今日は、幕張メッセで THE PRODIGY が大騒ぎしているハズなんだよ。

WARRIORS DANCE FEST

●最近のロッキンなエレクトロアクト、HADOUKEN ! も出演するらしいんだ。ちょっと気になる。しかしボクはビョウキになってからライブもフェスも行けなくなってしまったので、「いいなあ、観に行きたいなあ」と思ってもしょーがない身分なのだ。だから気分だけでも味わうためにCDを聴く。


THE PRODIGY。「ビッグビート」を体現する男たち。
●今日紹介するユニットとしては一番長く活動している彼ら。1990年からレイヴシーンのど真ん中で扇情的なビートを繰り出していた連中だ。その音楽がダイナミックなロックミュージックに接近するのは1996年のこと。「FIRESTARTER」「BREATH」という特大シングルが炸裂。ブリットポップ旋風吹き荒れるイギリスのシーンの中、ロックのお株を奪うような激しいビートとキャッチーなリフ、パンクなスタイルで、ダンスシーンから殴り込みをかけたカッコになった。翌1997年のアルバム「THE FAT OF THE LAND」でこの大味なダンスミュージック「ビッグビート」を確立する。


THE PRODIGY「ALWAYS OUTNUMBERED, NEVER OUTGUNNED」

THE PRODIGY「ALWAYS OUTNUMBERED, NEVER OUTGUNNED」2004年
●しかし、あまりにも巨大なセールスとインパクトを作った「THE FAT OF THE LAND」以来、その重圧でしばらく身動きができなくなっていた THE PRODIGY。オリジナルメンバーの一人でダンサーの LEEROY THORNHILL は脱退してしまうし、音楽的頭脳の LIAM HOWLETT も次なる路線に迷ってたっぽい。だから、このアルバムにはバンドのフロントマン KEITH FLINT & MAXIM REALITY が参加してない。LIAM がたった一人で制作してしまった。
●その代わり、ゲスト陣は豪華である。なぜか女優 JULIETTE LEWIS が超パンキッシュなボーカルを披露してる。彼女はこの経験で味を占めて、JULIETTE & THE LICKS というバンドまで結成しちゃいました。世界一早口MC の TWISTA がマシーンビートにラップを乗せる場面も。変態オールドスクーラー KOOL KEITH も参上。そんで最後には OASIS LIAM & NOEL GALLAGHER 兄弟まで参加してます。

THE PRODIGY「INVADERS MUST DIE」

THE PRODIGY「INVADERS MUST DIE」2009年
●前作「ALWAYS~」が、LIAM のソロ活動っぽい側面を持っていたのに対して、この最新作は、ボーカルパフォーマンスに KEITH & MAXIM の二人だけを配置する布陣、本当の意味でオリジナルメンバーが結集した10年以上ぶりのアルバムになった。ゲストらしいゲストは2曲で素晴らしいドラムを披露している FOO FIGHTERS & 元 NIRVANA DAVE GROHL のみ。全体的にテンポアップしてより凶暴度が増強。「ビッグビートここに健在」と宣言している様。ワンパターンと言われようとも、この乱暴な感覚はやっぱ生活にハリを与えるかも知れない。



FATBOY SLIM。ダンスとロックのチャーミングな邂逅。

BIG BEACH FESTIVAL 09

FATBOY SLIM こと世界一愉快なDJ、NORMAN COOK も今年デカイイベントを日本で打ったんだよね。彼が地元 BRIGHTON で行っている巨大イベント「BIG BEACH BOUTIQUE」横浜八景島シーパラダイスに移植、「BIG BEACH FESTIVAL 09」が開催された。フェスには大沢伸一田中知之まで参加してて、きっと楽しかったに違いない。


FATBOY SLIM「YOUVE COME A LONG WAY, BABY」

FATBOY SLIM「YOU'VE COME A LONG WAY, BABY」1998年

RIGHT ABOUT NOW, THE FUNK SOUL BROTHER !
CHECK IT OUT NOW, THE FUNK SOUL BROTHER !
ライアバウナウ!ザ・ファンクソウルブラザー!
チェキラウナウ!ザ・ファンクソウルブラザー!

●目一杯リピートさせて耳に刷り込むサンプルフレーズが最高にキャッチーな「THE ROCKAFELLER SKANK」を収録しているセカンドアルバム。この曲や「RIGHT HERE, RIGHT NOW」「PRAISE YOU」などの名シングルが彼のポジションを不動のモノにした。この次のアルバムの頃、やっぱり幕張メッセで彼のパフォーマンスを観に行ったモンだ。会場がドデカ過ぎて、あんまり音がヨクなかったんだけど。
●ミュージシャン上がりのベテランさんである NORMAN だが、サンプルセンスやターンテーブルセンスは天下一品で、そのサンプル万華鏡やジャンル横断主義は、モッズ、レゲエ、スカ、ファンク、ヒップホップ、テクノを併呑してる。そんで大切なコトは、パンク魂の赴くままに怒りをぶちまける THE PRODIGY と違って、あくまでハッピーにダンスすることに集中していること。実際 NORMAN は性格のイイユーモア溢れる人物らしい。

FATBOY SLIM「PALOOKAVILLE」

FATBOY SLIM「PALOOKAVILLE」2004年
●この辺で NORMAN の曲作りの姿勢に微妙な変化が。今までは声ネタやサンプルのループで楽曲を構成してきた FATBOY SLIM というプロジェクトだが、ココに来て自分の手引きベースや生演奏楽器を採用するようになったという。声ネタも使わないではないが、アメリカ・オークランドのラッパー LATEEFBLUR DAMON ALBARN を召喚するなど、歌モノにコダワリを見せている。BOOTSY COLINSSTEVE MILLER BAND「THE JOKER」をカバーしてたりってのも聴き所。その曲調のチャーミングさってのにはブレはないのですが。
●しかし、FATBOY SLIM としてのレコーディングはここで一旦一区切りしたのか、2006年にベスト盤をリリースしてからはミックスCD程度の活動に落ち着きつつある。2009年に DAVID BYRNE との共作でアルバムをリリース準備していると言われてるが、内容はイメルダ・マルコスに関わるコンセプトアルバムというから、どっちかっていうと DAVID BYRNE の色の方が強いのかなーと思ったりも。

BEATS INTERNATIONAL「LET THEM EAT BINGO」

BEATS INTERNATIONAL「LET THEM EAT BINGO」1990年
NORMAN COOK が長い音楽キャリアの中で様々なユニットを作って来たことは有名だ。ギターバンド THE HOUSEMARTINS のベーシストからキャリアを起こし、FREAK POWER というファンクバンドを率いた時期もある。最近はTHE BPA (BRIGHTON PORT AUTHORITY) というユニットもスタートさせてる。この人つまりはとっても飽きっぽいのね。 BEATS INTERNATIONAL というユニットはダブやレゲエのエッセンスをサウンドの軸にしてて、結果として FATBOY SLIM の驚異的な雑食性の基礎になるキャリアになった。
●さすがに無数のサンプルで分厚いレイヤーを作る FATBOY SLIM の過剰な情報量には敵わないので、20年近く前のこの音源に古さを感じるのは否めない。でもテンポアップされたダブミュージックにはすでに後年のチャーミングさは備わっていて、ヒット曲「DUB BE GOOD TO ME」の足を一歩一歩踏みしめるような太いビートはかなり気持ちイイ。この頃は当時の有名女性タレントさんをボーカルに据えてるってのもユニーク。



UNDERWORLD。映画「トレインスポッティング」のその後。
「トレインスポッティング」のメインテーマ、「BORN SLIPPY NUXX」1995年はあの90年代の気分を代表する時代のアンセムになってしまった。シンプルな四ツ打ちビートに、一本調子な KARL HYDE のボーカル。一瞬神々しいほどの深いエコーのピアノが静寂の中で凛々しく響き、そして強力なビートが呼び込まれる。トランシーでもあり、ストレートなテクノでもあった。初期の代表作には名曲「REZ」がある。アブストラクトで繊細な電子音の集積のような曲で末期レイブ時代の集大成みたいな存在だ。だから実は彼らの音楽をロックと結びつけて「ビッグビート」と呼ぶには多少の躊躇がある。それでもコアなテクノに比べたら実にキャッチーな彼らの音楽は、FATBOY SLIM と同じくらいのチャーミングさがあるような気がするので、ココでご紹介。

UNDERWORLD「BEAUCOUP FISH」

UNDERWORLD「BEAUCOUP FISH」1998年
●抽象的でクールなジャケアートは、グラフィック集団 TOMATO のクリエイティヴ。UNDERWORLDTOMATO のパフォーマンス部門みたいな位置づけだったはず。で、TOMATO は デザイン仕事を本業にしながら(日本でポピュラーなのはテレ朝の画面のスミにちらつく長方体CG)、UNDERWORLD のライブ VJ や DVD の編集までやってた。
●そんで、その UNDERWORLD + TOMATO による実に傑作なライブDVD「EVERYTHING, EVERYTHING」でプレイされてた曲がココには目立つ。DVD収録曲の半分以上がこのアルバムの曲です。ラスト曲「MOANER」の強烈な盛り上がりはライブの最高の見せ場だが、その興奮はダイレクトでこのCDでも楽しめます。アシィィッドなブリブリビートから、スーッと忍び込んでくるシンセリフが徐々に存在感を増し、耳をつんざく躁状態ムキダシのテンションに膨張していく瞬間がまさしく神。

UNDERWORLD「A HUNDRED DAYS OFF」

UNDERWORLD「A HUNDRED DAYS OFF」2002年
●前述のDVD「EVERYTHING, EVERYTHING」の制作中、メンバーの一人 DARREN EMERSON がユニットから脱退した。UNDERWORLD は、80年代においてはエレポップバンドの性格が強いユニットだったが、1991年の彼の加入でテクノユニットへの進化を遂げることができた。脱退した DARREN は自分のレーベル「UNDERWATER」と設立する。コレってやっぱ UNDERWORLD の名前をもじってるんだよね。
●さて、彼の脱退はユニットのサウンドを一変させるかもと心配されたが、ワリと無難な変化に落ち着いたアルバムになった。でも印象は少々地味。ハウシーな質感が強まり、サンバっぽい意匠が散りばめられた感じ。ヒット曲「TWO MONTH OFF」(100日休暇とか2ヶ月休暇とか、休み過ぎだよキミたち)がまさしくパーカッシブなサンバビートがジワジワ盛り上がっていく象徴的なトラック。もう1曲よく街で聴こえてたのが「DINOSAUR ADVENTURE 3D」。コッチの方が昔からの UNDERWORLD っぽい。その後、2007年にもアルバム出してるけどその辺はまだ聴いてないです。



「ビッグビート」と言えば、ケミカル兄弟を忘れちゃならない。
●1995年のTHE CHEMICAL BROTHERS の登場は痛快なモンだった。何しろ、連中のルックスがカッコ悪かったからだ。メガネのオタクロン毛と、深刻な天然パーマ野郎の二人組が、当時活躍してたどんなロックバンドよりもロッキンでタフな音楽を弾き出し、シーンを焼き尽くしたのだから。世間が彼らに注目した時には「テクノ界のレッドツェッペリン」などと呼ばれたものです。しかし、最近の彼らは別のレベルに進化しようとしてるみたい。

THE CHEMICAL BROTHERS「PUSH THE BUTTON」

THE CHEMICAL BROTHERS「PUSH THE BUTTON」2005年
●この5枚目のアルバムが一番ゲストボーカリストを大勢フィーチャーした作りになってる。ヒットシングル「GALVANIZE」では、元 A TRIBE CALLED QUEST Q-TIP が小気味イイラップを披露。モロッコ音楽をサンプルしたビートに彼のナードなフロウがよく似合う。そんな Q-TIP ANWAR SUPERSTAR といった NY のヒップホップ関係者を招いているせいか、ヒップホップにも接近しているような気がする。インスト楽曲「SHAKE BREAK BOUNCE」ケミカル版バウンスビートで完全にヒップホップトラックですわ。
●その他新人アクトにもキチンと色目を使ってフックアップ&有効利用。BLOC PARTY の黒人フロントマン KELE OKEREKE のセクシーなシャウトを。アメリカのバンド TRESPASSERS WILLIAM のシンガー ANNA-LYNNE WILLIAMS のサイケデリックな女子ボーカルを。男女ツインボーカルのロックバンド THE MAGIC NUMBERS は丸ごと召喚されてキラキラチューン「CLOSE YOUR EYES」を演奏している。常連組では THE CHARLATANS のボーカル TIM BURGESS が二度目のゲスト出演。元からの持ち味だけど今回はサイケ面が強いかも知れない。

THE CHEMICAL BROTHERS「WE ARE THE NIGHT」

THE CHEMICAL BROTHERS「WE ARE THE NIGHT」2007年
占星術めいた神秘主義の怪しい霧が立ちこめる気分。そこへ召喚されたのはニューレイブシーンの代表選手 KLAXONS 。この未来から来た野蛮人のコーラスがサイケデリックでクール。トーンはロックテイストから離れて、よりテクノ寄りに接近したのかな?でもなんだか今回はそこかしこに呪術的な匂いがする。
●今回のヒップホップトラックは「THE SALMON DANCE」だ。元 THE PHARCYDE のラッパー FATLIP がチャーミングなラップを披露する。でも今回はテックな装いを取り戻したケミカル兄弟の得意のビッグビートの中の箸休め的存在だ。

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