今週は、LADY GAGA が来日しとりました。そんで知った。みんな GAGA が好き。
●普段音楽に興味を持たない同僚の女性までもが「GAGA 大好き!」と言ってアリーナに行ってた。LADY GAGA のドコが好きなの?「ブッ飛んでるトコロ!」へええ。ワイフのPTAメイトのママさんたちですら、「この人スゴい好きなのよね~」と言ってたという。みんないつの間に LADY GAGA がこんなに大好きになったのだろう?
●テレビの情報番組にたくさん出てたなあ。しかも、熱狂的なファンがイッパイいた。彼女の強烈なファッションを真似て、大幅にスットンキョウな衣装を着た人々が横浜アリーナやコスメブランドのライブに集まってた。ありゃコスプレ根性ってだけでもないなあ、完全にドラァグクイーンなスタイルだな…実際にゲイの人たちまでがテレビのインタビューに答えてた。彼らは HIV に対する LADY GAGA の社会貢献に敬意を表してた。
●同僚の女性にアリーナでのライブの様子を聴いてみた。「大きなサングラスと黒いボンテージな下着だけで登場してきて、2曲ぐらいでどんどん衣装を変えるの。歌舞伎の連獅子みたいな、全身を覆うようなフサフサのウィッグをつけたり、オッパイのトコロから花火がバチバチ噴射するような服を着てた」あーソレはオモシロい。オモシロ過ぎる。


だから、ボクも聴いたのさ、LADY GAGA を。

LADY GAGA「THE FAME」

LADY GAGA「THE FAME」2008年
●例によって激安ワゴンにて380円で発掘……してたんだけど、実は一年ほど聴かずに放っといてた。チェックしとこうと思ったので買ったはイイが、瞬間的に忘れてしまってたのだ。実はボクにとってこんなコトは珍しくなく、このテのCDがイッパイある。具体的に言うと100枚ぐらい。買うタイミングと聴くタイミングは、ボクにとっては必ずしも同じじゃない。大幅にズレルコトの方がフツウだ。
●ボクが彼女のCDを買った理由は、AKON がフックアップしたシンガーだってコトだった。彼女は AKON のレーベル KONLIVE と契約してこのファーストアルバムをリリースした。AKON はボクの好きなシンガーだから、きっとコレも悪いことはないだろう。まあ、その程度の関心。でもさ、ジャケ見てるだけの段階では、彼女のファッションやパフォーマンスがビックリするほどのスットンキョウだってコトは予想出来ないでしょ。実際、この写真じゃ彼女がどんな顔してるかもわかんないじゃんメガネデカ過ぎて。封も切ってないから、内ジャケすら見てなかった。「ブッ飛んでるトコロ」は全然察知できなかったねえ。つくづくボクは甘いねえ。

でもさ、音だけだと「ブッ飛んでるトコロ」は分かんないのよね。残念。
●四つ打ちアタックのジャスト感をめっちゃ強調して、シンセをブリブリ響かせる気分は、クールだと思った。実に00年代末なエレクトロ解釈。キラキラポップをもっとキッチュにキャンプにした感じ。NY のエレクトロクラッシュ や KITSUNE 派のフレンチエレクトロのザリザリした物件とは別系統なんだろうな。AUTO TUNE 使いもあるけど、AKON のヒップホップ/R&Bとも似てるようでちょっと違うしなあ…?
●だからクレジットをよく見る。このエレクトロトラックを作ってるのは、RED ONE というヤツらしい。さあ検索。……この人、モロッコ系スウェーデン人なんだ。あーこのキラキラポップは北欧由来のシンセ感覚なんだ!スウェーデンのダンスポップアイドル4人組 A-TEEN(なんかABBAっぽい連中) とかを扱ってた人でした。今は AKON と共にオフィスを構えてアメリカで様々なダンスポップを制作してる。でも彼にとっても LADY GAGA の仕事が一番のインパクトだったみたいだ。

●いきなりマニアックな横道に反れ過ぎた。GAGA 本人にハナシを戻す。

「ブッ飛んでる」GAGA の略歴。
●ドコを検索してもすぐ分かる話だからアッサリと簡単に。イタリア系の良家に生まれた彼女は、13歳でビアノバラードを作曲し、14歳で一般参加のステージイベントで歌を歌ってた。飛び級でニューヨーク大学芸術学部に入って音楽を勉強。しかしプロの道を目指すべくドロップアウト&家族と絶縁。これ19歳の時。
バーレスクダンサー(ストリッパーとも言われてる)として生計を立てながら、作曲家活動を開始する。彼女のキッチュでキャンプなセンスはバーレスクショーの経験で身についたんだろうね、ドラッグの味もしめたって書いてある。クラブびたりの毎日。女子二人でユニットを作り、過激なパフォーマンスを仕掛けて話題を集めてたりも。そこではBGMにグラムロックを鳴らしてたそうな。
LADY GAGA の名前の由来は、QUEEN のヒット曲「RADIO GAGA」から。その後「THE FAME」で仕事をする ROB FUSARI という人がこの曲を彼女に聴かせてたらしい。RED ONE と知り合ったのもこの頃。21歳の頃には様々なアーティストに楽曲提供をするようになる。ここで AKON が登場。ソングライティングだけじゃなくてシンガーでイケルよ、というコトで彼のレーベル KONLIVE と契約。そんでデビュー。22歳のコトでした。
●で、今は24歳。早熟で、でも性急で、世間との違和感と格闘して、さらには家族と絶縁して、そんでNYのクラブシーンの一番深いトコロを泳ぎまくってたら、こんなオンナノコが出来上がる。YOU TUBE で彼女の映像を検索すると、絶賛コメントとディスのコメントで場が荒れてます。悪趣味と言えば確信犯的に悪趣味だし、エキセントリックといえば大胆にエキセントリックだね。拒絶反応を示す人もいるだろうね。



●さて、LADY GAGA を、先人と比較する。
CYNDI LAUPER と MADONNA。悪趣味とエキセントリックで世間を挑発した女傑たち。


まずは、CYNDI LAUPER。

LADY GAGA  CYNDI LAUPER

●コスメブランド M.A.C. のエイズ基金は、 LADY GAGA CYNDI LAUPER を2ショットにしてキャンペーン展開をしている。二人ともカワイい!GAGA ちゃん素朴にカワイい、と初めて思う(今までは思ってなかった)。
●コスメブランド M.A.C. のグリッター感覚ってドラァグクイーンのソレと同じじゃないですか。デパート1Fコスメ売り場でフツウにゲイの男性が接客しちゃうのが M.A.C. でしょ。そりゃーコスメなんて無縁のボクだって、おおスゲエブランドだなって認知しちゃうよ。クラブシーン上がりのゲイカルチャーが深く深く染み付いてるんだろうね。だからこそ HIV の問題にも意識的。ソコ行くと、GAGA ちゃんは実に相性がいい。ナイスキャスティング。
●そんでだ、CYNDI LAUPER だ。コレで今年56歳だよ。この二人を並べたのもナイスキャスティング。

CYNDI LAUPER「THE ESSENTIAL CYNDI LAUPER」

CYNDI LAUPER「THE ESSENTIAL CYNDI LAUPER」1983-2008年
●今から30年近く前に、奇抜なファッションとメッセージで世界の注目を集めたのが彼女だ。エキセントリックな容姿で物議を醸した意味では GAGA の大先輩だ。
●アシンメトリーにバリバリ刈り上げちゃったボサボサ頭を、マダラに染めたファッションは、83年当時じゃかなりエキセントリックに見えただろう。ファーストアルバムのタイトルは「SHE'S SO UNUSUAL」/彼女はフツウじゃない。そんな子が「オンナノコだって楽しみたいのよ!朝帰りだってノビノビしたいのよ」と叫ぶ。フツウじゃないとレッテルされてきた少女が、全世界に異議申し立てをする。
●両親が離婚し、学校に馴染めず転校を繰り返した少女時代。そしてアートスクールを経てバンドを結成するも挫折。ソロになってブレイクした時はすでに30歳だった。ワリと遅咲きの苦労人です。能天気に明るい前向きさは、周囲に馴染めなかったコンプレックスの裏返しと、マイノリティへの深い共感が前提になってるのね。
●しかし、このベストを聴くと、エキセントリックだけが彼女のキャラじゃなかったコトが分かって楽しい。名曲「TIME AFTER TIME」 MILES DAVIS までがカバーした美しさが印象的。「I DROVE ALL NIGHT」のシリアスさはアメリカ女性のたくましさが響いてて感動的。「ALL THROUGH THE NIGHT」のキラキラシンセポップスタイルは、テンコモリの時代感が最高。オリジナルアルバムで聴けない「THE GOONIES 'R' GOOD ENOUGH」(映画「グーニーズ」主題歌)もウレシい。「グーニーズ」はいい映画だ。キラキラのジュブナイルだ。我が家のコドモにも見せました。


お次は、MADONNA だ。
●テレビのコメンテーターが言うんだよ。GAGA MADONNA が出てきた時とソックリだと。同じイタリア系だし、センセーショナルなファッションをまとって登場したから。ちなみに CYNDI LAUPER もお母さんはイタリア系だよ。

MADONNA「LIKE A VIRGIN」

MADONNA「LIKE A VIRGIN」1984年
MADONNA がこのアルバムでブレイクした時は「モンローの再来」だなんて言われてた。ホンモノの才能は、必ずダレカと比べられて登場するのかな? それじゃ MADONNA と比べられる GAGA もホンモノだ。
●幼い頃に母を亡くし、義母と馴染めず家族の中に居場所を見出せなかった MADONNA は、19歳になると大学をヤメて無一文でニューヨークに出てくる。この時期が、ダンキンドーナツでバイトしたり、雑誌「プレイボーイ」のヌードグラビアをしたりしてた彼女の下積み時代だ。1980年前後のクラブシーンに出入りして、仲間とバンドを組んだりギョウカイのツテを辿ってデモテープを配ったり。JEAN MICHEL BASQUIAT と一緒に住んだこともあるらしいけど、ヤツがヤク中だったのですぐ撤退したそうな。そんでデビューのチャンスを掴んだ1982&83年。シングル数枚を経てリリースしたファーストアルバム「MADONNA」は DJ 向けのダンスチューンでジワリとヒット。1983年、CYNDI LAUPER がブレイクした同じ年のコトだった。
●このアルバムは翌1984年にリリースされたセカンド。コレが最初と思ってる人も多いみたいだけど、チト違うので注意。 それだけ「LIKE A VIRGIN」のインパクトが強過ぎたのでしょう。早熟な才媛である GAGA と違って、MADONNA に作曲能力はなかった。しかしダンスやバレエを学んでた彼女には、強い自己演出能力があった。ホクロ1つも効果的に使って「80年代のマリリンモンロー」を見事に演じたし、結果アメリカの新しいセックスシンボルになることができた。

●ただし彼女は、その自己演出能力を、世間を挑発するために効果的に使う。時にソレが逆風を受けるコトになろうとも、躊躇も譲歩も弁解もしない。この点が彼女をただのポップシンガーにしない理由だと思う。
●1989年「LIKE A PRAYER」のPVが、カトリック教会から非難された。キリスト教のモチーフを数々使用する中で、MADONNA が聖人と性愛を交わしたり、十字架を轟々と燃やしたり、聖痕の奇跡を再現してみせたり。コレがバチカンを刺激し、ビビったペプシがタイアップ契約を引き上げるなど多くの摩擦を生んだ。MADONNA は今でもステージ演出で十字架のイメージを使って、バチカンとモメル場面がある。キリスト教の禁忌を彼女は平気で踏み越える。
●1992年に発表した写真集「SEX」は、過激な性描写が強烈な反発を招いた。この頃の MADONNA は性表現の限界にズンズンと踏み込んでいった。HIV禍が大きな社会的関心を集めるようになったこの時代、性のマイノリティの問題をポップカルチャーのレベルで暴きだす戦略に出た、というのがボクの見方です。MADONNA は「セックスシンボル」として消費されることを望まず、反対に「性の極限状態」を一般大衆に突きつけた。モンローは睡眠薬を過剰摂取し死んでしまったが、MADONNA はオメオメと使い捨てられるのを堂々と拒絶するのだ。当時のアルバム「EROTICA」といい、1990年のシングル「JUSTIFY MY LOVE」といい、露出狂のように性倒錯の世界をねちっこく描く MADONNA に戸惑いを感じる人は多かったはず。しかし彼女は NY のクラブカルチャーにルーツを持つ女性。最先端のゲイカルチャーと彼らの美意識に共感していたのはマチガイない。フェティッシュな世界観は彼女のホームなのだ。


MADONNA「HARD CANDY」

MADONNA「HARD CANDY」2008年
●今のトコロの彼女の最新オリジナルアルバム。トラックメイカーが豪華!THE NEPTUNES 組と、TIMBALAND & JUSTIN TIMBARLAKE 組が、5:5の比率で楽曲を制作してる。超一流のヒップホッププロデューサー(そしてボクの大好物)THE NEPTUNES TIMBALAND が顔を揃えて、しかもその内容は全然ヒップホップじゃないトコロが最高にクール。タイトルをもじるように表現すれば、「カタくてアマい」音楽。軽く乾いてるが硬質で正確なビートが高速で疾駆する。ハウスみたいにはリズムを流していかないが、R&Bほどタメは作らない。耳障りはシンプルだが、予想以上に複雑で独特のネバリがあるリズムが鮮烈なグルーヴを生む。ソレを彩るシンセがカラフルで、MADONNA のボーカルを支援する。同じ2008年産のサウンドでも、GAGA「THE FAME」よりコッチの方が楽しいかも。JUSTIN TIMBERLAKE 自体の音楽も聴きたくなってきちゃった。
MADONNA自己演出能力の延長なのだろうか、MADONNA のパートナー選び、プロデューサー/トラックメイカー選びは実にユニークで戦略的。ボクが MADONNA を聴く時は「今度はどんなヤツと組んだのだろう?」というポイントが一番の面白がりドコロだ。
「LIKE A VIRGIN」だって CHIC NILE RODGERS が完全プロデュースしているのだ。「BEDTIME STORIES」では NELLEE HOOPER から DALLAS AUSTIN といったR&B系のプロデューサーまでを起用。「RAY OF LIGHT」「MUSIC」「AMERICAN LIFE」の頃は、WILLIAM ORBIT(ニューウェーブ系シンセオタク)、MIRWAIS AHMADZAI(アフガン系のエレファンク野郎。コイツのソロアルバムスゴい。)と言った新才能を発掘。「CONFESSION ON A DANCE FLOOR」ではフレンチテクノのトラックメイカー LES RYTHMES DIGITALES などと組んでハウシーなサウンドにチャレンジしている。目利きの良さがハンパじゃない。コレが現在51歳にしてポップミュージックの最前線に立っていられる実力の正体だと思う。





●むー。

●なんか、失敗したな。

●ここまで書いて、アレだけど、ジブンの中で、LADY GAGA MADONNA CYNDI LAUPER を比較する意味がわからなくなった。つーか、細かく見ると、そんなに接点ナイじゃん。別に比べる必要ナイじゃん。多分、GAGA 本人も望んでないし。彼女の、明らかにヤリ過ぎ感タップリなメチャクチャPV(「TELEPHONE FEAT. BEYONCE」とか、もう圧倒だよ!)を YOU TUBE で見て、その「ブッ飛び」ブリに爆笑してたら、この文章がバカバカしくなってきちゃった。

●彼女は彼女だけの、独自の進化を遂げて行く気がした。それは MADONNACYNDI LAUPER の歩んだ道とは全然違う。GAGA、がんばってね!オモシロいコトどんどん仕掛けて下さい!応援します。



それとね、GAGA ちゃんのプロモみてて、気になる動画を見つけちゃった。
●ベトナム系アメリカ人の MICHELLE PHAN ちゃん。YOU TUBE で趣味のメイク解説ビデオを公開してるうちに、ネット社会で大物になってしまったオンナノコ。LANCOM と契約までゲットしちゃった。そんな子がカワイい GAGA メイクを実演解説してくれます。



オンナノコのメイクをこんなにマジマジと見るコトなんて男のボクにはない経験だから、なんかスゴく楽しんじゃった。コレをセッセと毎日やってるオンナノコたちはタイヘンだなー。MICHELLE ちゃんは当然100%のスッピンで登場するワケで、でそのスッピン顔はイケテルのかイケテナイのが微妙なライン上にあったりする。ある意味、超標準的オリエンタル顔。しかし仕上がりはとってもカワイいのです。胸キュンですよ。他の動画もカワイいですよ。
●この子は、日本のアニメやゲームも好きみたいで、セーラームーンのコスプレメイクまで披露してます。LADY GAGA も彼女にかかればアニメコスプレと一緒かも。



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