我が家は最近ウルサい。
●先日、長男ノマドにラジカセの使い方を教えてやったら、それがヒヨコにも伝播し、ボクも含めて三者三様の音楽を聴くようになった。ノマドはシド「嘘」がお気に入りであり、ヒヨコは YUI「AGAIN」がお気に入りである。そんで子供部屋とボクの寝室でそれぞれがラジカセの前で歌っているのだ。ほんでボクは自分のPCまわりのシステムで、今日下に紹介しようとしてる音源を聴いている。一斉に音楽が鳴ってると、実に家中がやかましく、ワイフはかなりウンザリしてる。


渋谷区の図書館は便利だ!
●渋谷区の図書館のサイトはイイ!渋谷区全域の図書館全部の蔵書から、自分の読みたい本を検索するコトが出来て、オマケに予約が出来て、予約待ちの人数まで分かって、そんで自分の番が着たら、コチラが受取りを希望する近所の図書館まで運んでくれて、準備が整ったらメールをよこしてくれる。コレすごくない?しかもボク世田谷区民だぜ?ワイフがコドモ向けの絵本を予約してたので、ボクも一冊取り寄せてみた。…それがコレ。


モリッシー発言集(ここ10年で借りた人はたった6人…)

「モリッシー発言集 クイーン・イズ・デッド」
●ホントは既に絶版になってる MORRISSEY の詩集が読みたかったのだけど、それはなかった。代わりに彼が THE SMITHS 時代(1983-1988年)に残したインタビューの断片をテーマ別に並べた本を借りた。THE SMITHS のボーカリスト MORRISSEY が、当時身にまとっていたカリスマを少しでも深く感じてみたかったからだ……でも、この本を読んでも、そんな秘密には辿り着かないな……ものすごく気難しいオトコの皮肉めいてイラついた毒毒の人間不信(マスコミ不信)なコメントばっかりだからだ。この本だけ読むと、MORRISSEY には大分ウンザリする。多分トモダチにはなれない…そんな気分になる。
●だって、「183回も自殺を考えた」とか「人生はただの悪夢」だとか「最低の青春を生き延びた」だとかウンザリするような話ばかりしてるし、マスコミに対する悪態をズーッと続けてるばっかなんだもん。あとサッチャー首相への爆弾テロを礼賛したり、イギリス王室に毒ついたりだ。加えて質問者もアホだ。「毎日、ヨーグルトとリンゴを食べてる」なんて話を聞いてどうするんだ。ただ、いくつかは興味深い話も混じってる。そんないいハナシを引用。


THE SMITHS のパフォーマンスにはユリの花やグラジオラスが活躍したってのは有名なハナシ。MORRISSEY 自身が花束を握って歌を歌ったし、ファンも花束を握った。それについて本人は…。

「花を投げかけたのは心からの行為なんだ……ポップスシーン全体が灰色に、退屈になってしまったから、何かを注射しなきゃと思って。花束はごくささやかな注射だったのさ」
質問:過去一年で花代にいくら使いましたか?(←こういう質問がムカつく)
「おやおや。保険会社省をまわせるくらい?……自分じゃあ買っていないんだよ、花の差し入れがあってね。今ではライブの契約書に書き込まれてついてくるんだ。実質的には PA よりも重要でさ」

MORRISSEY の意味ありげなパフォーマンスは他にもある。補聴器をつけてステージに上がるのだ。

「ブラックジョークだと思ってる人もいるみたいだけどさ、実はファンの女の子から手紙があって、耳が聴こえなくてすごく落ち込んでいるって言うんだ。そこで「トップ・オブ・ザ・ポップス」に補聴器をつけて出るのはイイジェスチャーになるだろうと思ったんだ。耳が聴こえないなんて恥ずかしいことじゃない、隠すことじゃないって伝えるためにね。その彼女に自信を持ってもらいたかった」


「THE SMITHS」って名前は「スミスさん一家」という意味で、日本語にすれば「佐藤さん一家」と同じくらい平凡かつマヌケなバンド名だ。コレにも彼の一流の皮肉がある。

「スミスが出て来た頃は、仰々しく飾り立てた名前が流行ってた。だから、長ったらしい名前をつけて黒い服にしかめっ面をしなくてもいいんだって、みんなに伝えたいと思った。ボクらの仕事は、一番当たり前の名前を選んで、なおかつ芸術的なナニかを作り出してみせることだね」


●それと、このオトコが有名な動物愛護主義者で、ベジタリアンってのも有名だよね。

「動物が人間を食べると、みんなひどく動揺する。なのにどうして人間が動物を食べるのを恐いと思わないんだい?……肉食は殺人だ。MEAT IS MURDER.」

●さらに注目されてるのが、彼のセクシャリティだ。彼は正式にゲイであることを認めてない。かといってストレートとも言ってない……。メディアは執拗にそんな話題を彼に突っ込む。

「性別というモノは、あまりに簡単に決められ過ぎている。誰もが狭い二つのカテゴリーに押し込まれている。絶対的にあくまで異性愛という人は知らない。そう決めてしまうことで、色々な面の可能性を狭めているんじゃないのかな。そんな壁は打ち破ってしまう方がイイ」
「みんながスゴく矮小化した形でセックスを語るのにはうんざりしている。ボクにはそんな矮小化した形で語ることなんて出来ないし、ボクらが投げかけているイメージはあくまでもシリアスで重要なモノなんだ。それをみんな、ハッキリ考える事が出来ない、セックスに幼稚な、単純なアプローチしか出来ないって言うのなら、ボクらの歌なんか聴いてくれなくて結構だ」
質問:誰かを誘ったことがありますか?
「一度か二度。女と男と。手紙を送った。しばらくして、やめだ、もうこれで手紙は終わりだ、と思った。もうやりたくなかったんだ。そういう意味ではボクは童貞だ。本当の意味でね!だけど、セックスがあったら、詩を書いていなかっただろうね」
質問:禁欲主義なんですか?
「実際的にはそうだ。考えとしてはOKさ!これまでセックスそのものにほとんど興味を持ったことがない。子供の頃は、他人はいっぱい魔法のようなことを経験していると思ってた。実際はそんなわけないのに。でも、しょせんナニをやるにも現実から逃れるためなんだしね」


●てっとり早く言って、MORRISSEY は超一流にアタマデッカチでありながら、深刻にサエなくてモテないヤツだったわけで、その十代のトラウマを引きずったまま、ロックスターになった希有な存在だったらしい。そんでそのまま、全世界のサエなくてモテないヤツのヒーローになったわけだ…。実はコレまでのロックシーンの中で「サエなくてモテないスター」というのはニッチな存在だったようで、その先駆となった MORRISSEY は、おかげでファンレターで自殺志願の子から人生相談の手紙を受け取っちゃうようなヤツになってしまった。そういうことでいいんでしょうか?
●そんで、サエなくてモテない意味では、ザック・エフロンよりも MORRISSEY の仲間であるボクは、彼の音楽と相性がいいらしい。ワイフには申し訳ないけど、ボクはバスケ部のヒーローじゃないもんね。


●こんなイメージを抱いて、彼のソロアルバムを聴く。この本にブチマケられた発言の後の時代の音源なんだけどね。


Vauxhall and IVauxhall and I
(1994/03/17)
Morrissey

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「VAUXHALL AND I」1994年
ブリットポップ旋風吹き荒れる、90年代中盤の MORRISSEY のキャリアは、プロデューサー STEVE LILLYWHITE と共にありました。ここから「SOUTHPOW GRAMMER」「MALADJUSTED」と三作を、ずっとこの男と共同作業し続けたのです。STEVE LILLYWHITE U2 のデビュー~三枚目までの瑞々しいアルバムたちを構成したヤツで、80年代の良心的な英国ロックを支えた人物。SIMPLE MINDS、TALKING HEADS、BIG COUNTRY を手掛け、90年代には THE LA'S TRAVIS、さらには DAVE MATTHEW BAND、PHISH の音作りにも参加します。ボクの印象では音の粒立ちをキチンと整理して響かせる職人。リリカルな音はリリカルに、澄んだ音はより澄み切った音で鳴らします。
相変わらずのヘナヘナ~っとした節回しが耳に残る MORRISSEY 節は健在。しかし、曲を共作するバンドメンバーもこの男の性質を心得て来たのか、ヘナヘナ~がキチンと機能する楽曲を書くようになった気が……。バンドサウンドから違和感丸出しのヘナヘナっぷりこそがこの MORRISSEY 音楽の楽しみであったのに、しっくりハマっては楽しみは半減してしまう…。
●ただし、その一方で、ギターポップとしての取っ付きやすさは格段に上がったみたい。ちょっと悔しいけど、アイリッシュ音楽風の澄み切った空気が全体に張りつめているんです。一曲目の「NOW MY HEART IS FULL」はビックリするほど素直な感情が優しく歌われてるし、「HOLD ON TO YOUR FRIENDS」から始まる中盤以降のシットリとした落ち着きは格別じゃん。歌詞もグッと丸くなったような…?


Southpaw GrammarSouthpaw Grammar
(2009/02/03)
Morrissey

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「SOUTHPOW GRAMMER」1995年
●前作に比べて、雰囲気はイキナリ妖しくなった…。一曲目と最後の曲は10分を超える大曲になっており、不穏な弦楽器のアンサンブルと荒れたギターの軋みが不気味に響く。もうこの2曲でボクは MORRISSEY の気合いを感じてオナカイッパイになりそうだ。彼は「VAUXHALL AND I」で収穫した平穏な音楽世界をわざわざウッチャッて、敢えて混沌とした冒険に再び出発したのだ。本人いわく、「サウスポー」という言葉が連想させるように、コレはボクシングにまつわるコンセプトアルバムで、ひいては現代社会を覆う暴力の問題を扱っているという。
●他の曲も少々荒っぽいギターロックになってて……それは当時のグランジ革命の影響もあるのかも知れないけど……実にタフな気分。ドラムソロのイントロだけで2分以上引っ張る MORRISSEY なんて今までありえなかったハズ。バンドメンバーの演奏力に一定の信頼を置くようになったのかな?一方でひっそりとしたバラードは一曲もなし。


MaladjustedMaladjusted
(1997/08/01)
Morrissey

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「MALADJUSTED」1997年
「MALADJASTED」って言葉は、日本語で「不適応」という意味。「不適応児童」という意味もあるそうな。MORRISSEY にはお似合いの、彼にとっては称号のような意味だろう。
●ただボクとしてはなんとなく位置づけに迷う。「SAUTHPOW GRAMMAR」ほどのサウンド実験もコマメに散りばめてやろうとしてるが、あんまウマくやりきれてないし、「VAUXHALL AND I」スタイルのアイリッシュ感覚みなぎるポップスを書こうとしてるけど、アソコまで絶妙にキレイにまとまってない…。バンドサウンドではなくオーケストラを背負った曲もあるけど…なんか総花的でフォーカスが掴めず、少々中途半端になっちゃうんだよね…。歌詞も後ろ向きになってる気がするし…。コレは楽しめなかったかも。


●さて、「MALADJUSTED」発表後、MORRISSEY は7年ほどアルバムリリースをしない。ナニをしてたのかは知らんです…。ただし、2004年の復活作以降、なんか気配が変わって帰ってきたような気がする。ソレはソレでオモロい変身でとても興味深いんだけど、それはまた後日に。

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