今夜は、皆既月食。月が、赤い。

●いつもスマホを眺めてばかりで下向いてる。会社帰りの道でも Hulu 観てた。
●家について、ワイフが「月、みた?」あ。そうだ、ニュースで言ってたな、月食。
●駐車場から見上げるとよく見えるよ、と言われて、もう一度外に出る。
冬の空に浮かぶ、赤い月。
●ああ、夜空を見上げるなんて久しぶりだよ。
●月の色って、普通の時はどんな色だったっけ。
●赤茶けた嵐が吹き荒れてるようだな。月はこの世の果てだな。


IDRIS MUHAMMAD「HOUSE OF THE RISING SUN」

IDRIS MUHAMMAD「HOUSE OF THE RISING SUN」1976年
●こんな月夜に、彼は何のお祈りを捧げてるのだろう? IDRIS MUHAMMAD、このアルバムのリーダーでドラマーだ。
●年末に買った70年代ジャズフュージョンのLPレコード。アーティストの予備知識は何もナシ。レーベルが KUDU だったから、の完全レーベル買いKUDU は名プロデューサー CREED TAYLOR が主宰する CTI RECORDS のサブレーベルだ。ただそれだけで買った。下北ユニオンで500円と不思議なほど安かったが、後からジャケが底抜けしてたことに気づく。でも盤質良好で全く問題ない。
●シリアスなジャケの印象とはウラハラに、スマートかつファンキーなフュージョンサウンド。アルバム表題曲はご存知 THE ANIMALS のカバー。原曲を忘れるほどにファンキーなディスコファンクになってる。軽快で小気味いいシンコペーションを駆使してカラフルなグルーヴを生み出す IDRIS のドラムに、名うてのミュージシャンがどんどん乗っかってチャーミングなファンクを織りなす。仕事でグッタリした時に、気分を強制的に切り替えるために、夜中にラウドめにして聴く。ああ、プレッシャーから解放されて、陽気なリズムにただ身を任せるだけ。ちょっとムサ苦しいホーンアンサンブルが70年代だなー。温もりがあって好きー。居心地がイイー。
●主役もろくに知らないで買ったので、あんまシノゴノ情報足してもしゃーないと思いながらも、気になるミュージシャンはいっぱい。サックスプレイヤーに MICHAEL BRECKER DAVID SANBORN、トロンボーンには JAMES BROWN のバックで活躍した FRED WESLEY、ギター ERIC GALE は曲によってはベースも弾いてる。ピアノは ROLAND HANNA。11分の長尺曲「SUDAN」でエレピのソロが炸裂。


大好きだった海外ドラマ「GLEE」のキャストが自殺した…。
役名・パックを演じたマイク・サリングが首吊り自殺。役柄でもヤンチャキャラだったが、私生活もお騒がせタイプで、女性相手のモメ事がしばしば色々の上に、児童ポルノ所持で性犯罪者指定を受け、3月には刑務所に入る予定だったという。
パックの親友でドラマの主人公・フィンを演じていたコリー・モンテースが、シーズン半ばにオーバードーズで死去という悲しいニュースもあったっけ。これでこのドラマで死人が二人出ちゃったね。

●それと脇役の女の子・サンシャインを演じてたフィリピン系の女性シンガー・CHARICE PEMPENGCO が自分の性的アイデンティティをカミングアウト、精神的には男性だと語り、JAKE ZYRUS という男性名を名乗るようになってた。パックの自殺ニュースの関連記事で発見してしまった。
●シンガー・CHARICE は YouTube の投稿で世間の注目を浴び、オプラ・ウィンフリーの番組に招かれて絶賛された天才少女だ。その時代のCDもボクは持ってる。まん丸なお顔が愛くるしいキャラだったが、いつしかストレートのロングヘアーをカリカリのベリーショートにして、ぽっちゃりボディがガッシリボディになってるなーと思ったら、トランスジェンダー宣言。
●ドラマ「GLEE」大勢の LGBT のキャラが活躍し、男男カップルや女女カップルが男女カップルと同格に恋愛するとってもダイバーシティな物語だったが、作品からハミ出てリアルでカミングアウトする人も少なくない。悪役スー先生を演じたジェーン・リンチさんもレズビアンであることを公表し、実際に同性婚したもんね。
●色々な意味で多様な個性が集まっていたドラマだったんだなーと今更ながら実感。だからボクとワイフはあんなに夢中になれたんだよなー。


「GLEE」と「月」の関連音源。

「ARTHUR THE ALBUM FROM MOTION PICTURE」

「ARTHUR THE ALBUM FROM MOTION PICTURE」1981年
BURT BACHARACH が音楽を手がけた映画のサウンドトラック。でも映画の内容は全然知らない。ボクとして重要なのは、その後のAORシーンで活躍する CHRISTOPHER CROSS のブレイク楽曲となった「ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)」が収録されてる。邦題「ニューヨークシティセレナーデ」の方が有名かも?普通によく耳にしますよねこの曲は。ボクも原曲を聴いてる段階ではその程度のBGM感覚でした。
●この「ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)」をドラマ「GLEE」はカバー。そこでボクは一気にこの曲が好きになったのです。ドラマなので歌には訳詞が字幕でついてくるのですが、あの印象深いサビにこんな翻訳がついてたのです。

「月とニューヨークの間に 君は引っかかってしまった 
 おかしいよね でも本当なんだ
 月とニューヨークの間に 引っかかってしまったら
 君がすべきことは、恋に落ちることさ」

「月とニューヨークの間に引っかかる」って一体どういうこと!?すげーシュールな表現!こんなスットンキョウで素敵な歌を歌ってたのね、知らなかったよ!ニューヨークの摩天楼は背が高いからお月様に引っかかっちゃうのかな?さすがニューヨーク、夢と魔法の街だね。ロマンチックだよ。「GLEE」のヒロイン・レイチェルは、仲間にこの歌を歌ってもらって夢を叶えるべくニューヨークに旅立つ。
赤い月夜に、お月様の歌。引っかかったら恋に落ちよう。さあ、これでブルーな仕事も乗り越えられる。




●敢えて、「GLEE」カバーの動画で。



●IDRIS MUHAMMAD の THE ANIMALS カバーも。熱いファンクですよ。



●くそー。今週末はマジで寒い。東京で33年ぶりの低音注意報。やっぱりボクは体調を崩す。
●高校受験を再来週に控えたヒヨコは、見事にインフルエンザに感染。まー当日に熱出すよりマシか。
●もうワイフが各方面に神頼みもし、ヒヨコもヒヨコで頑張ったので、受験の結果はなるようになれ!


●さて、先週は、先輩にとっても楽しい場所へ連れてってもらった。

スポットライト新橋11

「歌謡曲 BAR スポットライト 新橋」
●新橋駅前から烏森通りを2分も歩かない場所の雑居ビルの中に、70〜80年代の歌謡曲レコードを爆音で鳴らしてるバーがあったのです。カウンターの中にはターンテーブルが二台。アナログ音源を丁寧にDJしてくれてますわ。お客さんはお酒を飲みながら、テーブルの上にあるリクエスト用紙に、アーティスト/楽曲名を書いて店員さんに手渡しする。すると順番でリクエストした曲がプレイされるというわけですわ。
●しかも、ワリとゆったりとした空間作りで、その広めの場所で踊ったり歌ったりエアギターしたりするのもアリ!先輩たちが BOOWY に合わせてエアギター始めたら、店員さんが即座に BOOWY のシルエットマークを貼ったホウキを手渡してくれる!ヒムロック担当にはハンドマイクをパス(エアマイクでどこにも繋がってないけど)。場合によってはモップでスタンドマイクプレイも。他のグループのお客さんとみんなでシンガロングもアリ。まーテンション上がりますわ!

スポットライト新橋13

7インチEPも、ズラリ並んで2000枚以上。その他アルバムなどもっとコレクションはいっぱいみたい。これをチェックするだけで、もうボクワクワクしちゃいまして。現物では見たことがない音源の美盤ぶりにホレボレします。CDやアルバムで持ってる曲でも、7インチで見ると存在感違う!BOOWYの7インチはマジで初めて見た。すげー当時はこんなジャケで流通してたのかー。
●客層のメインはバブル世代の方々とあって、80年代のビッグヒットやアイドル歌謡がたっぷりかかる。再評価著しい荻野目洋子「ダンシングヒーロー」とかアンルイス「六本木心中」が人気。REBECCA「LONELY BUTTERFLY」とか渋い選曲だよな。BARBEE BOYZ「目を閉じておいでよ」はサビでガッツリシンガロング。本田美奈子「ONE WAY GENERATION」はフロアで振り付けをダンス(アラフィフ男性でしたが)。光GENJI「パラダイス銀河」はみんなでスケート滑るマネ。シャネルズの50年代リバイバルが本格的でボクの中でまとめて聴きたい欲望がモクモク。沢田研二「TOKIO」で隣のお客と一緒に大合唱。
●ボクは風間慎吾「涙の TAkE A CHANCE」をリクエスト。ブレイクダンスが日本に移入された瞬間。しかもアレンジが殊の外オールドスクールのヒップホップに忠実だったりと発見も。先輩は「劇場版・機動戦士ガンダムⅡ」主題歌の井上大輔「哀・戦士」をリクエスト。これもアンセムだよね!
●80年代はボクにとっては小・中学生時代であって、今のように積極的に音楽を聴く姿勢はまだ備わってなかった。だから耳に残る記憶を辿る感覚だ。ただ、今の耳で聴くと当時は気づかなかった様々な発見がある。面白いね!お酒飲めないけど、ここには一人でも来たいかも。

渡辺美里「LOVIN YOU」

渡辺美里「LOVIN' YOU」1986年
●そんでお店では、渡辺美里「MY REVOLUTION」もガンガンにかかってたのですよ。あの小室哲哉が作曲を手がけたシングルヒットね。そう、その日はズバリ小室哲哉「週刊文春」の不倫報道を受けて記者会見を開き「引退宣言」を発表した日。だから、この曲をはじめ小室哲哉関連の80年代ヒットが積極的にプレイされてた。もちろん TM NETWORK の楽曲もね。稀代のヒットメーカーも最後はこんな幕引きで終わるなんて…以前の詐欺事件でキャリアは台無しと思いきや、近年は復調の流れだったのにね。ゴシップの真偽はよくわからんし、彼のやったことがイイとも悪いとも言えないけどさ。
渡辺美里のこのセカンドアルバムは、去年の夏頃たまたま「MY REVOLUTION」がホントに聴きたくなって400円弱で買ったもの。当時十代のシンガーで突然CD二枚組とは剛毅な内容、当時いかに渡辺美里というシンガーに期待が集まっていたかが分かる。そしてそのアルバムのソングライターに小室哲哉が深く関与してる。彼が収録曲20曲のうち8曲に作曲としてクレジットされてるのだ。小室哲哉にとっても、新進ソングライターとしてキャリアを積み上げていく時期。TM NETWORK は1984年にデビュー、この時期はまだヒット作に恵まれてない段階。「SELF CONTROL」「GET WILD」もまだ生まれてない時期。それでも彼のその後に続く多産ぶりが垣間見れる。この年の前後は自殺する前の岡田有希子、そして中山美穂なども手がけてるようだね。そんで彼の独特なテイストである、あの不安定な転調もすでに健在で、明るさの中にも儚げな気配を感じさせるメロディがきちんと存在してる。それと、このアルバムに収録されてる「MY REVOLUTION (HELLO VERSION)」はアカペラコーラスだけをバックにして原曲をグッとスローテンポにしたモノで、「スポットライト」深夜2時の閉店BGMになってた。
●ただ、今回クレジットを見て気づいたのは、小室哲哉と同格の存在感で、あの岡村靖幸が活躍してた!小室氏と同じ8曲を作曲してた。彼がシングルでデビューするのはこの年の年末だから、タイミングとしては完全に裏方としての仕事だ。なのにこんなにたくさんの楽曲を量産していたとは。そして、元気一杯のパワフルなボーカルとパフォーマンスという渡辺美里のパブリックイメージは、どちらかというと岡村靖幸楽曲の方で実現されてる気がする。ただしこの段階では小室&岡村は共に新進作家でしかなくて、作詞も編曲も任されておらず、その後にもっと顕在化される個性はまだ発揮されていないかも。あ、オマケに小室のバンドメイト木根尚登さんも一曲作曲してました。
●それと、渡辺美里と言えば毎年夏の恒例となってた西武ライオンズ球場でのスタジアムライブが有名だったが、第一回がこの年の実施。ワイフの学生時代の友達アヤちゃんが美里ファンで、このライブによく行ってたのを思い出すね。

渡辺美里「TOKYO」

渡辺美里「TOKYO」1990年
●ちょっと時間が空いての6枚目のアルバム。いつしか渡辺美里はアルバム全曲の作詞を担うようになり、作曲も自分でこなせるようになってました。スタジアム映えする夏のアンセム「サマータイムブルース」作詞作曲・渡辺美里だったよ。小室哲哉は二曲の楽曲提供&編曲で参加。担当はアルバムのオープニング「POWER 明日の子供」とアルバムタイトル曲「TOKYO」「TOKYO」は実質上の二部構成でプログレかつドラマチックな楽曲だ。シンセとギターのアクセントが未来派な演出。
●ただ、コッチでは岡村靖幸の仕事の方が好きだ。シングル曲「虹をみたかい」完全に岡村ちゃんファンクになっててタマランのだ。この一曲だけで全部持って行った感じだ。ベキベキのチョッパーベースに密度の濃いリリックの配置がスリル満点。ファンキーな岡村ちゃんコーラスもいい味出してる。この曲は本当に好きなので、懐かしの短冊形8センチCDシングルでも購入してる。シングルとアルバムでミックスが違うし、シングルには岡村ちゃんのメリハリのハッキリしたファンク趣味がもっと反映された「虹をみたかい HONEY-BEE VERSION」も収録されてるからね。

globe「globe」

globe「globe」1996年
●さて、今回の引退会見では、小室氏の妻であり、この小室氏自身のバンドである globe のボーカリスト・KEIKOさんの話題も出てきた。2011年にクモ膜下出血で倒れて、現在は「高次脳機能障害」を患っているとな。ボクにはこの病気への知識が何もないので、彼の口から出た KEICO さんの状況には驚いた…「女性から女の子みたいな感じになってしまった」「夫婦の対話ができない」「小学4年生の漢字ドリルが楽しいみたい」「音楽への興味が日に日に減ってほぼ歌うことはなくなった」この音源で力強く歌う彼女が、そこまで変わり果ててしまったコトに驚く。彼女は現在45歳でボクと一歳しか変わらない。だけど、何かが起こるとこんな障害を抱えてしまうリスクもあるんだ…。
実は、globe の音楽は今回初めてきちんと聴く。90年代の小室サウンドブームは、リアタイ当時渋谷系サイドに偏っていた若いボクにはチトしんどくて、避けていたのが正直な印象だ。ましてや96年に社会人になったボクは仕事に忙殺されて、マトモにポップソングを聴く余裕もなかったよ。例によって100円程度でこのCDは一昨年くらいには買ってた。2014年の TM NETWORK デビュー30周年の動きから(東京国際フォーラムでのライブに行っちゃった)、2016年あたりの globe リミックス音源の発信と続いた近年の小室再評価の流れで気になったので。でも今週まで一回も聴いてなかった。
「FEEL LIKE DANCE」「DEPARTURE」のようなビックヒットは、一旦置いといて。全体的なトーンはより手加減のないダンスミュージックアプローチがやっぱり斬新。シンガー名義やアイドル名義のプロデュース仕事ではなくて、自分のバンドの仕掛けとあって、ポップソングっぽくない実験的な手法も遠慮なく投入してる感じが本気を感じる。全体的に重たくゴツい四つ打ちのキックも気持ちいい。「GONNA BE ALRIGHT」でラップ調の歌詞を KEICO が一気にまくし立ててシンプルなサビにそのまま突入するシンプルな構造、その中で間奏部分は一気にテンポチェンジして減速そして再加速でまたサビへ、みたいな展開が素敵。シングルにもなった「FREEDOM」のイレギュラーな転調が圧倒的に小室風で、その上でサビのフックラインで KEICO さんのボーカルの力強さがやっぱり圧倒的で。マークパンサーのラップはやっぱりそんなに好きになれないけど。
●さらにスポッティファイでインストトラックまでチェックしてみたんだけど、ボーカルを剥がしてみると、純粋なほどにエレポップなんだということにも気づく。圧倒的に80年代。というかシンセフェティシズムか。90年代の欧米のダンスアクトに比べて、キチンと音楽している。当時のイギリスのダンスアクトはもっと乱暴で、アイディアが貧困だけど、そのゴリ押しが新しかった感じが(THE PRODIGY とか)。小室哲也はもっとチャンとした音楽家だったのね。スポッティファイでは他の音源も聴ける。とりあえず近年のリミックス作品「REMODE」2015年「REMODE 2」2016年を聴いてみよう。


読書。「出版ジャーナリズム」とは?で、「文春砲」とは?

日本ジャーナリスト会議・出版支部編「出版ジャーナリズム小史」

日本ジャーナリスト会議・出版支部編「出版ジャーナリズム小史」1988年
●最近まで読んでた本。早稲田の古本屋さん街にあった「古書現世」というお店で買ったっけ。変な名前のお店だったけど在庫もちょっと個性的だった。この本は、戦前戦中から昭和の世が終わるまでの時期に、出版業界で起こった出来事を、当時の紙面などもグラフィカルに使いながら説明してる本だ。「マスゴミ」「フェイクニュース」「偏向報道」、ネガティブな意味での「報道しない自由」みたいな言葉が普通にネットに飛び交うこの時代に、「ジャーナリズム」という言葉がどれだけ説得力があるのか、そしてどれだけ理解されてるのか?その時代の落差が、本書が出版された昭和の終わりと、平成の終わりを迎える現在とで激しすぎるのを思い知る。
「ジャーナリズム」とはマスコミュニケーションに関わる人間の職業意識の問題かと。インターネット以前のレガシーメディアの時代には、大衆に情報を発進する行為は特殊な立場の人間にしか出来ないことなので、そのための職業的訓練や職業的信条が重要とされていた。で、ボクは誰もが自由に世界へ情報を発信できるインターネット時代においてもこの最低限の職業意識は今もって必要と思っている。広告ビジネスの延長で単純なプレビュー数主義やSEO至上主義に陥ったネットメディアが虚偽掲載や無断転用で閉鎖に追い込まれたり(DeNAの医療情報サイト「WELQ」の事件を指してます)。今月の草津白根山噴火で「自衛隊員8人が民間人を円陣を組んで守り、その後1人が死亡した」というソース不明のデマが無邪気にSNSで拡散して「マスコミはなぜこの美談を報道しないのか?」と噛み付く風評とか、ややこしいコトがいっぱい起きているからね。だから専門家だけでなく「ジャーナリズム」の基本原則は、発信側〜受信側〜再拡散する側の一般教養として会得すべきものになったとも言える。

●ただ、「ジャーナリズム」という概念も、ある時代の状況下の中で生まれた歴史的産物であることは間違いないわけで。戦前戦中のファシズム・軍国主義政権下において、表現の自由/言論の自由が圧殺された経験、そしてラジオなどの新技術を駆使した大衆扇動のテクニックが編み出されたこと(ナチスドイツのことを言ってます)に対して、欧米を中心にその失敗を繰り返さないための理論として編み出された思想が「ジャーナリズム」だと思います。これはその意味で戦後民主主義の産物であり、戦中の国家主導の全体主義に強烈なアレルギーを持ち、権力監視・権力批判の立ち位置をキープする性格を備えたことには理由があったと思う。よく耳にする「不偏不党・中立公正」のテーゼは人類の普遍的な道徳ではなく、戦後大衆民主主義の中でエンドユーザーへ安全安心に情報流通させるためのモラルというわけだ。
●この本に書かれている内容からもそのメッセージは強く感じる。戦中は日本軍国主義による思想弾圧(中には殺害された出版人も)とメディアの戦争迎合&戦争協力の問題、戦後直後はGHQの言論統制、そして出版社経営陣による共産主義寄りな編集者の一方的解雇やそれに抗議する労組の抵抗運動などが大きなイシューとして取り上げられている。GHQからその後の保守系政権の言論統制は確かに結構エゲツないモノで、日本国民がヒロシマナガサキの原子爆弾被害の実態を知ったのは戦後7年も経った後で、それまでは禁忌とされていた。沖縄地上戦や東京大空襲の実態がまとまって研究・発信されたのは戦後25年の70年代。韓国・従軍慰安婦問題が90年代に掘り出されたというタイムラグに違和感を持っていたが、ナイーブな事件の実態は即時に全てが公表されることがむしろレアで、誰かが職業的使命感(コレもジャーナリズムの一端)で取り組まないと真実は見えないということがわかった。
●50年代〜70年代前半は激しい政治の季節。労働争議の話題がいっぱいなのだ。雑誌「改造」編集部が全員解雇されて、全く別の社外チームがその雑誌編集を引き取ろうとしたり(「第二改造」)。国会議員の経営者が組合幹部を大量解雇、労働争議が始まると社屋への立入を禁止。組合員は唯一使用が認められたビル4階の組合事務所へ縄ばしごを使って出入りするとか(1959年「主婦と生活社」争議)。今では別の意味でイシューとなってるけど「教科書問題」もデカイ取り上げ方をしている。本来は無関係な人物が審査に関与して大きな影響力を奮ったというスキャンダルとかね(1955〜56年「F項パージ」事件)。反権力の姿勢と左翼思想が深くオーバーラップしているのは、時代感だね。

そんな中、総合週刊誌「週刊文春」はどんな流れにある存在なのか。
●そもそもで「週刊誌」という短いタームで雑誌を刊行するスタイルが、戦後1950年代にやっと実現されたビジネス。新聞社系の雑誌がやや先行で、出版社系が後発で参入。「週刊文春」は1959年創刊で後発組だ。この年には月刊誌と週刊誌の売り上げシェアが逆転。出版界の主役になる。1953年にテレビ放送が日本で始まりニュースの流通速度が早まる中で、出版の流通速度もニーズが早まっていったのか。取材網で新聞系に劣る出版社系の雑誌は、新しいタッチの「読ませ記事」と連載小説が売れ筋だったというが、当時の週刊文春がどんな雑誌だったかの言及はない。
雑誌のセンセーショナリズム/スキャンダリズムが話題になったのは、1981年新潮社「フォーカス」の創刊に続く、写真週刊誌のブームだ。講談社「フライデー」、光文社「フラッシュ」、これらをまとめて「FFF」と呼んでいる。文藝春秋も同じスタイルで「EMMA」を創刊しているが、これはすぐに失敗&廃刊。コンビニが街に現れた時期と重なって、小・中学生のボクでもこの手の雑誌を立ち読みするコトは多かったが、ヌードグラビアとかが多くてちょっと恥ずかしかったかなー(「袋とじグラビア」とかね)。「EMMA」も手に取った覚えがあるよ。
●そして今。ここからは「出版ジャーナリズム少史」には書いていないコト。そもそもの違和感で、この本は「出版少史」ではないので、実は出版界の売上や事業規模についての生々しい危機感はほとんど言及がないのです。もちろん部数減少で淘汰されていく雑誌があるコトは書かれていても、マンガ産業の発達や、文庫ブーム、新書ブーム、女性誌ブーム、(そしてコレに追加されるべきは角川が先鞭をつけたメディアミックス)など、タフなジャーナリズムと関係ない領域で事業は拡大していく様子が淡白に描写されているだけ。雑誌広告の経済規模なんて一言も言及がない。この本の著者は、まだ刊行時には決まってなかった新元号・平成の時代に、強烈な出版不況で「誰も本も雑誌も買わない」時代が到来するなんて予想していなかったようだ。「ジャーナリズム」は「職業意識」の問題なので、事業とは直接関係ないのかもしれないけど、いくら高邁な志と思想があっても、全く売れないんじゃ困るでしょ。逆に言えば、ジャーナリズムと事業が無関係と、一瞬でも思えた80年代当時は、幸福な時代だったと思えるわけです。
文藝春秋は戦前から存続する老舗出版社で、芥川賞・直木賞を主催する文芸界の雄。月刊誌「文藝春秋」はそれこそ旧来の出版ジャーナリズムに寄り添うタフな記事や寄稿がたっぷりですよね。「週刊文春」もタフなスクープは今でも量産しているのですよ。ジャニーズ事務所・メリー喜多川副社長へのインタビュー&元SMAPマネジャー飯島三智氏の呼び出しのハラハラなヤリトリを克明に伝えて、結果SMAP分裂独立のトリガーになった記事。全聾の作曲家・佐村河内守氏のゴーストライター問題も、清原和博・覚醒剤使用疑惑も彼らの仕事だね。
●とはいえ、ベッキーに始まり小室哲哉に至った不倫スキャンダル報道の一連の流れはなんなんでしょうね斉藤由貴の不倫も、船越英一郎VS松居一代のやや電波にヤラレタ離婚劇も火蓋を切ったのは文春の仕事かな?別に文春に限らずこの手の話題はずっとヒッキリナシか。出版不況/雑誌不況を打開するには、こうしたコンテンツが必要なのか。大衆読者に売れる筋なのか。そういう意味でコレは「ジャーナリズム」ではなく「マーケティング」なんです、ビジネス回す上で避けようがないんです、だって消費者は不倫が大好きなんです、そのニーズに応えなければ他の雑誌みたいに廃刊に追い詰められちゃうんです、というなら、まー100歩譲ってしょうがないですね、弱小メディアとして同情しますよ、と思うかもしれないけど、この手のセンセーショナリズム/スキャンダリズムが、老舗出版社としての「プロの職業意識」から発露した「ジャーナリズム」でございますとドヤ顔で主張されるなら、命がけで当局と戦ってた先輩たちと随分と姿勢が違いますよねーと感じるね。










●平和な日曜日を、平和な音楽を聴いて過ごしてします。
●まずはオーケストラつながりで。

PENGUIN CAFE ORCHESTRA「WHEN IN ROME」

PENGUIN CAFE ORCHESTRA「WHEN IN ROME...」1988年
●年明けから一月も経たず、もうCDを10枚強買ってます。そんな中、今年一番最初に買ったCDがこちら。ディスクユニオンで300円でした。PENGUIN CAFE ORCHESTRA のライブ盤なのです。へーこのバンドにライブ盤なんてあったのかー。緻密な多重録音を駆使したひんやりとしたインスト演奏に、ボクはこのバンドを「早過ぎた音響派」と呼んでいましたが、これ聴いてちょっと印象変わった…。もうCDそっくりの質感を維持したまま、ライブで見事なアンサンブルを披露するのです。実はこのCD、ユニオンのプログレ売場の激安コーナーにありまして「??こいつらプログレだっけ??」と思ったのですが、この繊細で丁寧な演奏技術はプログレ級の超絶職人技なのかも。
●ただ、バンドといえど、ロックバンドではない人たちなので。マンドリン、ウクレレ、クアトロ(南米のギターのような楽器)、チェロ、バイオリン、そしてアイルランド音楽で使われるペニーホイッスルなんかもおりまして、編成がユニーク過ぎます。パーカッショニストはいてもドラムはいないとかもユニーク。ピアノやベースが加わって、大勢でリズムを刻むと大きな音の打楽器でアクセントをつける必要はないのねとハタと知る思い。
●お客さんも一曲が終わるごとに拍手で応じたり。みんなが着席して、このアンサンブルを静かに鑑賞している様子が目に浮かびます。PENGUIN CAFE ORCHESTRA、ある意味でしっかりとオーケストラ的な演奏形態だったんだな。

くるり「PHILHARMONIC OR DIE」

くるり「PHILHARMONIC OR DIE」2008年
●これは昨年末最後に買ったCD。やっぱりユニオンで、100円でした!ディスクユニオンって年末年始もお正月休みなしでバリバリ営業してるんですよ。だからバリバリ買っちゃった。それでもこのCDの発見も嬉しかったなー100円だし。
●これもライブ盤@パシフィコ横浜なのですが、タイトルから連想される通り、ロックバンド・くるりが、ウィーン・アンバサーデ・オーケストラという16人編成のストリングスオーケストラとコラボしているのです。指揮者もちゃんとオーストリア人ぽい人。この頃のくるりはオリジナルアルバム「ワルツを踊れ Tanz Walzer」2007年でヨーロッパへ飛んで現地の音楽家と積極的にコラボしてたので、その流れでこのライブが実施され収録に至ったようだ。当時の名曲「ジュビリー」「ブレーメン」はオリジナル盤でもストリングスが壮麗な楽曲だから、それが忠実にライブに反映されてて素敵だった。「アナーキー・イン・ザ・ムジーク」のパンキッシュなロックナンバーもガッチリ決まってる。
●そもそもこの旧譜にいきなりボク自身の中で関心が高まったのは、年末年始に各雑誌各メディアでたくさん出てくる「2017年のベストアルバム」的特集の中で、くるり・岸田繁のコメントを読んだことがキッカケ。「MUSIC MAGAZINE」に今年の10枚を寄稿するにあたって、彼は最後の一枚に、岸田繁/京都交響楽団/広上淳一「交響曲第一番」2017年を選んでて。岸田地元繋がりで依頼を受けて1年半をかけて本格的なオーケストラ作品を完成。それが世間に出てたことに自分で言及していたのだ。へー岸田繁はそんな領域まで突入しているんだー。だから以前から気になってたこのライブ盤が欲しくなってた。芸風をドンドン広げていく姿勢がたくましいなあ。
●ちなみに本作は二枚組で、ディスク2は京都・磔磔でのフォーピース編成のロックライブ収録盤。「アナーキー・イン・ザ・ムジーク」の別アプローチ、初期名曲の「東京」などが心に響くね。



●えーとね、いきなり話題変えますけど。
●前回の記事で「アンガー・マネジメント」に A TRIBE CALLED QUEST が効くと書きましたけれど。感情の切り替え、もう一個手段があるのです。
Huluで観る、アイドル番組。
●家帰ってから仕事のコトを一回全部抜き去るには、とっても効果的。

セトビンゴ

●日本テレビ「STU48のセトビンゴ!」
自分でも感じるが、だいぶ追い詰められてる。末期症状だろう。こんな番組に癒されるようでは。
●姉妹番組である乃木坂46「NOGIBINGO!」欅坂46「KEYABINGO!」のほとんど全シーズンをHuluで見てるのは自分でもバカだと思うが、今月からスタートした新番組「セトビンゴ!」もとうとう見始めてしまった。大人としてヤバイ。
STU48は、48系の最新グループで、瀬戸内海沿岸地域を拠点としてる。新潟拠点のNGT48でニッチに走り過ぎと思ったが、瀬戸内全体とザックリ構えた荒技が斬新。ただ、当然この番組が関東地方で初めての冠番組、そしてメジャーデビューも今月末と完全に正体不明。この番組見るまでメンバーなんて一人も知りませんでした。じゃーなんで見るんだ、本当にヤバイ。

でもねー。見たらコレがハマるのよ…。STUの子達がイイのよ…。BINGOシリーズの初回って、グループの子達がかなりビビってて、番組として全く面白くならないケースもあるのです。欅坂「KEYABINGO!」も最初はキツかった。乃木坂3期生をメインとした「NOGIBINGO!8」もキツかった。ところが、STU48東京本格進出初めてのクセして、意外なほど気負いがなく、リラックスして、番組をフランクに楽しんでやがる。今キレキレの人気芸人・メイプル超合金がスゴく無造作に彼女たちを扱ってるのに、普通に「東京の芸人さん楽しい〜」って感じに面白がってやがる。語弊ありそうで申し訳ないけど「田舎っぽくてスレてない」等身大の立ち振る舞いってコト?なんなんだろ、この余裕?それがイイと思っちゃった。
●若い子は14〜13歳でもうウチの娘ヒヨコよりも年下。マジで子供。タダの子供。でも、20歳の初代センター・瀧野由美子ちゃんはカズレーザーのスルドイ振り込みに特技サックス演奏を用いて上手く応えてて感心しちゃった。これで彼女がボクの推しメン。あと、メンバー同士で話をすると普通に方言になっちゃうところはポイント高い。「〜やったけんね」と語尾にくっつくと、方言が珍しいボクはウキウキする。

●サクッと公式YouTubeで楽曲をチェックしたけど、地味でイモクサイ!AKB48のシングルにカップリングされた「瀬戸内の声」と今月末発売のデビューシングル「暗闇」を聴いてみたけど、構造がフォークソングなんだな。アイドルポップスにアレンジされてるけど、アコギで弾き語ってみても成立する曲だと思った。トーンは故郷を遠くに思うノスタルジー。引っ越し繰り返して故郷らしい故郷がないボクには一ミリも刺さらない。ただ、「幻想の故郷に汚れを知らない幻想の少女たちがいる」というファンタジーだと思えば、そういうもんだと納得できる。グループ内競争/世代間ギャップが激しすぎるAKB本体の殺伐とした空気とは別質の、浮世離れしたホンワカ感覚は新味です。彼女たち本人の垢抜けない素朴さと素直さもコミにして。

NOGIBINGO9.png

●年末まで放送してた「NOGIBINGO!9」のチェックできてなかった後半も見ちゃった。
●もう、最前衛エースの白石麻衣ちゃんとか西野七瀬ちゃんは出演しないんです。バラエティの立ち振る舞いが器用なミッドフィルダー的存在の秋元真夏とかがヘラヘラしてるんです。3期生はまだドキドキして上手く機能しきってないが、運営が顔を売りたい子は並んでる。珍しく齋藤飛鳥が出てると「お!」と思っちゃうよ(飛鳥本人が「久しぶりに来たんだけど…」とコメントするほど)。
●それでも!見る価値がある。乃木坂の古参部隊は熟練のロックバンドみたいなチーム感が出ちゃってて頼もしいほど!最近ぐんぐんキレイになった衛藤美彩や、アラサー領域突入25歳の開き直りが面白くなってきた新内眞衣松村沙友理が、お姉さんとして十代の後輩を上手くフォローするところとか、えも言われぬ感情がわく。秋元まなったんのコトだってボク応援してるしさ。Hulu独自コンテンツのオフトークコーナー「NOGIROOM」もチェックしますよ。うん、完全に意味わかりませんね。

生まれてから初めて見た夢

乃木坂46「生まれてから初めて見た夢」2017年
●以前の記事で欅坂46のシングル/アルバムについて熱く語ってしまった場面がありましたが(こちらの記事→http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-2045.html)、こちら乃木坂のアルバムも当然のように初回限定版で買っちゃってるんです。Amazonで予約して買いました。2016年ライブ特選集DVDがついてます。重症です。ワイフにすごくディスられます。
●このリリース段階から、つい最近の東京ドーム公演とさらにレベルアップしちゃった感があるので、今から仔細を述べるのもヤボかな。とにかくアイドルは旬が命だから。橋本奈々未の卒業シングル「サヨナラの意味」とかブンブン言いまくる「インフルエンサー」とか、なんか大過去のように思える。伊藤万理華卒業とか、この段階じゃ想像もつかないコトだったっけ。まりっかちゃん卒業、惜しかったなあ…。あの子の尖った個性はもっと注目されるべきだった。
せっかくのDVDもまるでAV観るかのようにワイフから隠れて観なければなりません。だから買ってからまだ一回しか観てなかったこの特選ライブDVDを今久しぶりに観てるんだけど、みんな生き生きとしてますね!もはや歴史時代の出来事のような深川麻衣卒業コンサートの「ハルジオンの咲く頃に」パフォーマンスがキラキラしてました。乃木坂のゴス女王(とボクが勝手に呼んでいる)齋藤飛鳥センター「裸足のSUMMER」で彼女の素直なスマイルが見られてよかった…時折トークで見せるダークなヒネクレぶりの対比が最高。普段はなかなか陽を浴びないアンダーメンバーのライブもいいね。川村真洋とか能條愛未といった個性派も頑張ってほしい。3期生「お見立て会」でのビッグチューン「命は美しい」も名場面だ。バラエティでは死ぬほどポンコツな大園桃子が、実は素晴らしくステージ映えすることも理解できた。

●それでも、実はボクの推しメンは生駒里奈ちゃんだ。北国から来た不思議な少女。

乃木坂46 生駒里奈ファースト写真集『君の足跡』

生駒里奈「君の足跡」2016年
成熟期に突入した乃木坂46のメンバー間格差は拡大している。ファッション誌の専属モデル契約を掴んだ子たちはアイドル文化圏を離れた女性ファンを獲得し、映画やドラマの主演格を獲得してる。西野七瀬ちゃんのコトだけどね。どこか自分の立場に戸惑ってて、引っ込み思案のようで負けず嫌いのガンコモノという自分の性質を持て余してた西野七瀬 aka なーちゃんが、23歳になってやっと自分のやり方を見つけて楽しそうに仕事をこなしている様子は、報われてよかったねと心から思える。彼女の主演映画「あさひなぐ」も観に行きましたからね劇場まで。そしてシングルのセンターもそんな彼女&白石麻衣 aka まいやんに集中してるのが今の乃木坂の状況だよね。
●その一方で、初期シングルで連続してセンターを務めていた生駒里奈 aka いこまちゃんはどうしたことか。かつて最前線でグループのスポークスマンさえ担っていた彼女は、現在は二列目どころか三列目の立場に甘んじている。なのにグループの中でも高く評価されてるダンスパフォーマンス能力はむしろドンドン向上していて、後列でいながら前列の後ろでイイ動きを見せてる様子がいじましい。
彼女は元来から自分の立場はあくまでグループ内の機能的な役割分担であって、センターであろうとどの位置であろうとベストを尽くすという思考の持ち主。雑誌のインタビューでは「センターだけが特別な場所になっちゃうのは嫌なんです。乃木坂全員でやってるコトですから」と答えてる。だから彼女はどのポジションであろうとベストを尽くす。これが彼女が乃木坂に所属したこと、AKB48との兼任を務めたコトで身につけたプロ意識なのだろう。バラエティでも彼女は敢えて前に出て頑張ろうとしてるからね。彼女への関心がボクの中で高まっていったのは、むしろ彼女がセンターを離れていった時期からだった。生駒ちゃんは、ただの「不思議ちゃん」じゃないぞと。
●秋田県出身。現在22歳。幼少期からダンススクールに通う活発な少女だったが、高校時代は周囲に馴染めず内向的に。趣味はジャンプの少年マンガやアニメ、声優さんと結構なオタク体質。「NARUTO」が大好き。第一印象は「不思議ちゃん」。世間の女の子とはズレた感覚の持ち主で、ボーイッシュな印象も、メイクが苦手なこと、集団で固まる習性が薄い感じ、などなどが深窓のご令嬢集団のように見える乃木坂46の中で異色だった。ファッションも私服はフェミニンなモノを避けたユニセックス趣味があるのかな。ただ成人して以降は、どこか女性としての成熟に戸惑っているかのように見える。一方で男気感じさせる心意気がスゴイ。ブログで見せる意識高めの文章は、厳しく自分に鞭打つ強さが漲っている。このあたりは彼女のコトが気になり始めて後から知ったコトだったけど。

写真集「君の足跡」は彼女が20歳になる前に撮影されたモノ。自分が成人してしまう前に、撮るべきものを撮るというスタンスで構成されている。彼女のルーツ秋田県の風景を背景に、制服姿をメインに撮影。ここに南国のビーチでキワドイビキニとかのありがちな演出はゼロ。彼女自身の意見としてそういうものは排除したようだ。ただしとても控えめなスクール水着のカットはある。それは成人する前に撮影すべき必然性があるなと彼女も納得したそうな。
●ただ、写真のほとんどで彼女はニコリともしてない。15〜16歳当時の写真とカットバックする構成もあったが、あの頃の素朴な無邪気さと比較すると、プロとしての成長が貫禄になって、その存在だけで写真を成立させてる。大人になろうとしてる準備が整った表情だ。
●ただ、それでも22歳。色々な仕事があって、色々なチャンスがあって、色々な葛藤があるコトだろう。そこに対して、心構えができていようと、のしかかるプレッシャーは軽くはならない。グループの中の立場、芸能界の中の立場、将来への展望、彼女が味わう様々な困難をどう乗り越えていくのか、注目だよ。

蛇足のような話だけど、生駒ちゃんと平手ちゃんの相似/非相似関係。
グループ初期の不動のセンターという意味では、生駒ちゃん欅坂46・平手友梨奈 aka てちは同じような立場だ。生駒ちゃんは7枚目にして自分がセンターを離れると知ってその場に倒れたそうな。それはセンターの重圧から解放されたことで一気に緊張がバラけたコトの反応だった。その重圧を今欅坂で一身に抱えているのが平手ちゃんだ。テレビ番組の中でも明らかに不調気味が見えるほど平手ちゃんが参っているのは見てて本当にツライ。
●初期乃木坂生駒ちゃんはあくまで「不思議ちゃん」であって、グループイメージと自分の本性は内面的には分離できる性質のモノだった。その意味で生駒ちゃんは生駒ちゃんらしさを内面でグリップできたはずだ。しかし欅坂・平手ちゃんにおいては、完全にグループイメージと平手ちゃん個人の内面が分離できないほど虚々実々が入り混じっている。彼女がリリックに没入していくタイプ、そして歌詞も彼女むけの当て書きになってるので、精神的負担は半端なものではないはず。しかもグループ注目度の急上昇ぶりが、AKB、乃木坂に比しても速すぎる。乃木坂が5年かけたステップを欅坂は2年でクリアしてしまった。だから平手ちゃんに代わるタレントがまだいないし、平手ハード路線以外でインパクトを作る運営側の演出も用意が出来ていない。本当に大丈夫なのか??

●ちなみに、この写真集は、秋葉原・書泉ブックタワー最上階の写真集売り場で探し出しました。発売直後に買ったわけではないので、どこでも売ってる感じじゃなかった。でも、なぜだろう?キワドイ露出もないアイドル写真集なのに、エッチな本を買うような後ろめたさを感じるのは。そして実際、ワイフは完全にコレをエッチ本以下の存在として忌み嫌ってる。不用意に家で見ることも出来ない。そっとレコード棚の奥にしまっておこう。





昨晩は、とてもよい飲み会があって、いい気分だ。
●2011年に分解してしまった大きなプロジェクトで一緒に働いた仲間が30人も集まった。あの頃はみんなが若くてみんなバカだったけど、夢中になって仕事できる場所があった。それは先行する多くの先輩たちがさらに30年の歴史を積み重ねて作ってくれた環境で、メンバーみんなが厳しく切磋琢磨しながらも、かけがえのないアットホームな空気があった。今日きてる連中だけで、このチームの中で伴侶を見つけて結婚したカップルが7組もいたのだから、本当の意味で「家族」だわ(子供ができてるからカップルの片方しか飲み会には来れない。マジで「家族」)。ボクも大きなチャンスをもらって、ノビノビと仕事させてもらった。大先輩にそのコトの感謝の気持ちを今日伝えたら「オマエの世界観は、オレには全く無縁で全然分からなかったけど、その世界観をどうしたら守ってやれるか、色々考えたもんだよ」ああ、当時からうっすら感じてたけど「よく分からないままに、そのままやらせてくれていた」という思いだったんだ。本当にありがとうございます。
●今では、それぞれが独自のキャリアを積み上げてて、新しい場所を切り開いてる。子育てに注力してる女性もいれば、会社を転籍して硬いジャンルの仕事をしてるヤツも。自分でチームを率いているヤツ、かつての仲間を引き寄せて違う場所で仕事してるヤツもいる。みんな立派な大人になってるよー。
●そんな再会で、心が洗われたような思いだ。


●その一方で、今から書くことは、すごくネガティブ。ネガティブな感情はダメだね。
●でも、飲み会に行く前に途中まで書いてたモノだから、もう公開しちゃいます。



仕事がキツイです。その中でテンションを保つために、音楽のグルーヴから力を得る。

A TRIBE CALLED QUEST「WE GOT IT FROM HERE THANK YOU 4 YOUR SERVICE」

A TRIBE CALLED QUEST「WE GOT IT FROM HERE... THANK YOU 4 YOUR SERVICE」2017年
年末も仕事がキツかったが、年始もやっぱり仕事がキツイ。代休使って正月休みをロングにしてる同僚を尻目に、カレンダー通り出勤して、ほぼ連日23時まで残業 or 新年会なお付き合い。年末から年始にかけて昼メシは一回も食べてない。タフな契約交渉が神経戦でツライ。ただ、ここまでは別に問題ない。通常モードだ。
●しかし先日、四時間近くにわたってオジサン上司からネチネチと堂々巡りの議論をふっかけられた瞬間は、マジでココロが折れそうになった。部局の路線と思って進めてたプロジェクトの根底を覆すようなコトを言い出して、ボクを混乱させる。ボクは副部長から管理職会議で承認された任務を遂行してるのだ。なのにナゼこのオジサンはこの部局全体の路線に対する異論をボクにぶつけてくる。それはボクのジャッジじゃないし路線を覆す権限もない。「担当者としての意見はないのか!」…だってマダ始まったばかりで収入立つ段階じゃないし評価できないよ。アナタが問題にしてるのは社内の稟議の上げ方と伝票の回し方だけで、ソコだけで事業全体を根底から否定する姿勢ってオカシイよ。完全に結論がない禅問答だ。
●一番の年長者だけに年下の部長や副部長も扱いに難渋してると聞いてたし、ボクもこのプロジェクトをオジサンが気に入らないのは以前からネチネチ言われて理解してた。しかし、ここまでくるともうパワハラじゃねーか!三時間たった段階でムカムカが止まらなくなってきた。「申し訳ないですけど、もう管理職の人でお話ししてもらえますか!そこで決まった通りに動きますから!」そう言い放ったものの、オジサンにさらに燃料を注いだようで、さらに延長戦。くそ、オジサンは18時で上がるだろうが、こっちは今日も残業だ。この四時間の議論から続けざまにこのオジサンとの打ち合わせが入ってたが、後輩に事情をメッセしてバックれた。
●ボクがオジサンに絡まれてるコトを周囲の同僚はみんな見てる。気の毒に…と憐憫の視線を感じる。けどフォローはない。次また絡まれたら、みんなの前でどデカイ声で怒鳴り合いを始めればいいのだろうか。みんなが無視できないほどに。普段は従順で大人しいボクが感情むき出しにしたら、職場全体がドン引きするだろうな。そこまでハッキリメッセージしないとオジサンにも管理職にも問題意識生まれないのかな。「アンガー・マネジメント」という言葉がアタマをよぎるが、わざと怒りを爆発させて風向きを変えるしかないか。

●というコトで、とりあえず解消しないこの問題をアタマから切り離し、この昇華しようのない負の感情を無難に制御するにはどうしたらいいか?お酒が飲める人はココで楽しくお酒を楽しむのか。キャバクラとか行くのか。小室哲哉みたいに不倫するのか(ボクももう仕事引退したくなった)。お酒が飲めないボクにあるのは、音楽だ。音楽しかない。

A TRIBE CALLED QUEST20年近くのブランクを破ってリリースした去年のアルバムを聴く。これが当座ボクが採用してるアンガー・マネジメント。彼らのビートがボクを正気にする。
●ヒップホップに対して音楽リスナーは色々な反応をする…ライフスタイル全部を呑み込んで没入する人から、音楽として苦手で聴けない人まで。ボクはB-BOYじゃないけど、ヒップホップを聴く分量は常人よりはスゴイはず。去年買った約500枚の中でも一番多いジャンルじゃないかな。ヒップホップのビートは聴くと効く。以下に書くボクのアプローチはヒップホップを聴く姿勢としてはちょっと奇妙かもしれないけど。
●ヒップホップにおいて、トラックとラップの関係はコード感で結び付けられていないから、反復するビートは不用意にエモーショナルになるコトなく、フラットな感覚を維持している。それでいて、メロディを持つコトとは別の秩序でトラックの上にばら撒かれるボーカルは、そのビート上での配置がスリリングなほど技巧が凝らされていて、一定の緊張がピンと張ったままになる。乱れたボクの感情は、ビートの反復の中で一旦フラットに調整され、それでいて高い位置での緊張感をもって崩れるコトなくテンションを維持する。仕事は継続されなければならないし、ボクに落ち込んでいるヒマはない。アタマをクールにしながら、早歩きのテンポで前に進む。ヒップホップは明日に進むために効く。

A TRIBE CALLED QUEST、またはその頭脳であるトラックメイカー兼フロントマン Q-TIP の鳴らす音楽は、その効用において最高ランクだと思う。ヒップホップのビートを機械的な反復と捉えると、非常に残念だ。Q-TIP のトラックメイキングにおける素材音(サンプル、生演奏共に)に対する高い美意識(というかフェテシズム)は、磨かれた宝石のように上品で、ドラムのブラシの感触からキックの質感、ギターのリバーブまでピリピリに配慮が施されてる。それでいてそんな技巧を察知させないほど耳に優しい。今回のアルバムだって、サンプルソースがプログレ系の CAN とか GENTLE GIANT だし。そして彼のラップも独特だ。自己主張の激しい感情表現を避けながら、独特の鼻詰まりでボソボソした声を使って丁寧かつ高密度で言葉を配置する。気分をムダに煽るコトなく、マイルドかつクールにテンションを維持する。一歩進むと催眠的な効果すら持つ。

●というコトで、彼らが活躍した80年代末から90年代と変わらぬ水準で、再結成アルバムを見事リリースしたわけだが、これは彼らの復活アルバムにはならない。長らく糖尿病に苦しんでいたもう一人のラッパー PHIFE DAWG が2016年に亡くなったからだ。解散した後のメンバーたちがそれぞれキャリアを進める中で、PHIFE のキャリアは低迷していた。幼馴染の二人、PHIFE こそが Q-TIP をヒップホップの世界に導いたのに、その後見事に音楽的天才を開花させた Q-TIP に主導権を完全に奪われて、メンバーの間に亀裂が生まれた…それがこのユニットの分解の裏舞台だった(このあたり、映画「ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ 〜ア・トライブ・コールド・クエストの旅〜」2013年を見ると詳述されてる。PHIFE の糖尿病も言及されてるしね)。その後、彼は音楽から距離をおいて高校バスケのスカウトの仕事なんてしたりして。しかし、ライブパフォーマンスレベルでは小規模再結成を繰り返していた彼ら、今回は、病気に苦しむ PHILE の支援のために急遽結集してアルバムを制作したのでは?となんとなく感じてる。その甲斐無く彼は45歳で亡くなってしまうのだけど。
●ちなみにゲストもしっかり活躍。90年代以来の盟友、BUSTA RHYMES CONSEQUENCE、一応後輩筋の KANYE WEST、アトランタから ANDRE 3000 も参加。去年大ブレイクの KENDRICK LAMAR「CONRAD TOKYO」という楽曲に参加して PHIFE と一対一勝負だ。「SOLID WALL OF SOUND」という曲には、ガレージロッカー JACK WHITE ELTON JOHN までクレジットされてるぞ。

Q-TIP「KAMAAL THE ABSTRACT」

Q-TIP「KAMAAL THE ABSTRACT」2009年
●このアルバムは、その Q-TIP の3枚目のソロアルバム。2002年には完成してたらしいので、ホントならセカンドアルバムになってたかも。90年代にはイスラムに改宗して、本名では KAMAAL を名乗るようになったとのこと。THE ABSTRACT は彼の異名の一つ。ヒップホップの「抽象美」を追求する求道者。
このアルバムはジャズファンクのジャムセッションみたい。ギターとオルガン/フェンダーローズの生弾き(ベースもか?)が洗練にかき消されない微熱をしっかりと伝えてて実に心地いい。フルートもしっかり演奏してるねえ。まるで70年代ソウルのようだ…ラップもいつものように過密でなくて、どこか歌心がある。

●映画「ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~」は、本当に興味深いドキュメントだったが、ネットフリックスで観たんですよ。ネットフリックスって妙にヒップホップ関係の映画コンテンツが多い気がすんだよね。他にもいくつか面白い作品があったからそのうち紹介したいなあ。
●ただ、A TRIBE CALLED QUEST が作り上げた音楽はヒップホップの表現を革新する、美しい宝石のような作品だったけど、グループ内の人間関係は、常に良好というわけじゃなかった、ってのは切ない事実だったな。天才肌の完全主義者 Q-TIP と、スポーツ好きなやんちゃ者 PHIFE DAWG は2歳の頃からの友人だったのに、いつの間にか道を違えてしまう。映画のインタビューでお互いを批判し合う様子は見ててツライ。それでも、最期は一緒に仕事をして、このユニットの歴史に決着をつけたんだな。

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A TRIBE CALLED RED「MOOMBAH HIP MOOMBAH HOP EP」2011年
●蛇足。A TRIBE CALLED QUEST ではなく、A TRIBE CALLED RED似た名前だけど完全に別の存在。だけどついでに紹介します。カナダ人のEDM系ユニットで、いわゆる「ムーンバートン」というスタイルの音楽をやる連中。コレはネットの中で公式ダウンロード・サイトを見つけて無料でゲットした音源だ。当時は色々な音楽をネットで探り出してたな。
「ムーンバートン」とは、オランダのプロデューサー SILVIO ECOMO と南米スリナムのDJ、CHUCKIE が共作した「MOONBAH !」2009年というシングルに由来したスタイルで、このハウスサウンドを大胆にテンポダウンしてレゲトンなどの要素を混交させたもの。結果的にはハウスとレゲトン/ダンスホールレゲエや南米のラテンリズム・バチャータ、そしてダブステップまでがハイブリットされた音楽、と言われてる。
●この音源はタイトルにあるように、その「ムーンバートン」をさらにヒップホップに接近させた内容。ERIC B. & RAKIM「DON'T SWEAT THE TECHNIQUE」 MAIN SOURSE「FAKIN' THE FUNK」といったクラシックを大胆に改変したリミックスが収録されてる。サンプルソースは耳にコビリついた名曲でボクの中ではお馴染み、EDM とは表情が変わったザックリとしたビート感がクセになって、よく聴いてしまう。本家 A TRIBE CALLED QUEST を iTune で鳴らしてると、いつの間にかコレが順番で鳴り出すしね。
「ムーンバートン」は、当時勃興しつつあった「トラップ」のスタイルと同じような野蛮さを孕んだアングラなベースミュージックの匂いを感じさせてた。野趣がよいね。が、その後さらにサブジャンルに分割されて(ムーンバーコア、ムーンバーソウルなど)、一昨年〜去年に注目されてた「トロピカルハウス」の源流になったらしい。ふーん。






●A TRIBE CALLED QUEST「DIS GENERATION」。BUSTA RHYMES も参加。
●他にもYouTubeで昔の楽曲を見返してみると、本当に BUSTA とは昔っからツルンデいるんだな。


●昨晩は、転職で全く無縁の世界に旅立つ仲間の送別会だった。
●その一方、ボク自身が、昔と比べてドンドン違う世界に軸足をズラしている。
●そのキャリアチェンジを望んで選択したのはボク自身で、後悔はない。ただ、仕事から得られるカタルシスの質が昔と今で圧倒的に変質してしまった。昔と同じジャンルで仕事を続けている連中はまだあの甘美なカタルシスに浸っているんだなと思うと、ボクは果てしなく遠くに来たもんだと思う。あれは中毒性の強いカタルシスだったよ。どんなに苦労を重ねても、それを消し飛ばすようなドーパミンが出まくるような感覚。でも、いつの間にかカラダがボロボロになってたんだよ。ジャンキーのように。



さて、1月から新しいプロジェクトが始まりそうで。
●若手の女子とボクがその担当にアサインされた。副部長いわく「オマエも金曜のキックオフ会議出てね」。あ、若手女子ちゃんが一人でやると言われてたけど、やっぱボクも関わるんだ。確かにあの子じゃ手に余るかもと思ってたから、手伝ってあげろという意味か。
●で、若手女子ちゃんと会話。大丈夫?準備できてる?「全然引き継ぎないんですけどー」ないよねー。この前の異動でこの手の仕事に一番詳しいSくんいなくなっちゃったからね。ボクも彼がいなくて細かいトコロがわかんないままやってるんだよ。でもボクでわかる範囲は教えてあげるよ。「この仕事って、どこらへんが楽しいんですか?」へ?楽しい?「この仕事してワクワクドキドキするとかあるんですか?」ワクワクドキドキか…。ハラハラドキドキの方が多いかもな。やることといえば、各所根回しと数々の書類作成と経理処理と契約締結がタップリで、気を緩めるとガバガバになって危ないからキリキリと引き締める感じだわな。「それで、何か得るものがあるんですか?」うーんとね、マトモな大人になるための準備ってトコかな。
●文字に起こしてみると、若手女子ちゃんの言ってるコトって何だかスゴく「イマドキのゆとり世代」風に聞こえるけど、実は彼女の言葉は至極真っ当な感情だとボクは思ってる。彼女と同じ年頃、30歳前後だったボクは、それこそ「ワクワクドキドキ」だけで仕事してた。ジェットコースターみたいに先の読めない仕事をブチ込まれて、そのスリルに没頭する感覚が一番大切だった。結果が出せたかどうかはよく分からんけど、先輩に褒められたら本当に嬉しかった。地獄のように残業しまくってたのは今の時代には許されないが。
●そんでそんなワクワクドキドキ盛りの若手に、オッサンであるボクが夢のないコメントしてるのは、なんだかカッコ悪いコトのように思えて少し悔しい。「すっげえ面白いよ契約書って!マジで!」とか言えないし。「収支の概算を計算するのがウキウキだよ」も言えないし。ボクはオッサンだからソコに責任を持つ仕事するし、新しいプロジェクトで新しいスキルや人脈を獲得するコトに意味を見いだせるけど、30歳女子が楽しめるかどうかはね…。

そもそもで、この先、ボクはどんな仕事してくんだろう??よく分からなくなってきた。
●今の部署もそろそろ6年目になっちゃう。居心地はいいし、多分ボクに向いてる。でも同じ立場で10年先も同じことしてるはずがない。どうなっちゃうんだろう?何を目指せばいいんだろう?と自問するようにワイフに話したら「10年先は、今はない新しい仕事が出来てて、ソレをやってるわよ。今心配してもしょうがないでしょ」と言われた。あ、ソレどっかのネット記事で読んだ。「今の子供達は、現在はまだない職業に就く」ソレと同じか。ボクの今の部署は10年前には影も形も存在しなかったセクションで、事業として体をなしてきたのもここ3年程度のコトだ。10年経ったら全く違う組織が出来てて、ソコで仕事してるかも。この一言で何だか気持ちが少し楽になった。そして50歳を過ぎても「ワクワクドキドキ」を感じられる仕事を見つけられたらな。


●脈絡は特にないけど、今夜はUKロックを聴いてる。

JAMES「PLEASED TO MEET YOU」

JAMES「PLEASED TO MEET YOU」2001年
2001年に入社した後輩が、今月をもって会社を辞める。今の職業は大好きなんだけど、悩んだ上で家業の小さな電子機器メーカーを継ぐコトにしたとな。そんな挨拶メールをもらったから、ボクは少しセンチメンタルになってるのだ。彼は40歳という節目の年齢を迎えて、人生をグルリと切り替えた。そんな出来事にボクは、置いていかれてしまった、という寂しい気持ちになってしまった。このアルバムが2001年リリースの音源と知って、より一層自分の感情の場所がよくわかってしまった。この JAMES というバンドは、そんな感情に寄り添うような、どこか甘酸っぱくて、胸が切なくなる音楽を鳴らしてくれる。
80〜90年代に活躍したマンチェスターのバンド、という意味ではボクにはガチリアルタイムなはずなのだけど(THE SMITHS、THE STONE ROSES、HAPPY MONDAYS、INPIRAL CARPETS、OASIS などなど全部聴いてたじゃないか!)、何故か何となくスルーしてしまって実はこのバンドをマジメに聴くのは今回が初めて。ジャケの人物の面構えがイイ味出してるオッサンというトコロで親近感をもったのか?ボクはこんなカッコイイオッサンにはなれてないけど。
マンチェスター風のインディダンス/ギターポップのミクスチャー感覚。でも1981年から活動しているだけあって、洗練と円熟味を身にまとって実に落ち着いている。その一方で枯れるコトにないエモーショナルな瑞々しさもあって、明日に向かっての勇気もくれる。地味といえば地味だけど、センチメンタルなオッサンを慰めるのは地に足ついた実直さなのですよ。…90年代に10〜20歳だったボクが聴かなかった理由がわかった、この音楽を理解するには年齢が必要だったのか。あ、プロデューサーは BRIAN ENO なのか!このバンド、ENO に見込まれて何年も一緒に仕事してる!
●ジャケの男性は、てっきりバンドのフロントマン TIM BOOTH なのかと思ったらそうじゃないらしい?!TIM BOOTH を検索したらスキンヘッドに髭面だったぞ。じゃあコレはバンドの中の誰?