中川淳一郎「ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言」

中川淳一郎「ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言」
●会社の同期がデスクの上に置きっ放しにしてたので、パラパラと読んでたらそのまま最後まで。だって、タイトルが扇情的なんだもん……帯コピーも「どいつもこいつもミクシィ、ブログ。インターネットは普及しすぎて、いまやバカの暇潰し道具だ!」と来たもんだ。わー過激だなー。著者は大手広告代理店を辞めてフリーライターに転職、そんでアメーバニュースの編集責任者になった人だ。おまけにボクと同い年。
●ネットにどっぷり浸かってる人々に対していきなり「気持ち悪い」と乱暴なパンチを振るう。しばしばネットで目立ってしまう、匿名に甘えた行儀のワルい人たちに対して深く絶望しているコトを、確かにこりゃしんどいわーというエピソードを交えて紹介し、「バカの発言力がネット上では実に強いのである」と喝破。代理店経験に由来しているのか、ネットで何かを仕掛けるだけでナニかが変わると信じている無知な企業人のオッサンにも言及し、わかってねえのに過度な期待をするなと厳しく警告。「結局、最強のメディアはテレビ」だとも言っちゃう。「ネットはテレビのコバンザメ」だって。そして結論は「だれもネットをわかってない」………。

●ここまで言われて、そのネットじゃどんな反応なんだろ?と思えば、「ご指摘真っ当」から「ヒマ人ですいません」的な自虐リアクション、「ナニを今更…」的な意見、「刺激的なタイトルで金儲けかよ!」な反応、「評論家たちが煽るネット楽天主義へのアンチテーゼ」として冷静に受け止める姿勢、「共感できる部分も多い」と好意的な人も。つまり賛否両論。
●ボク自身は「ネットをよくわかってない」人間なので、少々ピンとこない点もある。「荒らし」とか「炎上」とか「祭り」とかに関わった事がないし…、そういうことするのがネット利用者のマジョリティとは思ってない。「カルボナーラがおいしかった!」的なブログをハズかしげもなく披露するのもバカ&ヒマ人とされてしまうのだが、そうなるとボクもバカ&ヒマ人の当事者の一人だし…でも周りに迷惑かけてないしな…と思ったり。(←あれ、誰かに迷惑かけてるのかな?無意識に?)

「最強のメディアはテレビ」ってのも……そうかな?
●消費者目線の使い勝手で言うとテレビとネットじゃ、ネットの方が軍配が上がる。テレビがなくても困らないが、ネットがなきゃ困る。生協に食料品の注文すらできないじゃないか!一方テレビはもうクチャクチャだよ…テレビの方が絶対バカ&ヒマ人でイッパイ。見ないでイイ番組がホント多いし。ネットはわかりやすく炎上するけど、テレビは炎上に匹敵するリアクションがあってもそれはスタッフしかチェックしないから目立たないだけだよ。著者はニュースサイトの管理人なんだから、プロとしてクレーマーと対峙するのは宿命。写真週刊誌は裁判起こされたりしてもツッパる所はツッパるのだし、テレビだって膨大なご意見メールをかなり意識して制作にあたってるはずだわね。……ただ、メディアに対して意見するという心性が一般人に広く芽生えたのはネットの普及とシンクロした事象というコトは言えるかも。ナンチャッテ内部告発者のガセ情報を掴まされて社長が失脚というテレビ局もあった。あの詐欺師はバカ&ヒマ人か?いいや、悪人だよ。
ボクから見ると今んトコロネットは敗北なんてしてない。……強いて言えば、「ドリフ見るとバカになります」「マンガ読み過ぎるとバカになります」「ファミコンし過ぎるとバカになります」「携帯を持つとバカになります」といった、いつの世にもありがちな新メディアへのアリガチな拒絶反応と一緒のように思えて、今の時代は「2ch見過ぎるとバカになります」「ミクシイし過ぎるとバカになります」ってこの著者は言っているというコト。実際バカになる人もいれば、そうでない人もいるだろう。ネットはそれが目立ってしまうって点が新しいので、見苦しい場面に出くわすコトもあるだろうが、テレビのチャンネルを変えるようにその場を立ち去ればイイだけ。ボクは個人的には 2ch とかには極力触らない事にしてるんだ…。

●世界金融危機から始まる、「核の冬」級の広告費削減時代において、どのメディアに限られた予算を注入すべきか。それはイロイロな考え方があるだろうな。「旧メディア vs. ネット」という図式にハマるとこの議論はとっても陳腐になると思う。本来は全メディア総力戦で宣伝は展開すべきで、どっちが有効かという話ではなく、双方をどう有効に機能させるかを考えるべき。ただし各メディアのシナジーの方法に正解/王道/テッパン技がイマイチ発明しきれてない気はする。コレはバカやヒマ人の仕事ではなく、著者の出身である広告代理店の仕事だし、たとえクライアントがバカでもそれを納得させるのが広告プロ仕事の一部でしょ。


●わ、よく知りもしないで、ネットの肩を持つポジションに立っちゃった。ボクは完全にネット現場の部外者なのに。ちょっと突っかかってみたのは、著者が同世代だからってのも一因あるかも。「たとえ仕事に痛んでても。そんなにスネルなよ」的な感情がある。しかしコレもバカ&ヒマ人の戯言。不快と思えば聞き流して下さい。

●ついでに。「リア充」ってコトバ。「リアル世界で充実している人」の意。ボクはホントにネットの隠語とかに疎いので、このコトバを初めてこの本で知りました。反対に「ネト充」な人もいるのかな?「ネット世界で充実している人」。ボクはネット世界では全然充実してないんですけど(誰も読まないブログをつづってるだけだし)、ネット世界で充実するってどんなことなんだろう?リアルでだって充実してると思えないのに、ネットの充実なんて想像がつかないよ。

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