明けましておめでとうございます。
●本年もダラダラと需要のナイムダ話を垂れ流して行きますが、ご容赦のほどよろしくお願いします。

さて、正月のボクは、体調を崩しております。
●つくり置きのカレーを食ったら、見事に痛んでたらしくてハラ壊しました。それをキッカケに精神/神経崩壊が始まって、意味の分からない頭痛と腹痛、腰痛と筋肉痛に苦しめられています。胃腸薬から沈痛剤、安定剤、眠剤、漢方薬を駆使してうつの深淵に落っこちないようにしてますが、具合はサイアクです。う~ん、結果的にはおそらくアウトです。…正月やGWって体調を崩す絶好のチャンスみたいなんだよね…日常の緊張感が緩んで一気に崩れるというか…ソレがイヤで夏休みとかもワザと取らなかったんだけど…うまくいかないねえ。

年賀状、ありがとうございます。
●ボクに届く年賀状なんて、コドモのノマドヒヨコ以下だろうと読んでたのですが、意外なほどの量が届いてしまいました。年度末に向けてボクの人徳が上方修正。…しかしコチラは完全な怠慢で5~6通しか出してないもんですから、せっかく年賀状をくれた方々も、とんだ空振りなのでございます。来年はコレに懲りてきっと誰もよこさなくなるだろう。……もひとつぶっちゃけると、年賀状に絡む事務作業ってボクをテンパらせるに十分な内容なのよね。アレやると絶対おかしくなる。修正の利かない手書き作業が神経を尖らせて見事悪影響。だから極力最小限にしてるんです。すみません。


ココロが弱る時には、なぜかココロが不安定になるようなモンを欲しがる。

松本次郎「フリージア」12

松本次郎「フリージア」1~12巻・完結。
●犯罪被害者が加害者に対して復讐の殺し合いを認める法律「敵討ち法」を背景に、その「敵討ち」を高額なギャラで代理執行する職業殺し屋さんたちの狂気を描く物語、とうとう完結。多分、作品の着想には、凶悪犯罪に対する司法判断が世間の常識から乖離しまくって見えた一時期の社会的気分(結果「裁判員制度」なんてモンがホントに出来ちゃった)が影響してると思う。「デスノート」もそういう作品だったはず…殺されるべき人間が殺されてないという義憤から主人公はデスノートで殺人を始めるんだからね。ただ、「フリージア」においては、犯罪被害者の感情とか義憤という段階を瞬間的にすっ飛ばして(作中ではほとんどそんなコトには触れてない)、合法的に殺人が出来るプロの殺し屋というイキモノの生態に迫ってる。で、もれなくそんな連中が全員狂ってる。う~ん、具合が悪い時には読むもんじゃないねえ。

●主人公の同僚でありながら敵愾心を剥き出しにする男・溝口は、スリルと快楽、根拠のナイ優越感を味わう為に殺人を生業にしてる。自分は肉食獣、他人は草食動物、狩るモノ/狩られるモノとに区別して、自分を特別視してる自意識過剰ヤロウだ。おまけに常習のDV野郎でもある。しかし主人子・叶ヒロシの登場で、その優越感が破綻、徐々に精神のバランスを崩し現実を見失う。殺人が職業というイカレタ状況で元々現実が歪んで見えてるわけで自分が他人に対して優越してるなど100%錯覚、そこに自分よりも高性能な殺人者が登場すれば世界観が破綻するのは当然だ。…しかし、ヤツが手のひらイッパイのクスリを一気にザラザラ飲む時、勝手な思い込みで「オレには薬なんて用はねーんだ」とマトモぶりやがる時、ある意味でボクは自分が目一杯のクスリを飲んでた頃を思い出し、非常にイヤな気分になる。そんでボクも、安定剤を一発キメるのである。

●後半の重要人物・田中慶太は、若き新進政治家、というイメージを周囲が丁寧に用意した虚構の存在で、ホントはチッポケな不良少年だ。コレがまた強烈な PTSD を患ってて、母親との不幸な思い出がフラッシュバックを起こすと前後不覚の支離滅裂に陥る。そのフラッシュバックの勢いで罪なき少女をウイスキーの瓶で殴り殺した、片目が飛び出るまで。…フラッシュバックってのは、過去の苦い経験、ヒドい経験が突然よみがえってしまう現象だ。天災被害者や戦争体験者の人にはコレがつらい後遺症になったりするという。コレが実にリアルで、記憶だけじゃなく、その時の強烈な感情までがイッペンに、予測もしないタイミングで起こる。ぶっちゃけボクも細かいフラッシュバックは随分と味わったもんだ。ボクのココロは戦争や犯罪のような大ケガに至る記憶などないけど、ナニゲにカスリ傷&カサブタだらけだったようで、少年時代から大人になるまでの様々な苦い記憶がビシビシリプレイされたもんです。クスリを飲むようになってスッカリ収まったけど。

●そんで一番闇&病みが深いのが主人公・叶ヒロシくんだ。兵役で特殊部隊の訓練を受けたキャリアと殺人スキルを買われてスカウトされたが、ソレ以前にホントにヘヴィな統合失調症だ。「友人」と称して架空の人格を作り上げ、毎日トークしてる。幻聴幻視幻覚のオンパレードで、現実との境目が全く見えてない。「電話の音がずっとしてるんだ…」困った人だね。うつ病と統合失調症はザックリ言って別ジャンルの病気らしく、ボクには幻聴その他の経験はない。つーかコレはさすがにヤバい。幻聴と現実に区別がつかないとホント社会生活が困難になる。治療としては服薬で幻聴を食い止めつつ、幻聴を錯覚と客観視できるスキルを身につけるのがポピュラーらしい。…主人公・ヒロシくんはソレがかなり苦手らしいけど。それに銃器を持たすんだからムチャもいいトコ。
●しかし、このヒロシくん。ヘヴィな症状のワリには自分の中の原理原則に忠実で、常人には理解出来ないカタチで世界や人生を把握しようとする。天才的殺人技術と合法的殺人稼業は絶妙な触媒として作用して、自分が殺す対象との密度濃い対話(いや見た目にはただの殺し合いなんですけど)が、混乱した人生に生きる意味を見つけるべく歩み出すキッカケになっていく。結局彼の行く手には破滅しか待っていないし、彼に普通の人間のような理性と感情が芽生える事もないのだか、彼は自分の生きる意味について誠実に立ち向かった。彼を「狂人」とするのは簡単だが、一方で些事にかまけて毎日を惰性に任せて生きる我々が狂っていないと誰が保証できるのか。作者・松本次郎がこの物語の背景に描く混沌とした世界は、戦争/汚職/欺瞞/欲望/暴力/思考停止に満ちあふれてる。結局ゼンブ狂ってる。

●ボクがこのマンガをテーブルの上に積み上げてたら、娘ヒヨコが興味深げに手に取るので「この本はとてもコワいので中を見てはいけません」と注意した。以前も同じようなボクの蔵書を見てホントにコワかったコトがあったらしいので、素直なヒヨコは絶対に中身を見ないのだが、表紙を見比べてドレがイチバンコワいかチェックしてた。

松本次郎「フリージア」3

(ヒヨコが選んだイチバンコワい表紙大賞。サドキラー・溝口。)




●そんな時には、ブレない、王道の音楽を聴いてます。

ENYA「AND WINTER CAME...」

ENYA「AND WINTER CAME...」2008年
●ブレない音楽ってコトで、この前 U2 のコト書きました。そんで今日は同じアイルランドのアーティストを。ブレない音楽ってのは別にロックだけじゃないわけで。この人、20年以上のキャリアでほとんど芸風を変えてないのだからエラい。
●ジャケやタイトルからも察する通り、今回は「冬」がテーマでクリスマス気分が濃厚な内容。「きよしこの夜」をはじめトラディショナルも収録。日本の正月に厳かなクリスマスソングを聴くってのは、ワリと相性がよいです。テレビでバカ騒ぎバラエティを見るより価値があります。ココロが弱るとテレビがウルサくてかなわない…。
●さて、ENYA が芸風を変えない要因ですが、ポイントはその制作チームにあると思います。出世作「WATERMARK」1988年(「ORINOCO FLOW」収録)以来、この人は決まったチームとしか仕事をしてません…ボクの知る限りね。アレンジャー/プロデューサー NICKY RYAN、その奥さんで作詞家の ROMA RYAN。ENYA は作曲家/演奏家/シンガー。この三角関係は鉄壁。「ENYA」という存在はこの三人のトリオユニットと思えるほどです。3人で同じ家に住んでた時期もあるっぽいですから。
●この人の生活って神秘的…。ダブリンの南に古城を買って、1人そこでひっそり暮らしてるとな…。モノクロ映画を鑑賞するのが好きで、水彩画を描くという。一人じゃ一生遣い切れないほどお金を稼いでるのに(じゃなきゃ城は買わないだろう)、露骨なセレブ暮らしもしない。時々はテレビに出るけど、気の遠くなる多重録音という音楽の性質上、コンサートはしない。自動車にも乗れないらしい。いつもたった一人でナニやってんだろう? 普通なら気が狂っても不思議じゃないような…そうでなければかなりのタフな精神力の持ち主だ。20年頑固に自分の芸風を追究してきた根性はダテじゃない。
●それでも、彼女なりの実験と挑戦はある。前作の「AMARANTINE」は日本語含むイロイロな言語、そして「ロキシアン語」とかいう架空の言語でウタを歌ったなんて実験をしてる。今回はクリスマスという一貫したテーマがあるのでソコまでの冒険はない。ただアレンジ上のトライとしてへえ~と思ったのが、エレキギターのパートを設けた曲があることだ。ENYA の曲でギターが活躍した曲なんてあったっけ?しかもリズムの気分とAメロがなんかビートルズに似てる…なんの曲かな~あとちょっとで出てきそうなのに。

ENYAのお宅

(こちらが ENYA のお宅。見事なお城ですわ。19世紀ビクトリア朝時代のモノですって。)


あ、さっき NHK「龍馬伝」放送第一回見ました。
「坂の上の雲」に続いて出演する、香川照之さんが一番スゴいね。一時期の竹中直人みたいなズルムケの汚れ役を今後全部引き受けて行くんだろうな…。正岡子規の時はゲッソリ病人顔だったのに、今回の岩崎弥太郎という人物では野心ムキダシ&キタねえ歯ムキダシの生命力旺盛な男になってる。切替えも速くてお見事。あと、草刈民代がことのほかオバさんになっててショック。もっと美人さんだったよね…。病人メイクだから?福山龍馬の評価はコレからかな。佐藤健岡田以蔵は結構似合ってるかも。直情的なテロリストとしての信念が面構えからもう覗けてる気がする。
大河ってそんなに見慣れないんだけど(「天地人」は一回目で挫折した)、あのリアリズム照明って常套手段なのかな?自然光だけ、または自然光の入る角度からだけの照明で役者を照らすから、暗い室内のカットだとマジで役者の顔が見えなかったりする。役者が演技する屋内より、その背景に見える庭の方がカッチリ見えるほどだからね。どこから光が差し込んでるか分かり易くするための空間把握のカットもキチンと忍び込ませてあるし。「坂の上の雲」はより徹底してた。深夜のシーンも手加減なく照明を削ってて、マジでランプだけで撮影してるかのようだった…。
「篤姫」「坂の上の雲」の時は重厚なカメラワークがインパクトを演出してたけど、下級武士社会から描写が始まる「龍馬伝」では、感情的なシーンは水平を大きく傾けたポジション(ハンディカメラ?)で撮ってた。編集もテンポ感重視でカツカツ切り刻んでた部分もあった。飄々とした龍馬のスタイルが演出に反映された結果かな。民放じゃやり尽くされた当たり前の手法だけどね。
●でも、とにかくコイツをしばらく楽しみます。イントロで掴まれたもんね。坂本龍馬は忘れられた人間で、三菱財閥創始者(岩崎弥太郎/香川照之)の回想でその人となりが明かされるって設定だもんね。身分もなく明治新政権にも関われなかった彼の男が、歴史上から忘れられてても不思議じゃないってリアルでしょ。そこから物語を掘り起こしてくスタンスで、一気に期待度5割増です。彼の存在を英雄に仕立て上げた後世の評価自体が、何らかの意図をもったプロパガンダかも知れないって端的に気づかせてくれたんだもん。それだけで儲けモンですよ。

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