HMV渋谷。夏草や兵どもが夢の跡。

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渋谷に用があったので、ちょっくら90年代の史跡を訪れてみた。

イギリス系レコード店チェーンHMV(ヒズ・マスター・ヴォイス)が日本で初めて出店したのが1990年の渋谷。当時のバイヤー太田浩氏(現タワーレコード)が、当時の最新型邦楽と関連洋盤をとりまぜて作った特設ブースのセンスが、そのまま「渋谷系」という音楽ムーブメントの発火点になった、ってのが定説ですわね。ええ、当時高校生だったボクもしっかりお世話になりました。ぶっちゃけ高額だったからそんなにイッパイは買わなかったけど。ヒヨッコだったボクにはオシャレすぎる、スノッブすぎるようにも感じた。しかしレコード棚、レコード店がムーブメントを作った、という意味で刺激的な現象でした。リアル店舗がオンライン店舗にヤラレつつあるこの時代に、ちょっぴりは回顧してもイイ話だと思う。

CD革命と輸入盤文化、そして大型店舗。
●ちなみにアメリカ系のタワーレコードは1978年から渋谷にお店を置いていました。再販価格制度(日本盤は小売価格がどこでも同じ)の外から、彼らが輸入音源を安い価格でドッカリ持って来たことは、若いボクには意味があった。とにかく安いことが大事(それは今でも変わらない)。海外から直輸入される盤は、日本のメーカーのフィルターを通さずダイレクト/オンタイムに海外のシーンを反映してたので、実にエキサイティングでもあった。
●一方、日本のメーカーによる宣伝PRが全くない輸入音源はホントに正体不明で、英語だけのジャケ情報も高校生には呪文に見えた。だから、ありとあらゆるチャンネルで音楽情報を入手しておかないコトには、その輸入盤接触チャンスを十分駆使するコトができなかった。ネット環境が未整備だった当時は、音楽誌/サブカル誌(故・スタジオボイスとか)/フリーペーパー/ファンジンがマジで重要なソースになってた。音楽誌隆盛の時代ってヤツだね。そしてなによりもリアル口コミ(非ネット口コミ)が重要だった。当時のアーティストの名前とそれを教えてくれた友人たちのカオが直接結びついて記憶されてるくらいだ。

そんでもう1つ重要なポイントが。それはCD革命。1982年に市場に登場したコンパクトディスクが、LPレコードを売上げシェアで初めて勝利したのは1986年のコト(のはず)。80年代末は、LPレコードの棚にCDを入れるため、ムダにタテ方向へ細長いパッケージで売られてたのを皆さん覚えてます?環境保護に積極的な STING「あのパッケージは資源のムダだからオレの作品はあんな売り方をしない」ってマジで議論してた時代がありました。渋谷系到来の時代は、完全にCDが圧倒的なシェアを占め、アナログは一部の数寄者の文化になりました。渋谷系コアがそのアナログ文化を新しい解釈で延命させたりしてましたけど。
●一方で過去アイテムが一気にCD再発化されました。60年代~80年代の旧譜がピカピカの新品として市場に再登場したコトは、この時代に強烈なインパクトをもたらしたとボクは思ってます。もっとこのヘン積極的に解釈されてイイはず。ココでHMV渋谷の売場(90年当時)を振り返ってみましょうか。「ポップス/ロック」というザックリなククリで全ての商品が「A~Z順」にソートされてる状況、しかも数十年前の音楽と最新型の音楽がゼンブ一緒に、新発売のピカピカ新型メディアに衣替えして、図書館の書架のように整然と並べられている、しかも2フロアブチ抜きのビックリするほど広大な店舗。今では当たり前の陳列方法ですが、若かったボクには衝撃でした。
●ソレ以前のレコ屋と言えば、個人経営ベースのちっこい面積、下手すりゃ楽器店併置、LPは重くかさばり、一枚一枚引っ張りださないとジャケも見えない、CDは別売場、全ジャンルでワンコーナー程度の規模。歌謡曲のカセットも売ってたもんね。ゴチャゴチャしてチンマリしてた。HMV渋谷という巨大店舗の迫力(当時のタワーもまだワンフロア展開だった)は、黒船に匹敵するインパクトだったと思うのです。

太田浩氏のブースが「渋谷系」を作った、とされていますが、ソレは一部しかモノを見てないような気がする。「渋谷系」音楽(PIZZICATO FIVE FLIPPERS' GUITAR)は、アーカイヴ参照感覚で過去の音楽遺産をサンプル/コピー&ペーストし自分たちの音楽を革新していった。その前提には、新メディア「CD革命」という状況と、広大な売場を「A~Z順」にソートする「ジャンル横断/時代横断」的陳列販売が無意識下で影響していた、とボクは思ってます。歴史と場所をフラットに超越して検索する音楽アーカイヴ。そんな位置づけで、HMV&タワーは90年代型の音楽の聴き方、時代感覚を下部構造的インフラとして規定したと思う。そんでボクは2010年にして未だにその影響下にあり、バラバラな時代のバラバラなジャンルの音楽を聴き続けているのです。


●「渋谷系」についてはコチラの記事で考えてみました。ご参考に。
 「渋谷系」とは何だったのか? 極私的に90年代を振り返って。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-240.html


●1990年のこのオハナシは、携帯電話もなかった大昔の出来事。ソコから20年隔たった今とあの時代の間には、インターネット革命とモバイル革命着うた、iTuneiPod、NAPSTAR WINNY、MYSPACE から YOU TUBE、ニコニコ動画、USTREAM がある。そこにも様々な物語があるはず。そして是非誰かにソレを物語ってもらいたいとボクは思っているのです。


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ちょっとハナシはソレルんだけど、ボクにはコッチの方が衝撃だわ。
クラブクワトロの階下3フロアが「BOOK OFF」になってた。…90年代のクワトロではイロイロなバンドを見たよ……80年代を牽引したパルコ文化「リブロ」含む)も、ココまで突っ込まれたかって気分になった。まー結局ココでも買物するけどね。250円コーナーでCD6枚買ったよ。


今日の音楽は SUPERFLY。

SUPERFLY「SUPERFLY」

SUPERFLY「SUPERFLY」2008年

SUPERFLY「BOX EMOTION」

SUPERFLY「BOX EMOTION」2009年
●この前の「僕らの音楽」 SUPERFLY THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「GET UP LUCY」をカバーしてた。「黙り込む黙り込む ゲットアップルーシー ゲットアップルーシー 憧れの森のなか 歩いてるけど眼は閉じたまま」生まれて初めて SUPERFLY をカッコイイと思った。だから今日は聴くんです彼女の音楽を。
●マジメに聴いてみると、イマドキのジェイポップには珍しいな、ハッキリと60年代~70年代ロックへの憧れを打ち出してる人なのね。ズバリ「1969」なんて曲まであって。まるでジャニス・ジョプリンになりたいかのような勢い。今のオンナノコは声が出るならR&Bをヤリたいと全員が考えてると思ってたよ。
じゃあ実際に70年代なヴィンテージサウンドなのか、というとそうではなくて、コレが本格的に00年代な高機能ジェイポッププロダクション。部品の個々を見てると、70年代風なアレンジやクリシェが散らばってて気持ちがノッかってるのは分かります。しかし、せっかくのエッジーなギターリフも、温もりあるオルガンも、ファンキーなブラスアレンジも、クッキリ音が分離してて整理整頓が行き届いているので、耳に馴染みがよ過ぎるのです。バンドなのにバンドっぽくなくて、グルーヴもジャストすぎるかも。だからボクにはやっぱりロックには聴こえず、よく出来たジェイポップに聴こえるのです。ミシェルガンみたいにガサツイてない、荒れてない。その代わり、見事にキャッチーなのも事実でして、楽しいのも事実。
「OH MY PRECIOUS TIME」「やさしい気持ちで」みたいな曲は、アレンジ構造はドゥーワップ気分を込めた60年代アメリカンポップスになっててオモシロいんだけど、デジャヴのように連想するのは本場のモノではなく、この時代の音楽を邦楽界でガッチリトレースしてきた桑田圭祐山下達郎の音楽。彼女はシングルのカップリングで KUWATA BAND「SKIPPED BEAT」もカバーしてるから、きっとその辺もキライじゃないんだろう。桑田圭祐ダイスキのボクには大歓迎だよ。
●ラーガロックなギターリフを、今どきのジェイポップに組み込んだ「誕生」も好き。70年代じゃあり得ない取り合わせだから。「恋する瞳は美しい」は完全なジェイポップとしてフツーに楽しいと思います。タフなノドが痛快なサビに元気よく突入する瞬間が実にキャッチー。……それと、彼女がカワイ子ちゃんかという問題については、パッと見は別に疑ってなかったんですけど、写真を見れば見るほどですね、撮り方で雰囲気の変わる娘なんだなと深く認識。マスカラの付け甲斐があまりないマブタ&マツゲとか、実はそんなに高くないハナとか。ホントはおチビさんらしいとか。でもね、味がある。味オシャレ。味があるコトは全面的にいいコトだ。


トータス松本「FIRST」

トータス松本「FIRST」2009年
SUPERFLY が所属してるのはタイスケって音楽事務所、つーのがクレジット見てて分かった。ふーん、ウルフルズと一緒じゃないか。トータス松本さんのソロ一枚目もウチにあったなあ、と思って探す。
●トータスさんは、我が家においては大河「龍馬伝」ジョン万次郎として有名でございます。娘ヒヨコは「ジョンまんじろう」「まんじゅうや・ちょうじろう(近藤長次郎)」がどうしても混同してしまうようです。「まんじゅうやまんじろうが一番あってるのに何でチガウの!」
ウルフルズとソロでナニが違うのってのは、実はそんなにワカンナイ。トータスさんはあくまでトータスさんで、ソコに小細工はナイ。ただ、ウルフルズのパブリックイメージが持っていた、陽気なロックンロールで突っ走っていくだけのスタイルは、もう確実に終わってるようだ。オープニングナンバー「明星」は新しい世界に突き出ていく爽快感が気持ちイイけど、全体のトーンはジワリと落ち着いたリズム&ブルース・アルバム。優雅なアレンジに包まれながらも野趣の薄れないシャウトには、グッと抑えたタメが出来て、結果音楽に陰影の立体感を作った。「僕がついてる」「花のように星のように」「夢ならさめないで」「涙をとどけて」「ミュージック」このへんがグッと来ます。

ウルフルズ「KEEP ON, MOVE ON」jpg

ウルフルズ「KEEP ON, MOVE ON」2007年
●結果的にウルフルズの最後のアルバムとなった11枚目。ソロと聴き比べてしまうと、どうしてもバンド末期の気分を意識してしまって上手く聴けない。実際そんなに元気なアルバムじゃないと思う。パブリックイメージに応えるようなロックチューン「情熱 A GO-GO」も少々スベリ気味。CMソング「泣けてくる」は、バンドでヤる音楽と、その後のソロの音楽の、中間にあるような作風で、トータスさんの方向性が過渡期に差し掛かってたコトを勘ぐりたくなる内容だ。




SUPERFLY がカバーした「GET UP LUCY」のオリジナル動画を付けておきます。



THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 1997年の曲です…カッコいいなあ。


それとね、そんなミシェルガンが大好きなオトコノコの動画も見つけました。
●コレマジカワイいわ。ロック英才教育。つーかコレこそがお見せしたかった。



●このギター(ウクレレ)の構え!3歳にして完璧にロックの本質を捉えてる。マッシュルームカットもモッズ魂が漲ってるようで実にカッコいい。
●ゴメン、カワイすぎるのでもう一曲!THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「GT400」を歌ってくれ!



●Tシャツが、SONIC YOUTH ってのもサイコウです。クヤしいほどに。

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