●たっぷり寝坊して、昼過ぎまでフトンでゴロゴロしてました。
●したらワイフもコドモたちもいつのまにか出かけてしまい、ボクは一人っきりになってました。
●だから今日はヒキコモリ。ひたすら本を読むのです。

塩野七生「ローマ人の物語・キリストの勝利」

塩野七生「ローマ人の物語・キリストの勝利」
日々の仕事に疲れた時、ボクは歴史の本を読みます。出来れば自分の生活に縁がナイ国の縁のナイ時代がイイ。日常から限りなく遠く離れた時空に、脳ミソをタイムワープさせるコトが、そのまま手っ取り早い現実逃避になるからです。ことこの本が描いている4世紀の末期ローマ帝国なんてのは、抜群の現実逃避スポット。ボクは1人カフェで紅茶を飲みながら、黄昏のローマ帝国に思いを馳せてました。
●強い猜疑心から容赦なく身内を粛正する冷酷な専制君主コンスタンティウス帝が、宮廷に巣食う宦官官僚にそそのかされて優秀な人材を抹殺していくドス黒い時代。キリスト教勢力を手厚く保護する政策を次々に打ち出し、ローマ帝国が元来持っていた価値観多様性の寛容精神がベキベキとスポイルされていく。そしてやがて到来する中世ヨーロッパの宗教制度的インフラをコツコツ準備するプロセス。うーむ、実に辛気くさい。辛気くさくて実にためになる。英雄の成功譚より愚者の失敗談の方がリアルに響くねえ。
「背教者ユリアヌス」の人生は痛快だった。由緒正しき血統に生まれながら、その血統が故に家族を粛正され自身も長く幽閉生活を強いられてきたユリアヌスは、慎ましい性格の哲学青年になっていた。しかしコンスタンティウス帝のムチャブリで、突然副皇帝という地位をあてがわれ、蛮族侵入の最前線ガリアに投入されてしまう。軍隊経験ゼロの貧弱な若者が、戦乱吹き荒れる辺境の地で、傭兵部隊の中へ身一つで放り込まれる。つまり「辺境で死ね」と言わんばかりの処遇。しかし彼の勤勉で公正な性格がいつしか周囲の信頼を勝ち得、目覚ましい戦果を挙げ、最終的にはコンスタンティウスを打ち破り真の皇帝に成り上がる。ヒーローだね。宮廷に跋扈した宦官官僚も全員追放しちゃうんだよ。
●天下を獲った彼は、ギリシャ&ローマ古来の哲学を学んできただけに、ローマ元来の寛容精神に則り、キリスト教偏重政策にブレーキをかけようとする、がコレには結局失敗。一神教の偏狭さと最後まで戦おうとしたが、その理想は既に一神教社会へ変質していたローマ社会には理解されなかった。その後、ローマ帝国はキリスト教を国教化。以後ヨーロッパはキリスト教を中心に回っていく。
塩野七生さんは、今度は「十字軍物語」というシリーズを発表していくという。第一巻がハードカバーで発売された。ローマ帝国の時代は同じ文化圏にあった中東と西欧が、この時代にはキリスト教/イスラム教によって分断され互いに戦うことになる。21世紀の現代でさえ解決困難な摩擦を、読み解くヒントになるだろう、って塩野さんは考えているようです。「この二つの一神教の世界に比べれば、わが日本の多神教の文明も捨てたものではないね」と本人談。

アミン・マアルーフ「アラブが見た十字軍」

アミン・マアルーフ「アラブが見た十字軍」
●この本は以前読んだヤツなんだけど、かなりオモシロい。イスラム教側の史料文献から見た「十字軍」の様子を、パリ在住レバノン人である著者がまとめたモノ。とかくキリスト教側から見てしまうこの歴史上の事件を、裏返して見る感覚が楽しい。
●2世紀にもわたる十字軍運動の時代は、文明の洗練で言えばアラブ世界こそが先進地域だった。産業も科学も経済もヨーロッパよりもズッと進んでいた。だから初期の十字軍は、アラブ人から見れば不気味で野蛮なエイリアンのように見えていたらしい。おまけに狂信的なんだから、実にヤバい。どんなに打ち破ってもワラワラと現れて「神の御心に」とつぶやきながら攻め上ってくる。まるでゾンビのよう。そして都市を略奪し、聖域を陵辱し、書物を焼く。大勢の民衆を殺す。
●アラブ側が十字軍に食い込まれた理由は、十字軍そのもののパワーというよりは、都市国家として分立する各アラブ諸候がお互いの利害に固執して一枚板の連動を成す事が出来なかったからのようだ。アラブの文明は洗練されていたが、支配階層の中は親子同士が殺し合うほどの権力闘争が常の状態で、外敵の対応にかまけていたら後ろから刺し殺される有様だった。西欧の世襲制度が比較的穏当だったのに比べ、アラブ側は明らかに跡目相続が残忍なトラブルへ繋がる。ココだけは劣っていたとしか言えない。「死を畏れない」自爆テロリストが今も大勢いるけど、そもそものトコロで命の単価が異常に安い気がする。簡単に人が殺される。
●十字軍運動は不毛な戦いだったように見えて、結局得をしたのは西欧社会だったようだ。後進地域だった西欧に、新しい科学技術や文物が移入され(製紙法、アルコールの蒸留技術、紡績技術などなど)、文化運動・ルネサンスが始動するキッカケにもなった。一方、アラブ社会はその後停滞の時代に入り、ヨーロッパの成長に追いつく事ができなくなった。1000年の時が流れようと、今なおアラブ社会が十字軍運動を西欧によるレイプのように受け止めているのは、無視できない感情なんだろうね。


●そんでマンガも読む。

高橋ヒロシ「WORST」24

高橋ヒロシ「WORST」24~25巻
●ネバーエンディングで続く不良少年群像劇。7代目武装戦線 VS. 安生鬼塚 E.M.O.D. の全面抗争勃発。「どーせなら歴史に残るようなケンカしようや!」痛快なケンカコミュニケーションは、ネットでは代替不可能なのよね。あ、あとレザーのライダーズジャケットと革パンが欲しくなった。
●全然カンケイないけど、「三代目 J SOUL BROTHERS」って表現、ボクには暴走族やヤンキーカルチャーに由来する感覚だと思う。

安彦麻理絵「恋は女の命の花よ」
安彦麻理絵「MEL-O-DRAMATIC REMIX」
●女子の本音がズルムケすぎてヒク寸前の笑い。安彦さん本人の自画像がブス過ぎてツライ…そこまでヒドくないのに…。

森下裕美「夜、海へ還るバス」

森下裕美「大阪ハムレット」3巻
森下裕美「夜、海へ還るバス」
●画がカワイイのに凄みのある人間模様を、大阪弁で包んで描く最近の彼女の芸風。「夜~」の方じゃレズビアンの世界に突っ込んで、自分の中にある暗がりを手探りで見つめる女性を描いています。

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