コドモたちと一緒に、「日本科学未来館」@お台場に行った。

日本科学未来館(館長は宇宙飛行士の毛利衛さん。)

コレは自律神経失調症を患うボクにとって偉大なるチャレンジなのだ。
ボクはビョウキを患ってから、コドモたちが楽しめるような場所にボクが連れて行ってやるコトができなくなった。自動車は売却したし、体力も衰弱したので、買物や食事にも行けなくなった。旅行などもっての他、学校の行事ですら、時間をうまく計算して半分だけ参加するという具合だ。ディズニーランドもキッザニアも、ボク不在でコドモたちは遊びに行く。しょうがないこととは言え、コドモが大きくなるにつれ、それがちょっと悔しいと思うようになってた。ボクじゃなければ経験させられないコトがあると思ってたんだ…ソレが博物館だ。

博物館に行くってのは、楽しい。ボク自身が子供の頃大好きだった…あのワクワク感はタマラナイ。ボクの息子ノマドもホントにノビノビと楽しむ。ビョウキになる前、度々連れて行った博物館や水族館でアイツが見せるワクワクの表情がタマラナく好きだった。図鑑や本を与える時にもそういう表情を見せる。そんな「知的好奇心」は、ボクがヤツに遺伝させてやれたたった一つの美徳だ…完全にオタク気質ってコトだけどね、そりゃこのブログを見てもらえばボク自身の性質もご理解できるでしょ…コレが明白に息子に遺伝したワケだ。ノマドはジブンの関心領域には非常に粘着質なので、博物館に行けば「もうココはイイだろ」って位に粘っこく食らいつく。ソレに付き合うのは大人にとってホントに大変なコトで(ヤツは本気で閉館時間まで遊び尽くすツモリだし)、同じ気質を備えた父親のボクでなければ、ヤツの好奇心を満足させられないだろうと思ってたのだ。

●で、今日は約3年のブランクを空けての博物館だ。ボクのビョウキの回復ぶりを計る大きなチャレンジだし、ボクとコドモたちの突っ込んだコミュニケーションのチャレンジだ。やっぱり電車移動はボクの体力では無理なので、自動車をボクの実家の父親に出してもらった。「今日は、オトコのほうが多いネ!」ジジとパパとノマド、3世代オトコ。このフォーメーションはノマドには新鮮らしい。ボク「そうだノマド!博物館はオトコの世界だからな!」

P1105981.jpg(シンボルマークの巨大地球儀)

●しかし、この「日本科学未来館」ってのは内容が難しいね!最先端科学の紹介がマジで最先端すぎてわかんないよ。人工光合成の研究について8つぐらいのアプローチをパネル紹介してるんだけどハイレベルだわー。それでもボクはノマドの脇にピッタリ沿い立ち、ノマドの理解出来るコトバで難しい内容を一生懸命噛み砕いてやる。ワイフにはコレができない、ボクにしかできないコトなんだよな…ノマドとオモシロポイントを共有できるボクじゃなきゃ。
●アレコレ見ましたよ…。8つのタイヤを節足動物のように動かして走るロボットやソレの操縦システムのデモとか、国際宇宙ステーションの居住棟(宇宙飛行士の小さな個室に無重力対応のトイレ)とか、潜水艦しんかい6500とその調査で採取された深さ1500mの海に住んでた真っ白いカニさん(きららちゃんというナマエがついてた)とか、H-2Aロケットが搭載してる直径2.5mのエンジンとか、人間の内臓や脳、眼球の模型がバラバラになる組み立て式の立体パズルとか、白黒のボール16コを16ケタの二進法データと見立ててソレが文字情報として伝わるインターネットの原理を説明する展示とか。うーん、文字にするだけでも難しいなあ。結局展示のゼンブをキチンと網羅出来なかったけど、キッチリ閉館時間まで楽しみました。ヒヨコは癒し系アザラシの赤ちゃん型ロボット、パロちゃんをナデナデ出来たのがウレシかったらしい。

P1105984.jpg

(DNA (RNA?) の塩基配列とタンパク質の生成システムを積木で学ぶノマドヒヨコとボク。)


なんで今「日本科学未来館」なのかっていうと、事業仕分けの対象になったから。
●このニュースの時、初めてココの館長が毛利衛さんだってコトを知った。お台場をドライブすれば自然と目につく不思議デザインの建物、ニュースで話題になるほどの内容って?毛利衛さんのセンスならばワルいことはないだろう、なんて興味も実はあった。実際ベンキョウになったし、ボランティアのスタッフさんが大勢フロアにいて熱心に解説してたのも好感が持てた。結果、息子ノマドに明白なメッセージも伝えることができた。帰りの駐車場へ歩く途中、ノマドにこう言えたからね。「日本は小さい国だから、みんながイッパイ勉強して、最先端の科学を作り出していかなきゃいけないんだ。ノマドもあの博物館で紹介される研究をしてみせるくらいにならないとな」

●しかし、ノマドの時代はさておき、ボクの時代は難しいコトになってる。
●あの「事業仕分け」で、この博物館は、予算縮減の努力/運営組織構造の見直しって宿題を課せられてた。この博物館だけじゃない、日本全体が組織構造の見直しを迫られている。自動車を出してくれたボクの父親も JALトヨタの不振を憂う。ボクの従事する業界もかなりのピンチ。そして日本は今年でGDPで中国に抜かれちゃうんだってさ。経済大国日本の三位転落。必殺仕分け人・蓮舫議員の「世界で2位じゃダメなんですか?」はナニゲに笑えたが、さて蓮舫サン、世界で3位はどうですか?
●…そして、ボクが今週読んでいたマンガは、奇しくもそんな国内外の気分を反映してしまったような舞台背景を持った作品だったんです。

福島聡「機動旅団八福神」10巻

福島聡「機動旅団八福神」1~10巻・完結
●日本全土の米軍基地に中国が特殊爆弾で一斉攻撃。そのまま日本は中国の覇権下に置かれ、日本人はアメリカ人を相手に戦争をしている。そんな時代の物語。新兵器「福神」を巡って様々な思惑がうごめき、その新兵器を操縦する兵士たちは世界の荒波に翻弄される。先日紹介した「フリージア」コチラの記事)でも日本は戦時下にあったが、社会は混乱して退廃の極みにあった。この作品の日本は国家としての尊厳を失い天皇陛下はスイスへ亡命、「環東軍」なる軍隊に支配されている。主人公たちは、その「環東軍」への志願兵。凸凹ヘソ曲がりの面々たちが集められ理不尽な訓練を経て到達したのは、絶対防御パワードスーツ「福神」。核攻撃にも耐えられる強力なジェル素材で作られた最新鋭兵器だ。

●まるで野比のび太を連想させるメガネヘタレの主人公・名取不二夫は第一巻で上官にブン殴られながらこんなセリフを吐く。「自分は考える軍人であります」。ヘタレのくせして、かつ自分がナニをしようとしてるかわかってもないクセして、コイツは戦争に行く。軍隊に加わる。……しかしコイツは「考える」。確かに常に考える。自分がナニと戦って、自分がナニを成すべきか、考える。「フリージア」の登場人物はもれなく狂ってた/病んでた。しかし「福神」の登場人物たちは、もっとも理不尽な組織「軍隊」の中、常に考え続けるコトで正気を維持し、そして着実に自分のルールをデザインするのだ。が故に、彼らは中国人兵士とも結ぶコトができるし、武器商人とも結ぶコトができる。仲間として結束することが出来る。この物語が過酷ながら前向きな逞しさを感じさせるのはそのポイントにおいてである。

「フリージア」は殺人を合法化して「特殊なゲーム」として描いた作品だ。「福神」もある段階で戦争をゲーム(「疑似戦争」または「茶番」)と捉える所へ到達する、この最終巻で……結果としてココがこの作品を非常にユニークで興味深いモノにしてる…。「福神」は絶対防御。そのスーツから出ない限り絶対に死なない。主人公は「福神」の性質をフルに活用し、人を救う戦争/戦闘とはナニかを必死に模索する。自分が一体ナニを守るべきか、絶対に防御すべきはナニか、考え続けるのだ。…結局、日本の主権は回復する事もなく、大国のエゴが地球を軋ませる現実は変わらないが、主人公たちは人間一人が成す事の範囲でキチンとオトシマエをつける。

●……ホントに中国が世界を支配するかはよく分からないし、ある意味でどうでもイイ。そんな心配をモジモジグズグズする前に、考えるべき事を考え、成すべき事を成せばイイ。ソレだけで十分なのだ。日本という国が傾いても、日本人は世界を舞台に活躍できるはずだから。ノマドヒヨコにはそういう大人になってもらいたいね。チャンスがあるなら、上海にでもムンバイにでも移住するとイイ。



日本のターンテーブル技術は、世界水準。
●ある日、例によって音楽のDVDをリビングで見とりました。するとコドモたちがとあるポイントに注目した。バンドのスミッコで不思議な事をしている人物を見つけたのだ。ソイツは、レコードプレイヤーの上にテを置いて、なにやら意味の分からない作業をしている……とコドモは言う。ああ、ターンテーブリストっていうのよあのヒトは。レコードをコスルと、ヘンな音が出るのよ。キコキコキュワッキュワッ、ボワッ、ドズドズドズ!ってね。
●そんで、ボクのターンテーブルとDJミキサーで、そのヘンテコな音を出してやった。キックの頭をヘッドホンで見つけて、コスル。ドズ!ドズ!適当に一回転ほど逆回転させる。クルキュワワワ!ね、へんな音がするだろ。このクロスフェーダーってのも大事なんだわ。コッチによせると音が出て、反対にすると音が出ない。わーオモシロい、ちょっとヤラセて!とコドモたち。このプレイヤーの針の部分は、曲がっちゃったらダメだから丁寧にやるんだぞ。赤ん坊の頃のノマドに、左右2つのプレイヤーの針をいっぺんに折られて、パパかなり凹んだコトあるんだからな。

DVD「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIP 2007」

DVD「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIP 2007」
●パパは難しい事は全然できないんだけど、ウマい人はスゴい技をイッパイ持ってるんだぞ。世界大会まであるんだからな。というコトでこのDVDを見せた。ご存知の通り、ターンテーブリストの技術を競うあの有名な世界大会「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIP」の様子を収録したモンだ。うーん、オモロいね。アメリカ、ヨーロッパ各国は言うまでもなく、ウクライナ、中国、メキシコ、南アフリカからも参加者が集まってきている。当然日本人もね。

「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIP」の歴史は1985年まで遡ることができるらしい。実は大会の本拠地はヒップホップ生誕の地アメリカではなくイギリス・ロンドンなのだ。当時は「ターンテーブリスト」という概念がまだ成熟してなかったので、第二回大会では準優勝のDJがブチ切れて司会者のマイクを奪い、こう叫んだという。「コレはミキシングのコンテストなのか?スクラッチのコンテストなのか?一体ドッチだ!?」
●そこから毎年、スクラッチを軸にしたターンテーブルトリックが沢山生み出された。1990年代にはサンフランシスコのフィリピン系DJ、Q-BERT や、BEASTIE BOYS のDJ として活躍する MIXMASTER MIKE が登場。この辺は、ターンテーブリストとして独自のアルバムをリリースする存在になってる。MIXMASTER MIKE のパフォーマンスは、BEASTIE BOYS「THREE MC'S AND ONE DJ」で是非チェックして!速攻で YOU TUBE へ!プロモとしても笑えて最高!(リンクしてみました…MIXMASTER ! CUT ! CUT ! CUT FASTER !)
●そして90年代末にこの大会を支配した DJ CRAZE!1998年、1999年、2000年と、三年連続で優勝した伝説の男。他にも A-TRAK、日本人DJ AKAKABE などが活躍する。……00年代ド頭、ピアトゥピア技術、つまりナップスターが登場した瞬間、ボクは一番最初にこの大会の音源を検索した。DMC の様子は当時音としてメディアにほとんど流通してなかったので、こういう手段でボクは CRAZE のプレイを聴くしかなかった。…そん時思ったのは、ターンテーブリズムってのはもうヒップホップの技術ではなくて、もうハウスやドラムンベースすらを呑み込み、独自の音楽領域を作ってるってコトだった。

2002年は重要な年だ。DJ KENTARO が登場、日本人として初めて優勝、世界制覇を勝ち取ったのだ。まだ二十歳前後だったカレの快挙は、日本のDJカルチャーが成熟しているコトを証明した。ボクは世界大会優勝直後時期のカレのプレイを見ている。アレは青山のクラブだったかな……DJブースを真上から見下ろす吹き抜けのフロアから、カレがターンテーブルの上でナニをするのか興味津々で見つめてた。生でターンテーブリストの演奏を(そして手元の操作を)見るのは初めてだったからね、アレはビックリしたなあ。薄いテープをベットリ貼られた12インチヴァイナルと、色とりどりのシールでマークされた12インチヴァイナル。針がテープの上に乗っかる度にズボッ!という大きな音が鳴るので、その音をベースのリズムに仕立てる。そしてマークされた音を正確なタイミングで叩き出す緻密なスクラッチ。それでもナニやってるのか今だに全然理解できてないんだけど。

2007年の大会にも日本人選手が二人も出てる。ジャジーな音源で地味ながら正確なプレイを奏でる DJ MIYAJIMA(実に日本人らしい情緒ある表現)、そして2006年大会にも参加し、今回もかなりのトコロまで勝ち上がった DJ YASA。……人種を問わず、様々なDJが様々な言葉で自己紹介し、様々なトリックを駆使して戦う。陳腐なコトバですが、音楽は国境を超えます。ミネラルウォーターのペットボトルをターンテーブルの上にトンと置き、それをスティックで叩く事でボン!ボン!と音を鳴らすヤツもいた…もうなんでもアリだな、針に振動が伝われば全てが音になる。ある意味で自由な世界だ。そしてその自由競争の中で、高い能力を発揮する日本人がいる。
ディージェーケイリーなどなど、ジェイポップでクラブプレイをしたり聴いたりするスタイルが一般化したコトを先日の記事に書いて(コチラの記事)、日本のDJカルチャーはクるトコロまでキたなって感じてたんだけど、その一方で、ターンテーブリズム世界の最先端水準に日本人は立派にアプローチしてるってワケで。そしてコレもまたDJカルチャーの成熟ってワケで。……そもそも、クラブカルチャーの世界水準になってる名機 TECHNICS SL-1200シリーズ は日本製品なんだしさ。ヤレるヤツはヤっていけるのさ日本人ってのは。



●2010年の楽天的日本人を代表しそうな大河ドラマ「龍馬伝」、今週も見ました。…広末涼子って高知出身だから土佐弁ネイティヴなんだよなーと、つまらないコトに気づいてしまった。ただ、それだけ。

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