今週金曜日は「精神汚染」につき会社欠勤。
●うーん、まだダメだ…。また会社を休んでしまった。朝起きた瞬間から「識別パターン、青!使徒です!」ってくらいハッキリピンチな状況で、もう左半身が既に侵食されててビキビキに緊張している。左足が重くて、左の腰が痛くて、左肩がバキバキで、左のコメカミが激しく痛む。それでも仕事へのモチベーションを無理矢理前向きに回転させて出勤するモンなんだけど、コレがもう完全「パルス逆流」で会社に行けない理由がドサドサっとアタマの中で膨大に膨れ上がる。で「シンクロ率」がどんどん減って機能停止。動けなくなる。この時点で安定剤を多めに飲んでいるので、キョーレツな眠気がやって来て、グーグー寝てしまう。結果欠勤。ふう、ホント凹むわ。
実際、ストレスがスゴく溜まってんだよね。仕事の問題点がある。実はワンサとある。ドカドカ解決したい。やりたい仕事/やるべき仕事が増えてくる。しかし!自分の体力/精神力では手に負えない。その場しのぎならナントカ出来るが、ルーチンとして一定の水準を確保しつつ今後ずっとその仕事を抱えるコトができるか、と言われると甚だ微妙だ。そんな仕事を抱えるべきかと想像した瞬間からプレッシャーで体調が悪くなる。人材が足りねーという場面、「こんな仕事、自分でやれればどんなに楽か!」と思っても、どうしてもソレは無理。このジレンマがボクの首を絞めてる。このジレンマの無限回転が限界まで進んで昨日は壊れた。だって、安定剤で眠っている時でさえ会社で会議に出てる夢を見ているほどなんだから。……ホントウチの職場はイイ所でボクに責任が乗っからないように丁寧に捌いてくれている……だから、ボクは勝手に欲求不満になっているだけなんだけど。
●だから、今日は、鍼灸治療を受けて、コンディションを立て直す。鍼灸は苦痛も伴うが結果としては施術中に爆睡してしまうほどリラックスできる。最近は、眠るのがツライ。眠っても疲労が回復しないからだ。自律神経失調症の一番代表的なパターン。どんなに眠っても疲労は蓄積され、疲れを抜く事が出来ない。だから鍼で強制的に緊張を抜く。



●ハナシは全然変わって…。

実は先週末、久しぶりに芝居を見た。
本谷有希子さんという方をご存知?ボクはね、あんま知らんかったのです。でも毎週買ってるマンガ雑誌「週刊モーニング」に彼女の1ページコラムがあるんですね。「かみにえともじ」というタイトルで、本文/本谷有希子、イラスト/榎本俊二「ムーたち」「えの素」などで知られる超シュール系作家)のペアで書かれている。…多分誰も読んでないような気がするんだけど……でもボクはなんとなく好きだったんです。
●多分、この榎本画伯(と本谷さんは呼ぶ)が描く本谷さんのイラストがチャーミングだから、ボクは引っかかったんだろうな。チャーミングなのに目つきがワルく、そして本人の文章はよりデストロイな本音ブッチャケトークなもんで、なんかとっても笑えるのだ。
●例えば、200万円の超セレブ人間ドックの取材で、乳がん予防のマンモグラフィー検査に挑戦するも、おっぱいをガラス板に挟まれる痛みを男性器が潰される痛みに喩えてみたり、しかしその割には聞いたほど痛くなくって、実は過去に「おっぱいってどのくらい握り潰せるんだろう?」という実験を最高の力を振り絞って試した事があったのを告白したりして。そんで「みんなも自分で本当に限界だと思うまで、掴み潰してみなよ」と勧めるのです。

かみにえともじ(「私は口が悪い」の回。)

●さて、この本谷さんが本業として、自分の劇作を自分の演出で準備している、というコラムが乗ってた。彼女は1979年生まれだから、今年やっと30歳、実に若い!で、彼女の劇団は「劇団、本谷有希子」と言って、完全ソロユニットなもんだから、その都度新しい俳優さんと仕事をすることになる。こと今回はほぼ全員が年上&同性。しかもだ、彼女は自分でも言ってるんだけど「口が悪い」らしい。さて、どうやって演出をつけるのか?「自分よりもずっと経験豊富な人たちにああだこうだ言わなければならないんだけど…とにかくうまくすらすら言葉が出て来ないのだ!」「で、結局こういうふうに駄目出しする。『うん、あの「……演劇だね」と思ったよ』おーーい!ザックリでーす!センセイザックリすぎまーす!
●さてさて、このコラムの翌週。楽しみにページをめくると、榎本俊二さんのスミッコのイラストと本文の比率が逆転してる。レギュラーで文章8割&イラスト1カットが、イラストマンガ8割&文章20文字(手書き)になってる。なんじゃそら。編集者のコメントは「芝居の追い込みで本谷さん大テンパリにつき、今日は特別バージョンで」とか書いてある。おーい!やっぱりザックリすぎませんかー!しかも手書きかーい! いつもは見てないよーく細かい字まで読むと、そのテンパリの原因であるお芝居は目下公開中で、しかもシモキタザワの本多劇場でかかってるという!あらら、コレは行くしかないな。日曜日、当日券の列に並んで、最前列の補助席に座ったよ。


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劇団、本谷有希子 第14回公演「来来来来来」@本多劇場
●改めて本谷有希子さんのプロフィールを。2000年、21歳の時に「劇団、本谷有希子」を旗揚げ、劇作家/演出家として活動開始、2002年には小説家としても活躍。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」三島由紀夫賞候補までになり、2007年、佐藤江梨子主演で映画化された。演劇界のビッグタイトル岸田國士戯曲賞「幸せ最高ありがとうマジで!」で受賞。芥川賞にも何回もノミネートされてるし。手っ取り早く言って、早熟の天才肌なのだ。
●そんで、今回のお芝居。女優6人だけの勝負。テレビや映画でお馴染みの超長身&小顔&氷点下のクールビューティ・りょう。映画版「腑抜けども~」でも活躍した19歳のベビーフェイス・佐津川愛美、「ナイロン100℃」のコメディエンヌ・松永玲子、「毛皮族」の重要女優・羽鳥名美子、本谷の舞台「幸せ最高~」でも活躍した吉本菜穂子、御年60歳、70年代から女性だけの劇団を旗揚げし、演出家としても名高いベテラン女優・木野花。つまりは、強者ばっかなのです。

●ド田舎の奇妙な家に嫁いでしまった主人公・蓉子(りょう)。結婚一ヶ月目にして夫は失踪、散弾銃と鉄条網の束を持って山林を徘徊し、大きな鳥小屋に何種類もの鳥類を飼育している姑(木野)にビビりつつ、家事から鳥小屋の世話まで図々しく全部押し付けてくる義姉(松永)のムチャな要求に粛々と従っている。なぜか家業は油麩手作り工場で、舅にセックスを求めて止まない主婦(羽鳥)と、「誰にもやさしいアソコ」を持ち「便所」呼ばわりされてるノー天気な女性(吉本)がいつもマヌケな世間話をしながら作業している。家事全般&鳥小屋の世話&油麩工場の作業&姑の狂気&義姉のイビリ&おかしな同僚という無限ループの苦行生活を送る主人公の唯一のマトモな話し相手は、いつも鳥のスケッチをしにくる女子高生(佐津川)だけ。彼女もイジメラレッコなので学校に行けずに鳥小屋に来るしかないんだけど。りょう演じる蓉子以外の人間は、一見しょーもないが本人には深刻な自己都合で、常にあたり構わず爆裂して珍妙な行動に走る人々で、ある意味で女性という生物が持つカルマというか執念というか、とにかくオトコのボクには認知不能のおぞましい性質がマーシャルアンプでギュワワワワ~ン!と増幅されてるようなのでした。
●普段のテレビ/映画では、冷酷な役柄ばっかり演じているりょうが、この場ではとても奥ゆかしくチャーミングな女性を演じているのが新鮮!自己主張と感情の裏表が激しい人間関係の摩擦部分にバッキリ挟まりつつも、究極的な秩序崩壊に至らぬようひたすらその負債を引き受けている、静かで従順で健気でマトモな女性。………と思いきや、この主人公・蓉子も、ある意味で女性が陥り勝ちなカルマ「根拠のないモノへの盲従」に取り憑かれているのでした。お見合いで即決結婚し、たった一ヶ月で自分を捨てた夫(つーか、このイカレタ人間関係から逃げ出し、新妻を自分の代理に差し出した)に対して、いつまでも奇妙な愛情と信頼を寄せ、困難な状況に対して「自分はガンバッテル!」と言い聞かせてる。しかし、あくまでそのガンバリは根拠なし!展望なし!見返りなし!「あんたのナカミは空っぽよ!」と看破されちゃう。…芝居のクライマックスに向けて、彼女の危うい努力の根拠は完全崩壊。他の登場人物よりも100倍のテンションで爆裂し(ここでりょうさんは、クールでもチャーミングでもない、一匹のモンスターに変身している!)、おぞましい本性をむき出しにする……。


「篠山紀信」的な女性像と、「本谷有希子」的な女性像。
本谷有希子というクリエイターが優れているのは、普段は可視化出来ない「女性のカルマ」(つーか常識の社会では丁寧に隠して他人に見せない側面)をズルムケのカリカチュアとしてハッキリ提示してしまう技術じゃなかろうでしょうか?ハッキリ言って客観目線では笑うしかない滑稽な話なのに、登場人物全員はひたすらマジで、マジがゆえに暴走しまくって、ドーンとくるほどの事件になってしまうんですもん。
●ボクは先週、篠山紀信さんの写真展にも行ってきたんだけど(前の前の記事)、ソコで思った事。男性が見たいと思ってる「女性」を切り取るのが彼の仕事ですわな。それは文字通りのヌードでもあり、発育途上のビーチクさんでもあったり、有名な女性の見た事のない側面であったり。そんで時にはそれが、女性が他人に見せたいと思う「女性」であったりする場面でもある。コレは多分古いモデルの描写表現でもあると思うな。マスメディアが男性本位な時代だったシステムを踏襲している。
●しかし、新世紀の女性クリエイター本谷有希子さんは、女性すらもが認識してないレベルのカルマを引きずり出す。だって、このレベルまでイクと「あーコレあるよねー」的な共感すら通り越してる気がするもん。もはや女性が他人に見せたくない「女性」。でボクは、これが最新モデルの描写表現だと思うんですよ。マスメディアが「女性」を主要なお得意さんにして久しいが、そんなマーケティング的にあぶり出された最大公約数的な消費者類型でもない。もっと「イキモノ」です。生臭くて、危険。そんでそれが今オモシロい!


この公演のパンフも買っちゃいました。本谷さんがどんな演出を稽古で仕掛けたのか気になって。
りょうさんの証言/「本谷さんは、実に無邪気にあっけらかんと、すごく難易度が高くて繊細な要求をしてくるんですね。それでいて『りょうさん、私ね、今日と明日とで、言う事が全然違ったりするから、あんまり気にしないでくださいね』って」
松永玲子さんの証言/「今日の稽古で、私の辞書にはありえないダメ出しを受けましたね。…『そこ、ホリケン(堀内健)でやって』って言ったんですよ…本谷に言わせると『わきわき感』に見えるのだと。『わくわく』『うきうき』が一緒になったみたいなテンションで、キラッキラ輝いて見えるんだそうです」
吉本菜穂子さんの証言/「稽古がオフの日に、本谷から宿題が出たんですよ。『黒澤明の「七人の侍」を見るように』と。設定も何もまるで違うんですけど(笑)」…稽古中、様々な場面で本谷さんは「ソコ、黒澤イズムで!」という言葉を使っていたという…。
羽鳥名美子さんの証言/「台本にもツッコミどころがいっぱいあるんですよ。ト書きって普通「驚く」とか「怯える」とか行動が動詞で書かれてますよね。だけど彼女のホンには「がくがくぶるぶる」って書いてある。それが妙にかわいくて(笑)」
木野花さんの証言/「実際お話ししてみたら、演劇界には珍しいきゃぴきゃぴした可愛い女の子で。あの『きゃぴきゃぴ』は曲者だと思いました。『きゃぴきゃぴ』しながら、要求は情け容赦がないですからね」
佐津川愛美さんの証言/「物語を深く読み進めているうちに、私は結局 ''女'' というものにたどり着いちゃうんです。やっぱり女って怖いんだなって、改めて思いました。強さと弱さ、愛情と憎しみ。両極端に振り切れちゃってる感情を、同時に合わせ持ってる。そういう人間たちの中に、ワタシ自身も見を置いているんだってことを考えると、ちょっとすごくありませんか」


●あと、このパンフレットで初めて本谷有希子さんの写真を見た。あ…ホントにカワイいんだ…。

本谷有希子(こんなにカワイいのに、暗黒のカルマが湧き出てくる)

「あの子の考えることは変」

この前、本谷さんの最新小説「あの子の考えることは変」のサイン会があったらしくて。
●職場の新卒スタッフ23歳の若手くんが突然ボクに報告。「unimogrooveさん、見てください!本谷有希子さんのサイン本です!本人、すっごくかわいかったです!」……おお、ボクはまだ誰にも彼女の芝居を見た事も、その存在が気になっている事も口外した事なかったのに、いきなり10歳以上年下の後輩に見破られたよ。しかもこの若者とマトモに口聞くの2回目なのに、キッチリ自慢されたよ! パッと見だけでボクはソレ系の人間だってハッキリわかるんだろうな~(あと、若者からすると、ボクはスゴく声かけやすい先輩に見えてるらしいね……イイかワルいかよくわかんないけど、とにかく貫禄というモノから無縁らしい)。

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