本谷有希子を読む。ほぼ、一気に三冊読み通した。ふ~。コレは楽しい。

本谷有希子「江利子と絶対」

「江利子と絶対 - 本谷有希子文学大全集」

本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

本谷有希子「生きてるだけで、愛。」

「生きてるだけで、愛。」

本谷有希子さんとは、どんな人なのだろう?興味津々。彼女が描くキャラクター、特に女性キャラは、マジでウザイ!至近距離でこんな人間に出くわしたら、ビョウキでココロが折れてるボクはポッキリ秒殺されるね。本人もそういう人なの?ウザイ人なの?そんな錯覚さえ感じるホド、ウザさ加減がハンパない。
泣く、喚く、怒る、叫ぶ、酔っぱらう、ゲロを吐く、ヒキコモリ、仕事が続かない、周囲に八つ当たり、パリパリに過敏な自意識、デタラメと分かって逆ギレ、体罰/虐待に躊躇なし。一般生活を平穏に過ごしたいボクは、絶対近づきたくないタイプだ。しかも、そのウザさは、小説の一登場人物の分際で、ページからニュッと腕を伸ばし読者であるボクの襟首を掴んで放さないようなパワーが宿ってるほどのハイテンション。そんな体験はそうザラにないね。一気読みしたんじゃなくて、一気読みさせられたんだ、小説のチカラで。キャラクターのチカラで。ハイテンションなウザさで。
●しかし、このウザさが、最終的には愛おしく見えるほどのチャーミングさを備えてしまうのだから不思議だ。結局、襟首掴んで放してもらえないという感覚よりも、コイツを最後まで見届けてやりたくなるような、同情?愛情?も入り交じる不思議な感情に到達しちゃうのであります。この珍獣は一体ドコに行ってしまうんだろうなあ?そんな気持ち。
本谷有希子さんの他の著作、早速アマゾンで注文しないとな。楽しみ。

ヴォーグ・ニッポン ウィメン・オブ・ザ・イヤーディケード2009

●年末、雑誌「VOGUE 日本版」「ヴォーグ・ニッポン ウィメン・オブ・ザ・イヤー&ディケード2009」と称して10人の女性を表彰してた。宮沢りえ、上戸彩、蒼井優、仲間由紀恵、大竹しのぶ…みたいなトコロに混じって我らが本谷有希子さんもドレスアップして表彰されていたのでした。うぉースゲエぜ大女優と同じ土俵じゃん…と思ったけど、草間彌生オノヨーコまで表彰されてるので、本谷さんソッチ系扱いなのかなあと心配にもなった…草間さんは完全にムコウガワの人じゃん…。(本谷さん、写真では右から2人目)

●ご参考まで。「劇団、本谷有希子」の公演「来来来来来」2009年の感想も以前記事にしたんで、ソッチもご参照ください。(コチラの記事


●さて、ココから少し、話題がスライドしまして。

10年以上後輩のスタッフ、ボヤマくんとの会話。「ゼロ年代とは何ぞや?」
本谷有希子さんのコトで、アレコレ職場の若者とよく会話してるんです。彼の名前をボヤマくんとしましょう。以前の記事でも紹介したけど、カレ、ボクに本谷さんのサイン本を自慢してみせるようなヤツで。ボクとの年齢差は10歳以上。二十代前半のペーペーキッズ。正直、仕事の上での接点はまるでない。職歴2年前後の彼と、14年のキャリアを持つボクとでは、やっぱ組織人としての立場は当然違うわな。
●そんなボヤマくんとボクがノンキに本谷トークで楽しめるようになったキッカケは、やっぱり音楽だ。カレ、UKロックバンド KASABIAN のキャップをカブってたんだわ。ソレ見てボクが声をかけた。キミ、カサビアン好きなんだ? えっ?カサビアン知ってるんですか? ボヤマくんは、UKロック大好き少年らしく、几帳面な事に、カレにとってはリアルタイムであるはずがない BLUR のファースト/セカンドを聴いたり、THE STONE ROSES を聴いたりしている勉強家だ。モチロン現行シーンのアーティストもチェックしてて、その意見はボクにとってとても参考になる。


●そんなカレが、ある日こうボヤいた。「ゼロ年代って一体なんだったんでしょうね?」
●…なんでそんな話になったか忘れたけど、マーケ分析を仕事として手掛けてたボクは、生きたサンプルとして20歳代の心情を聞いてみたいと思って、少々語り込む事とした。ボク「ゼロ年代、ボクも気になるよ。結局ボク自身は90年代の人間じゃん。だからゼロ年代のリアルはやっぱり知覚しきれないんだよ」データとか本とか読んでも、なんか違和感が拭えない。なんかスベッてるんじゃないか? これは仕事で要求されてる市場調査を完全に通り越して、完全に個人的興味の領域レベルでの違和感なんだけど。でも90年代と全く異質の価値観がある予感がするんだ…うーんまだイメージできない。ボヤマくんキミから見たゼロ年代はなんなの?「うーん、まだよくわかんないんです。ただ、ゼロ年代の当事者である自分たちが考えないといけないとは思うんです」キミは真面目なヤツだな!外見は頼りないけど。ゼロ世代の当事者であるキミらが発信してくれないとダメだよ。90年代組であるボクらを打倒して欲しい。

●そんなカレが、一冊のホンをボクに薦めてくれた。「ゼロ年代の想像力」。宇野常寛という1978年生まれの若手評論家による、90年代後半から2008年あたりまでの文化状況を批評した内容だ。ボヤマ「…でも、内容が難しくて、途中で挫折しました」なるほど確かに難しそうだ。

「ゼロ年代の想像力」

●しかし、帯コピーに羅列されてる固有名詞は興味深いぞ。「仮面ライダー龍騎」「最終兵器彼女」「新世紀エヴァンゲリオン」「セクリーボイスアンドロボ」「涼宮ハルヒの憂鬱」「時をかける少女」「ドラゴン桜」「ハチミツとクローバー」「ファウスト」「ONE PIECE」などなど。宮台真司さんのコメントはピンとこないけど。
ぶっちゃけ、難しいとボヤマが挫折したホンを、年の功だけでボクが読みこなせる保証はナニもない。「批評」とか「評論」とかいうモノを、サラリーマンとして世間の些事に追われてるボクが、今さら読んだトコロでその真髄がアタマとココロに染みるだろうか? そりゃ背伸びして学生時代は哲学書も読んだ。しかしそんな場所から遠ざかり、使わなくなって久しい哲学神経が今さらフル稼働させられるか?ゼロ年代のエッジーな文化運動と全然リンクしてない怠惰な生活をしちゃったし。ボヤマに対して、ボクにアドバンテージは全くない。
●ただ、いざ読み始めると、実に刺激的なメッセージがバチバチ炸裂してて、実にスリリングだ。肥大した自意識とカルマを制御できずに暴走する本谷有希子の文学もゼロ年代の象徴の一つだろうけど、あらゆる文化事情をかき集めて展開される宇野常寛の批評も、ドンキホーテのような無理メの挑戦を現代の権威に問うてる行為のように見える。オンナノコは感性と本能で、オトコノコは理屈と知識の積み重ねで、ゼロ年代と勝負しているのだ。本谷有希子1979年生まれ、宇野常寛1978生まれ。ほら、同世代だ。

「ゼロ年代の想像力」は、挫折しないように丁寧に読み進めたいので、小刻みにこのブログでレポート出来たらイイなと、構想してます。このカッチリ構築された「批評」スタイルにボクが付け加える言葉はないので、細かい部分は本書を読んでください。ボクの出来るコトは、本書に数々取沙汰される様々なキーワードをピックアップして、ソイツをかいつまんでいくような、読書メモみたいなスタイルが関の山。だから、今後数回に分けてその気になるキーワードに触れて行きたいと思います。実際、サクサク読み進めるのがもったいないと思ったくらいで。ジックリ楽しみます。


ボヤマ世代の UKロックを聴いてる。00年代のタフな生命力。

KASABIAN「WEST RYDER PAUPER LUNATIC ASYLUM」

KASABIAN「WEST RYDER PAUPER LUNATIC ASYLUM」2009年
●ボヤマおススメの KASABIAN。 三枚目になる最新アルバムはボクもキチンと聴いたよ。楽しかった。UKロックにありがちなコジンマリ感が薄くって、スタジアムロックとしてのスケールのデカさを感じさせる。2004年の特大ブレイク「CLUB FOOT」はボクだってリアルタイムで直撃を受けた。ナパーム弾がダンスフロアを焼き尽くしていくような、扇情的なベースラインに鳥肌が立った。この三枚目でもあの時の狂おしいグルーヴ感はぐるぐる渦巻いていて、凶暴なダンス衝動を刺激しまくる。およ、プロデューサーは日系アメリカ人のヒップホップトラックメイカー DAN THE AUTOMATOR だ。ヒップホップな要素は100%感じないけどドープなファンクネスは宿ってる。ユニークな人選だね。
●しかし、うねるロックの前半戦が終わると、中盤から不思議なフォークアプローチが出てくるぞ。なんかアシーッドな感じ…。まるで「LED ZEPPELIN III」のように、A面は「移民の歌」みたいなハードロックなのに、B面はフォーキーなブルースになっちゃう展開みたいな…。元来ボヘミアンな印象のあったこの連中、エキゾチックなアレンジも出てきてますますイイ味が染み出てきた。ナニナニ、SYD BARRETT のツモリで作ったって? オモシロいねえ!ボクも PINK FLOYDSYD BARRETT のいた時期しか楽しめないんだよ。

THE MUSIC「STRENGTH IN NUMBERS」

THE MUSIC「STRENGTH IN NUMBERS」2008年
●王道直球のUKグルーヴロックと言えば、こいつらも忘れられないだろう。大体バンド名が直球すぎるんだよ、なんだよ「ザ・音楽」って。ヒネリがナイじゃん。00年代は「THE」がつくバンドがワンサと登場したが、これほどソノマンマなバンド名はない。同じ「THE」のバンド名でも、80年代の THE SMITHS つまり「スミスさん一家」のようなヒネクレタ感覚から100万光年遠ざかった気分。
●彼らのアルバムは全部チェックしてるが、三枚目になっても全然芸風が変わらなくて最高。ジャストなリズムキープ感がダンス機能を研ぎすましてるし、音の輪郭に汗の熱気を感じさせる微妙なエコー感がスケールのデカさを感じさせる。この辺の処理は本作のプロデューサー FLOOD の仕業か? お!伝説の90年代テクノユニット ORBITAL のメンバー PAUL HARTNOLL も共同プロデューサーだ!ORBITAL、もう完全隠居しちゃったかと思ってたよ!再会が素朴にウレシいよ!

THE ENEMY「WELL LIVE AND DIE IN THESE TOWNS」

THE ENEMY「WE'LL LIVE AND DIE IN THESE TOWNS」2007年
●これまたバンド名が直球。「ザ・敵」。どうするよ…。ただし、アルバムタイトルはイイね…「オレたちは、この町で生きて、そのまま死んでいく」階級社会イギリスの閉塞感と焦燥感は、ロックがくすぶり大きく発火する土壌だ。この荒野の中で、若者はガスを一気に噴出し、ロックスターとして町を脱出する。じゃなきゃ、ココでのたれ死ぬまでだ。日本もそういう社会になりつつあるけどね。閉塞感と焦燥感。
●ネットで見つけたリードシンガー TOM CLARKE の言葉を引用しておきます。前置きとして言っときますが、バンドが結成された街はコベントリー。クソみたいに退屈なバショだったらしい。「やるべきことがナニもねえ!オレはバーミンガムという街で育ったが、退屈な事にかけてはコベントリーとまるで同じトコロだ。パブで飲んだくれるか、みんなとちょっと違うコトをしようと思ってバンドを始めるか、その2つしかやるコトがねえ」
●この3ピースバンドのデビューアルバムが本作。デビュー時メンバーはまだ19歳だったとか。やっぱり王道のロックが鳴ってます。ダンス駆動な気分と違って、一歩一歩ビートを踏みしめながら、大勢でサビをシンガロングする感じ、と言ってイイ?センチなメロディだって出てくるもんね。ちなみにプロデューサーは OWEN MORRIS。OASIS の初期アルバム、1~3枚目までを手掛けたオトコ。あ、この事実で聴きたくなった人もいるでしょ。



●気づけば、外では雪が静かに降り積もってる。東京地方、久しぶりの雪です。

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