ハロウィンのお祭りだ!
代々木上原の大山エリアや井の頭線池ノ上駅南側の代沢エリアには、アグレッシブにハロウィンを楽しむ習わしがある。それこそ何百人という子供たちが思い思いの仮装で練り歩き、たくさんの気のイイおウチがお菓子をタップリ用意して待っててくれる。我が子ノマド&ヒヨコもコレを毎年のお楽しみにしており、彼らのコスプレを用意するワイフにとっても一大イベントである。

●そんでヒヨコご希望のコスプレ。ホーンテッド・マンションのメイドさん。
ディズニー系ゴシックキャラとして根強い人気者。カチューシャにはコウモリが。

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●さて…一方のノマドは。

●ん、ハコがあるぞ?

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パカッ!ガオーッ!キャー!
●ドラクエに登場するモンスター「ひとくいばこ」だったのだ!つうこんのいちげき!

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●ノマド本人の強い希望で、クロネコヤマトのダンボールから制作されました。長くて赤いシタはフェルト製。実は発光ダイオードの電飾も搭載しています。…しかし、もっとカッコイイキャラクターはドラクエにイッパイ登場するだろうに、ナゼ「ひとくいばこ」なのだろうか?「最初はタダのハコと見せかけて、ビックリさせたいから」…道端にタダのハコがあるシチュエーションが、この東京ではありえないだろう…。ちなみにタダのハコ形態の時も、カギ穴から外を見ることができる仕組みを採用しているとか。

ひとくいばこ(ちなみにコレがホンモノの「ひとくいばこ」)

●結果的には、ストリートにおいて、大評判だったそうです。一緒に写真撮ってください的な人気者。「あ、ミミックだ!」子供はすぐに食いついてくる。お母さんたちは「ハコなのね?」的なリアクション。
●なお、コレらの作品は全てワイフのフルスクラッチであります。ココしばらく徹夜仕事連投でした。おつかれさま。


●さて、音楽のハナシ。


ちょい前(去年くらい)から、GORILLAZ が楽しく聴けるようになったのよ。
●裏テーマは、イギリス人が持つブラックミュージックへのコンプレックス。ヒップホップをカッコよくヤリ切れないなら、徹底したパチモン戦略で別の次元で勝負する。結果2次元へ。

GORILLAZ「GORILLAZ」
GORILLAZ「GORILLAZ」2001年
●ご存知の通り、このユニットは元 BLUR のシンガー/ソングライターの DAMON ALBERN がバンド末期に作ったソロプロジェクト。しかしヘンなギミックが設定されてまして。2次元のアニメキャラ4匹による架空のロックバンドという体なのよね。まー実にコザカシイねー。ライブでもプロジェクターでアニメを上映してそのウラでリアルバンドが演奏してるみたいなコトする。さらにコレが感情移入しにくいブサイクなキャラ。ことギタリストという設定の、記憶喪失日本人少女 NOODLE ちゃん(10歳)があまりにブサイクで、東洋人のステロタイプを悪意をもってコジ広げたみたいな表現。結果ボクはほぼ完全にスルーしてきたのです。

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●左→右:ベース MURDOC MICALS、ボーカル 2D、ギター NOODLE、ドラム RUSSEL HOBBS

●オマケに、露悪的かと思うほどペラペラで奥行きのナイグルーヴが実に退屈で。ヒップホップのツモリにしては最低だけど、そのワリにはラップとか堂々と差し込んじゃって、イケテル風に作ってる雰囲気が実に納得がいかなかったわけです。ブリットポップの貴公子と言われてた DAMON が、ずいぶんとイイ加減なコトをやるもんだなあ、ナメテンのか?……以上、コレ2001年のリアルタイムの感覚においてのボクの感想。


GORILLAZ「DAMON DAYS」

GORILLAZ「DAMON DAYS」2005年
●でもこのアルバムに収録されてる「DARE」って曲を聴いた時(といってもソレが去年くらいのことなんですけど)、なんか DAMON ALBERN の狙いとするトコロがやっと理解できたというか、スッと腑に落ちる瞬間がありました。
●例によってあまり深みのナイトラックなんだけど普段よりテンポが早く、艶っぽい女性コーラス(ブサイク少女 NOODLE ちゃんという設定なのか)がワリとキラキラしててイイ感じ。さらにもう一人ボーカリストがいて。これが HAPPY MONDAYSSHAUN RYDER。80年代末~90年代初頭マッドチェスターのドマンナカ、ヤケクソなヤク中キャラでブイブイ言わしてきたこの人が、やはり実にナゲヤリなボーカルを聴かせてくれる。あーなんとなく納得できた。コレは敢えてヘナヘナなサウンドデザインを仕掛けて、脱臼感覚のダンスミュージックを提案してるのね。マッドチェスターってダンスミュージックとして実に奇形的で、その失敗感覚がそのままオモシロさに繋がってた。特に HAPPY MONDAYS の音楽はね。GORILLAZ というユニットの狙いもソコにあるのでは?
ブリットポップの世界で天下を取った DAMON ALBERN。英国的ロック表現はお手のモノ。しかしそのバンドキャリアには限界が来て、ダンスミュージックへとシフトしていこうとしてみたら、自力ではウマいコトいかないコトが判明。そこで考えた。「ホンモノのヒップホップはとてもジブンじゃ作れない」という前提を逆手にとって、「パチモンのオカシミを追求してみよう。加えて2次元キャラというギミックでパチモン度をさらに増量してみよう。」こんな戦略があると想定して今一度音に向き合うと聞こえ方が全然変わってくる。
●ジャスト過ぎて退屈なキックやスネアが、妙にファットに聴こえてくる。スクエア過ぎてファンキーになれないベースもキチンとハラに響いてくる(実はベーシスト二人でプレイしてた)。DAMON 自身のやる気レスヘナヘナボーカルが、一流のアイロニーに聴こえてくる。2次元キャラのボーカリスト 2D は目玉をドコかで落としてきたかのような真っ黒い瞳が印象的だが、このポッカリ空洞の気分は「ゼンブ分かった上で敢えてやってますけど、コレしか出来ないんです」な皮肉を象徴してるみたいで、クールに見えてくる。
●実はプロデュースに DJ DANGER MOUSE が入ってたり、ラッパーに ROOTS MANUVA「ALL ALONE」) や DE LA SOUL「FEEL GOOD INC.」) がフィーチャーされたり、DENNIS HOPPER がリーディングで出てきたりと、ゲスト布陣はスゴく豪華だったり。「O GREEN WORLD」「DIRTY HARRY」「FEEL GOOD INC.」の流れは実にパチモン臭くて、実にファットな疑似ヒップホップとして楽しい。

逆噴射でファースト「GORILLAZ」の聴こえ方も変わってくる。
●コチラはプロデュースが DAN THE AUTOMATOR。日本人キャラNOODLE ちゃんの「中の人」として CIBO MATTO羽鳥美保「19-2000」などでポップなコーラスを聴かせてます。ラッパーでは西海岸アンダーグラウンド系のMC、DEL THA FUNKYHOMOSAPIEN が参加してる。
トリップホップ/UKダブもパロディ化しようとしてたのでしょうか。タイトでジャストなリズム感覚、無愛想な高圧ベース、脱力ボーカルの煙たいエコー具合、フワフワしたピアニカなどなど、実は的確にダブ気分。「5/4」「TOMMORROW COMES TODAY」「SOUND CHECK」「DRACULA」と聴き所は多いのでした。シングル「CLINT EASTWOOD」も今となっては、実に高度なパチモノ処理でカッコイイ。

GORILLAZ「PLASTIC BEACH」
GORILLAZ「PLASTIC BEACH」2010年
●ボクの GORILLAZ パチモン的再評価の中、リリースされた新作。……これがある意味でパチモンとは言えないほどの直球本気度で制作されてて、ぶっちゃけ評価に戸惑った。だってゲストが今までにも増して豪華すぎるんだもん。イントロトラックにいきなり SNOOP DOGG が登場。さらにUKグライムシーンから BASHY、KANO が参戦。NY からは DE LA SOUL とともに MOS DEF も見参。BOBBY WOMACK の激ソウル声までを召喚。THE CLASH MICK JONES & POUL SIMONON、御大 LOU REED、頑固パンク親父 MARK E. SMITHTHE FALL)などなどロックの伝説超人を数々巻き込んでしまってる。本格派のホンモノでパチモンを作るって、あり得る戦略なのだろうか?つーかボクの買った盤はメイキングDVD収録で、ヒゲ面の DAMON が真剣に打ち合わせ&レコーディングしてる様子がバッチリ公開されてまして、既に2次元バーチャルバンドという体裁も完全に破れちゃってるじゃん。
●でもでも、ゲストは豪華でも、露悪的にペッタリしたトラック感覚は健在。「WHITE FLAG」「STYLO」とか、上モノが凝ってるだけに実にバランスが悪く、ソレがまた特殊なグルーヴを生み出すケミストリーになる。「SWEEPSTAKES」はマヌケかつトリッキーなトラックを MOS DEF が器用に乗りこなしてくれて、UKグライムのスリルを備えるに至ってしまった。ただし、この化学反応がスベリ気味だと正直マヌケに聴こえる。渋味がキツい LOU REED のボーカルをこんなノドカなトラックに乗せて楽しいだろうか?うーむ微妙だ。一方で、DAMON の鬱々としたウタゴコロでイク曲も増えた。つまりは、パチモンを突き詰めて本格派に到達した境地…でしょうか。
●一応、2次元キャラの物語は続いていて、我が愛しの NOODLE ちゃんは前作「DAMON DAYS」のプロモで戦闘ヘリの強襲攻撃に遭い行方不明、代わりに彼女のサイボーグクローンがシレッとバンドに加入してる。なんだそりゃ?


DAMON ALBARN、GORILLAZ 以外のオシゴト。

MONKEY「JOURNEY TO THE WEST」
MONKEY「JOURNEY TO THE WEST」2008年
「JOURNEY TO THE WEST」ってのは、ズバリ「西遊記」のコト。2007年にイギリスで公演された演劇「MONKEY: JOURNEY TO THE WEST」。このサントラを、DAMON ALBERN が担当したのです。GORILLAZ(ゴリラ)が MONKEY(サル)になりましたってコト。
●サウンドトラックとあって、部品のような位置づけの楽曲群はチト退屈。なんちゃってオリエンタル風味をシンセでフワフワと再現しました程度の仕上がり。サスガにコレ単体で楽しむのは根性がいるなあ。当時は確かに北京五輪直前モードで中国文化が盛り上がってる気分だったのかも知れないけど、今となってはもうどうでもイイかも。「西への旅」を突き抜けて、ユーラシア大陸西端の島国に到達した孫悟空が、DAMON の耳の中に忍び込んでイタズラしたって程度かな。


BLUR「THINK TANK」

BLUR「THINK TANK」2003年
●最後の BLURDAMON ALBERNGORILLAZ のプロジェクトを既にスタートしており、長年の相棒であった GRAHAM COXON もソロワークに没入。アルバム制作のために集結したもののメンバーの統率はとれず、とうとう GRAHAM がバンド脱退。残された三人だけで作られた BLUR の、今のトコロ最後のオリジナルアルバム
●この時期に DAMON ALBERN がハマってたであろうダンスミュージック志向を反映しているのか、ギターバンド BLUR の面影は後退して(そりゃそうだ、ギタリストが脱退しちゃったんだもん)、エレクトロな実験的要素が強くなってます。一番のロックビートを備えた「CRAZY BEAT」だって、NORMAN COOK A.K.A. FATBOY SLIM のプロデュースだし。MADONNA を手掛けた WILLIAM ORBIT も一曲をプロデュース。
●その一方で、モロッコの民族音楽をアレコレとフィーチャー。枯れ寂びたフォーキーテイストと、モロッコ音楽の素朴な佇まいが意外にマッチしている。ボーッと聴いてると全く気にならないほど、舞台装置としてシックリ収まってしまうほど、モロッコ旅情が自然と溶け込んでる。
●ただしメロディの根幹は、後期 BLUR が接近してたUSロウファイの気分を色濃く反映して、実はとっても辛気くさい。もう DAMON ALBERN は能天気なポップスターを気取るのにも疲れてたし、ライバル OASIS のようにワンパターンなロックをガリガリ鳴らす気力もなくなってた……という風に考えてよいでしょうか?


BLUR「THE GREAT ESCAPE」

BLUR「THE GREAT ESCAPE」1995年
●うってかわって、BLUR が一番調子に乗ってた時代の音源も聴いてみた。マッドチェスターの影響下、ロンドンのアートスクールからやってきた4人組は、利口なイケメンキャラでたちまち人気者に。セカンドはブリットポップを準備した傑作で、サードアルバム「PARKLIFE」ブリットポップの象徴みたいな存在になった。
●かたやマンチェスターからは OASIS が襲来。ヒステリックなメディアは、高偏差値ミドルクラスの BLUR と、この労働者階級のチンピラバンドを好対照なライバル関係として描き、シングルのセールス合戦という状況を作ってしまった。それがこのアルバムからの先行シングル「COUNTRY HOUSE」OASIS「ROLL WITH IT」を準備。二枚は同日発売でガチンコ勝負をする。

blur+vs+oasis.jpeg(当時の様子を伝える「NME」誌)

●結果として発売週のチャートを競り勝ったのは BLUR。ただしその後リリースされた OASIS「(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY ?」がバカ売れ。イギリス史上最も売れたアルバムになる。……実は当時のボクも OASIS に肩入れしちゃってた……そりゃそうだインテリのイケメンよりイナカモンの成り上がりの方が感情移入できるでしょ……だから、BLUR「THE GREAT ESCAPE」は最近まで聴いたことがなかったのです。
●まー2010年の今から、1995年のあの熱狂を思い返すってのは微妙な感覚…。一口に言えば、ブリットポップはその名の通りロックじゃなくてポップスのムーブメントだったので、ココに鳴ってる音楽にロックのカタルシスを要求してもダメなのよね。結果、ツヤツヤしたチャーミングさはあるけど、その愛嬌にウッカリだまされる。ドコかシニカルな諧謔が漂ってて肩スカシを喰らう。そんな印象。
●この後、BLUR浮かれ気分の陽気なブリットポップ路線を放棄して、USグランジ~ロウファイに接近する。タフなリフロック「SONG 2」のようなヒットも飛ばすが、内省的な音楽世界を徐々に切り拓き、メランコリックな侘び寂び領域に到達する。セルフタイトル「BLUR」そしてその後の「13」は、個人的には思い切り愛聴したアルバムだった。そして2003年「THINK TANK」発表後、バンドは活動休止に……2009年再結成ライブが行われるも、その後のコトはよくわからない。


THE GOOD, THE BAD  THE QUEEN「THE GOOD, THE BAD  THE QUEEN」

THE GOOD, THE BAD & THE QUEEN「THE GOOD, THE BAD & THE QUEEN」2007年
GORILLAZ の作業に専念してた DAMON ALBERN が久しぶりにバンドっぽいプロジェクトに手をつけた、のがこのアルバム。GORILLAZ でギターを引いていた SIMON TONG(元 THE VERVE)、その後「PLASTIC BEACH」に参加するベーシスト PAUL SIMONON(元 THE CLASH)、FELA KUTI などと仕事をしてきたアフロビートのベテランドラマー TONY ALLEN。こんな強面が結集したスーパーバンド。当然 BLUR っぽいモンを期待するよね。ジャケだけ見たら実に英国っぽいもんね。
●結果として、ロンドンの冷たい霧を連想させる煙たいエコーに、メランコリックなメロディがとっぷり沈んだ感じと、センチメンタルなギター&ピアノがなんとも優しいアルバムに仕上がっています。これがことのほか聴き飽きない。トリッキーなコトはナニもしてないけど、正統派の英国ポップスの姿がある。DAMON にはこっちの芸風ももっと突き詰めて欲しいなあ。



●GORILLAZ 関連動画。



●GORILLAZ「DARE」。NOODLE ちゃんのセクシーなダンスに萌え。マッドチェスター風グルーヴ。



●GORILLAZ「CLINT EASTWOOD」。巨大モニターを駆使したバーチャルバンドのパフォーマンス。パチモン・ヒップホップの愉しみ。

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