DVD「THIS IS IT」がやって来た。
●ネットで注文した MJ の遺作「THIS IS IT」がとうとう届いた。アレだけ評判がよかった映画を観に行かなかったのは、コドモにちゃんと見せたかったから。字幕が読めないコドモたちには、ボクが弁士役をやってやらないと。そりゃ劇場じゃ出来ないからね。で、カゾク揃って鑑賞するのでした。

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

コドモたち、なんだか知らんが、テレビを見ながら踊りまくる。「JAM」で踊る!「BAD」で踊る!「SMOOTH CRIMINAL」で踊る!そして「THRILLER」で踊る!バレエを習ってるヒヨコはもとより、ダンスにカンケイないノマドまでが踊る。諸君、ソコまでダンスが好きならヒップホップダンスでも始めるか?近所にダンススタジオあるんだぞ?ヒヨコ「ヒップホップダンス?マイケルがしてるのはタップダンスみたいだけど?」おーオマエするどいな!マイケルは自分のスタイル作るのにフレッド・アステアのブロードウェイミュージカルを研究しまくったというから、タップダンスもかなり濃厚に溶け込んでるぞ。
●ノマドは、マイケルがバンドを完全に掌握してるコトにシビレてた。彼の身振りに反応して、バンドがビシッとブレイクを決めたり、演奏を始めたり。マイケルの腕の動きが楽器に直結してるよう。絶妙な呼吸の合わせ方がクール。ボク自身も正確無比なタイム感を全て人力で叩き出す強力なファンクネスにビビった。チットは打ち込み駆動になってると思ってたです…。
●ヒヨコは「BLACK OR WHITE」マイケルにカラむ女性ギタリストにメロメロ。「かっこいい~!」。大きなギターを男勝りに構え、金髪をたなびかせてプレイするスタイルにゾッコン。この女性はオーストラリア出身の大抜擢ニューカマー ORIANTHI PANAGARIS さん。かつては GUN 'N' ROSES SLASH が務めたポジションだからね。確かにスゴいです。名前が難しいのはギリシャ系だからだって。
●で、連中が爆笑しまくってたのが、マイケル股間に手を置き、腰を突き上げる仕草マイケルってあのアクションをしながら「ぽう~!」って叫んでたりしてたじゃないですか。ボクらにはもうフツウのコトだけど、初めて見る8歳&7歳児には滑稽に見えてしょうがないらしい。あのアクションは、ノマドに「ちんちんもみ」というミもフタもない名前をつけられてしまった。

舞台演出にあのオトコ、KENNY ORTEGA が入ってた!
●この映画のオモシロドコロってのは、あのスーパースターマイケルが、意外なほどデティールに踏み込んで自分のステージの細かい演出を作っていく様子だろう。スタッフやバンドに、微妙なニュアンス、テンポ感、キューのタイミングを的確に指示するマイケルの姿は誰も見た事がなかった……ショウビズサイボーグのように見えてた偶像は、実は思った以上に真っ当な人間で、仕事に妥協を許さない職人で、それでいてスタッフを威圧する事のナイ奥ゆかしさをもった紳士だった。彼ほどの大物なら、エラそうにふんぞり返ってダンサーたちの動きを見てればイイようなリハーサルなのに、音楽が鳴れば誰よりもシナヤカに踊り本気でウタを歌う。そのショーマンシップに敬意を感じます。
ただボクにとっては、この映画にはもう一人、目が離せない重要人物がいる。劇中、マイケルのソバに立ちリハーサルの現場を仕切る白人のオッサン。コイツが気になってしょうがない。このオッサンの名前はケニー・オルテガ。この映画「THIS IS IT」の監督を務めたオトコ。そしてこのツアーの舞台演出を総括してたオトコだ。もうね、DVD見る前からコイツのお手前をチェックするモードになってました。劇場公開時、カントクのクレジットにケニーの名前を見た瞬間からね。

ケニー・オルテガ、このオッサンのドコがスゴいのか?
●見テクレでは、タダのデブ&ハゲ&メガネのオヤジでしかない。しかしボクの中では、彼の名は「ハイスクールミュージカル」シリーズ(テレビドラマ&映画)の監督としてインプットされている。そんで、つまりは、ボクの中で、世界屈指のミュージカルディレクターと位置づけられてるワケなのです。
「ハイスクールミュージカル」3部作は、コテコテお約束感ムキダシのアメリカ高校生活&青春ラブストーリーで、内容においては決してボクの趣味ではない。ただし、若い俳優たちが歌い踊るミュージカルシーンが尋常じゃないツクリ込み様で、ワイフの趣味に付き合う程度のつもりでDVDを観てたボクは完全に度肝を抜かれたのでありました。徹底したお約束感もここまでコテコテに作り込まれると、そのお約束にストンと落ちるサマが最高に気持ちイイ。俳優やダンサーの位置や動きがメチャメチャ緻密に計算されている。ウタの場面に限らない、ウタとウタの間のフツウの芝居ですら、俳優やカメラの動き、編集のタイミングがカッチリ作り込まれてる。うぉータダモンじゃねえ、コレ撮ってるヤツダレ?
●普段なら100%無視してる特典映像までチェックした。メイキングが観たい。演出してるヤツの顔が観たい。そしたら、このオッサン、ケニー・オルテガが登場してきた。彼はデカイ太鼓腹から朗々と響くデカイ声で現場を仕切る。俳優とはいえ二十歳を過ぎたばかりの少年少女が相手、そんな連中をまるで部活のコーチのように叱咤激励し、身振り手振りを加えて指示を与える。こらすげえオッサンだ!

ハイスクール・ミュージカル2 プレミアム・エディション

(「ハイスクールミュージカル2」コレがイチバン作り込みの密度が濃い、と思う。)

マイケルと対峙するケニーのオッサン。信頼関係で結ばれたパートナー。
「THIS IS IT」のリハ風景において、ケニーは全体の進行とマイケルへの向き合いを担っている。マイケルがステージで違和感を感じれば、客席側からマイクを握ってヤリトリする。バンドとの打合せでもケニーマイケルのすぐソバに寄添ってるし、ステージ後ろで流すモニター映像のディレクションもやってるみたいだ。バックダンサーと一緒に踊っちゃってる場面まである。マイケルが抱く演出イメージを、全スタッフへ正確にオトし込む司令塔の役割を果たしてる。地味に見えて、実に重要なポジション。ステージを支配する裏方の主役だ。
●でもボクが注目したいのは、単純にケニーが優秀な演出家であるってコトだけじゃない。映像からヒシヒシと伝わってくるのは、マイケルがこのオッサンに全幅の信頼を置いているコト。あの繊細でシャイなオトコ、マイケルが、コイツは大丈夫だ、という安心感をケニーに抱いてるのが手に取るようにわかる。そして、ケニー自身も、マイケルの信頼に応えるべく、全身で仕事に取り組みマイケルに向き合っている。スーパースターが相手じゃ誰もが怯むが、オッサンはイエスマンになるでもなく情熱をもってキチンと向き合う。コレがアツい!世界最高水準のモノ作りにおいて一番重要なのは、巨額の予算やテクノロジーを駆使した演出手法ではなく、結局はタマシイのぶつかり合いとも言うべき人間同士の信頼関係だという事実が、「THIS IS IT」を感動的にしてるのだ。ケニーを軸に、バンド、ダンサー、スタッフが一丸となってマイケルと固く結びついて行く様子。コレが胸を打つ。
●本来なら、コンサート演出家として雇われたケニーが、この映画を編集までする筋ではなかったハズ。マイケル急死を以て彼の仕事は終了したはずなのだ。しかし彼はマイケルとの共同作業をこのまま永久に葬る事が出来なかった。限られた映像を駆使してなんとかマイケルが目指した表現を伝えようと、不休で編集をした。ドキュメンタリー「THIS IS IT」の成り立ち自体が、ケニーの男気によって支えられている。もうそれだけで十分ウルウル。DVDにはこれまた数々の特典映像が収録されてる。コレを細かく観て下さい。ケニー・オルテガという人物のアツいハートが、よりわかりやすく伝わってきます。

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(マイケルとケニー・オルテガ。モニター映像収録風景の一幕。)

で、このオッサン、正体はナニモノなの?
「ハイスクールミュージカル」の段階で、ボクとワイフの中では、ケニーはすごくアツくてナイスなオッサンと評価が決まっていた。ただ「THIS IS IT」を観て、より印象が変わった。「コレは思った以上にエラいオッサンでもあるのではないか?」そもそも何であんなに踊れるの?一流ダンサーの前で堂々と振る舞えるの?早速 WIKI で調べた。
●予想通りだったが、ケニーのオッサン、キャリアは振り付け師から起こしたらしい。オリビア・ニュートンジョンのミュージカル「ザナドゥ」1980年に関わり、パトリック・スウェイジ主演の「ダーティ・ダンシング」1987年の振り付けで注目を浴びる。この二本の映画はサントラ含め80年代映画として重要です。その後、テレビドラマの演出、映画監督などとキャリアを膨らませて行く。ヒットドラマ「アリー MY LOVE」も3本くらいのエピソードを手掛けてるみたい。「ハイスクールミュージカル」はやはり代表作で、振り付けと監督を両方担っていた。実は舞台演出も得意分野で、アトランタ五輪ソルトレイク五輪の舞台演出までやってた。うわココまでやってりゃかなり大物だな。北京五輪はチャン・イーモウの演出だったでしょ。ソレ級と考えるとかなりの重要人物。
●そんで、マイケルとの関係も特別。今回の「THIS IS IT」ツアーだけの付き合いじゃありませんでした。1992年の「DANGEROUS」ツアー、1996年の「HISTORY」ツアーも彼が演出してたのだ。20年近くもの付き合いがあった上での信頼関係だったのね。マイケル急死を受けて執り行われたロサンゼルスの追悼式典(出演:LIONEL RICHIE、STEVIE WONDER、JANET JACKSON などなど…娘パリスちゃん涙のメッセージが印象的…。)の演出も、実は彼が手掛けていました。マイケルケニーは、まさに戦友だったのです。


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