娘ヒヨコの体育祭があったので、見物に行った。そしたらワイフが倒れた。
●中学に入学してから、一回も見たことなかったなあ。気づけば中学三年生、今年でおしまいだ。一度くらい見ておくか。
●そしたら娘ヒヨコ「小学校のころは、校庭の松の木に持たれてパパ爆睡してたじゃん。この人何しにきたんだろと思ったよ。むしろコッチが木陰で寝たいよと思ったよ」。あれ?そんな感じだったっけ?確かに退屈になったら駅前の喫茶店まで行ってコーヒー飲んでたなあ。結局今回も2競技しか見なかったよ、暑いしさ。ムカデ競走の大逆転転落最下位はおもしろかった。
●ところが、朝イチから働いていたPTA役員のワイフが熱中症地味になって途中でギブアップ。家に帰るも激しい頭痛と嘔吐で苦しんでるから、夕方には大きな病院の救急外来までタクシーで連れて行ったよ。顔が黄土色になっててサスガにヤバイと思った。点滴二本をゆっくり打って家に帰ったのは22時頃だったか。
ボクもワイフも、本質的にはかなり虚弱/病弱な人間だ。厄介な持病を抱えて。普通の人間のようには活動できないんだよ。どこかで出力をセーブしていかないといけないんだ。

●関係ないけど、イマドキの病院は中国系のIT大手アリババの決済サービス「ALIPAY/支付宝」に対応してるのね。ちょっとビックリした。この前焼肉屋さんに行ったら、カードは使えないけど「銀聯」は対応してると言ってたし。オンライン決済サービスのグローバルスタンダードは、中国が握るのかな。



スポッティファイの、有料課金ユーザーになった。

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「プレミアム会員3ヶ月で100円」という触れ込みは、インパクトデカかった。無料会員としてはこのサービスを使ってたし、有料会員になったところでそんなに使い勝手がよくなる訳でもないんだけど、無料会員という立場になんだか「負い目」のような突っ掛かるモノを感じてたのだ。これは「タダ聴き」ではないのだろうか?とね。今後は課金することで「タダ聴き」の立場を免れた。これで少し気が楽になる。

「タダ聴き」に対する、過去の巨大な負債(負い目)を背負い続けてる。
●2000年代前半、P2P技術を利用したファイル交換ソフトが引き起こしたコンテンツの違法流通の嵐を、皆さんは覚えてますでしょうか。NAPSTER に始まり、WinMX、 Winny といったソフトが出回り、それらを駆使して世界中のネットユーザーが検索を通じて気になるデータをアップロード/ダウンロード。結果、映像から音楽、ゲームソフトまでが無断無料で取り放題になっちゃった。そんで、ボク自身も猛烈にハマり込んだのですよ。やらかしてしまったのですよ。
●当時はスマートフォンや Wi-fi もまだない時代。インフラは光回線なんて気配の微塵もなく、ISDNからADSLに回線が移行していく時期。そこで数メガのデータをヤリトリするのは結構根気がいることで、一曲ダウンロードするのに10分くらい平気でかかる。当然安定した繋がり方じゃないので途中で切れたり。ちなみにボクがメインに使ってたのはマックに対応してた比較的マイナーなソフト、LimeWire というヤツ。WinMX は利用者が多すぎてウイルスを摑まされるなんて話もあって、これを選んだっけ。
●で、一番ハマった2004〜2005年の間(おそらく世界的にもP2Pソフト違法流通のピークだと思う)で、楽曲の数にして約3万曲をダウンロードしてしまったのだ。コレ今の感覚だとかなりヤバイ状況だけど、2003年頃はよくわからなかったんですよ。iTune Music Store は2005年に日本に上陸したけど品揃えは全く満足いかない内容、ソーシャルメディア的なモノは2ちゃんねるしかなくて(Mixi日記が2004年にローンチ)、ネット世論は匿名に身を隠したオラオラでイケイケムード。ネットのスタンダードとリアルのスタンダードは全く違うかのような感覚があった。
●補足すれば、映像の違法流通啓発キャンペーン「NO MORE 映画泥棒」は2007年からで、それ以前に遵法意識はまだまだサッパリ。そもそも2006年に普及してきた YOUTUBE にもこの段階では公式動画なんか存在してない。ニコニコ動画も2007年に出現したけどヤバさこそが命みたいな感じでしたよ。アニメの違法動画は今では大問題だけど、そもそもP2Pソフト問題は動画がネットに溢れる前の時代で、倫理観が整備されてなかった。
●ただ、P2Pソフトの状況は2006年に大きく潮目が変わった。Winny のソフト開発者が逮捕(のち無罪判決)、著作権侵害の観点から諸外国でも問題視され、サービスが潰されていく場面も。この段階でボクはヤバイと感じて、ダウンロード行為を永久に封印、全ての音源を削除した。あの時点で、自分の行為が法律に触れてたのか触れてないのかよくわからない。その後整備された仕組みでもよくわからない(ボクはアップロードはしたことがない…この辺も法的な切れ目になってたような気が)。
●しかし、良心の呵責の部分では大きなダメージを受けた…。「こんなに音楽が好きなのに、音楽に対して大変な裏切りをしてしまった。音楽の神様に怒られてしまう。ああ、どうしたら音楽の神様はボクを許してくれますか」そこで始めたのが、ダウンロードした音源のリストを記録して、このリストの音源全てを合法的手段でもう一度買い戻すという行為だ。果てしない「贖罪」の旅だ。2006年からもう10年が経って、約30000曲のうち、約28000曲は既に買い戻した。余すところあと2000曲強。多分、CD/LPにして既に2000枚分近くは買ったと思う。該当曲が一曲あればアルバム一枚を買わなくちゃいけないから枚数はかさむ。まあ聴きたくてダウンロードしたモノなのだから、買った限りは楽しく聴くよ。ただ、残り5000曲という段階に入ってからは、音源がレアだったり高額だったりで入手が大変。ローカルなヒップホップ、ダンスホールレゲエ、80年代のハードコアパンクあたりがホントしんどい。結果、地方を含めての中古レコ屋巡りに始まり(先月は甲府に行った)、ツタヤレンタルから海外からの取り寄せまで駆使してる。ボクが激安音源を探すテクを磨けたのは、この贖罪行為を効率化しようとした結果だったと思う。道のりは長いねー。もう10年かかるかな。

スポッティファイ、課金はしたものの、「聴き放題」って、どう捉えたらいいの?
●この「贖罪」観点からの「買い戻し」達成要件は、スポッティファイ上でどうルール化すれば良いのか?今までは財布からナケナシのお金を払って(もはやお寺に高額なお賽銭を納めてる気持ち)それで罪が軽くなる気持ちを味わってた。しかし今後は月額課金行為だけで「贖罪」は成されるのか?「聴き放題」だからと言って、一度聴けばボクのダウンロードリストから削除されることになるのか?そうじゃない気がする。どうしよう。
●…すいませんね、こんな懺悔のような告白と個人的すぎる悩み、完全に意味がわかりませんよね…。

「サウンド・エシックス これからの『音楽文化論』入門」 

そもそも、「音楽の消費」って何だろう?
小沼純一さんという早稲田の先生が書いた「サウンド・エシックス これからの『音楽文化論』入門」という本を読んでたのです。ワイフが点滴打ってる間に。この人は ETV の個性的な番組だった「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」で準レギュラー出演してた人だ。浅田彰さんも一緒に出演してたっけ。80年代ネオアカ的な文脈・語彙でクラシック音楽〜現代音楽などなどを語ってた「サウンド・エシックス」=「音の倫理学」と題された本書では、「音楽」という芸術が広い意味で包含する多様な価値を、様々な視点から問題提起している。
●この本が書かれた2002年には、「配信/フィジカルメディア」の対立問題など大きくなっていないはずのに、「MP3」の登場に触れて「パソコンのなかにとりこんでおくのということもあまり意味がなくなって、いつでも配信されるのを聴けばいい」と、すでにストリーミング配信サービスを予言しちゃってる。その他、様々な示唆と膨大な量の参照資料や音源の紹介があって、コレはコレで飲み込むのに相当時間がかかるモノだ。スポッティファイ現代音楽のアーカイブは充実してるかな?聴きたいものがいっぱい増えた。あ、話がそれた。
「音楽の消費」を経済的な文脈に落とせば、収録メディアを金銭対価と交換すればいい。ライブに行ってチケット代を払えばいい。10年前のボクが音楽業界に与えた経済的損失を、今の音楽業界が用意するビジネスの回路(スポッティファイも含む)に戻せば、一応の義理は立つ。ただし「音楽の消費」を経済的解釈にだけ寄り添わせるのは微妙に違う。本質的には、音楽は形を残さないからだ。空気を振動させる音響はそのまま消えてしまう。その音が鳴らされた環境は常に特殊で、二度と再現し得ない。同じ音源であろうと、デバイスが違えば、メディアが違えば、場所と時間が違えば、聴くボクの感情や体調や、聴覚の具合が違えば、全部変わってしまう。その意味では「音楽」はその音を聴いた人間の記憶の中にしか存在しない。そんな示唆をこの本から受け取った。

結論として、ボクはこのブログで記録を続ける。
このブログを始めた2003年以降、ボクは入手した音楽を全てこのブログに記録してる。当然、音源入手に記録作業が追いつかないので1000枚単位で渋滞してますが。ただ結果として、その音源にたどり着いた個人的特殊事情を大切な根拠にして、その音楽体験を記録/記憶してきた。これがボクの「音楽の消費」だろう。「贖罪」という行為がボクの内面の(もしかしたら宗教的な)問題であるならば、その行為を内面の現象として記録するのが一番だ。今までもそうしてきたし、今後もそうする。誰もこのブログ読まないけど。
●それと、スポッティファイも万能という訳ではない。アーカイブされてない楽曲たちがたくさんあることは既にわかってて、ボクがレコ屋巡りを辞めることはできない。しかも、スポッティファイで知った音楽を結局フィジカルメディアで所有したくなる欲求は、なぜか発生してしまうのだ(←ココ、ホントは分析が必要。所有に対する強迫観念?メディアに対するフェティシズム?)。人生は有限で、無限に音楽を聴き続けることはできないが、それでもブログタイトルにもある「音楽中毒」者としてのボクは、お金をレコ屋にブチ撒きながら聴ききれない分量の音源を抱えて生きていくのだろう。





●早速、スポッティファイで聴いてる音楽を語ろう。

CHANCE THE RAPPER「COLORING BOOK」 

CHANCE THE RAPPER「COLORING BOOK」2016年
スポッティファイをはじめとした定額制配信サービスに関わらないとダメだと観念したのは彼のようなアーティストが登場したからだ。彼はフィジカルなパッケージ作品を一度もリリースせず、配信オンリーだけで作品を発表しながら、その能力を買われて大物アーティストと数々のコラボをこなし、スターダムを手に入れた。この最新アルバムもフィジカルのリリースがない。基本的に自主制作で、拠点シカゴの仲間たちと制作している模様だが、ゲスト勢は完全に超大物ばかり。KANYE WEST、LIL WAYNE、JUSTIN BIEBER などなどが参加してる。すげー。
●彼はステージネームでラッパーを名乗ってはいるものの、そのノリは限りなくウタモノな感性。ギリギリまで要素を削ぎ落としたトラックの上で、楽曲の芯を作っているのは彼自身の歌唱とフロウ/メロディだ。ヒップホップ的なビート感覚からもフワリと遊離して、時に生楽器の演奏(ピアノ、管楽器、弦楽器、スティールパンまで)をパッチワークするように構成されたトラックは、同じループを執拗にリピートするヒップホップのイメージを裏切ってる。
●加えて、ゴスペルの気分がすごく濃厚。コンテンポラリー・ゴスペルの大物 KIRK FRANKLIN CHICAGO CHILDREN'S CHOIR の参加。すごく現代的なサウンドを鳴らしてるのに、オーセンティックなソウルミュージックの伝統が色濃く感じられるスタイルに、素晴らしい才能のほとばしりを感じる。

FRANK OCEAN「BLONDE」 
FRANK OCEAN「BLONDE」2016年
スポッティファイで次に聴きましたのがコレ。この人もフィジカルなリリースに冷淡なのかな?AmazonにCDとかが見当たらない。しかし、これも内容に驚愕しましたわ。すげー美しい。JAMES BLAKE、DRAKE、THE WEEKND という流れで、ミニマルなダブ音響に可憐なウタを落とし込むアプローチは2010年代の重要な潮流と勝手に思ってるのですが、またすごい勢いでこの人がバージョンアップしてる。
●ビートミュージックとして進化成長してきたヒップホップが、R&Bというジャンルすら飲み込んで、奇妙キテレツなビート実験を繰り返してはニュートレンドを作ってきたのが90年代以降の流れだったはず。R&Bも元来はリズム&ブルースなのだから、ビートと無縁ではいられないはず。しかし、近年のミニマリズム志向は、ビートを敢えて削り絞って淡白にしてしまう。最初は KANYE WEST「808S & HEARTBREAK」だったのかな。そして英国ダブステップの静謐さが加わり、トラックではなく自らのフロウが生み出すファンクネスだけでヒップホップを構成する DRAKE のようなパフォーマーが登場する。FRANK OCEAN ダブ音響を駆使したアトモスフィアを作り出しているが、もうダブには必須のベースすら放棄して、最低限の楽器(ギター、キーボードなど)だけを伴奏にして、自らのボーカル能力だけで楽曲に集中力を作っている。メロディを導くべきグルーヴもリズムも全て置き去りにして、たった一人で成立させるウタのチカラ。すごい才能だ。
●一方で、クレジットにはナカナカの参謀の名前が。ダブステップの王子 JAMES BLAKE もミニマリズムの開祖 KANYE WEST も、おまけに THE NEPTUNES PHARRELL WILLIAMS も部分的に参加。ボーカル参加で BEYONCE ANDRE 3000 もいる。サンプルソースが ELLIOTT SMITH ってのもユニークだな。一曲目「NIKES」の別バージョンには日本人ラッパー KOHH が参加してたとな。

THE WEEKND「BEAUTY BEHIND THE MADNESS」 

THE WEEKND「BEAUTY BEHIND THE MADNESS」2015年
●2011年のミックステープ三部作「TRILOGY」と同年の DRAKE「TAKE CARE」での客演で大きな注目を集めたシンガー。DRAKE 同様カナダ・トロントの出身で、トロント派の層の分厚さに衝撃を受けたものだ。そんな彼の近作。これはフィジカルなCDを買ったよ。
ダークなダブ音響の中で迸る彼の情熱的なハイトーンボーカルは間違いなく素晴らしい。ただトラックのミニマリズムといえば、やや後退気味で逆にリッチになってる。いや粗末ならイイってわけじゃないけど。というか、彼のボーカルがすでに十分エモーショナルでリッチすぎるから、ミニマリズムも少々の枯れ具合じゃ効かないってコトか。最初の衝撃に比べると、イマイチかも。
●ソングライターやプロデューサーには、盟友のトロント派と見えるカナダ出身者たちと、KANYE WEST と彼のレーベル GOOD MUSIC の連中がいるようだ。スウェーデン系のポップ職人もいるな。スウェーデン系はチトメジャー感が先走り過ぎてるかな。MICHAEL JACKSON みたいになってるぞ。一方で LANA DEL RAY が客演した楽曲「PRISONER」は彼女が持つデカダンの空気が忍び込んでいて、独特の気分を感じられる。

DRAKE「THANK ME LATER」 

DRAKE「THANK ME LATER」2010年
カナダ・トロントをヒップホップの重要都市に仕立て上げた張本人のメジャーデビューアルバム。俳優であった彼を中心に、彼を音楽的に援護するトロントのプロデューサー/ソングライターたちがここで数々注目を浴びた。彼のトラックメイキングには欠かせない、NOAH "40" SHEBIB、BOI-1DA がすでに大活躍。そしてここでも KANYE WEST が客演/プロデュースしてる。KANYE WEST ってやっぱスゴイな、今日紹介している音源全てに関与している。新しい才能への嗅覚と、即座に歩み寄る機動力が半端ないのか。
●今日紹介している音源の中では一番古いこの作品は、十分にヒップホップ的な構成を持っている。比較的シンプルなビートがダブ的に低音を響かせながらゆっくりとループする様は実に中毒性が高い。ただし、そのシンプルなビートに強力な魅力を付け加えているのは、ラッパー/シンガーとしてそのトラックの上で立ち振る舞う DRAKE 本人の佇まいだ。彼のラップは個性的で、朴訥と語るような抑揚のなさと、それでいて独特の粘り気を纏いながらジャストなリズムで言葉を配置するファンクネスが催眠的に作用するほど。シンガーとしてフックラインを歌う時も深いリバーブの中でテンションをグッと抑制してささやくように振る舞う。実にクールでメロウだ。伊達男だ…基本 DRAKE はイケメンだからな。
●客演陣も豪華。ALICIA KEYS が色添える「FIREWORKS」から既にイイ感じ。NIKKI MINAJDRAKE 節に合わせて落ち着いて振る舞う。THE-DREAM ってあまり知らない人だったんだけど、彼が加わった「SHUT IT DOWN」はダビーなベースが響くメロウな佳曲だ。故人・AALIYAH のボーカルをサンプルしてるトコロもイイねえ。その他、JAY-Z、LIL WAYNE、YOUNG JEEZY とワッサワッサする大物がひしめく。
●2010年〜2011年は節目の時期だったんだな。DRAKE が音楽のキャリアを本格始動。そして同年に同じトロントで THE WEEKND が同じ世界観でミックステープをリリース。JAMES BLAKE がファーストアルバムをリリースしたのも2011年。
●それと、これをサウス系重要レーベル・CASH MONEY/YOUNG MONEY がリリース下ってのもスゴイ。北と南で正反対じゃないか。ボクはレーベルイメージからグチャグチャしたサウスバウンスかと思って最初スルーしてしまったもんね。その真価に気づくのに大分遅れてしまったよ。
●さて、これもフィジカルなCDです。もうフィジカルの呪縛を離れて、彼の近作新作や THE WEEKND の最新作「STARBOY」スポッティファイでとっととチェックしろ、って感じはあるのですけど、今ここで聴きたい、という気分がないと次にはいけないのです。「いつでも聴ける」になった以上、「いつどこで聴くか」は外的事情ではなくボクの内的状況に大きく依存するようになっちゃった。スポッティファイは、本当に色々なモノをボクに試すんだなー。




●FRANK OCEAN「SOLO」。まさにウタのチカラ。






●天然の愛娘ヒヨコ中学3年生、「オールウェイズ、ベンピーー!」と声高らかに叫びながらトイレから出てくる。不発の模様


オシャレさんとフリマアプリ。
●同僚のオシャレさん、Sくん。いつもカラフルでフレッシュなシャツを着てるけど、ローテーションが多彩で同じ着回しが全然ない。若い人はファッションにお金をかけるんだなーと思ってたら、ヒミツがあった。「シャツを買った瞬間から、すぐにスマホアプリでフリマに出しちゃうんです。で、イイ条件が揃ったらすぐ売って、次の服を買うんです。」なるほどー!賢い!

「プロ野球選手名鑑」を買った。
●野球の知識は全くのスッテンテンだが、業務の事情でアタマに入れなくちゃいけない。

「プロ野球選手名鑑」 

●うー、しかし選手の名前と顔が全然アタマに入ってこない。
●先輩は「プロ野球はおっさんのAKBみたいなもんだ」と言った。全国のおっさんに勝った負けたの「物語」を供給して、酒のツマミに、アイツはダメだ、アイツはイケるとウダウダ言えるようにする構造。なるほど確かにそれはアイドルと同じだ。総選挙でワチャワチャするのと同じじゃないか。同じユニフォームものと思えば欅坂46と同じじゃないか。

●なのに。同じユニフォームものなのに、欅坂46の女の子の顔は識別できるのに、巨人の選手は全員同じに見える。なぜだ?ダメじゃないか!構造は同じなのに。個人的に言えば、ケヤキはとりあえず渡邉理佐 AKA べりさ だな。それは今、関係ないか。

選手のデータが読解できない。「打球方向」とか「ゾーン別データ」とか「投球割合」とか、どう解釈すればイイのだ?しょうがないので、マンガ「グラゼニ」の方法で読んでみる。主人公・凡田は、選手名鑑の年収を暗記するマニアなのだ。そこで見てみると…スゴイ!2億〜3億稼ぐプレイヤーなんてゴロゴロいるのね。その一方で、一千万円以下もゴロゴロ。むしろ驚いたのはその格差っぷり。「育成」マークが付いている若手は290万円とか。同世代のサラリーマン年収より低いんじゃないか?選手寿命が短いと思えば、生涯年収でキツくなる人もいるんじゃないか?思ったよりビッグマネーを稼ぐ夢に直結してないんだね。同世代格差もスゴイなあ。坂本勇人(この人は目立つから知ってる)が3億5000万円稼ぐのに、彼と同じ29歳の乾真大というピッチャー(去年は一軍で二回しか投げてない)は950万円。20歳代で四桁寸前ならアリか?微妙だなー。



VRシアター「交際記念日」の武田玲奈ちゃん。


VRシアター「交際記念日」の武田玲奈ちゃん。 


「VRシアター」ってサービスがある。ネットカフェのような場所でゴーグルを借りてVRコンテンツを見るのだ。無料コンテンツもあれば、300円や600円の都度課金コンテンツもある。間仕切られたネカフェのブースの中だとゴーグルつけて前後ろをキョロキョロしても恥ずかしくない。これナイスなサービス設計。そんなサービスの一周年作品として、この「交際記念日」という映像が配信されてる。キャッチフレーズは「日本初”泣けるVR”動画」。CGでキラキラさせるようなVRにはひとしきり飽きた感じがあったんだけど、実写ドラマをストレートに描いてみせるというアプローチが気になった。

●tumblr のTLではお馴染みすぎるこの武田玲奈ちゃんという子がヒロイン。でもVRで見ると、リアルな実感で彼女がすごく小柄だってことが生々しく伝わってきてビビった。手足が細い!幕末〜明治時代の人が初めて写真を見て驚いた感覚って、こういうモノかなと感じてしまった。ただ、あくまで実在感覚は当然得られない。このドラマは、そこを逆手にとって、実在と不在の曖昧な領域をそのままストーリーの背骨に据えた演出で、一応成立してる気がする。さすがに泣けなかったけど。

●実はネット記事で読んだ彼女のインタビューが面白くて。360度カメラの周辺ではスタッフは役者のソバにいられない。こと校庭ような場所では役者から数百メートルも離れる必要があって。普通のドラマなら演技が終わればカットと声がかかるが、芝居が終わっても彼女にはなんの指示もなくて。当然周囲には無人のカメラ以外誰もいないしね。ひとしきりアレコレやり切った後、しょうがないからテクテク歩いて「終わりましたー」ってスタッフに声をかけたとな。こりゃ制作は大変だな。さてこの分野は伸びるのかなー。



声が、クシャクシャで、グッとくる。


NINA SIMONE「HERE COMES THE SUN」 

NINA SIMONE「HERE COMES THE SUN」1971年
●1950年代から活躍した女性ジャスシンガー NINA SIMONE によるカバーアルバム。初めてのNINA SIMONE 体験だったけど、こんな渋い声の人だったんだ。知らなかった。低くザラリとした質感に華々しさはないけど、ドロドロのジャリ道にドスンと立つ力強さとしなやかさを感じる。バックが豪華なオーケストラだっていうのにね。アルバムタイトルは当然 THE BEATLES の名曲から。このカバーがまず素敵すぎる。BOB DYLAN「JUST LIKE A WOMAN」は原曲思い出せないけど、ここでは渋いブルースになってます。ゴスペル的にポピュラーな「O-H-H CHILD」は可憐な R&B だね。WELDON IRVINE の楽曲も取り上げてるけど、彼に関しては目下個人的に本人自身の音源を研究中。最後の FRANK SINATRA「MY WAY」がスゴイ。高速パーカッションが激しく弾けて疾走する中でスマートに歌う NINA が凛々しい。原曲のニュアンスは解体されて完全に彼女のモノ。油断するとオリジナルと思っちゃうほど。
●ちなみに、このCDは福岡のジャズ専門店、キャットフィッシュレコードで購入。福岡の土地勘があまりないけど、このお店がある中央区大名ってエリアにはレコ屋が集中しているようだった。マンションの二階にある小さなお店で、基本新譜のみの扱いだけど品揃えは十分にマニアック。ベテランのご夫婦が二人でお店をやっているように見えた。立派な老舗のようだけど、好きな音楽を生涯の伴侶と二人して聴きながら暮らすってある意味で理想かも。他にもイイCDを2枚買ったよ。







また、悲しいテロ事件が起こった。
●5月22日、イギリス・マンチェスターの巨大アリーナでISによる自爆テロが発生。アメリカのシンガー ARIANA GRANDE の世界ツアーに集ったティーンの少年少女たちが被害にあった。現在22人とされる死者の中には8歳の女の子までいる。ソーシャル上では、未だ連絡が取れない家族の情報を求める人々の声が発信されてる。
●このテロは何を目的としてるのか。ARIANA GRANDE の音楽を聴きたいと思った若者に、責められるべき政治的問題があったのか?破壊すべき軍事的脅威があったのか? 彼ら IS が喧伝したいのは、文字通りの恐怖だ。全く関係のない者を殺すことで、安全地帯はどこにもないとプロパガンダしたいだけだ。

ARIANA GRANDE「YOUR TRULY」 
ARIANA GRANDE「MY EVERYTHING」 

ARIANA GRANDE「YOUR TRULY」2013年
ARIANA GRANDE「MY EVERYTHING」2014年
ARIANA GRANDE のアルバムを聴く。彼女がアルバム「YOUR TRULY」でデビューした時は「次世代の MARIAH CARRY」というような宣伝文句がついてたっけ。広いレンジを巧みに使い、可憐に響く彼女のボーカルは、確かにデビューした瞬間の MARIAH CARRY を彷彿とさせる。15歳でドラマデビューして、20歳の時のファーストアルバムで世界的ブレイク。そして今23歳。若者らしいヤンチャは少々あっても、基本的には育ちの良いお嬢さん、イメージは清純派。イマドキのアイドルとあって男女交際にフランクだけど、チャリティに熱心で、生意気さを振りかざすような印象はない。
●そんな彼女が、このテロでどんなことを感じただろう?自分の音楽を聴きに来てくれたばかりに無実の人々が爆弾でバラバラにされた。自分に落ち度があったんだろうか?ISに標的にされる理由があったのか?私がヴィーガンだから?LGBTのイベントに出演したから? MADONNA が立ち上げたマラウイの孤児のための基金に参加したから?黒人人権運動の支援をしてるから?いつもポニーテールにしてるから? 彼女が twitter で発信したのはたった一言。「BROKEN. FROM THE BOTTOM OF MY HEART, I AM SO SO SORRY. I DON'T HAVE WORDS(どん底まで叩きのめされてもうボロボロ。本当にごめんなさい。もう言葉もありません)」。ただただ自責の念に苛まされて、苦しんでいる様子が手に取るようにわかる。ライブで大勢の人を集めるのが怖くなっても不思議じゃない。
●そんな彼女の音楽が好きだった少年少女が、彼女のように無垢で素直な子たちだったと想像すると、ボクの心も本当に苦しくなる。ボクだってコドモはいるからね。未だ所在不明の子供を探すためにソーシャルへメッセージを発信する家族たちの気持ちを想像するだけで、本当にツライ気持ちになる。

●別にボクは ARIANA 個人がどんな女の子なのかなんて、本当は知る由もない。それでもこんな妄想を抱いてしまうのが、彼女の音楽が確かに清廉なポップスだからだ。ファーストの「YOUR TRULY」は最新形のギミックを仕込んだトラック(チキチキと乾いたスネアが連打されるアレンジね)ながら、プロデューサーとして R&B の王道を行く大御所 BABYFACE がしっかり随所で関与して、真っ当なポップソングとして機能させてる。奇をてらった際どい演出はゼロ。モータウン気分のバラードだってこなしてみせる。
●コラボレーターや客演も粒ぞろいの人選。BIG SEANKANYE WESTG.O.O.D. MUSIC からフックアップされて世に出てきたデトロイトの技巧派ラッパー。MAC MILLER はピッツバーグ出身のユダヤ系ラッパー。彼は ARIANA とのコラボで名を挙げたようだな。ポップソングのライティングに定評あるシンガー MIKA とは連名で、これまたポップな佳曲を発信。その名も「POPULAR SONG」。男子アイドルグループ THE WANTED から NATHAN SYKES というイケメンを召喚してるのもポップだね。
●セカンド「MY EVERYTHING」となると EDM への接近がハッキリしてくる。ZEDD、DAVID GUETTA の名前がクレジットに登場。ノルウェーやスウェーデンのクリエーターを大勢連れてきてダンスポップを作ったりもしてるね。その一方でファンキーなテイストをグイッと盛ってくれるプレイヤーも召喚。オーストラリア出身ながら、アトランタの帝王 T.I. のレーベル GRAND HUSTLE に発掘された女性ラッパー IGGY AZALEA、前作に続いて参加の BIG SEAN、ハイトーンボーカルでデュエットしてくれたトロント派のシンガー THE WEEKEND、トリッキーなトラックに付き添うニューヨークの新進ラッパー A$AP FERG らがイイ仕事。そして、JESSIE J、NICKI MINAJ と三位一体で合体した「BANG BANG」が元気ノリノリ!
●サードアルバム「DANGEROUS WOMAN」はまだ聴いてない。タイトルから考えると、余計な自意識芽生えて不良路線に流れちゃう先輩女性タレントと同じになるのか?と不安になるけど、彼女に関してはまだホントに「危険」ではないみたい。ウサ耳なマスクを被って結局カワイくまとまってるから。オルターエゴごっこもこの程度ならカワイイもんだね。


●しかし、こうした本物のテロが日本に上陸した時、我々の社会は対抗できるのだろうか?
「共謀罪」とか「テロ等準備罪」とかで大騒ぎしてるけど、ソーシャル経由で感化されたローンウルフのテロリストには対抗できないという意味で、機能しないような気がする。巨人戦のような東京ドーム5万人の動員イベントでテロが起きたら、誰がこの5万人を安全に避難させられるだろう?誰がケガ人を助けてあげられるのだろう。今国会で議論されてるコトと、テロへの具体的な対策が、ボクには全然イメージが結びつかない。











AbemaTVのコンテンツ「フリースタイルダンジョン」をまとめて見たい。で、勢い余って思わず有料会員になってしまいそうなのを必死にガマンしてる。
●ここで展開されてるような日本語ヒップホップの世界にはすっかり疎くなっちゃってるから、この番組でキャッチアップしたいんだよなーーむんむん。
●挑戦者の前に立ちふさがる「モンスター」と呼ばれるラッパーたちが、すでにボクが知らない世代の人たちで。MCであるところの ZEEBRA さん UZI さんまでは聴いてたけど、ラスボス・般若すらちゃんと聴いたコトないんだよ。1996年「さんピンキャンプ」世代から、2000年 NITRO MICROPHONE UNDERGROUND の登場、2003年の名古屋スクールくらいまでが限界。しょぼん。勉強不足。


うーん、この辺の関連音源あるかな? …あ、あった。

サイプレス上野とロベルト吉野「ドリーム」 

サイプレス上野とロベルト吉野「ドリーム」2007年
●モンスターの一人である、サイプレス上野は、正直言ってそんなにフリースタイルが得意なタイプじゃない気が…なんだか大味…ただその大味加減も含めてガバガバしたキャラが彼を人気者にしてる気がする。なんだか楽しくて憎めないっすよパイセン!のオーラ
●でこの音源が、サイプレス上野とその相棒DJ ロベルト吉野 AKA サ上とロ吉 のファーストアルバム。彼らはレペゼン横浜な立場にあるけど、地元は戸塚区で「横浜ドリームランド」があった場所。が故にタイトルは「ドリーム」。ロゴデザインも「ドリームランド」から拝借してる。1964年に開園して高度成長時代の娯楽を提供してたけど、東京ディズニーランドなどのニューウェーブに駆逐され、規模縮小を繰り返して2002年に閉園。彼らが暮らし育った団地自体がドリームランドが手放した土地にあったらしい。ジャケイラストの背景に見える遊園地や「ドリーム銀座」(関連施設だったっぽい…シャッター商店街らしいけど)はまさしく彼らの黄昏れゆくホームの風景で、おまけにこのイラスト自体が作画:上野のお母さん。地元愛&アイデンティティが迸る…。
●で、内容と言えば、モンスターの気負いなぞまだ1ミリもない若手としてのヤンチャっぷりが炸裂。金はないけど、大勢の仲間がいて、ヒップホップが大好きで、根拠のない明るい未来と自信とスケベ心がなぜかある。ドリームが目一杯詰まってる。何しろ10年前の音源だからスキルがどうのこうのと言えばイロイロありそうだけど、ダンスが楽しそうなファンクネスにユサユサ揺すぶられながら、鼻歌フロウを乗せて、キャッチーなフックラインを楽しそうにラップする様子はとにかく陽気!バウンス祭!バウンス祭!バウンス祭!
●というコトで、サイプレス上野の楽しいオーラは目一杯出てるんだけど、他の音源も含めて相棒・ロベルト吉野の存在感は薄くてよくわからんです。


サイプレス上野とロベルト吉野「アイドル ライブ オン ダイレクト」 

サイプレス上野とロベルト吉野「アイドル ライブ オン ダイレクト」
●そんなサ上とロ吉の二人が、なぜかアイドルのライブを訪ねてアイドルを語るという珍妙な本があっってメチャ楽しい。ヒップホップとアイドルってなんも関係ないじゃん!と思うんだけど、ライブ勝負の現場感覚はステージパフォーマンスとして同じモノだとして、サ上の視点がすごく公平にフラットで前向き、若い女の子たちにフランクな敬意をちゃんと感じさせるのですよ。サ上の趣味であるプロレス/格闘技と結びつけた比喩も秀逸。そんなアイドル観が面白い。


●というコトで、この本に乗ってたアイドルの関連音楽を聴いちゃいます。

ライムベリー「HEY ! BROTHER」
ライムベリー「ROD : 世界中にアイラブユー」
ライムベリー「SUPERMCZTOKYO」

ライムベリー「HEY ! BROTHER」2012年
ライムベリー「R.O.D. / 世界中にアイラブユー」2013年
ライムベリー「SUPERMCZTOKYO」2013年
3MC+1DJ のラップアイドルグループ!みなさん当時中高生!しかし、これが実によく出来てて最高!デビューシングル「HEY ! BROTHER」は、タイトルだけ聞けばヒップホップじゃよくあるフレーズだけど、日本語に逐語訳して「ねえお兄ちゃん!ねえお兄ちゃん!ねえお兄ちゃん!ねえお兄ちゃん!好きーー!」という妹萌えラップに変換。テンポ早めのオールドスクール〜ミドルスクール風なトラックに乗って、3MCがぐんぐんマイクリレーする。確かに声は若くて甘すぎるが、密度の濃いリリックをカチッとビートにハメてカッコいい!これは最近のアイドル系買い物としてはかなりの掘り出し物だわ。
●もちろん、彼女たちの独力ではココまでの仕上がりは無理。プロデュースは E TICKET PRODUCTION という名義のラノベ作家さん(本名は桑島由一)。このライムベリーの仕事を発端にして、現在もアイドル+ヒップホップなアプローチを仕掛けてる。サンプルの一つ一つ、スネアの一打一打が見事にファンキーで80年代なヒップホップをどうしょうもなく連想させてホントにタマラン。「SUPERMCZTOKYO」もディスコファンクの快楽をドップリ盛り込んでて、クラクラするほど。カップリングの「WE DID IT」のフルートサンプルはなんなんだ、カッコよすぎる。そこに甘い声で「ライクディス!」と入ってくる。硬軟、濃い甘いの落差が絶妙!
●とは言え、何しろこの辺の音源はもう4〜5年前のモノとあって、現行のライムベリーはメンバーチェンジや活動休止寸前状態を繰り返して、オリジナルメンバーは MC MIRI の一人しかいない(センターの赤の子)。しかしラップのスキルを磨き続けた彼女は現在19歳、ヒップホップのフリースタイルバトルにも出演するほどの実力を身につけて、単純なアイドルとは位置づけられない領域に到達してるとな。おかっぱボブ黒髪も今や金髪ショートヘアになってるし。

LYRICAL SCHOOL「BRAND NEW DAY」2 
LYRICAL SCHOOL「FRESH !!!」
LYRICAL SCHOOL「PRIDE」

LYRICAL SCHOOL「BRAND NEW DAY」2014年
LYRICAL SCHOOL「FRESH !!!」2014年
LYRICAL SCHOOL「PRIDE」2014年
お次のグループは、6人マイクだ!正直、マイクさばきにおいてはライムベリーほどのタイトなフロウは聴けない…割とフワッとしたラップを短いヴァースに分担してリレーをしていくイメージ。むしろ、ディスコファンクのグラマラスな気分をすくい取ればヨイだろうか?ラップしなければ、大阪のグループ ESPECIA を連想するかも。結構歌も歌うし。
●聴きどころはシングル「FRESH !!!」か。これは作詞作曲を TOFUBEATS が担当。モダンなディスコ感覚のグルーヴに彼女たちのユニゾンボーカルが楽しく明るく乗っかるTOFUBEATS のファーストアルバムに、ちょこっと LYRICAL SCHOOL が登場する理由がなんとなくわかった。両者はワリと縁の深い関係だったんだね。
●前身グループは TENGAL6(テンギャルシックス)という名前だったのは黒歴史?マジであの「TENGA」が協賛企業についちゃったからの命名だった。しかしタワーレコード系レーベル T-PALETTE RECORDS 移籍時に改名。現在では TENGAL6 時代のメンバーは残っておらず、この三枚のシングルがリリースされた時の在籍メンバーも一人しかいない。なぜか、元ライムベリーのメンバーがこっちのグループに移籍したりもしてて、アイドル稼業も一筋縄では行かないなと思ったり。
●ボクは、なぜか TENGAL6 時代の音源も持ってるんだよな…音楽サイト OTOTOY でフリーダウンロードしたモノ。しかも BIS との合体曲。BIS×TENGAL6「いんたああくしょん」。メロウディスコをラップで彩る楽曲。BIS の凶暴さはここではナリを潜めております。




ライムベリーライブ戦闘能力がよくわかる動画。2014年段階でメンバーが一人脱退の2MC体制。当時は高1か? 髪の毛短い MIRI が今なお活動中。キレのあるフロウがすでにこの時期から芽生えてる。ツインテール HIME は 2015年に LYRICAL SCHOOL に転籍。DJ HIKARI は何もしないのが味。えーと、聴いて欲しいのは10分30秒から始まる「HEY ! BROTHER」から「SUPERMCZTOKYO」「R.O.D.」の流れ。若くて初々しく、混じり気のない情熱が眩しい。



●本日は、久しぶりに、演劇鑑賞。ギリシャ古典劇なのに、含む、下ネタ。

女の平和 

JAM SESSION.12 「女の平和」@アトリエファンファーレ東新宿
「この戦争をやめないかぎり、私たちはセックスいたしません!」戦争に夢中な男たちに対して、交戦国双方の女性たちが結集してセックスストライキで和平を主張!戦争に女が口を出すとは何事か!と怒る男たちも、ギリギリまで焦らしながら最後まではサセてくれない女性の巧妙なテクに辛抱タマランと降参、ナシ崩しに和平条約締結を約束するという顛末…。
●これが、なんと紀元前5世紀、今から2400年前の古代ギリシャで書かれた戯曲を原作としてるのです。作者はアテネの詩人/劇作家のアリストパネス(アリストファネス)という人物で「女の平和」は彼の代表作。ボクは大学受験の世界史勉強で彼とこの作品のあらすじを知って、古代ギリシャのギャグ/ユーモア感覚スゲエ!とビックリしたものですわ。もちろん、その段階ではデティールは知ることができなかったわけですが、脳ミソのスミッコでは一体どんな内容なのか、興味津々だったのですわ。
●そしたら先週たまたまこのお芝居のご案内を知人からいただきまして。知ってる人が関わってる上に、題材がこの「女の平和」かい!これは観なくては!

●もちろん、ギリシャ古典劇をそのまま再現は無理なので大胆なアレンジが加わっている。役者さんは男女それぞれ4人づつ。大根抱えてダンスしたり、ホウキを振り回して兵隊と戦ったり。4人の主張する女性は全員和服。男性は軍服と燕尾服。とはいえ、別に舞台を現代日本はたまた軍国主義日本に置き換えたりはしてなくて。戦争当事国はアテネとスパルタ。
原作由来か現代風演出なのか、結構な下ネタが振りまかれてまして。女性は女性で「やっぱり我慢できない」って本音が出てきたり。お色気振りまいての寸止めブリがメロメロセクシーだったり。強烈だったのが、ストライキの結果、男性陣が我慢ならなくなっちゃった様子を、股間に大根よりもブットいモノをドーンと衣装の下から築き上げて身悶えまくるという演出で表現。「毎朝、この息子がツラくて!」といって客席に突っ込んで見せたり。わーすげーなー。大胆な解釈だなー。笑っちゃいました。
●と思ったら、この股間にブットいモノ(「革製の陰茎」)をぶら下げる&おっ立てる喜劇演出は、古代ギリシャでは普通だったとな(「女の平和」WIKIPEDIAより)。マジ!アレは2400年前のお笑いセンスをそのまま採用してたの!男女の関係は、紀元前5世紀から根本的には変わってないのね。それが一番の収穫だったよ。


●お次は、古典バレエを現代風にアレンジした案件。

『眠れる森の美女』 マシュー・ボーン振付、ニュー・アドベンチャーズ(2013) 

「MATTHEW BOURNE'S SLEEPING BEAUTY - A GOTHIC ROMANCE」2012年
●これもズバリ「森の眠れる美女」ではある。しかし演出家 MATTHEW BOURNE という人物が異色。彼のカンパニー「ADVENTURES IN MOTION PICTURES」=現在は「NEW ADVENTURES」は、男性ダンサーをメインにして「白鳥の湖」を演ったコトで一気に武名を上げた。映画「リトルダンサー」で見事ダンサーになった主人公エリオットが、成人して舞台に立つラストシーン、その時に演じているのがこのカンパニーの「白鳥の湖」なのだ。
●ワイフは、バレエが大好きなので、勝手に娘ヒヨコを連れてこのカンパニーの来日公演を見に行ってる。だからバレエには知識がないボクでも、その場その場でワイフがオーディオコメンタリーのように解説してくれるからとても便利。「本来は可愛らしい妖精さんが来るところなのに、半分が男の人でしょ。おまけにこの妖精さんたち、吸血鬼って設定まで付け加えられてるの」メイクも「ゴシックロマンス」というだけあって、濃い。妖精たちは白塗りの上に目の周りだけ真っ黒く色を塗ってる…ボクから見ると映画「ブレードランナー」のレプリカントだわ。振付も奇妙だよ。門外漢のボクから見てもイレギュラーだと感じる。呪いの当事者である悪の妖精がイケメンすぎてマブしい。
●ヒロインは100年の眠りに落ちるんだけど、その100年後ってのが2011年という設定になってる。この辺で現代風のアレンジも加わる。愛を込めてキスするはずの青年は、ナイキのパーカー着てるだけでめっちゃ冴えない。やっぱバレエに似つかわしくないわー。その他細かいツッコミどころが満載。バレエ現役ダンサーである娘ヒヨコも含めてワイワイ楽しんじゃった。


眠ってるはずのお姫様、夢遊病なのかだいぶ激しく踊ってます。完全ゼロとは思えないけど目隠しで視界が制限されたママでこの振付を踊るのはスゲエなと思った。ヒヨコ、裸足で踊るのは結構大変じゃないか?「周りの人が靴履いているのに自分だけ裸足は怖すぎる、練習の時でも踏まれたら大ケガになっちゃう」なるほどー実感こもった感想だ。最愛の恋人はナイキのグレーパーカーでカッコ悪いです。




●お芝居ついでに、とってもお芝居がかった80年代のアーティストを。

KLAUS NOMI「ENCORE !」 

KLAUS NOMI「ENCORE !」1983年
彼は、クラシックオペラにインスパイアされて、カウンターテナー〜ソプラノの超ハイトーンなボーカルを歌っちゃうシンガーだった。音楽シーンにはゴシック美学が影響する場面があるけど、彼の場合はゴシックを通り越してバロック美学まで行っちゃってるもんね。ジャケでわかるように、ギラギラのヨーロッパ王侯貴族のノリだもんね。キャリアの最初期にはこのあまりに個性的なルックスから DAVID BOWIE に注目されて、彼が出演した「サタデーナイトライブ」でバックシンガーを務めたほどというからスゴイ。
●70〜80年代が「ニューウェーブ」の時代だったってのは確かに本物だね。ドイツ出身の彼はニューヨークに拠点を映して「ニューウェーブ・ヴォードヴィル」というスタイルを打ち出していたとな。ヴォードヴィルと言えば、歌や踊り、お笑いまで含めた20世紀初頭の大衆舞台の総称。映画が普及するまではエンタメの主役だったはずだ。そんなものをオペラも交えてリバイバルさせるなんて…そんな一口で理解し難いモノでも受け入れられる素地があったんだろう。
●本当にスットンキョウなほどのハイトーンソプラノが80年代特有のバタバタしたビートに乗る「TOTAL ECLIPSE」などにまずはビックリ。ピコピコエレポップの「SIMPLE MAN」の神経質なボーカルもまさしく80年代ニューウェーブ。その一方で、朗々としたテナーで ELVIS PRESLEY「CAN'T HELP FALLING IN LOVE」をカバーしたり、CHUBBY CHECKER「THE TWIST」をカバーしたり(←一回聴いただけではカバーと思えない)、「オズの魔法使い」からカバーを選んだりと射程距離もユニーク。サン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ(SAMSON AMD DELILAH: ARIA)」にも直球で挑戦してる。
●しかし、彼が現在も記憶される理由は、彼の死因だろうね。このアルバムがリリースされた1983年に彼はエイズで亡くなってしまう。オリジナルアルバムが「KLAUS NOMI」1981年「SIMPLE MAN」1982年の二枚しかないのもキャリアが短すぎたせいだ。ウィキには、エイズで亡くなった初めての有名人とされている。80年代のエイズ禍の犠牲者。生前には発表されなかったようだけど、彼はゲイだったそうな。



●衣装もメイクもスゴイが、身のこなしがロボットみたいで奇妙。ヴォードヴィル的なパントマイムの気分があるのかな。すごく芝居掛かった動き。