ノマドヒヨコに見せたい映画、「スタンド・バイ・ミー」。

「スタンド・バイ・ミー」

●この映画って1986年制作なんだなあ。リアルタイムでいうとボクは小学6年生で、ちょうどこの映画に出てくる4人の少年と同い年であった。劇場に観に行った覚えはナイから、きっと中学生になってからレンタルビデオで観たんだろう。楽しかった。……そんな映画をワイフがレンタルして来た。コレをコドモたちに見せたいと言って。
●ノマド小学3年生に聞く。オマエ観る?「どんな映画?」4人の男の子が冒険の旅に出るハナシだよ楽しそうだろ。「ドコに冒険しにいくの?」ドコって言ってもなあ…山奥にあるモノを探しにいくんだ。「ナニを探すの?タカラモノ?」実はな、死体を探すんだよ…原作はスティーブン・キングだからなあ辛気くさいのはしょうがないよなあ。あ、ノマド明らかにテンションが下がってる。「シタイ?タカラはないの?オレは秘密の仕掛けがイッパイ出るヤツがイイなあ」おまえこの前見せた「グーニーズ」と混同してるだろう。このハナシはそういうのは出てこないんだ。でもオモシロい!マチガイナイ!

で夕飯時に見せたら、バカみたいに盛り上がってた。
●ノマドのヤツ、手足をジタバタさせながら画面に突っ込んでるのだ。「ちがうよコイツ弱虫すぎる!」「今だ、走れー!走れー!」「オレならこのまま真っ直ぐ行くね」4人の少年に混じって、5人目のメンバーのように振る舞ってる。オマエオモシロいねそんな映画の見方ってナカナカ出来ないね。どうだノマド、一番ナニがドキドキした?「チスイヒルがパンツのナカに入ったトコロがコエエ!チンチンの血吸われちゃった!」確かにソレは怖い。パパも遠慮したい。
●木の上の秘密基地、タバコを吸いながらブラックジャック、親に黙って外泊、悪タレ小僧のトモダチと、もっと怖い不良のニイちゃん、12歳男子のワイルドサイドがキチンと詰まってる映画だったな。ノマドもチョイチョイウマいコトやって悪事に身を染めてくれ。
●ヒヨコ小学2年生は怖い場面の連続にひたすらキャーキャー叫んでいた。原作者キングにとっては、ホラー映画としてドキドキしてもらうも本懐なのだろうか?そして最後のエンドロール、BEN E. KING の主題歌「STAND BY ME」が流れて来た時、こう叫んだ。「あ、キリンフリーのキョクだ!みんなでビールをカンパイするキョクだ!」そうきたか!瑛太がノンアルコールビールをみんなで飲むCMだな。でもあのバージョンはね JOHN LENNON のカバーだからちょっと違うんだよ。「ROCK N' ROLL」1975年に収録されてるヤツだね。

JOHN LENNON「ROCK N ROLL」3(JOHN LENNON「ROCK N' ROLL」1975年)


ヒヨコが盛り上がったのは「サマーウォーズ」の方だった。

サマーウォーズ

●コレはもっと早く見とけばよかった…と思いつつ、このタイミングじゃなかったらコドモたちには難しかったかなと思い自分を納得させる。ヤベボク「時をかける少女」も観てナイじゃん全然ダメ。でも痛快でした。桜庭ななみちゃんの声もよかったです。
●ヒヨコ小学二年生は、素朴に主人公ケンジくんとナツキ先輩のラヴい展開にウキウキした模様。ネット上に登場するカワイらしいアバターたちも気に入った模様。サイバー少年大活躍って内容がノマドにヒットすると思いきや、凶悪な人工知能と「花札」で戦うナツキ先輩&彼女のカワイイアバターがヒヨコにクリティカルヒットした。おかげでボクは「パパ!花札オシエて!」攻撃を受け、最近ほぼ連日ヒヨコと花札をしている。「花見でイッパイ!コイコイ!」
●ノマドは貞本義行デザインのキャラの影響か、突然エヴァのプラモが作りたいと主張し、数日かけて無事「弐号機」の建造に成功した。説明書みたら「対象年齢15歳以上」とか書いてあって、ノマドオマエの年齢ダブルスコアだぞ出来るのか?と思ったが、そして絶対ニッパの扱い間違って流血大惨事の一二回は起こるだろうと覚悟したが、ボチボチ自分のチカラでやりこなすことが出来た。昨日はDVD屋の前で劇場版「破」のトレイラーをシゲシゲ眺め、「今度は仮設5号機つくろう!」と1人つぶやいてやがった。

サマーウォーズアバターたち

(「サマーウォーズ」に登場するアバターたち。村上隆みたいだね。)




90年代トリップホップのエッセンスを後継した音楽スタイルを考えてます。
●以前、トリップホップについてボクが書いた記事にコメントを頂いたのです(コチラの記事)。ソレをキッカケに「トリップホップ的表現は00年代アメリカにおいてどのように発展してったのか?」なんてコトを一人で考えてました。今日はそんなオハナシ。


●うまくまとまるかは、自信がないです。多分ズレテいく…。


●まずは、この動画観て下さいよ、スゴくないですか?ドラムマシーンを、本物のドラムキットと同じように「演奏」してる。



●彼は ANTICON のトラックメイカー JEL 。2007年にアップされた動画。ほぼリアルタイムでコレを見つけた時はマジ衝撃受けました。ヒップホップってこんな表現にまで到達してるんだ…。

JEL を始めとした、ユニークなトラックメイカー/ラッパーたちが「ANTICON」という音楽集団を結集したのは1997年。コレはそのまま ANTICON RECORDS というインディレーベルに移行し、現在も奇妙なアングラヒップホップを量産している。拠点がベイエリア/オークランドだから、いわゆる「西海岸アンダーグラウンド」と呼ばれるサブジャンルの1つの核になってると思います。名前が ANTICON だからね、レーベルのマークはアリさんなんですよ。「アリさんマークの引越社」みたいにカワイいコトにはなってませんが。

DEEP PUDDLE DYNAMICS「THE TASTE OF RAIN ... WHY KNEEL」

DEEP PUDDLE DYNAMICS「THE TASTE OF RAIN ... WHY KNEEL」1999年
●ここに ANTICON の主要メンバーが全員そろっております。ALIAS、SOLE、DOSEONE、SLUG、JEL などなど…。みんな素っ気ない記号的な名前なモンですから、00年代前半の ANTICON はマジで謎の組織のように見えてました…なにやらメンバーの住んでる場所は全米に散らばってて全部ネットのヤリトリで制作をしてるとか、本当かどうかよくワカラン情報しかなかったのです。
●そんな前提があったとしても、このアルバムは ANTICON グループにとっての最初期の傑作だと思います。ロービットのサンプルがザラザラしてて、ベースがブゥーウンと唸ってて、不穏な気分が立ちこめる中、数人のラッパーが次々とマイクをリレーしていく。全員クセのある声で、聴き心地はドンヨリしとります。まーマチガイなくアングラで暗黒です。イギリスの90年代トリップホップのように洗練されてはいません、むしろカビ臭いベッドルームで宅録したようなロウファイ感がモクモクと立ちこめてます。実際、トラック制作を4曲手掛けた JEL は、あのドラムマシーンさばきの達人ですから、みんなの目の前で5分足らずで1曲を仕上げたと言います。もうちょいトリビアを盛り込むと、アルバムタイトルはビート詩人 JACK KEROUAC による英語 HAIKU だそうです…意味はよくワカラン。
●しかし、同時代のヒップホップと言えば、TIMBALAND のようなフィーチャリスティックでバキバキチキチキド派手なビートが全盛だった訳でして、ANTICON の芸風はかなりアヴァンギャルドに映ってました。トリップホップの暗黒でスモーキーなテイストをある意味でキチンと引き受けた、とボクは思います。イギリスのシーンで注目を集めた DJ SHADOW が同じベイエリア/サンフランシスコ在住であるコト、そして ANTICON の主だったメンバーが SHADOW と同じく白人であるコト、こんな符合も偶然じゃないと思うのです。…ユニットとしての DEEP PUDDLE DYNAMICS はこの一枚しかアルバムを作りませんでしたが、メンバーソレゾレが競い合うように現在も作品を発表し続けています。


暗黒でスモーキーな表現を選んだヒップホップはコレだけじゃないです。
●ニューヨークにもおりました。DEFINITIVE JUX。

「DEF JUX PRESENTS」

「DEFINITIVE JUX PRESENTS II」

「DEF JUX PRESENTS ...」2000年
「DEFINITIVE JUX PRESENTS II」2001年
DEFINITIVE JUX は、COMPANY FLOW のリーダー EL-P が1999年に設立したインディレーベルで、この音源は所属アーティストを顔見せさせるレーベルサンプラーです。ゼンブで第四弾まであるらしい。第三弾もボクの部屋に埋まってるはずなんだけど、結局見つかりませんでした。シモキタで安くゲットしました確か2枚とも600円以下。ボクの印象では、ANTICON に比べれば DEFINITIVE JUX の音源の方が安価で入手が簡単です。オタク的関心がなければドチラも一生お目にかかることはないでしょう。でもダイジョウブです長い人生においてなんの損にもなりませんから。
●そもそも COMPANY FLOW 自体がダークでスモーキーなんだから、その周辺に集まる連中もそうなるに決まってるし、EL-P がトラック提供をたくさんしてるからどんどん色が同じモノに染まってく。洗練とは100万光年離れてる耳障りなサンプルを駆使してギクシャクするトラックが実にカッコいいし、ソレをタフに乗りこなすラッパーの技術もスゴい。ANTICON DEFINITIVE JUX も、トリップホップのようにジャジー気分やダブ表現など他のブラックミュージックへ拡散することなく、徹底してヒップホップであり続け、そしてソレを陵辱するように汚していく。その感じがタマラナイ。
●しかしですね、DEFINITIVE JUX には(そして ANTICON にも)トリップホップとは別のベクトルへ発展していく要素があるのです。それはポストロック方面。シンセの透き通った響きが徐々に比重を増していく気分は読み取れるのです。特に顕著なのは RJD2。まるでスターウォーズに登場するロボットのような名前ですが、実際彼の作るインストトラックは、時に優雅で時に理知的で、ポストロックとヒップホップの幸せな邂逅を感じさせてくれます。彼のソロアルバムはどれも実にクールでおススメ(特に「DEADRINGER」2002年ってヤツ)。洗練の度合いが高いという意味では、彼の音楽はトリップホップの正統後継者です。
●他にも注目アーティストをご紹介。AESOP ROCK ANTICON のアーティストともコラボの経歴があるラッパー/プロデューサー。アルバム「BAZOOKA TOOTH」2003年は名作と評判。ボクは沖縄のレコ屋にて500円で採取したっけ。
EL-P は総大将だけあって、ソロ、CAMPANY FLOW、THE WEATHERMEN 名義と数々の活躍をしています。ラッパー二人組ユニット CANNIBAL OX にも積極的にトラック提供、面倒見のイイアニキです。…RJD2、AESOP ROCK、EL-P がいずれも白人だってコトは、ANTICON の主要メンバーたちと共通する点でもあり、ヒップホップという音楽フォームに批評的/客観的になるキッカケになってるのかもしれない、とボクは予想するのです。


PREFUSE 73「EVERYTHING SHE TOUCHED TURNED AMPEXIAN」

PREFUSE 73「EVERYTHING SHE TOUCHED TURNED AMPEXIAN」2009年
ヒップホップとポストロックの融合、ここに極まれり!……ていうか、その前にジャケが70年代プログレッシヴロックなんですけど!YES とか ASIA の奇景シリーズみたいじゃない?渋いトコロ攻めるねえ。
●コレは SCOTT HERREN という白人青年のソロユニット。ヒップホップ的音楽では PREFUSE 73 という名義を使うけど、完全なポストロック~エレクトロニカをやる時には SAVATH & SAVALAS という名義を使ったりする。他にもイッパイ名義分けをしてるけど、ボクが聴いたことがあるのはこの2つだけ。ボクが彼の存在を知ったのは PREFUSE 73 として UK の名門テクノレーベル WARP からアルバムをリリースした時(「VOCLA STUDIES + UPROCK NARRATIVES」2001年)。PREFUSE 73RJD2 の登場は、ボクには21世紀の新しい音楽の出現と思えて、メチャ盛り上がったのでした。
●アメリカ人の彼が UK の WARP に注目されたコト、そして RJD2 がやはり UK の XL RECORDINGS DEFINITIVE JUX から移籍したコト。この二点がボクには実に象徴的だった。UK の90年代トリップホップが停滞期に入り、ソコに新しい刺激としてアメリカの白人クリエイターが導入された、と思えるのです。ボクはこの事件をモトに、90年代トリップホップと、00年代前半アメリカ各地で活動していたアングラヒップホップの間に強い結びつき、連続した関係があると考えてる訳です。ココまでのこの記事の流れってこういう意図がベースにありました…伝わりますか?とっても分かりづらいけど。ご参考にもう一件。この時期 WARP はニューヨークのヒップホップユニット ANTIPOP CONSORTIUM のアルバム「ARRHYTHMIA」2002年をリリースしてます。コレもかなり強力な作品です。彼らは黒人ですが AUTECHRE APHEX TWIN の大ファンでした。マジ要チェックです。
●さて、この音源に立ち戻ってみましょう。これまたユニークです。イキナリね、トラックリストに29曲並んでるんですよ、うわクソ多い!その一方でね、そのほとんどが一分~30秒程度しかない楽曲なんです、うわ短か!ワンアイディアで組まれたループミュージックが沢山登場して、ノンストップで繋がったままどんどん展開していく構造。全然飽きずに一気に聴けてしまう。全部がインストでラップはなし、その質感はヒンヤリしてて実にクール、ビートミュージックだけどポストロックなのです。


JOSH MARTINEZ「BUCK UP PRINCESS」

JOSH MARTINEZ「MIDRIFF MUSIC」

JOSH MARTINEZ「BUCK UP PRINCESS」2003年
JOSH MARTINEZ「MIDRIFF MUSIC」2004年
●今度はカナダの白人ビートメイカーです。でもね、バンクーバー在住って意味で、西海岸アンダーグラウンドの流れに繋がってる気分がある。…ん?最近はオレゴンのポートランドに移住してる?あ、そうなの?でもやっぱり西海岸だからイイよね?ま実際彼は ANTICON グループに近い存在でツアー同行経験もある。
●テンポが早いビート感覚はロックリスナーにも気持ちよく聴こえるはずだし、サンプルの材料は洗練されててジャジーにも聴こえる。ボクの大好きなニュースクール風でもある。もちろんポストロックの感覚もある。しかし、ヒシャゲた声のユニークなラップがヤンチャなガキテイストで、落ち着いたムードは漂ってない。結果ポップでキャッチー…今日紹介しているようなマニアックな奴らと比べれば。「MIDRIFF MUSIC」の方はインストトラックも目立っててチルな表情も見せてくる。ニュースクール風味がより濃くなって、耳に優しい楽しさがある。ピース。



●ハナシは戻るんだけど、ANTICON JEL による、ドラムマシーンの「演奏」は観れば観るほど惚れ惚れします。この動画、タップリ堪能して下さい。








●さて、今回は00年代前半のアングラヒップホップを扱いましたが、現在のシーンはさらに進化中です。
ANTICON はヒップホップの辺境に挑戦し過ぎて、奇妙な脱力エレクトロニカの境地に到達してるような気がします。ヒップホップなレコ屋ではなく、WARZSAWA のようなインテリロックなレコ屋の方で積極的に取り扱われてますし(そうそう!今月シモキタザワに WARSZAWA RECORDS がやって来たんですよ!しかも JET SET の近所に!)。一方 DEFINITIVE JUX は、EL-P が自分の創作活動に専念するためにリリース活動のペースを落としていく、と発表してました(確か?)。公式サイトで EL-P の新曲が1つフリーでダウンロードできます。ま、相変わらずの内容でしたイイ意味で。


●トリップホップから、ココまでやってみました。こんなモンでいかがでしょうか、筑前さん?


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