うーん、メマイがヒドい。
●イカンイカン。会議が長過ぎるんだよ。昨日はクラクラメマイがしてて夕方は本当にツラかった。会社の帰りがけ、仕事相手やご近所さんにバッタリあったりして軽く世間話したんだけど、実は目の焦点が全然合わなくてコマッタ。相手はボクが意味なくキョロキョロしたり目を合わせようとしなかったりしたのを、奇妙に感じたに違いない。あとアレだ、会社のコーヒーがマズすぎるんだ。ドブの水を温めたようなグズグズのコーヒーを何杯も飲むから気分が悪くなるんだ。

●そんな夜だから、クリスタルなジャズフュージョンを聴いちゃうんだよ。

GROVER WASHINGTON JR.「WINELIGHT」

GROVER WASHINGTON JR.「WINELIGHT」1980年
田中康夫「なんとなくクリスタル」のBGMになりそうな、シックで落ち着いたこのテのスムース・フュージョンは、ハッキリ言ってボクの趣味ではないのです。メンツはそれなりに豪華。サックス/GROVER WASHINGTON JR.、パーカッション/RALPH MACDONALD、ドラム/STEVE GADD、ベース/MARCUS MILLER、ギター/ERIC GALE。この時代の一流プレイヤーです。でもオシャレすぎてイケスカナイ。ジャケが既にもうイケスカナイ。
●ただし1曲だけ重要な曲がある。「JUST THE TWO OF US」という曲。ヴォーカルに BILL WITHERS をフィーチャーしたR&Bだ。オーガニックでふくよかな声がメランコリックにメロディをなぞる感覚が実に気持ちイイ。サビのフレーズが実にロマンチックでセクシー。「JUST THE TWO OF US / WE CAN MAKE IT IF WE TRY / JUST THE TWO OF US / BUILDING CASTLES IN THE SKY / JUST THE TWO OF US, YOU AND I」この二人なら、望めば何でもできるさ、この二人なら、空に城だって建てられる、この二人、キミとボクとなら
●この1曲のためだけに一枚買ってしまってもムダじゃない内容です。BILL WITHERS の数々の名曲を連想すれば、ハズレるハズがないのであります。「クリスタルの恋人たち」というチョイとイタい邦題には、目をツブってあげて下さい。

元・職業シンガーである友人に、この曲を教えてもらった。
●彼女とは一緒に仕事を始めてもう9年になる。お互いこんなに長い付き合いになるとは思わなかったねえ、とこの前食事の席で話したのでありました。シンガーだった頃の彼女の活動は詳しく聴いた事がない(本人も話したがらない)のだけど、一度カラオケに行った時はその予想以上の歌唱力にビビった。「うわヤバ!ホンモノじゃん!腐ってもナントヤラ」「やめてやめて、もうそういうのじゃないから。それに腐るとかはナイ!」
●仕事でタクシー移動しとった時かな…カーラジオから「JUST THE TWO OF US」が流れてきた。「あ、ワタシこの曲好きなの…(サビをフンフン歌う)…でも誰の曲だっけ?忘れちゃった思い出せないな」ボクにとっては初めて聴く曲だったが、このサビの歌詞が実に印象的だったので、カチンとアタマにインプット。その後しばらく忘れてたんだけど、偶然このCDの中で原曲を発見したのでした。
GROVER WASHINGTON JR. は先にも言ったようにボクの趣味ではなく、このCDも実はモライモノ。期待なくプレイヤーにかけてみたら、大好きなシンガー BILL WITHERS が唐突にこの1曲だけに登場して歌い出す。その時はマジびっくりしました。そういう音楽の出会いって楽しい。


さて、元・職業シンガーの友人は、現在の仕事において職業的にジェイポップをチェックしてる。
●本来は、PHOEBE SNOW RICKIE LEE JONES とかを聴いてた(渋い…ボクはこの辺まだチェックしてないよ)人間なんだけど、かなりの量のジェイポップを聴き込んでいる。そんな彼女とボクがよく話題にするのは「次クるのはこのアーティストだ」予想。結構な比率で彼女とボクの予想はダブり、実際にブレイクしたアーティストもいる。スキマスイッチは、シングル2枚目の段階で「当確」でした。アンジェラアキはインディミニアルバムで「当確」YUI 絢香はデビュー前から「当確」「スゴい新人が準備されてる」ってウワサがスゴかったから。ヒットしなかったのもイッパイいるけどね。


SALYU も速やかに「当確」を出したアーティストだった。

SALYU「MAIDEN VOYAGE」

SALYU「MAIDEN VOYAGE」2010年
SALYU はデビューシングル「VALON-1」2004年の段階で「当確」でした。岩井俊二映画「リリィ・シュシュのすべて」で虚構のシンガー「リリィ・シュシュ」を演じた実績を加味すれば、そのポテンシャルの高さはマチガイないと。オマケに烏龍舎/小林武史プロデュース体制ってのも織り込んでね。二人してライブも観に行ったし。SHIBUYA-AX。足をねんざしちゃった、ってコトで我らが SALYU ちゃんはバツの悪そうなMCをしつつ、終始スツールに腰かけてパフォーマンスしてた。
●2005年「LANDMARK」、2007年「TERMINAL」と二枚のアルバムまではキャリアは順調だったと思う。でもその後2008年にベスト盤「MERKMAL」をリリース。アルバム2枚でベストって早くね?切れ目なく新作を出してて欲しかったなあ。ココでちょっと停滞感。しかも激ヤセ。ホッペがふくよかなあどけない丸顔が、スッとシャープな印象になった。…あー、確かに美人さんになったとは言えるけど、以前のポチャって感じも好きだったのに。
●そんな経緯の中での待望の新譜だ。「MAIDEN VOYAGE」は日本語にすると「処女航海」HERBIE HANCOCK に同名タイトルの名作アルバムがある。しかし小林武史全面プロデュースを離脱しての作品で、少々気分が変わった。彼女の真価はその爆発的なボーカル能力で、その爆発の口火を切るような曲構成は、さすが御大、小林武史さんの方が深く理解してる。新しい楽曲提供者たちにはその驚異的ボーカルを持て余してる場面がチラチラ見えた。
●シングル曲「ハルフウェイ」はイイね。もちシングルの時点で聴きまくってました。細くしかしシナヤカで強い芯が通ったファルセットは別領域に突入した SALYU の世界を見せてくれてる。「新しいYES」も新しい。いずれも小林武史提供。

でもさ、「MAIDEN VOYAGE」は初回特典のDVDこそが注目だ。
●初回特典盤には「SALYU TOUR 2009 MERKMAL LIVE AT NIPPON BUDOKAN 2009.2.10」のパフォーマンス、ガッツリ160分が収録されてる。このボリューム!CDがオマケに見える。ベスト盤の名を冠したライブだけあって、リリィシュシュ時代までを含んだキャリア10年分を全部詰め込んだ内容。
●ボクが観たウッカリねんざパフォーマンスからは一変してる実に落ち着いたMCは、「何があったの?」と心配さえ感じる大人女性への成熟ぶり。オマケに容姿もスパッと美人さんになってるから、ちょっぴり戸惑う。なんか遠い人になっちゃったかも的な。
●しかし、彼女の真価である爆発的なボーカルパフォーマンスは健在、というかより一層円熟してて、もはや神々しい。ぶっちゃけ、詞のメッセージとかはどうでもよくて、彼女の声が聴こえればもうそれで十分。末広がりに拡散して、どこまでもグングンと伸びていく声は、言葉の意味すら溶け崩して、より純度の高い音響として空間を支配する。
●ボクとしては彼女の声をタップリ堪能したくて、一日に二回連続でこの3時間弱のDVDを観るようなコトしてたんだけど、彼女の声のインパクトはホントに強烈ならしい、ワイフは「お願いだからカンベンして、このDVDはウルサ過ぎる、もう耐えられない」と懇願してきた。彼女の声はソレを聴く者にもココロの準備と覚悟を要求するらしい。

Salyu激ヤセ

ちなみに、どんだけルックスが変わったか、って検証をしてみた。
●左。2009年の SALYU ちゃん。右。2006年の SALYU ちゃん。女の子って変わるよね…。ポッチャリもキライじゃないし、今のシャープな感じもキライじゃないよ。ココまで変わるってコトが女子の神秘というか。
●とあるネットでのインタビューから本人の言葉を引用。「大変申し訳ないんですけど、特に何もしていないんです。あるとすれば、ダイエットをやめたことですね(笑)。今までは、痩せてもすぐにリバウンドしていたんですけど、あるとき“全部やめた!”と思って。そこからヒューっと痩せました。(中略)あと、恋愛をすると痩せると思いますよ。新曲「EXTENSION」で歌っている“背伸び”じゃないですけど、やっぱり好きな人の前では気取るじゃないですか。食べる以外の脳神経が覚醒するので、気取るってすごくいいことだと思います」ですって。
http://beauty.oricon.co.jp/special/beauty_style/view/715/


SALYU 関連音源として、BANK BAND と小林武史。

BANK BAND「沿志奏逢2」

BANK BAND「沿志奏逢2」2008年
SALYU ちゃんがメジャーシーンで認知度を上げたキッカケは、BANK BAND WITH SALYU 名義で「to U」が発表された時だと思う。BANK BAND として唯一のシングル楽曲であり、AP BUNK FES のアンセムみたいなポジションも担ってる。モチロンボクはこの曲が大好きでありまして、櫻井和寿に先行してまずメインボーカルをとる SALYU ちゃんに「立派になったなあ!」と感動したものでした。
特に注目なのは、筑紫哲哉さん最晩年の「NEWS 23」2005~2008年でテーマソングとして使われたというコト。「NEWS 23」の生放送でフル尺が演奏され、AP BANK の理念を20分以上にもわたって小林&櫻井が語り続けてる様子をリアルタイムで観ちゃった。もうニュース番組としてのバランス感覚を完全に逸脱してると感じながらも(音楽番組でもやらないよ)、筑紫さんマジで入れ込んでるんだなーと素朴に思いました。あの番組のオープニングだけで聴けた SALYUスキャットだけバージョン「to U」、これ是非流通音源化してもらいたい。
●このアルバムは BANK BAND のセカンド。「to U」含めオリジナル楽曲は3曲だけ。あとはカバー集。RC SUCCESSION仲井戸麗市、JUN SKY WALKER(S)、斉藤和義、MY LITTLE LOVER、KAN などをカバーしてる。RC「スローバラード」、そして矢野顕子「ひとつだけ」のカバーがイイなあ。

小林武史「WORKS I」
小林武史「WORKS I」2008年
SALYU、ミスチルの所属事務所「烏龍舎」(他にはレミオロメンもいるよ)の社長であり、希代の音楽プロデューサーでもある小林武史。現行ジェイポップのど真ん中を歩くこの男は、あまりに仕事がメジャーすぎるので音楽マニアからは過小評価されてるかもしれない。でもボクはやっぱ素朴にスゴいと思う。妥協しないクリエイティブとシビアなビジネスを両立させてるコトは、このCD不況では希有な存在と思うし。ボクは桑田圭祐&サザンとの関わりで彼に注目してました。
●ただ、女性アーティストに手をつけちゃうクセだけはちょっとね…それは職権濫用でしょ。MY LITTLE LOVER AKKO さんと離婚して、一青窈に乗換えでしょ…。ソコは小室哲哉っぽいよ。SALYU ちゃん、大丈夫だよね!?
●それはイイとして、このCDは彼の映画サントラ提供曲集です。基本は彼のピアノとオーケストラアレンジだけ。小林が関わった映画と言えば「スワロウテイル」(=YEN TOWN BAND)、「リリィ・シュシュのすべて」SALYU をフックアップ)。イヤイヤその他にもアレコレやってました。ここに収録されてるトラックは香里奈初主演映画「深呼吸の必要」(沖縄フルロケが気持ちイイ映画でした)や「地下鉄に乗って」(コレも主題歌は SALYU「幸福な食卓」(主演は北乃きい)などの楽曲。サントラスコアものだから正直そんなに楽しくはないが、ライナーには小林武史氏のキャリアについて詳しい説明があります。それと「to U」のピアノインストヴァージョンが入ってます。

小林武史を、サザン視点で考えた記事があります。ご参照を。
「サザン再聴、その4」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20071214.html
「サザン再聴、その5」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080317.html
「サザン再聴、その6」http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-date-20080327.html




●さてさて、元・職業シンガーさんとの話に戻って。

意見が割れてたアーティストもいた。いきものがかり。
●ボクは悲観的でした。コレはない。桜ソングの一発屋だ。デビューシングル「SAKURA」06年&07年の二回にわたって押し曲にしたんだよ。コリャ前代未聞だ。しかし元・職業シンガーは言う。「いやクルね。ソレは見る目ないと思う」…結局この勝負はボクの負けだ。今彼らはドッサリ売ってガッツリ稼いでるでしょう。

いきものがかり「ライフアルバム」

いきものがかり「ライフアルバム」2008年
いきものがかり「MY SONG YOUR SONG」
いきものがかり「MY SONG YOUR SONG」2008年

●同じ年に二枚アルバム出してるよ。実に勤勉だ。これは彼らのセカンド&サードアルバム。イマイチまだ聴き方を呑み込めてないんだけどね…ただボーカル吉岡聖恵ちゃんの顔に見慣れた感じはある…なんか失礼なコトいってるな…でもカワイくなりました。女性はどんどん変わる。キレイになる。
●セカンドでいうと「花は桜 君は美し」かな?高音を切々と張る感じがヒリッとして小気味イイ。若さがワサワサする賑やかポップスよりも、70年代ニューミュージックさえもが透けて見えるミドルテンポバラードの方が気分かも。「茜色の約束 ACOUSTIC VER.」も気持ちよく聴こえたのです。
●サードだと「帰りたくなったよ」。うーんどうしてもメランコリックなミドルバラードの方がヒッカカル。ボーカル聖恵ちゃんの声は、フツウ女子等身大の技術以上に個性を見出せないタイプなので、その等身大が精一杯歌ってるんだよーって場面こそが一番よく響く。ノンタイアップ曲「くちづけ」「幻」もこの意味で好き。彼らは自分たちの持ち味をココで掌握しつつある。

いきものがかり「ハジマリノウタ」

いきものがかり「ハジマリノウタ」2009年
●そんで3月リリースの新譜だ。彼らのアップな楽曲で初めて好きになった曲が収録されてる。「じょいふる」だ。ポッキーのCMでヘビロテ。ボクが好きになったというより、娘ヒヨコが好きになって、この曲を好きになったヒヨコが好きになったボク、という構造か。この文章書いてる今現在もヒヨコは歌ってる。もしかしたらヒヨコの声の方がカワイクてもっとイイ曲になるかも。そんで「じょいふる」と両A面シングルでカップリングされてた「YELL」もヒヨコにはイイ曲に聴こえたらしい。「ボクらをつなぐエール、っていうキョク、こんどレンシュウしよ!」
●アップの曲としてさらに注目なのは、珍しく英語詞をタップリ含んだ「HOW TO MAKE IT」。アレンジが BEAT CRUSADERSヒダカトオルさんでした。コレもカッコいい。バラードものは完成してしまったこのバンド、アップなロックでも進化中。
●ボクの中で低評価だったいきものがかり、ワイフのママ友の中では大評判でCDの貸し借りも活発だったそうだ。なんだ、それじゃボクが持ってる事早く言えばよかったか。まあワイフもこの辺には興味がないのでしょうがないか。



●もうさらにジェイポップの話をしちゃいますね。需要ないと分かってますけど。

●元・職業シンガーさんとの共通認識があと1つ。「コブクロはスゴい」。これはブレイクとか「当確」とかじゃなくて、いつの間にかビッグになってましたって感じで。なんでこんなにみんなコブクロが好きなのか?いやボクもライブ観てますよ、2~3回ぐらいさ。初めての武道館で感極まる黒田さんだって観ちゃったさ。そんな過程の中で、目に見えてドンドン貫禄がついてっちゃうのです。お客もファンもどんどん増えていくのです。

コブクロ「5296」

コブクロ「5296」2007年

コブクロ「CALLING」

コブクロ「CALLING」2009年

●武道館公演&ベスト盤300万枚セールスを経て、繰り出された6枚目/7枚目のオリジナルアルバム。この時期に「絢香×コブクロ」のようなコラボ企画も展開してた。グングンメジャーになっていった時期だね。2005年から2009年まで紅白歌合戦にも連続出場。
コブクロは小細工ナシの直球勝負でここまでやってきた。辣腕プロデューサーや大手芸能事務所の後押しもない。大阪の路上ライブからキャリアを起こした。小渕さんはサラリーマン営業職だったし、黒田さんは音楽がなくちゃニートみたいなモンだった。そんな路上ライブをたまたま見かけた和歌山県のゲーム会社社長さんが、彼らの才能に惚れ込み個人で事務所を立ち上げてくれたという。だから事務所の名前は「オフィスコブクロ」。当然芸能界とはまるきり無縁だし彼ら以外に契約タレントもいない。そこから愚直に活動して、手探り手作りでココまでやってきた。コレはコブクロファンなら誰でも知ってる事実だし、この事実があるからこそコブクロファンは、直球なメッセージをてらいもなく投げつけてくる彼らの作風を歓迎するんだと思う。雑草のような強い生命力が、彼らの音楽には宿ってる。

ボクは、アーティストにまつわるこのような「物語」をも引っ括めて音楽を聴いてる。その意味でコブクロはオモシロい。彼らがコレからドコに行くのか実に興味深い。……でも、コレ言ったら気分を害する人もいるかもしれないのを承知で言うんだけど、コブクロの曲ってアルバムで聴くとちょっとツライ。シングルはイイのよ、ああ立派な曲ねって思える。「蒼く優しく」「蕾」もさ。でもさ、基本的にどの曲も全部同じに聴こえる瞬間があってさ…だからアルバム十数曲聴くとサスガに飽きる。
彼ら路上出身のアーティストさんって、明白な音楽的ルーツがよく見えない。自分の内側から出て来るモノに対して忠実なコトは立派。だけど、スタイルやシーンに依存しないって不利な場面があると思う。明白なルーツを持つアーティストは、やっぱそのルーツに伴う文脈をヒントに自分のスタイルを更新出来る。しかし、ルーツがハッキリしてないと、引き出しに限界が出来てしまうんじゃないかと思うんだよね。
コブクロはフォークデュオと言われながら、日本歌謡のフォーク文脈にほとんど影響されてない感じだし、他の邦楽洋楽に似たモノが見当たらない。ジェイポップの真ん中にいながら、実は離れ小島に見える。それでいて、プロデュースもアレンジも全部自分たちでやっちゃうからね。ソングライター小渕さんは優れたメロディメイカーだとは思うけど、アイディアを一人でギュウギュウ絞り出したらドッカで枯渇しちゃうのでは?アルバム「CALLING」以降、目立った動きがないのがちょっと不安に思えるのでした。


関西の路上、コブクロ、に対して、関東の路上、ゆず。
ゆず「FURUSATO」
ゆず「FURUSATO」2009年
ボクがコブクロとよく比較して考えてるアーティストが、横浜・伊勢佐木町の路上から登場したフォークデュオ・ゆずだ。ボクの身近なトコロにいるゆずの支持者は、元・職業シンガーさんではなく、ヨガのセンセイである。なんでゆずが好きなのか聞いたコトはないけど、ヨガの生徒さんと横浜アリーナとかに観に行くらしい。あ、ボクのイモウトもムカシ聴いてたな。たしかファーストアルバムの頃。イモウトは当時アメリカ留学から帰ってきたばかりなのにイキナリドメスティックなトコロに行ったわけだったのだな。
実は、コブクロの小渕/黒田ゆずの北川/岩沢は、全員同学年の同い年だ。4人とも1976~1977年生まれだ。コレ結構意外な共通点でしょ?どうです? そんで活動を始めたのも近い。ゆずが1996年結成。コブクロ1998年結成。路上/ネオフォークシーンにとって、このヘンの時代に特別な状況があったのかな?とにかく、2つのユニットは同じ時代に育った世代だってコト。パッと見た感じではそう見えないかもしれないけど。

しかし、ゆずの方がデビューは幸運だった。
●1997年にはインディデビュー、1998年にはメジャーデビューだ。事務所は SENHA & CO. という所。コブクロに似てて、コレも実質上ゆずのために作られた事務所っぽいが、レコード会社トイズファクトリーの現社長がこの事務所の代表を兼任してるって事情があって、結果ズッポリ音楽業界に直結していた。トイズファクトリー小林武史率いる烏龍舎のアーティスト(SALYU、ミスチル)もガッツリ所属しているイマドキ珍しい音楽至上主義な独立系メジャーレーベルでボクはとても信頼している。ゆずはこのトイズからスムーズにデビューし、「路上出身」という経歴を売りにして最初っからチャートを賑わす存在になる。
●音楽プロデューサーとして元 JUN SKY WALKER(S) のベーシスト寺岡呼人がガッチリケア。この段階で寺岡にプロデューサーとしての実績はほとんどなかったが、両者のコラボは大成功して、見事セカンドアルバムでミリオン達成を果たしてしまう。ヴィジュアル面では村上隆とコラボするなど、様々な才能にサポートされて早々にシーンにシッカリとした立場を作ってしまった。…コブクロに比べると明らかに恵まれてると思う。2004年アテネ五輪NHKテーマソングに「栄光の架橋」が選ばれ、翌05年にドでかいベスト盤2枚をリリースするトコロまでは怖いもの知らずの快進撃だった。

しかし、この2005年あたりで、コブクロが激しい追い上げを見せる。
コブクロは、ゆずが最初のミリオンセラーを叩き出した後、2001年にやっとメジャーデビュー。関西エリアではシッカリした支持基盤を築くも全国区進出はナカナカ難しかった。しかしブレイクのチャンスがやってきた。「永遠にともに」2004年が結婚式ソングとして支持を集め、日テレ系ドラマ「瑠璃の島」成海璃子が突如天才子役として登場/主演したヤツ)の主題歌「ここにしか咲かない花」がメガヒット。これらのシングルを搭載したアルバム「NAMELESS WORLD」2005年が初めてのミリオンを記録する。この段階で、東西の雄、ゆず&コブクロが肩を並べた、とボクは思った。ボクがコブクロに注目を始めたのはこの頃で、早熟な天才児ゆずを雑草魂のコブクロが打倒する瞬間が見られるんじゃないか、と考えてたのだ。コレがボクの言う「アーティストにまつわる物語」を楽しむ視点だ。

ゆずのジレンマ。アラサーとしての立場をどう表現する?
ゆずコブクロの四人が同い年という話をしました。つまりは、連中も既に全員33歳になったというコトだ。アラサーもイイ所、ふと気づけばアラフォーになっちゃう段階だ。
●しかしデビュー直後にパブリックイメージが定着してしまったゆずの二人は、ナニゲに二十代前半の瑞々しさを維持する事を無意識下で要求されてしまってる。等身大のアラサーオッサンとしての彼らは、自分のリアリティをどう表現したらイイのか?今のゆずはこんなジレンマを抱えてると思われる。部外者のボクがなんでこんな深読みしてるんだか意味がわからないが、そこはご勘弁。しかしいつまでもタンバリン持ってステージを駆け回ってる訳にはいかないのだ。
コブクロ黒田は、ボサボサのキタナい茶髪ドレッドでデビューしたが、いつのまにかそんな前科は封印されてて、コザッパリした黒髪と大きなサングラスをトレードマークにしている。ホントは路上出身の野良犬あがりだが、その前提を握りつつも、彼らは等身大のアラサーである自分を素直に表現出来るポジションを確保してる。多分このポジションはアラフォーになっても機能し得るモノで、この点においてコブクロゆずにアドバンテージを持ってる。

そんなコトを考えながらゆずの最新アルバムを聴くのです。
「FURUSATO」はノスタルジックなイメージを想起させるタイトルだけど、内容自体は全然メランコリックになることなく、フレッシュな躍動感を見事にキープしてる。「シシカバブー!シシカバブー!」って楽しく連呼してるくらいだし。二人の声が青臭い繊細さを失ってないコトも重要。判官びいきでボクはコブクロの肩を持ってるけど、ゆずの方が楽曲にバラエティ感があって飽きがこない。ドスンと響くバラードもあれば、ヤンチャに聴き流すポップスもある。通して聴いても胃モタレしないバランス感がある。アコースティックギターの意匠がアチラコチラに配置されてて「路上」という彼らのルーツを明白に確認させてくれる。ヴィジュアルも洗練されてる。結果、このアルバムは優れてる。まだゆずコブクロに負けない。
●アラフォー段階に突入する時、ゆずがどんなシフトチェンジを仕掛けるのか、楽しみにしながら、ボクは彼らの音楽と「物語」を聴く事にする。

ゆずとコブクロ

最近のゆずとコブクロ。全員同学年で33歳。そう見えますか?見えませんか?




●ふう、今日もムダに長くなった。しかも非常に需要が薄い内容で。アホだな。



スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://unimogroove.blog4.fc2.com/tb.php/899-fb849df4