシリーズコンピの三枚目をまたまたボクは激安ワゴンから発掘&救出。これは大西洋を渡った頃からその後10年間にわたるキャリアの中でのライブ音源をコンパイルしたもの。ハッキリ言って THE SUGARHILL GANG のチャーミングなディスコファンクの面影は全くない。強力なロックギターと高度なフュージョンベースが二人で暴れ回る。屋台骨を支えるドラムは実直かつ硬質なダブドラムで、多分ミキサーコンソールでは ADRIAN SHERWOOD が生オペレーションでブカブカのエコー効果をかけまくってる。そして最終的には実に極悪なファンクがビリビリ空間を震わせるに至る。うーん、最高。
●基本は極悪インストダブファンクだけど、数曲でボーカルもフィーチャー。THE MAFFIA として共闘したMARK STEWART の極悪ボーカルも一曲で聴けるが、それ以上の極悪ダブ加工エコー嵐で、ナニを叫んでいるかほとんどワカラン。ニューヨークのリアルなオールドスクールシーンを生き残ったラッパー MELLE MEL とも一曲で絡んでいる。彼は GRANDMASTER FLASH & THE FURIOUS FIVE の一員だが、後にリーダー GRANDMASTER FLASH とモメまくって、終いには自分で GRANDMASTER MELLE MEL と名乗っちまうヤツ。クレジットから推測すると、まさに GRANDMASTER だった頃の MELLE MEL とのセッションが収録されてる。アジで押し切る、いやアジだけで押し切るオールドスクールのラップが進化した凶悪ファンクと合体しているのはカッコいい。

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