SOUL QUARIANS とフィリー人脈の世界に迷い込む。
フィラデルフィアはアメリカの中でも歴史の深い街でありまして、そして黒人音楽の歴史においても重要でございます。とくに70年代、「フィリーソウル」と呼ばれる独特のソウルミュージックを生んだことで有名でございます。
●その「フィリーソウル」の伝統を受け継ぐR&B/ヒップホップシーンが、90年代~00年代にも存在感を持っていたというオハナシを今日はしたいのです。キーワードは、「ニュークラシックソウル/オーガニックソウル」 SOUL QUARIANS


●この後、長ーいハナシが続くんだけど、先にポイントを押さえておきましょう。

1、1995年を着火点として、「ニュークラシックソウル/オーガニックソウル」という運動が起こった。
2、その運動は、2000年前後に頂点を極め、傑作を数々生み出した。
3、ニュークラシックソウルとは、70年代ソウルへの強い敬意の下に生まれた音楽だった。
4、オーガニックソウルとは、生演奏への強いコダワリの下に生まれた音楽だった。
5、この運動の軸になった音楽集団は、フィラデルフィアに拠点を持つ連中だった。
6、とくに注目すべきは、ヒップホップバンド、THE ROOTS という連中だった。

●コレ、最初に踏まえといて下さい。するとこの後に続くダラダラ文章も多少は読みやすくなるかも。


BILAL「1ST BORN SECOND」

BILAL「1ST BORN SECOND」2001年
●個人的に言いますと、しばらくガチンコなヒップホップから離れてました。あとガチンコR&Bも。仕事がキツかったから、あまりアゲアゲなヤツが聴けなくなって。そんで最近、やっとブラックミュージックに帰る余裕ができてきた。
●でもさ、いきなりバウンシーなヤツもキツいので、ニュークラシックソウル/オーガニックソウルな物件から聴こうと思ったのです。そんでたまたま手をつけたのがこの BILAL という男性シンガー。「ビラル」と読めばイイのか?発音的には「バラァ」って聴こえるけど。予備知識なしで聴いた…んだけど、ことのほか気持ちイイ。地味だがシッカリ地に足着いたトラックの上で、浮遊感漂うヒラヒラしたボーカルを聴かせる。時にファルセット、時に歪んで縮む、カタチを定めずに柔らかく変身する声が美味い。コレをしばらくズッと聴いてました。
●そんでね、日本盤だから解説とかもシッカリ読んで初めて気づいたんだけど、コイツ、SOUL QUALIANS の一員でした。


SOUL QUARIANS(ソウルクエリアンズ) とは。
●ヒップホップ社会では、クルーとかスクワッドとかプロデューサーチーム、分かりやすくいえば音楽集団がしばしば登場しますわな。そしてそれはレーベルや事務所とはカンケイない、地元意識とかで結びついた仲間たちで。NATIVE TONGUE とか JUICE CREW とか DUNGUEON FAMILY とか。で、SOUL QUARIANSフィラデルフィアを中心としたクルーなわけです。ニュークラシックソウル/オーガニックソウル運動を推進した連中で、2000年前後でかなりの活躍をしました。
●メンツを並べると分かりやすい。D'ANGELO、ERYKAH BADU、COMMON、MOS DEF、TALIB KWELI、Q-TIP、J DILLA (A.K.A JAY DEE)…。そうそうたるメンバーですよ。この並びに BILAL もいる。スゴいね。ニューヨークも混じってるって?フィリーだけに収まらないクルーなんですって。さらにコアなメンバーとして、ヒップホップバンド THE ROOTS 周辺のミュージシャンがいる。生演奏のグルーヴにコダワって展開した、ニュークラシックソウル/オーガニックソウル運動の影には、この人力駆動ヒップホップグルーヴの存在が欠かせなかった。特に重要なのは、ドラマー QUESTLOVE、キーボーディスト JAMES POYSER、ベーシスト PINO PALLADINO。このヘンを覚えておくと、クレジット読みが楽しくなる。
BILAL は完全なソングライターなので、このアルバムの半分の楽曲をオレプロデュースしてる。SOUL QUARIANS に相応しい才能。その一方で仲間もたくさん参加してる。QUESTLOVE、JAMES POYSER、PINO PALLADINO、JAY DEE、MOS DEF、COMMON。同郷フィリー出身の RAPHAEL SADDIQ も一曲に関わる。彼もフィラデルフィアの重要人物なので、気に留めておきましょう。…それとフィリー文脈には関係ないんだけど DR.DRE のトラックも2つあります。

Soulquarians.jpg

(SOUL QUARIANS の皆さん。左から TALIB KWELI、MOS DEF、JAMES POYSER、ERYKAH BADU、QUESTLOVE、D'ANGELO、Q-TIP、BILAL。前列しゃがんでる人は、左から COMMON、JAY DEE。)


SOUL QUARIANS の作品をアレコレ聴いてみる。


ERYKAH BADU「MAMAS GUN」

ERYKAH BADU「MAMA'S GUN」2000年
SOUL QUARIANS の結束が一番固く一番輝いてた時期は、このアルバムの頃かも知れない。このアルバムに絡んだツアーで、BILALERYKAH の前座をやってたし、クルーの仲間たちも傑作を次々とリリースしてました。この傑作の数々については、後で触れますね。
ERYKAH のセカンドである本作では、あくまで彼女が主導権を握りつつも、プロデュース/ソングライティングで QUESTLOVE、JAMES POYSER、JAY DEE などが大活躍。ERYKAH の柔らかくひしゃげた声がフワフワと漂う気分と、QUESTLOVE が叩く乾いたリムショットは実に相性がイイ。空間を慎ましやかに彩る楽器群の響きもイイ。ローズピアノにミニムーグにクラヴィネット、ヴァイブス、フルート。トラックメイカーとして知られた JAY DEE はココでベースを弾いてます。高機能なグルーヴととろけるボーカルの浮遊感は、実に官能的で甘美でもあって、サイケデリックに響くほど。


DANGELO「BROWN SUGAR」

D'ANGELO「BROWN SUGAR」1995年
ニュークラシックソウル/オーガニックソウル運動の口火を切ったアルバムがコレだ。D'ANGELOSOUL QUARIANS の創設メンバーで、シンガー/ソングライター/プロデューサー/アレンジャー/マルチプレイヤー。コレは彼のファーストアルバムで、ほとんどの楽器をすべて自分一人で演奏し自分でプロデュースしてる。ナニゲに見事な天才です。オマエは PRINCE か?!しかし PRINCE と決定的に違う点が。彼、実に寡作なんです。ちっとも新譜が出てこない。うまいことイカナイね。
●コレは歴史的名譜なので、ナニも言い足すことがありません。浮遊感あふれるファルセットが濃厚なソウルグルーヴの中でヒラヒラ舞っております。SEAN PUFFY COMBS(A.K.A. PUFF DADDY, P. DIDDY) によって90年代ヒップホップソウルが完成されていく時代、過去のソウル遺産を現代的な手法で復活させたのがニュークラシックソウル/オーガニックソウル。その運動が掲げた問題提起が全てココに詰まってます。
●裏方の重要人物の名前をまたチョッピリ挙げましょう。KEDAR MASSENBURG という男。D'ANGELO「BROWN SUGAR」 ERYKAH BADU「MAMA'S GUN」 EXECUTIVE PRODUCER としてクレジットされてる人物。コイツは D'ANGELO のマネジャーとして彼のブレイクを準備し、間を置かずダラス出身の女の子 ERYKAH BADU をフックアップしてメジャーに押しやったヤツ。「ニュークラシックソウル」という造語もコイツの発案。この成功を受けて、MOTOWN の社長を1997年から7年間も務めた。その後も実力派シンガーを扱うマネジメントとして活躍中。ヤツの事務所 KEDAR ENTERTAINMENT には、現在、JOE、KEITH SWEAT、CHICO DEBARGE などが所属してます。


RHIAN BENSON「GOLD COAST」

RHIAN BENSON「GOLD COAST」2003年
●ジャケでも美人さんだが、DVD特典のプロモ見るとますます美人でクラッとくるほど。クールでスモーキーな低音ボイスがセクシーです。コレは随分前に義弟KEN5くんにもらったCDだったんだけど、この記事書くために引っ張りだしました。このCDのプロデューサーが、JAMES POYSER だったからだ。コイツがSOUL QUARIAN の重要人物ってコトはいうまでもナイね。PINO PALLADINO も参加。D'ANGELO「BROWN SUGAR」で共同制作をしてた BOB POWER という人物も深く関わってる。うーん、まさしくニュークラシックソウル。このファーストアルバムでは彼女が望んで JAMES POYSER/BOB POWER にプロデュースを依頼したという。
●彼女はアフロアメリカンではない。ガーナ人の父親とイギリス人の母親を持つ。アフリカ生まれで、そんでインド育ち。ロンドンでOLさんをしてた時期もあるようだ。その後アメリカに渡ってチャンスを掴んだ。随分グローバルだよね。そのコスモポリタンな経歴が美人顔を作ったのかしら。だからチと UK ソウルの成分も混じってる訳だよね。よりクールで洗練された気分。「SADE の再来」って宣伝フレーズもあったよ。
●日本盤ボーナストラックには、シングル曲をデトロイト出身のヒップホップユニット SLUM VILLAGE がリミックスした物件が収録されてる。SLUM VILLAGE は前述してます JAY DEE が所属してたユニットね。徹底して SOUL QUARIANS 周辺で攻めてます。なお、ご存知のとおり JAY DEE は2006年に病気で亡くなってしまいます。32歳の若さで。


SOUL QUARIANS のサウンド制作部隊。THE ROOTS に注目。

THE ROOTS「RISING DOWN」

THE ROOTS「RISING DOWN」2008年
●さてさて、やっと THE ROOTS の登場だ。SOUL QUARIANS の中枢でありサウンド制作の実行部隊でもある。QUESTLOVE を中心とした腕利きのミュージシャンが結集してる。ヒップホップバンドってのも他にあまり例がない。ヒップホップ黎明期の SUGARHILL GANG、ニュースクール直前期に活躍した STETSASONIC、西海岸アンダーグラウンドの BREAKESTRA …くらいしか思いつかない。非常に独特な存在だと思います。
●そんで、このアルバムが今の所の彼らの最新作。コレがカッコいい。とにかくザラザラしたドラムの録れ具合をを楽しむべし。乾いたスネアがシビレる。乱暴な質感をそのまますくい上げたドラムをガサッとトラックに落とし込み、ブヨブヨとうねるベース(シンセベース?)で、ヒリつく緊張感を演出。そしてバンドのメインMC BLACK THOUGHT を中心に、気の知れた仲間たち(COMMON、MOS DEF、TALIB KWELI、MALIK B、DICE RAW などなど)がマイクをリレーする。
●でもね、実は THE ROOTS のアルバムでオモシロいと素直に思えたのって、コレが最初なのよね…。THE ROOTS ってコマメに買ってたワリにはあまり楽しんで聴いてなかった。


THE ROOTS「ILLADELPH HALFLIFE」

THE ROOTS「ILLADELPH HALFLIFE」1996年
●コレは THE ROOTS のサードアルバム。D'ANGELO の鮮烈なデビュー、そしてニュークラシックソウル/オーガニックソウル運動開始時期にダブる頃の作品。当時の評価も高かったらしい。でもね、ボクにはコレが少々地味に聴こえる。ヒップホップバンドという触れ込みなのにさ、そのバンド感が全然感じられない。STETSASONIC がヒップホップのクールな機能とド派手なファンクマナーをうまく共存させてて、そしてソレがボクにとって最高にカッコよく聴こえた。しかし THE ROOTS のサウンドはバンドである必然性を感じさせない落ち着きぶりで、聴くコッチの身としては不完全燃焼。実は90年代のリアルタイムにおいては、THE ROOTS の音楽を楽しむことがボクにはできなかった。
●この時期にはユニークなメンバーもいたんですよ。史上最強のヒューマンビートボクサー RAHZEL が所属してた。カレはマジでスゴい。しかしスゴ過ぎて、ボケーッと聴いてるとヒューマンビートボックスであるコトに気づかないで終わっちゃうほど。スゴ過ぎて結果的にフツウに聴こえる。やはり同時期在籍してた SCRATCH ってヤツはその名の通りクチでスクラッチしまくる。コイツもスゴ過ぎるあまりに結果フツウ。実に残念、ホントにスゴいのに。彼らはこの後ソロアルバムをリリースするが、ソコでもスゴ過ぎてフツウだった。
●今の耳においては、ゲストが豪華で聴き所も多い。スタイルとしてはジャズ気分、GANGSTARR A TRIBE CALLED QUEST の当時のサウンドに近い。親ニューヨーク。実際にジャズ系のミュージシャンも参加してる。M-BASE派 のリーダー STEVE COLEMAN、歌姫 CASSANDRA WILSON、サックスプレイヤー JOSHUA REDMANフィラデルフィアの盟友も沢山。D'ANGELO、COMMON、女性MC BAHAMEDIA、ポエトリーリーダー URSULA RUCKER。この辺ゼンブ地元人脈。そして RAPHAEL SADDIQ も参加してる。
●ちなみに、このアルバムの直前まで、このバンドには SCOTT STORCH がキーボーディストとして在籍してた。その後ドメジャー売れっ子プロデューサーとして大出世する彼の修業時代。


THE ROOTS「THINGS FALLS APART」

THE ROOTS「THINGS FALLS APART」1999年
●コレもリアルタイムで聴きながら、全然楽しんでなかった一枚。やっぱりバンドとしての必然性は感じられないサウンド。でも今聴けばヒップホップとしては実に高機能。演奏も最高にクール。硬質に響くタイトなリムショットと浮遊するヴィンテージ・エレピが空気をヒンヤリ湿らせる。バンドへのコダワリを忘れれば実に華麗な作品だ。
この時期が SOUL QUARIANS クルーの全盛期、とボクは考えている。1999年に本作「THINGS FALL APART」発表。翌2000年には、D'ANGELO「VOODOO」、COMMON「LIKE WATER FOR CHOCOLATE」、ERYKAH BADU「MAMA'S GUN」が発表される。この計4枚のアルバムは、実はほぼ同じメンツによって、そして同じスタジオで制作されてるのだ。スタジオは、かの JIMI HENDRIX が設立したニューヨークの ELECTRIC LADY STUDIOS。JIMI の名作アルバムのタイトルをそのまま拝借してるトコロ。
●そしてプロデューサークレジットには THE GRAND WIZARDS という名前が。コレは QUESTLOVE、JAMES POYSER などなどの SOUL QUARIANS 演奏家部隊の別称。彼らが上に並べた1999~2000年の歴史的録音にゼンブ絡んでいる。だからコレはニュークラシックソウル/オーガニックソウルのマイルストーン的作品というワケなのです。


THE ROOTS「PHRENOLOGY」

THE ROOTS「PHRENOLOGY」2002年
●この辺のアルバムは、前述「RISING DOWN」がカッコよかったので遡って買い足した物件。生ドラムのジャスト感は痛快。ベースもファンキー。ヒップホップに捕らわれずジャズロックからR&Bまで自由に横断するダイナミックなミクスチャー感覚は、同じ年に発表された COMMON のアルバム「ELECTRIC CIRCUS」と同系統。言わずもがな二枚のアルバムはミュージシャンもスタジオも大幅にカブッテマス。つまり THE GRAND WIZARDS。そして ELECTRIC LADY STUDIOS。コレは聴けば聴くほど味がしみ出るタイプの音楽かも。
●ゲストに召喚されたのは、MUSIQ SOULCHILD、JILL SCOTT、ALICIA KEYS など。00年代の新型ソウルを担う逸材がどんどん登場します。CODY CHESNUTT ってヤツもイイ声を披露します。そんなヤツらが前に出る時、バンドサウンドは真っ当にオーガニックソウルへ変身。なんか彼らの音楽ってヒップホップじゃない方がヨク映えるのかも知れない。
●炎のジャズロックギタリスト JAMES BLOOD ULMAR が参加した10分越えの組曲「WATER」はドラムンベースまであと一歩のハイスピード/アブストラクト領域まで到達。この曲は THE FLYING LIZARDS STEVE REICH までサンプルしてる。
●一方で大ネタ使いも炸裂。ヒップホップ永遠不朽の大ネタ SUGARHILL GANG「APACHE」で驀進するファンクが熱い!さらには SWING OUT SISTERS「BREAK OUT」みたいなポップスまで駆使。ダークでドープなトラックに違和感なくこの曲のキラキラしたサビが差し込まれます。ワザアリ!
●話はちょっぴりそれますが、THE ROOTS はこの前年2001年に JAY-Z のライブアルバム「JAY-Z: UNPLUGGED」で彼のバックバンドを務めます。アンプラグドでヒップホップ、というワリと難しいアプローチを見事に成立させるのです。コレ是非聴いて下さい、おススメです。


THE ROOTS「THE TIPPING POINT」

THE ROOTS「THE TIPPING POINT」2004年
●この面構え。ジャケ写のコイツは誰だ?と思って調べたら、イスラム教に改宗する前の若き MALCOM X だったのでした。今回の記事では全然触れてないけど、THE ROOTS/SOUL QUARIANS の連中はブラックパワー/黒人権利意識に非常に自覚的であります。フィラデルフィアは歴史のある街ですが、人種間のコミュニティはハッキリ分断されてる土地柄だそうです。一曲目から SLY & THE FAMILY STONE「EVERYBODY IS A STAR」をドッカリサンプルしてるトコロも気分でございます。
●このアルバムでキーワードになってるのは「オールドスクール回帰」ってヤツですかね。このフレーズは一時期随分とアチコチで聞かれたモノでしたが、正直、ナニがどのヘンで「オールドスクール」なのか、ボクにはよく分かりませんでした。だって、SOUL QUARIANS / THE ROOTS のメンツは、流儀でいえば明らかに直球の「ニュースクール」。NY 方面の関係者は「ニュースクール」ど真ん中 NATIVE TONGUE POSSE に所属してたぐらい。ソイツらに「オールドスクール」って言われたってピンとこねえ。
●ただ、このアルバムで連中が「オールドスクール」と呼ぶスタイルのナンたるかが、ウッスラと見えてきたような気がする。簡単なバショから説明すれば、テンポスピード。このアルバムの数曲はテンポが速い。多分BPM110~120くらい。コレはヒップホップで言えば大分速い。そして当然ラップも速い。その疾走感に加えて、シンプルなファンクが宿ってる。ジャジーであることにコダワリを持っていた「ニュースクール」のスタイルから見ると、虚飾がサッパリとぬぐい去られていて、反復するビートの骨格そのものにファンクを宿らせてる。このファンクネスは80年代ヒップホップつまり「オールドスクール~ミドルスクール」の質感に近い。突っ込めば、MARLEY MARL のプロダクションのニオイがする。埃っぽいサンプルも少々交えて、疾駆するファンク。
MALCOM X の肖像をジャケに掲げるようなメンタリティを持つ THE ROOTS 一派の連中は、すでに書いたように黒人文化の伝統意識が強い。70年代のソウルミュージック(彼らの地元フィリーソウル、シカゴソウル、デトロイトの70年代モータウン、ニューソウルと呼ばれた運動全般)に明白なリスペクトを表し、ニュークラシックソウル/オーガニックソウルの運動を推進してきた彼らが、その歴史から地続きに繋がる80年代ヒップホップに到達しリスペクトを表明するのはごく自然な発想だと思う。
●ただし「オールドスクール回帰」は80年代リバイバルとは意味が違う。決して単なる回顧/復古主義ではない。重ねて言うが、ボクの甘い耳では、ドコが「オールドスクール」なのか分からなかったホド、00年代のヒップホップが前提とされてる。そしてもう一つ言い進めれば、ニュークラシックソウル/オーガニックソウルの運動も、70年代ソウルの復古主義ではない。彼らがオルタナティブとして対抗しようとした90年代ヒップホップソウルと同じくらい、ニュークラシックソウル/オーガニックソウル決定的にヒップホップの影響下にある。生演奏にこだわったバンド形態であっても、THE ROOTS の音楽はドコまで行ってもヒップホップから離れていかないからだ。彼らは積極的に現代的であろうとし、新しい表現へ突き進むクリエイターであった、と思う。

●この時期あたりから、SOUL QUARIANS の結束は弱くなってきて、各メンバーはバラバラに活動するようになる。それぞれがビッグになりすぎたのだろう。ニュークラシックソウル/オーガニックソウルという潮流も、「ネオソウル」という、より意味のボヤケた言葉にすり替わり、00年代の一般的なR&Bのフォームに溶け込んでいく。そこから先のオハナシは、また別の機会に。


●あー、またムダな記事を書いてしまった。誰も読まない。需要がない。


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