昨日って、終戦記念日だったんだよね。すっかり忘れてた。
●鍼灸院の治療が終わって領収書を書いてもらう時に、センセイがつぶやく。「今日はえーっと、8月15日っと…あら、終戦記念日だったのね…お盆真っ盛りだわ…人が街にいないわけだわー。」そっかー、もう8月ど真ん中。そんで終戦記念日なのだ。ボクにはそういう習慣がないのだけど、フツウの人々は故郷に帰り、お墓参りとかして、今はこの世にいない親族について思いを巡らせたりするのだ…。でもそん時「ウチのジイちゃんは戦争で死んじゃったんだよね」というような記憶に思いを馳せたりするのだろうか?

そんで話題は一気に飛ぶんだけど、今月末の選挙。
●サスガにマジで政権交替しちゃうかも知れない今回の総選挙。完全無党派であるボクも、ニュースで話題の「マニフェスト」ってヤツをチェックしてみる。そんなコトはホントに初めてだし、政党のホームページを見ること自体が初めてだよ。PDFファイルの文書になってたり、YOU TUBE な動画がついてたりと細かい工夫もいっぱいしてるし、見てて興味深い。幸福実現党の動画とかスゴいね。6分くらいのショートドラマで北朝鮮の核攻撃を見せてる。民主党グッズ販売サイトも笑える。欲しくねー(笑)!
●でさ、ボクは今回の選挙、「子ども手当」とか「年金改革」とか「景気対策」とか「少子高齢化」とか「格差是正」とかが争点だと思ってたんですよ。でも各党の主張を見てるとさ、意外なほど「歴史問題」が出て来るのよ。自民党とかは民主党への批判に歴史認識の問題をスゴく大きく捉えてるんですね。「護憲/改憲問題」「自衛隊問題(&北朝鮮対策/海外協力など)」も戦後民主主義の見直しとして「歴史問題」と密接に絡んでくる。「日教組」とか「日の丸/君が代」も無視できない。「靖国問題」もね。鳩山さんは靖国神社に行かないって言ってるし。まあ大事な問題でしょう……ボク個人は今ソコか?って気分があるんだけどね、このヤバい国内状況をまず解決してくれよって思ってたから。

●で、終戦記念日だ。…歴史の認識は繊細で多様な見方がある。時代時代で読み替えがあったりして「歴史」はクネクネとその姿を常に変えている。去年では定説だったモンが突然マチガイになったりもする。その時々のトレンドに左右される。悪党がヒーローになったり、ヒーローが悪党になったり。だからこそ「歴史」はオモシロい。大河ドラマをみんなが見るのはそんな理由からでしょ。そんで例外になる事なく、あの戦争も、日本の戦後も、様々な解釈/再解釈がなされてる。


こうの史代「この世界の片隅に」

こうの史代「この世界の片隅に」上中下巻
●このマンガ家さんは、「夕凪の街 桜の国」で広島の原爆症をテーマにした作品を描き、注目を浴びた。この作品は後に田中麗奈主演で映画化され話題になった(まだ映画は観てません…)。そして今回、もう一度、戦中の広島にまつわる物語を描いたのだ。
●ただし、この作家さんの狙いは、単純に原子爆弾の是非を問うというアプローチを取らない。戦争の是非を問うモノでもない。こうのさんにとって広島市は生まれ故郷、自分のルーツである街の物語を描くまで。昭和18年~21年の広島&呉の街を舞台に、この時代を生きた一人の女性の姿を実直に描いているだけだ。俯瞰視点からのイデオロギーから問題を浮き彫りにするアプローチも有効だろうが、極私的な視点から生活者のリアリズムを通して紡がれる物語にもそれなりの説得力がある。特別な事は語らないしわからないコトはわからない。しかし生活者のリアルはブラさない。こうのさんは1968年生まれで完全な戦後世代(団塊ジュニアよりちょい年長)だが、非常に細かい取材で、当時の衣食住全般に関わる生活状況、町の様子や風景、呉に出入りした軍艦や海軍施設の場所、焼夷弾の構造までを事細かに描いている。その徹底したリアリズムで、あの時期の記録を今の時代に定着させるのが自分の仕事と思っているのかも。
●天然ボケでのんびりした夢想家、絵を描くのが好きな18歳の少女・すずに、突然縁談の話がやって来た。当然旦那さんの素性もカオもろくに知らない。相手は日本海軍の最重要拠点である軍港・呉で文民官僚として働いている男・周作。すずが向き合うのは知らない街と知らない家。しかしすずは持ち前の素直さで周囲の人々に愛され、慎ましいながらも幸せな日々を送る。少ない食糧で三食のゴハンをせっせと作る、裁縫は苦手でモンペ作りは大失敗、広島市街にお遣いに出れば迷子、義姉は強気な人だが姪っ子はとても懐いてくれる、そして夫はいつも優しい。……戦争の時代も人々は生きていた。真っ当に暮らし、働き、泣き笑いをしていた。それがリアルでしょ。
●戦況が厳しくなるにつれ、すずの暮らす街にも危険が迫ってくる。空襲警報、防空壕、灯火統制、目の前に転がり落ちる焼夷弾、そして原子爆弾。でもすずは最後まですずであり、自分の時代を自分のやり方で生きていく。死ぬ人もいるが、生きている限りはキチンと生きていく。今の時代を生きるボクらが、不幸な時代に生きたモンだと片づけるのは、彼女にとってきっと失礼なんじゃないか?そうとさえ思った。
●昭和元年生まれのすずさんが今も存命なら、彼女は84歳になってるだろう。ボクの祖父祖母で唯一存命する父方の祖母とちょうど同世代だ。ボクの祖母・ツギさん(次女だからツギさん、スゴいネーミングでしょ)は、生まれた頃からほぼ変わらず栃木の田舎に暮らし続け、地域のお祭りでは大事なシンガーとして浄瑠璃を歌唱する(コマイことはボクも理解出来ない)。今年も立派にお務めを果たしたらしく、ひ孫にあたるボクのコドモたちに写真を送ってきた。素晴らしい人生じゃんか。

常磐津のツギさん

(センターに座るのがツギさん。明らかに最年長。サイドの人とはダブルスコアかも。)

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