会社帰り、「エヴァ」観に行っちゃった。だって水曜日は映画1000円デーなんだもん。
●マジ楽しみました。最初に言っときますが、今日はネタバレありですから。

エヴァンゲリヲン新劇場版破(劇場売りパンフです。)

「 エヴァンゲリヲン新劇場版:破」
●とうとう見てしまったよ。前回の「序」がアニメ版のコンパクトなダイジェストで、大幅な逸脱が少なかったのに対して、今回の「破」はまさに「破壊」「破」。パワーアップした戦闘シーンもさることながら、大胆なキャラクター心理の再解釈にはジワリと感動すらしちゃう。
●新キャラ、真希波・マリ・イラストリアスが冒頭から豪快な登場を果たす。プラモやフィギュアでも話題の「エヴァンゲリヲン仮設5号機」は、下半身が4本足で車輪駆動タイプ。彼女はこの異形のエヴァを、ケンタウロスのように駆って使徒と戦う。この子、思った以上に重要人物になる気配。事前情報段階では、メガネッ子という設定に違和感タップリだったが、そんなコトが気にならなくなるほどに、どのキャラクターとも違う匂いがして気になる。「エヴァ」物語の重要なテーマは、14歳の少年少女が自らに問う疑問だ。「なぜ自分はエヴァに乗るのか?/どうしたら周囲の社会と折り合いをつける事ができるのか/なぜ自分は生きるのか?」という問いを抱きしめて、全ての登場人物が正体不明の敵と戦う。……なのに、新しい少女マリは、エヴァや命をかけた戦闘に躊躇がない。まるでスリルを楽しむように、戦いの中をすり抜ける。異質だ。
●一方で、シンジ、レイ、アスカの三人は、不器用なりのやり方で共振し合い、その14歳という年齢にふさわしい気分でお互いの感情を近づける。……そう、本来はあんな巨大兵器を介さなくても彼らはもっと近づけるはずなのだ。実は料理が得意なシンジ。彼の無邪気に食事を振る舞う行為に、レイの心が揺れる。実は錠剤だけで命をつないでいる人造人間の彼女が、シンジのために包丁を握って料理に挑むのだ。それに触発されてアスカまでが料理に挑戦。テレビ版にはなかった、よりフツウの感覚の少年少女の温かい関係が、現在35歳のボクにはマブしい。


テレビ版「新世紀エヴァンゲリオン」は1995年発表。
●ボクが友人のススメでビデオを見たのは1996年か1997年のことだった。今思うとテレビ版は、イロイロなモノに打ちのめされた日本社会を絶妙に象徴していた。1995年には、阪神大震災が起こり、オウム真理教関連事件がブレイクした。バブル崩壊が決定的になり、就職氷河期が到来した。ボクは22歳、大学4年生。氷河期の寒さは身に染みた。
●好景気と冷戦終結の解放感を享受した1990年頃の能天気なテンションは急速にしぼんでしまい、日本人はみな「オマエは何のために働いている?/オマエは何のために生きている?/オマエの周りに信用に足る存在は本当にある?」という問いを突きつけられた。それはまさしく「エヴァ」に登場する少年少女、そしてそれを囲む大人たち(ミサトさん、リツコさん、そして碇ゲンドウにいたるまで)が、突きつけられてた問いと同じなのだ。そしてこの問いは呪いのように無視が出来ないモノで、「逃げちゃダメだ」なモノだった。……死海文書やキリスト教にまつわる耳慣れないキーワードが舞台装置に散りばめられ、見てる者をケムにまく仰々しい側面も話題になったが、ボクはこの作品の価値は、同時代の日本人の闇/病みを絶妙にあぶり出した事にあると思ってる。


それから10年以上もたっての再構築「エヴァ」。
●…相変わらず自分の存在の不確かさにグラツイている主人公・シンジ。ただ、この十年で日本は確実に耐久力を身につけた。ITバブルを通過し世界金融危機を通過しても、80年代末のような馬鹿騒ぎもバブル崩壊のパニックも起こさない。実に地に足をつけた堅実さを身につけたと思う。そんな時代の空気を取り入れてか、シンジはひたすら無力で臆病な少年ではなく、堅実な生活力(料理の腕)を持った誠実な青年へと改訂されてる。イビツながらも同世代のレイ、アスカと14歳にふさわしい態度でチームワークを図るコトもできる。優柔不断のようで、自分の大原則には実に忠実な面を持つ。レイアスカの方もそんなシンジの誠意に不器用ながらも対応する温かさを備えた。天災とテロの混乱で極端な「人間不信」に突き落とされ、いつも内面で泣き叫んでいた1995年のシンジたちと、「新劇場版」の彼らは一味違うのだという事を思い知らされた。
●しかも「破」のクライマックスにおいては、後先を考えない無謀さと剥き出しの感情で、シンジレイを助けようとする。……料理を通じた慎ましやかで幼い感情の交換は全うされる前に、過酷な戦闘で引き裂かれ、より強力になった敵の攻撃に、シンジの同胞である二人の少女は絶体絶命の危機に。シンジは感情を爆発させて、自分の運命と対決する。テレビ版よりも決然と、そして勇敢に。男として、守るべき少女へ猛然と走る。「シンジ!そうだ!戦え!お前の敵は周囲にたくさんいるだろう。でも今は関係ない。オマエにとって大事な女の子を救うために今は戦え!今がその瞬間だ!限界を超えろ!」ボクは手に汗を握ったし、シンジをマジで応援してしまった。そして根性でシンジは運命をねじ曲げるのだ。テレビ版で結末を知っているボクらの予想を大きく裏切って……その瞬間、ボクの隣に座ってた女性は涙を流してた。


●第三部「Q」(←「Q」? ナニコレ?以前は「急」とされてたよね」)は、また一、二年待たされるだろうが、それなりの強さを備えたシンジくんに会えるだろう事が楽しみだ。テレビ版においてもシンジの成長に大きく寄与したカヲルくんがとうとう地球に現れたし、マリちゃんのしたたかなタフさにも期待が出来る。アスカもきっと復活してくれるはずだ。
●そして全四部作完結は、物語の設定時期 2015年になっちゃうかも知れない。しかしそのタフな使徒侵略の時代をリアルに生きるボクらも、もっとタフになっていたい。ウチの息子ノマドは、2001年生まれで実はシンジくんたちと同年齢。シンジくんくらいタフな男子になってくれるとウレシい。
●しかし娘ヒヨコは、多分エヴァのパイロットにはなれない。なぜなら ATフィールドが全然ないからだ。「ABSOLUTE - TERROR FIELD」と綴るこのコトバは、使徒やエヴァが戦闘の際に用いるバリヤーのようなモノだが、人間ソレゾレが持つ「心の壁」を意味するらしい。「人類補完計画」と称して、コレが溶け落ちる事で全ての人間個体がガッタイしてしまう場面が過去の劇場版に登場した。しかし、今んトコロ、ウチのヒヨコはフルにオープンハートでアタマん中が全部手に取るように分かってしまうタイプなので、使徒に対抗するような強い ATフィールドは作れません。


●あとさ、スイミング教室にキチンと通ったノマドのごホウビに「新劇場版 弐号機」フィギュアを買ってあげると約束したのに、マジでドコでも売り切れで困ってます。アマゾンにもない。オークションまでしたくないし……。ちょっと盛り上がり過ぎです。

エヴァ 弐号機 リボルテック破

(リボルテックヤマグチ/ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破: エヴァンゲリオン弐号機 ver.2.0)



●今回も主題歌は宇多田ヒカル「BEAUTIFUL WORLD」だった。だから今日は UTADA を聴いている。

UTADA「THIS IS THE ONE」

UTADA「THIS IS THE ONE」2009年
●ご存知宇多田ヒカルが海外向け名義の UTADA で放ったセカンドアルバム。以前は制作陣にチョコチョコ TIMBALAND が関わったが、今回は CHRIS ''TRICKY'' STEWART とプロデューサーチーム STARGATE が半分づつ関わった。STARGATE はノルウェイ人でありながら、アメリカのR&Bシーンではもう欠かせないほどの存在感を持つに至った連中。BEYONCE、NE-YO、RIHANNA、CHRIS BROWN、USHER などに関わってる。CHRIS ''TRICKY'' STEWART BRITNEY SPEARS、MARIAH CAREY、JANET JACKSON など超大物に関わるトラックメイカーだ。
●R&Bのスタイルで勝負しても、アメリカ市場が相手じゃ、サハラ砂漠に砂を輸出するようなもんで、ウマいコト行くとは思えないのがボクの印象。でもポップロックで勝負したって別に状況は変わんないんだけど。でもあくまで日本人のリスナーであるボクは、ジェイポップアルバムとして聴くまでだ。そのジェイポップのシンガーソングライターとしての彼女の実力は、ボクとしてはテッパンなのでフラットに聴けば十分楽しい。
STARGATE がお気に入りのアイディアとしてコダワッた坂本龍一「戦場のメリークリスマス」サンプル(カバー?)の「MERRY CHRISMAS MR. LAWRENCE - FYI」は欧米人のオリエンタルイメージの押しつけのような気がして微妙な気分だが、相変わらず繊細なニュアンスの込め方は天才的だと思っちゃう。イマドキR&Bスタイルの「TAKING MY MONEY BACK」も、独特の軽さとメロディを殺さない程度のシンプルなトラックの彩りが好き。「ME MUERO」はオルガンパートがアクセントになってるラテン風味でこのアルバムの珍味。ヒップホップソウル風の「AUTOMATIC PART II」は、そんなにあのデビュー曲と似てる訳でもなく、フツウに聴き流せる。シングル「COME BACK TO ME」はドラマチックなサビが宇多田本来の良さが光る曲。2つも収録されてるリミックスに合わせてヒヨコはダンスしてたし。アメリカ市場を前に気負い過ぎた前作に比べて、全体的にずっと地に足着けたソングライティングになってて安心。
●そんで…コレは海外版だけのボーナストラックだけなのか…「光」の英語詞バージョン「SINPLE AND CLEAN」が実にイイ感じ。コレトラックはイジってないよね?そんで「SANCTUARY」「PASSION」の英語詞バージョン。実はこの2曲ばっかり聴くのが一番居心地よかったりして。

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