●本当に観たい映画はコッチでした。

「マザーウォーター」

「マザーウォーター」
●先日は「十三人の刺客」を観たなんてハナシを書きましたが、コッチの方がより楽しみでありました。「かもめ食堂」から始まるシリーズ第四作。トモダチは「なんにも起こらない映画だった」と言ったけど、このシリーズは、スクリーンの中で何かが起こるコトを期待する作品じゃないですから。むしろ、観るコチラのココロの中で何かが起こるタイプの映画。小林聡美さん/小泉今日子さん/市川実日子さん/もたいまさこさん、この四人の女性の、凛とした立ち振る舞いを観て、ココロがソヨソヨ動き出す感じが心地よいのです
●とにかく、女性たちの「地に足がつく感」が立派すぎて。小林さん=ウイスキーしか出さないバー。小泉さん=コーヒーしか出さないカフェ。市川さん=豆腐だけを作りつづける豆腐屋さん(当たり前か)。もたいさんに至っては、完全にナゾの人。文字にすると現実感がさっぱりナイ、オトギの国の存在にも思えますが、ウイスキーの水割りを作る動作、コーヒー豆を煎る動作、豆腐を水からすくい上げる動作が実にきめ細かくて、ドッシリとしたリアリティを持つに至っているのです。もたいさんは、ナニも作りませんが、もうね、歩いてるだけ、モノ食べてるだけで、十分説得力が出来ちゃってます。
●そんな「地に足がつく感」で、自分の生き方をガッチリグリップしている女性たちの、清々しい生活を見てると………うわボクちっこいコトでウジウジしてるよなあーって気分になるのです。男性キャストたちは、女性陣に比べたら少々頼りない感じ。加瀬亮さんは小林さんにちょいちょいボヤイてるし、光石研さんは小泉さんにポーッと見とれてるし。そんな調子にボクは自己投影して、もたいさんに説教してもらいたいなーなんて気持ちになってくる。「アンタ若いのにつまんないこと言うね!」男子はいつもブレブレのヨレヨレだから、しっかりした女性に調整してもらいながら、うまくバランスをとって走っていかないといけないんだろうな。あ、小林さんのセリフで気になったヒトコトが。「青少年がそのまま年取っちゃうとタイヘンだよ」ど、どのようにタイヘンなんでしょうか?幼形成熟でココまで来ちゃったボクには、ナニゲに不安なコトバでした。
●映像のペースは実にゆったりとして、かつシンプル。カットひとつひとつが実に長くて、カメラも極力動かさない。空間を広く写して、俳優よりも風景を優先、空気感を目一杯吸い込ませてます。そして音。細かい音を丁寧に録音してます。トーストを齧る音。グラスの氷を転がす音。コーヒー豆を煎る音。天ぷらを揚げる音。日常にありふれてるはずの音が、キラキラ輝いて聴こえます。カントクは新人・松本佳奈さん。1981年生まれ。

それと、光石研さん、最近気になる。
●ドラマ「Q10」佐藤健くんのお父さん役。「十三人の刺客」でもカッコ悪い官僚武士として登場。「悪人」でもチョイと出てた。印象的なのは「紀子の食卓」園子温監督作品。壮絶な家族間摩擦を父親として戦い切る様子がスゴかった。ちなみにこの「紀子」でボクは吉高由里子の存在を知りました。


「マザーウォーター」の主題歌は、大貫妙子さん。

大貫妙子「コパン」

大貫妙子「コパン」1985年
●ということで、大貫さんの音源をゴソゴソ探し出した。380円で入手して放置してた物件。映画主題歌は地に足ついたスローなスタイルでしたが、このCDはサスガに25年前リリースとあって感触のチガウ、80年代ニューウェーヴ・ポップスでございます。アレンジャーに坂本龍一。ゲストミュージシャンに THE BRECKER BROTHERS OMAR HAKIM などが参加。予想以上にファンキーな80年代フュージョン・グルーヴに彼女の透き通った声がフワリとノッかってます。結果、キュートでポップ。……実はこの人の音楽は今まであまり聴いてこなかった。元を辿れば SUGAR BABE の一員としてキャリアを起こした人、もっと研究してみたい。

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