ノマドと楽しく「20世紀少年」を観るつもりだったのに。
「20世紀少年 第一章 終わりの始まり」
●テレビで「20世紀少年 第一章 終わりの始まり」が放送されてた。
「パパは20世紀少年だけど、ノマドは21世紀少年だからな。2001年生まれだし。ヒヨコは21世紀少女ね」そんな感じで我が親子はテレビの前に陣取った。T.REX「20TH CENTURY BOY」のハードなリフにウキウキしながらノマドは楽しく映画を観るつもりだったのだ。確かに始まった時には、ドキドキしながら時にフトンをカブって画面から目をそらしたり、「うぉー!」とか言って身悶えたりしてた。
●トコロがドッコイ、小学校の思い出が将来の地球の危機に関わるというシチュエーションが、現役小学生のノマドにはリアリティがありすぎてキツかったようだ。映画の中盤で「うーオナカイタい、きもちわるい」と言い出して、トイレでゲロを吐いてしまったのだ。あれーサスペンスはコレからなのに、もうギヴアップかよ?途中でテレビを消して視聴中止。ノマド、ノックダウン。うーん、ちょっと刺激的だったかなあ。


実は「20世紀少年」にノメり込めないボク。

「20世紀少年」

●もちろん原作はチェックしてたんだけど、大風呂敷広げまくって結局収拾つかなくなった感じがする。最後の方はもうついていけなくなってた………終盤、呆気なく一度完結して、そんで間髪空けずに原作構成をつけて「21世紀少年」が始まった時には、少々呆れてしまった。だからどんな結末だったのか、実は覚えてない。そうそう、コレの前の「MONSTER」の時も尻すぼみ感が否めなかったのよね。新連載の「BILLY BAT」も、始まったばかりで終戦直後の下山事件から、一気にイエスキリストの殉教へワープ。大風呂敷が宇宙開闢ビッグバンのスピードで広がってるようで、ああまたヤバい匂いがするぜ、という印象。

「MONSTER」浦沢直樹


「R25」で浦沢直樹氏のインタビューを読んだ。
●そんでこの作家に、ある意味でこうした傾向を走ってしまう性質を嗅ぎ取ってしまった。浦沢さんはある意味で多重人格で、企画者ウラサワ、ストーリーテラーウラサワ、作画者ウラサワ、結局作品を形作る人物はたった一人なのに、様々な立場のジブンを分離して時に矛盾する方向にも転がってしまうタイプらしいのだ。柔道マンガ「YAWARA !」の時も、「ものすごくリアルに投げる女子柔道漫画どうです?」と企画を立てておいて、後から「リアルな一本背負いってどう描くんだ?」と悩んじゃう。この「20世紀少年」もオモシロそうな方向に後先考えず突き進んだ結果だと思う。そんで収拾つかなくなって、全幅の信頼を置く共同制作者・長崎尚志氏の手を借りる。この長崎さんという人は、浦沢さんの一番最初の担当編集で、現在はフリーの漫画プロデューサーとして浦沢作品に関わり、映画版「20世紀少年」脚本も担当している。天才の影にその天才と世間を上手くコネクトする存在がこの人なんだろうな。
●しかし、今度公開される第三部は、原作とも違うラストが用意されているとのことで、全部通して観れば楽しめるかも知れない。結局第一部もろくに観られてませんけど。


でも、「PLUTO」は比較的無難に完結した。

「PLUTO」

手塚治虫「鉄腕アトム 史上最大のロボット」を下敷きにして、長編リアリズムへ拡大再生産するという挑戦。原作も小学生時代のボクにとっては印象的なエピソードだったので、この世界にはスッと入っていけた。
●主題歌にも出て来るように、アトムのスペックは10万馬力。それに対して巨大ロボット・プルートゥは100万馬力のハイパワーマシーン。世界最強のロボットになるべく、世界各地の強力なロボットに挑戦してはライバルを打ち破る。最後にアトムと対決するのだが、実はアトムはロボット同士の戦いを望まない。スペックでは劣るものの、持ち前の頭脳と高機動性を活かしてアトムは結局プルートゥに勝利する。爆発したプルートゥの長い角を手に握り、不本意にもプルートゥを倒してしまったアトムは涙を流す……ボクの記憶が正しければ、原作はこんな話で、一話完結の短いエピソードだった。

●この原作に、浦沢版は、ロボット対人間の社会摩擦、ロボットと人間を隔てる性質、ロボットが人間らしい感情を持ち得るのかというテーマ、そしてその人間らしい感情とはなんなのか?という問題提起を盛り込んで全8巻の長編に仕上げた。皮肉なことに、ロボットが人間に近づく瞬間は、激しい感情の偏りであり、それは人間においては「憎しみ」という名前で呼ばれるモノを持つコトだった。アトムは一度死に、そしてその激しい感情の偏りを経て復活する。そして大きな「憎しみ」で数々の高性能ロボットを破ってきたプルートゥと対決するのである。



「20世紀少年」と言えば、やっぱ T.REX だよね。

T.REX「THE SLIDER」

T.REX「THE SLIDER」1972年
●あのカッチョイイギターリフから始まるロック、ファンキーなコーラスを従えて疾走するロック、グラムロックの一番グラマラスで華やかな場面を象徴するかの名曲、「20TH CENTURY BOY」は実はオリジナルアルバムには収録されてません。本来はシングルのみのリリースで、ベスト盤とかリイシュー盤のボーナストラックに収録されてます。ボクは1973年リリースの「GREAT HITS」で聴いてます。
●でもベスト盤じゃあ芸もないしなーと思って、今日はそのグラムロック全盛期を代表する一枚「THE SLIDER」を紹介しようと思います。このアルバムはやはり T.REX の代表作「ELECTRIC WARRIOR」(邦題:「電気の武者」)の次のアルバム。このアルバムはジクジク味が染み出るタイプの物件なんす。正直、「20TH CENTURY BOY」やその他の名曲のような疾走感があんまナイので一聴すると地味に聴こえる。メロディの骨格だけ眺めていると、TYRANNOSAURUS REX と名乗ってた頃のサイケデリック・フォークの味が思いっきりにじみ出ていて、いかにリズムやギターで装飾しようと、ドロリンとした魔法の薬の苦い味が隠せないのですわ。だから軽快なテンポ感は薄くって、どこか煮え切らないままのグズグズしたギターブギーばっかになってる。表題曲「THE SLIDER」なんてその代表格だと思う。
●後半、「TELEGRAM SAM」から必殺のボランブギーが始まるが、決して飛び弾けはしないテンションをキープ。そのブギのドライブ感だけでグイグイ這い回る感じ。どんなにギラギラな衣装を着飾ろうと、コイツは決してそのジメジメしたヌメリ気を失わない。それが T.REXその影の部分がグラムロックの本質。

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