「ハリー・ポッター」シリーズ読破。
●最近ナニやってるの?と幾人かに聞かれてこう答えた。「ハリー・ポッター」を読んでいると。するとたまたまなのかその質問をした人はみんなこう言った。「一巻だけ読んだけど、続きは読む気になんなかったね〜」&「まー映画で十分かな」。否、それはとても惜しい事をしている。

●久しぶりに訪れた会社で看護師「のび太くんのママ」さんがそんな人の一人だった。「最近はナニしてるの?」ハリー・ポッター読んでますよ。「あー、アレは最初だけしか読まなかったな〜」ボクはこう言った。「もう5巻以降はスターウォーズ並みですよ。壮絶な魔法戦争で死人もボロッボロ出ますよ。謎解きも難解になってきて、最終巻は全巻全ての伏線が結集する仕掛けですよ」



「ハリー・ポッター」シリーズを全部おさらいしてみましょうね。多分読んでる人少ないと思うから。


ハリー・ポッターと賢者の石 (1)ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
(1999/12)
J.K. ローリング

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第一巻「ハリー・ポッターと賢者の石」は、不遇な少年ハリー・ポッターが突如「キミは魔法使いなのだよ」と告げられ、巧妙に一般社会から隠された不思議な不思議な魔法社会の中に入っていく物語。全寮制の魔法学校ホグワーツには、珍奇な習慣や個性溢れる友人や先生(校長ダンブルドア、なにかとハリーをいじめるスネイプ先生など)に出会うハリーの姿が生き生きと描かれ、そんで学校の中に潜む謎解きに立ち向かう事となる。
●こうした学園青春もの、ファンタジーものは、実は我が家ではワイフが専門だ。ワイフはテレビの「サブリナ(SABRINA THE TEENAGE WITCH)」シリーズを夢中で観るタイプなのだ。で、ボクは「お子様向きだわ」と一巻で一回挫折した。確かに丁寧な世界観には感心した。クィディッチという架空の魔法スポーツを描いたり、魔法社会の様々なしきたりや、一般社会とのカルチャーギャップを描いたり。魔法使いは普通の人間の生活習慣に疎く、その普通の人間の前に姿を現すときは、普通向けに配慮した積もりが超ヘンテコな不審人物になってしまう。楽しいファンタジーだけど、全部読むのはシンドイわと。



第二巻「ハリー・ポッターと秘密の部屋」は、実は唯一原作で読んでない。


ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2)ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2)
(2000/09)
J.K. ローリング

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●ボクもこの段階では「映画で十分」と思っていたからだ。幼い一歳のハリーを襲い、ハリーの両親の命を奪った、史上最凶の魔法使いヴォルデモート卿(一時期魔法社会を恐怖政治で支配し、その失脚後も「名前を行ってはいけないあの人」と魔法社会の禁忌になってるほど)との因縁が徐々に明らかになっていく。



ボクは第三巻でこのシリーズの印象を変えた。「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」である。


ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (3)ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (3)
(2001/07/12)
J.K. ローリングJ.K. Rowling

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多分、原作&映画ともにシリーズ最高の出来映えだと思う。魔法社会の犯罪者を監禁する驚異の刑務所アズカバンの幾十もの魔法をくぐり抜け、ある囚人が脱獄した。凶悪な殺人犯シリウス・ブラック。ここでハリーは自分の出生のナゾへ近づいていく。ヴォルデモート卿の攻撃を受けながら生き残った唯一の人間であり、しかも反対に彼を返り討ちに会わせ失脚させたというハリー。しかし当時一歳のハリーに自分の身にナニが起こったのかは分からない。両親がどんな人物かも分からない。新任のルーピン先生や脱獄囚シリウスとの出会いでそのナゾが徐々に解き明かされていく。そして天涯孤独だったハリーに暖かい結末が待っていた…。
●これは、かなり高度な推理サスペンスになってて、しかも魔法社会という異質なシチュエーションがその推理の複雑さに輪をかけている。ホグワーツ魔法学校は脱獄囚シリウスに動揺するが、ハリーたちはある疑問にたどり着く。彼は本当に凶悪犯なのか? そしてハリーは亡き父ジェームスの思い出を、親友であったルーピン先生とシリウス・ブラックから知らされる…。ハリーのルーツに迫る一冊。



第四巻「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」。ココから物語の分量がグッと増え、上下巻構成になる。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット 上下巻2冊セット (4)ハリー・ポッターと炎のゴブレット 上下巻2冊セット (4)
(2002/10/23)
J. K. ローリングJ. K. Rowling

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第三巻の出来映えが良過ぎたので、ちと冗長になったコレはオモロくないのでは?と思い長年本棚の肥やしにしていた。トピックはハリーの甘酸っぱい初恋。そんで、フランスとブルガリアの魔法学校の三校で競う魔法競技会の選手に選抜されちゃったハリー。コレまた奇想天外な競技会で、イキナリドラゴンと対決させられたり、水中人の暮らす湖でゲームを競ったり。知力体力時の運で勝ち残るハリー
●一方で、かつてヴォルデモート卿の下で恐怖政治を実行した魔法使い集団「死喰い人」が露骨なテロを引き起こす。ヴォルデモート卿復活の準備が整いつつあるのだ。そして競技会の最終戦に紛れ込んでハリーの前に姿を現すヴォルデモート卿。二度目の対決に辛くも生き残ったハリーだが、史上最凶の魔法使いも完全復活を遂げたのだ。



第五巻「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」は、このシリーズ第二のピークだね。


ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)
(2004/09/01)
J. K. ローリングJ. K. Rowling

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ヴォルデモート卿は完全復活した。しかし当局である魔法省はコレを認めない。ハリーの世迷い事と一蹴するのだ。まさに「不都合な真実」から目をそらす大衆心理。ハリーの理解者であったはずの魔法大臣までが態度を翻して未曾有の危機を隠蔽する。いや彼自身が魔王復活を信じたくないのだ。「私の任期にそんな事が起こるはずがない…大体証拠はハリーの目撃証言だけ」ハリーはデマゴークとして批判され、ホグワーツ魔法学校には当局から監視官として憎たらしい女性魔法使いが送り込まれる。結果としてヴォルデモート卿魔法省が、両側面からハリーを攻撃するのだ。日々監視と弾圧を受けるハリー。そんな危機に一番頼りになるはずのダンブルドア校長はナニもしてくれない…。
●一方で、ハリーの証言通りヴォルデモート卿復活を信じたレジスタンス「不死鳥の騎士団」が登場。強烈な個性を放つ手練の魔法使い集団は、まるでジェダイマスター。親友ロンの家族やルーピン先生、そしてハリーの名付け親だったシリウス・ブラックも合流してハリーを匿う。一方学校では、当局の弾圧を逃れ自警団「ダンブルドア軍団」がハリーを中心に組織される。頼りない級友たちだが、あまりに理不尽な当局の仕打ちに立ち上がった有志だ。
●非合法集団となった「不死鳥の騎士団」「ダンブルドア軍団」の隠密行動は、魔法省の奥深くに眠る予言の間に行き着く。そこで「死食い人」集団との正面衝突。血に飢えた凶悪な魔法使いと本気の魔法戦闘。そして最後に駆けつけるダンブルドア校長とヴォルデモート卿の一騎打ち。大切な人が命を失ったこの戦闘で、魔法で幾重にも防御された秘密基地「魔法省」は半壊。やっと魔法大臣は迫り来る危機を認識するのだった…。


第六巻「ハリー・ポッターと謎のプリンス」最終巻「ハリー・ポッターと死の秘宝」は、是非とも一気読みをお勧めする。2巻の間にはビシビシに伏線が絡まり合って間隔を空けるとハナシがコンガラがる。最終巻は全巻の伏線の総決算だ。


ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)
(2006/05/17)
J. K. ローリングJ. K. Rowling

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●第六巻は、ダンブルドア校長とハリーの個人授業を軸に展開していく。それは、ヴォルデモート卿の生い立ちを辿っていく旅である。人間社会の孤児院で育った美少年トム・リドルは、ホグワーツからの入学連絡まで、自分が魔法使いである事を知らなかった。厄介者のハリーをいじめ抜くダドリーおじさんの家で暮らしてきたハリーと同じだ。しかし自分に特別な力が備わっている事は理解していた。強力な魔法技術を持ち、その不遜さ、虚栄心、猜疑心を膨らませていったリドルは、永遠の命を得る為に恐ろしい禁忌の呪文で自分の魂を分割した。全ての魂を破壊できなければ、リドル=ヴォルデモート卿は不死である。その不死の力を以て魔法世界を支配するのだ。
●生い立ちの似たハリーリドルの、その後の人生の違いが浮き彫りにされる。ハリーリドルも、普通の人間(魔法使いはマグルと呼ぶ)との混血児だ。しかしリドルはその過去を隠し「純血主義」「血統主義」を押し出し、自分を頂点とする独善的なヒエラルキーを構築した。ここには人種差別的なエリート意識が仄めかされている。そしてそんな偏見に魅せられる魔法使いも少なくないのだ。
●一方でハリーは、マグル好きな魔法一家のロン、両親ともマグルハーマイオニー、巨人族との混血ハグリット、不器用なネビル、変人のルーナ、そしてさまざまな魔法生物(屋敷しもべ妖精、ゴブリン、ヒッポグリフ、ケンタウロス、学校を彷徨う幽霊たちなどなど)とも親交を結び、深く深く友情と信頼の意味を学んできた。ハリーと比較すれば、傑出した魔法使いでありながら孤独な人生を歩んだリドル=ヴォルデモート卿の半生は哀れさえも誘う。しかし、ダンブルドアの捜索の中でも明らかにされない魔王の謎はまだ深い。
●しかし魔王を打倒するためのダンブルドアとの旅は、陰惨な事件で断ち切られる。ヴォルデモート卿の策略と、入学時からのライバルだった純血主義者のドラコ・マルフォイ(父親のルシウス「死喰い人」)の働き、そしてシリーズ一貫してハリーを憎んできたスネイプ先生によって、ダンブルドアは殺されるのである。


「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)
(2008/07/23)
J. K. ローリング

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●最終巻では、ハリーと親友ロン&ハーマイオニーは最終学年にてホグワーツ魔法学校をドロップアウトする。ダンブルドアの遺志を継ぎ、分割されたヴォルデモート卿の魂を封じ込めた「分霊箱」を探す旅に出るのだ。しかしコレはタダの宝探しではない。ダンブルドアは勿体付けてヴォルデモート卿の全てをハリーに明かさずママに死んだ。なぜ校長は全部を打ち明けてくれなかったのか。謎めいた言葉と、不思議で役に立ちそうもないモノを3人に相続して、消えていなくなった。そんなダンブルドアハリーは苛立ち、あてもない放浪と逃亡の旅を続ける。
●しかし、この旅の過程そのものが、ダンブルドアの狙いだった。ヴォルデモート卿と対峙するにあたって、ハリーに最後の覚悟と勇気と知恵を授けるプロセスなのだ。それは教えられるモノではなく、自ら掴み取るものである。コレは全シリーズで一番陰鬱で退屈な冒険かも知れない。しかし少年が戦士として成長するために絶対必要なイニシエーションなのだ。
●後半は、我らが愛して止まなかったホグワーツ魔法学校を舞台に、最後で最大の魔法戦闘が繰り広げられる。巨大な魔法要塞でもあるこの学校の防御システムが動きだし、志ある先生生徒が迫り来る「死喰い人」と激闘を繰り広げる。「死喰い人」は禍々しい魔法生物まで駆り出して学校を破壊、愛すべき仲間たちが次々と命を落とし、ハリーの胸を焦がす。なかでも、シリーズを通して重要な役割を果たしてきたある人物の死に、作者は丸々一章を捧げている。その謎めいた行動に秘められた真意にハリーと読者は感動する。そして、ヴォルデモート卿との最後の決戦。魔力の大きさでは勝ち目はない。しかし、敵が知らない多くのモノをハリーは学び取った…。



シリーズ全編通して読めば明白だが、ハリー自身は「野比のび太」級のただのメガネだ。
●たいして運動神経も良くないし、魔法のセンスもイイわけじゃない。学校の勉強も並程度で、ルックスもよくないし、モテない。マトモに出来るっちゃー魔法のホウキの操縦くらいだ。のび太だってアヤトリと射撃という特技があるからね。よって、次から次へと迫り来る危機に対しては、ほとんど偶然の成り行きでギリギリで切り抜けてるだけ。ボクがヴォルデモート卿に殺されずに済んでるのはマジただのラッキー。ハリー自身も、ヴォルデモート卿もそう思ってた。

でもそれは偶然じゃないわけよ。確かにキッカケは偶然かも知れない。しかし魔法世界で出会う様々な人々に対して誠実に付き合う彼の性格は、地味ながら強い友情や愛情を集める。親友ロン&ハーマイオニーを始め、信頼に足る絆をどんどん築き上げる。その信頼の蓄積が彼をピンチから救うし、友情と絆の大切さを思うばかりに、時として火事場のバカ力を発揮する。ヴォルデモート卿に殺された両親からも特別な愛情を注がれ、ソレが故の強力な呪文で幼い彼は命を取り留めるのだ。
●最初から傑出した魔力を持っていた超エリートのヴォルデモート卿には、このテの感覚は理解できない。孤高を好み、周囲を恐怖で圧倒し服従させる。校長ダンブルドアは、この性格の違いにハリーの勝ち目を読んでいた。そして成長したハリー(最終巻は17歳)は、全てを自覚し、最後のクソ度胸で立ち向かう。魔王には理解出来ない領域で、魔王を大きく凌ぐ力を発揮する。子供向けのファンタジーにアリガチと言えばオシマイだが、この物語は、ある平凡な少年が、信頼と友情そして愛に包まれて、逞しい戦士に成長し、巨大な恐怖に打ち勝つ過程を描いている。



●そして「ハリー・ポッター」では、普通の人間社会(マグル社会)と変わらないクダラナイクソッタレな現実が、少年の目線からキビシく批判されている。

●重ねて言うようだが、魔法使いの中にある「純血主義」「血統主義」は、まさしく現代の人種差別や民族問題と重ね合わさる。マグルと魔法使いの通婚は珍しくなく、マグルとのハーフは大勢いる。希にマグルの家族に突然魔法使いの子供が生まれることもある。ハリーの女友達ハーマイオニーや、ハリーの亡き母親リリーがそうだ。が、純血主義者は彼らを「穢れた血」と呼ぶ。ヴォルデモート卿復活以降はマグルの混血を、魔王の手に堕ちた当局が検査監視する事態になった。そしてハリー殺害の暁には「民族浄化」が行われ、慎ましく世を忍んでいた魔法使いが一般社会を侵略し、マグル社会を支配していただろう。カスピ海ヨーグルトをキッカケに、静かな長寿国として有名になったコーサカスの高原国家グルジアが、民族問題と大国の干渉で一気に内戦へ突き落とされたのは皆さん周知の事実でしょう。丁寧に隠蔽されているが、中国少数民族が中央のイデオロギー教育でその多様性を保持出来ない状況、そして広がる経済格差で負け組に突き落とされていく状況と、同じじゃないだろうか。
一方で知性のある魔法生物への差別偏見も著しい。しもべ妖精は、裕福な魔法使いの屋敷で奴隷労働に従事している下等生物だが、感情も理性も人格も持ち合わせている。その不当な扱いにハーマイオニーは彼らの権利を認める署名運動を始めるなんてエピソードもあるのだが、最終巻ではかつてハリーが救ったしもべ妖精の活躍で仲間はピンチを切り抜けるのだ。

●魔王復活に対して、当局の対応が後手後手に回るどころか、ハリーをデマゴーク呼ばわりして、魔法省の権威を転覆するテロリストと認定した第五巻のエピソードは、もう目も当てられない。マスコミも当局発表を信じてハリーを公然と批判した。政府の隠蔽体質や情報操作のテクニックは鮮やかで、ハリー魔法省から送り込まれた魔法教師に、拷問に近いような体罰を強いられた。そして魔法省内部でヴォルデモート卿が大暴れする事態に至って、やっと当局は見解を覆す。
●第六巻は、この魔法大臣が失脚し、新たな大臣が紹介される所から始まる。しかし政権が変わったとはいえ、彼らのやり口は変わらない。ヒステリー反応のように、ちょっとでも怪しげな人物を片っ端から逮捕監禁し、恐怖の監獄アズカバン送りにしつつ、ハリーには魔法省に時々顔を出して、魔王復活をいち早く察知した英雄が魔法省と連携しているというパフォーマンスを演じてくれと要請するのだ。もちろんハリーはこの提案を一蹴する。「少年には世間の大局が見えてない」と大人は言うだろうが、細分化された官僚主義が社会改革を阻んでいるのが今の日本の現状でしょう。社会保険庁問題は誰が大局を見ていたのか?道路特定財源行政は誰が大局を見ていたのだろうか?


大人のウラ読みはココまでとして……。結局一番大事なのは友情だ。
●第六巻で行われたハリーへのダンブルドア校長の個人授業は、この前提から始まった。この授業で見知った事は、全て親友ロンとハーマイオニーと共有しなさいと。そしてその指示通り敵ヴォルデモート卿の生い立ちと弱点を巡る旅を、ハリーは2人と共有しより絆を強くした。隠し事のナイ仲間、彼らはその信頼を受けて、ダンブルドア亡き後の困難な旅をハリーと共にする。ハーマイオニーは家族から自分の記憶を消し去り、ロンは魔法で自らの傀儡を作って家を出た。家族を捨てて命を賭けた旅に出た。
●ノマドヒヨコが将来この本に触れてくれるなら、そこまで心底付き合える友人を作る意味を学び取ってもらいたい。そしてそんな同士がいるからこそ、人間はどんな強敵を前にしても勇気を持って戦えるのだと。


しばらく更新をお休みしてました。
●ワイフとコドモのハワイ旅行の間、ボクは実家で寝泊まり。そこで、とある実験を自分に課してみたのです。それは「NO PC & NO MUSIC」タワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE」のパクリっぽいですが、意味は真逆です。一切音楽を聴かず、一切PCに触らない。普通なら欠かす事のできない、ボクの大きな生活の要素を排除したらどうなるかという実験です。

で、どうだかって言うと、結構平気です。むしろ、PCと音楽がストレス要因になってた可能性まで感じました。PCに関しては、物理的に肩凝り&眼精疲労&頭痛の原因になる恐れがあるという意味で。

そんで音楽。まさしくボクの趣味生活の中心であり、仕事以上の存在でもあった音楽鑑賞を完全に封印するというのは、ボク個人ではかなり画期的挑戦。今現在も全くステレオを鳴らしてませんし、iPod も全く触ってません。で、これが楽。……というか、音楽を聴く事自体が負担というよりは、あまりに膨大な量に膨れ上がってしまった音源(CDからアナログ、ダビング、ダウンロード購入系など)を処理しきれなくなり、それが負担になってしまった、という次第。
●今現在、CD/アナログの購入は基本的に禁止して久しいのですが、それでもCD259枚、アナログ71枚の未着手在庫があります。これだけでもかなりオナカイッパイなのに、CD購入を禁じたボクはCDレンタルの道に走ってしまったのです。何カ所かのビデオ屋さんのサービスデイを狙い、割引料金で入手した音源はなんと320枚!………今自分で数えて呆れ返りました。とにかく、その600枚近い音源に埋もれて、完全にアップアップになってしまいました。

レンタル320枚は、3ヶ月くらいかけての枚数ですが、やっぱ正気の沙汰じゃないでしょ。ボクの「何事にも極端に走る」という性格上の欠陥が火を吹いて爆発した感じですわ。いやー、やっぱまだ病気治ってないわ。
●しかし「もうこの600枚には無理して手をつけない」という判断を下した点は、かなりの進歩。病気に対してかなり客観的ポジションに立ててる証拠。それに、こんだけの音源をチョロチョロ聴いても全然耳に入ってこないもん。コレはただのエネルギーの無駄。せっかくのCDも、流し聴きしたってオモシロくないし、そもそも流し聴きの出来ないような濃ユイ音楽ばっか集めちゃってるし。そもそもそういう聴き方は音源に対して、アーティストに対して失礼!聴くなら襟を正してキチンと立ち向かうべし。

●よって、しばらく音楽から離れて、自然にコレ聴きたい!と思えるようになるまで、音楽に近づくのをヤメます。ブログタイトルは「音楽中毒生活」ですが、現在「中毒」が進み過ぎて、このままでは耳がジャンキーになってしまいますから。


カブトエビが死んでしまったら、カブトムシがやってきた。
●昨日紹介したカブトエビは8月に入る前に死んでしまいました。そしたらワイフのお父さんが、ノマドヒヨコに、オスとメス、一対のカブトムシをプレゼントしてくれたのです。
●なんか中途半端に終ってしまったカブトエビの観察日記。ということで、このカブトムシくんを続編として観察していくこととしました。

RIMG0197.jpg

●今回はヒヨコもマネっこで、レポート作り。完成しなかったけど。

●ほんで、今日はノマドの「ぼくのカブトムシ」を紹介します。観察日記にはならず、細かい観察メモ1ページだけの内容ですけど。

P1000538.jpg

「ぼくのカブトムシ
 おおきさ:たて7せんち よこ3せんち つの3せんち
 つのが みぎにまがってて、みぎのまえあしがなくて 口のまわりのけが べろのかわりをしてます。ほとんどはこげちゃいろだけど くびはちゃいろです。ふとももにけがはえています。かぶとむしはからだが3つにわかれています。」


●ノマドのオスカブトムシは、奇形で角がネジ曲がり、生まれつき前足が一本足らないのであった。お店で購入したジジはそこまではチェックしなかったよう…。可哀想に、カラダが弱く動きも鈍い。ムシキングのような覇気は微塵もない。
●一方ヒヨコのメスカブトムシは、生命力旺盛なパワフルギャル。こんにゃくゼリーみたいな「こんちゅうゼリー」をエサとして与えたら、必死に食らいついて、半日で食い切っちゃう。普通ゼリーを一日を2つ3つも食うか?「カブちゃんゴハンたべすぎだよー。おデブになっちゃうよー」ぽっこりオナカのヒヨコが心配するほど良く食う。しかもエサを与えないと、狭い虫カゴの中でブンブン羽音を立てて抗議するという迫力。ワイフは夜中にブンブンと響く羽音に怯えるようになるほど。


カブちゃんとのお別れ。
●しかし、ノマドヒヨコのハワイ旅行中に、面倒をみることができないというコトで、このカブちゃんたちは、カゴから出して放してやる事にしたのです。カブちゃんとお別れの時。

RIMG0225.jpg

●生命力に格差があり過ぎたオスメスのカブトムシ、今までは別々の虫カゴで育てていたので、2匹のご対面はこれが初めて。ヒヨコは感激!「カブちゃんたちのケッコンシキだね!カブちゃんキス!カブおうじとカブひめ!タマゴいっぱいうまれるといいな〜!」

●しかし、部屋の中に入って昼ゴハンを食べた後、再び庭に出てみると、カブひめの姿はもうありませんでした。さすがパワフルな行動派。早くも高い空へ去っていった。ヒヨコ「カブひめ、いっちゃった…。」エサを庭に置いておけばまたカブひめ戻ってくるかもよ。「そうだよね!こんちゅうゼリーいっぱいおいておこう!」でも、そんなんで戻って来るはずがないよね…。ヒヨコが一生懸命お世話したから、カブひめはどっかで元気にイッパイのタマゴを産むよ。ヒヨコ、窓から空を見上げて「カミサマ、カブひめをよろしくおねがいします…」

●一方ノマドのカブおうじは、虚弱にもいつまでも移動出来ず、枝にへばりついて動かない。放置して1日経ったら姿が見えなくなったので、ノマドがあたりを探したら、カブおうじ地面にポテリ。しかもソコをノマド間違えて踏んづけちゃった。「カブおうじさがしてたら、ガリッておとがして、カブちゃんふんじゃったんだよ!」ノマド、それでカブちゃん死んじゃったの!?「まだいきてる。またエダにのせといた」つーかカブトムシだから死なずに済んだけど、フツウのムシなら踏んだらペチャンコだよ、気をつけてくれよ…。


●そして、今日。カブおうじも姿を消した。あんなボロボロのカラダで(既にダニが全身に群がっていて羽根の内側を食い荒らしているようだった)、一体ドコに行ったんだろう。ノマドには、最後には元気に飛んでいったと伝えておこう。



●ワイフとノマドヒヨコは、ワイフの妹サッちゃんのハワイ挙式の為に旅立っていった。病人のボクは一週間日本でお留守番。

080824_215444.jpg(離陸前の機内のノマドヒヨコ)

●帰国したらすぐ新学期のノマドは、夏休みの宿題をほぼ完璧に済まして出発していきました。コレがちょっとオモシロい。今日はこっそり皆さんにご紹介を。



自由研究「カブトエビのかんさつ / おまけ ぼくのカブトムシ」
●メル友のヨーコさんが、夏休みのアタマに、ノマド宛へカブトエビ飼育セットをプレゼントしてくれたのです。
●カブトエビは、小さな甲殻類の一種で簡単に言うとミジンコの仲間みたいな生き物。プランクトン的な生き物でもありますが、大昔から進化せずに生き残った「生きた化石」ってヤツです。昔はシーモンキーとか言わなかったっけ?乾燥したタマゴを水で戻すとふ化して育ち出す逞しいヤツら。かくして、ノマドの夏休みの自由研究はこの生き物の観察となったのです。

P1000529.jpg

●ノマドは写真のように、写真を貼ったり必死で説明を書き込んだりしてるのですが、解読するのは凄まじく難しい文字なので、ヤツの文章を書き起こしますね。

「7月10日 かぶとエビ  カブトエビをプレゼントでもらって、そのひからカブトエビをそだてようとおもって かぶとエびがすめる水のよういをしました。」

※カブトエビは水道水のカルキや塩素にやられてしまうので、3日間ほど置き水をしないといけないのです。ちなみに原文のママに書き起こしますから誤字もイッパイです。漢字をチョッピリ使ってるのは、まだ授業で習ってない知識が既にあるんだという自慢の気分があります。

「7月13日 カぶトエビにひつようの ウッドチップやえいようを いれました。もちろんたまごもいれました。」

※円筒形の容器に、数種類の粉末を調味料のように水へ入れるのです。この中に細かい砂利やカブトエビのタマゴが入ってます。ウッドチップにはふ化直後のカブトエビが摂る栄養分がしみ込んでいる仕組みのようです。説明書を読み聞かせて手順は教えましたが、作業は全部ノマドにやらせました。

RIMG0024.jpg


「7月14日あさ かぶとえびが3ひきうまれました。あわぶくヨリチイサカッタ。」

※マジ小さくて、点がチロチロ動いているのしか見えません。容器の内側についている気泡よりも小さいということで、そのアワブクとカブトエビの大きさ比べをイラストで図解してます。でも余りにヘタッピな絵なので省略します。あと、コイツの文章、ひらがなとカタカナが無秩序に切り替わる。


「7月17日 トリオプスが また1みりおおきくなってた。あとあわぶくとおなじくらいになってた。
 ・エビちゃん   ↑4みり ←3みり
 ・エビエビちゃん ↑3みり ←2みり
 ・クリオネちゃん ↑3みり ←2みり」


トリオプスというのは、英語でのカブトエビの名前らしい。そんで生まれた三匹にそれぞれ名前をつけてやっている。一番大きいのがエビちゃんで、2番目がエビエビちゃんとは安易な。クリオネちゃんは一番透き通っているという。ボクには全く区別がつかないが。矢印は縦方向横方向の大きさを示してる。

「7月18日 トリオプスが、からをぬいだ!!また1みりおおきくなってた。あわぶくよりおおきくなってた。 5みりー4みリ」

※カブトエビって脱皮すんのかよ!説明書にはそんなコト書いてなかったぞ?!



ここで事件発生!!行方不明者発生。

「7月19日 こんどはトリオプスにえさをあげました。 クリオネちゃんがゆくえふめいになってしまった。もしかすると エビちゃんがたべちゃったかもしれない。のまども いもうとも ままも どっかにかくれているといいなとおもっている。 こんどは2みりおおきくなってた。もしかするとエビエビちゃんもたべられているかもしれない」

※十分な大きさに育ったら、粉末エサを与えるよう指示されているのだが、コレが一拍遅かったのか、共食い事件が起こってしまったっぽい。ノマド「クリオネちゃんがいないよー」と大騒ぎしていた。

「7月20日 カブトエビのクリオネちゃんとエビちゃんはいるけどエビエビちゃんがゆくえふめい」

※共食い闘争に負けたのはエビエビちゃんだったようだ。キビシいね、生き物の世界は。

「722 こんどは3みりおおきくなってた。 7みりー6みり」

※日付の書き方がイキナリ投げやり。ちょっとショックでモチベーション下落。

「7月25日 こんどは1せんち こえてたよ。エビちゃんもクリオネちゃんも きっとエビエビちゃんのことをかんがえているのかな  1せんち5みりー8みり」

※このくらいになると、かなりハッキリと見えてくる。やっとカメラで撮影出来る大きさになった。

RIMG0071.jpg
(2匹写ってます。多分手前がクリオネちゃんで、奥がエビちゃんです)



「7月28日 からだがすきとおってる。しっぽはえびのしっぽのように。あしはいっぱいある。あしをうごかしてくうきをすう。口はおなかにある。おすとめすががったいしてる。 2せんちー7みり」

※甲羅の中の足を動かす事で、新鮮な酸素を含む水を体内にかき込んで生きているという。そんで原始的な生き物にありがちな雌雄同体で単性生殖するタイプ、と説明書に書いてあった。



さらに衝撃の事件が!

「へえせい20ねんど 7月29日 おおきさはきのうとおなじ トリオプスがぜんいんしんじゃった!
 なぜしんだ? おゆになった? ねっちゅうしょになった? おじいさんになってしんだ?
 1ばんにしんだこ エビエビちゃん 2ばんにしんだこ クリオネちゃんとエビちゃん」


※カブトエビ全滅…。「トリオプスがぜんいんしんじゃった!」の字は赤の太マジックで強調してある。ノマドヒヨコの子供部屋は冷房がないからな…水温が上がり過ぎちゃったかな…。ノマドもヒヨコもしょんぼり。

「7月31日もく おとといトリオプスをつちにみずごとうめてあげた。」

P1000527.jpg

※写真のイラスト、わかります?3匹のカブトエビをスコップで地面に埋めてやってる様子。そんで、雲の上で、エビちゃん、クリオネちゃん、エビエビちゃんが安らかに眠っている様子。「zzzzzz」だって。あっという間だったな。レスト・イン・ピース。最近でもヒヨコとノマドは庭で遊んでいる時、ふと思い出すと二人でカブトエビを埋めた場所で手を合わせてるのだった。


●本日のBGM。BOYS II MEN「COOLEYHIGHMARMONY」1991-1992年

クーリーハイハーモニークーリーハイハーモニー
(1993/03/21)
ボーイズ II メン

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●100円で売ってた。本来男性R&Bもの、特にこうした古典ハーモニーを駆使したコーラスグループは、ボクの趣味じゃない。ただ、このCDを見て、ボクが休職している間に転職して行った女の子がこのグループのコト大好きだったなーと思い出して購入してしまった。彼女は義理堅く休職中のボクを訪ねて転職の報告をしてくれたし、故郷の美しい海の風景を写メで撮ってメールしてくれたりした。

ヤマグチの海(山口県、凪の瀬戸内海)


●ご存知の通り BOYS II MEN と言えば、90年代初頭の NEW JACK SWING 期を代表するコーラスグループだ。まだ、ヒップホップソウルというフォーマットすら成熟していない時代に、MOTOWNからデビューした彼らは、品行方正なオトコのコというイメージで、後発の JODECI みたいなツッパリぶりがなく物足りない印象があったもんだ。「ボーイからオトコへ」というグループ名通り、現在は立派なオッサンとして3人組で活動してる。レーベルはメジャー落ちしても来日はしょっちゅうだし頑張ってます。このグループの大ファンだった fuyu(仮名)は去年の来日時に無理矢理楽屋にまで潜り込んだ。彼女は英語がしゃべれるからメンバーと大層盛り上がったそうな。行動力のある娘だ。

●そして彼女には絶対音感までが備わっている。fuyuにはこのCDのハーモニーがどんな風に聴こえるのだろうか。70年代から活動するパンク/ニューウェーブバンド PERU UBU のヴォーカルさんがインタビューで「オレは深刻な音痴だから、普通の人間とは違う音の聴こえ方で音楽を聴いてる。ソレがオレの音楽に反映されてる」みたいな事を言ってた。同じように絶対音感の人には常人にはあり得ない音の聴こえ方がするのだろうか?ハーモニーの構造やボーカルの揺らぎがカッキーンと図形的に認知されるのだろうか? そうすれば世の中はスゴく楽しく見えるだろうな。
●ボクは「END OF THE ROAD」のような名バラードよりも、「MOTOWNPHILLY」に代表されるようなバリバリの NEW JACK SWING がイイ。くはー、マジ懐かしいわー、NEW JACK SWING。このBPM120くらいのスピード感は、その後のヒップホップとはかなり異質な感覚だよね。スッパンスッパンとノリを上げていく打ち込みスネア&キックがまさに90年代ドアタマですよ。
●ボクはハンドルネームを unimogroove と名乗るだけあって、完全にグルーヴの部分でしか音楽を聴いてない。バラードよりもダンスミュージックの方が断然好き。リズムとビートとベースのうねりこそが大事。音痴なのでメロディやボーカルにはあまり関心がない。音階として捕われないノイズ的な要素を音響として捉え、オモシロがってる。R&Bよりヒップホップの方が好きなのは、ラップそのものが持つ語感の人力グルーヴとトラックの融合感覚がオモシロいからだ。



自律神経失調症とのお付合い(その66)〜「分析的心理療法、開始」編
●相変わらずのどかなデイケア生活が続いている。7時40分の電車に乗って、9時30分に病院に着く。片道約二時間の通院。学生時代でもこんな長時間移動を習慣としたことなんてない。一時はホントに死ぬほど遠いと思っていたが、だんだんカラダが慣れてきたのか、それなりにこなせるようになってきた。まあ、帰りに寄り道する体力はないけど。

「精神科デイケア」標準的な社会性や生活習慣を身につけるためのもの。しかし、このデイケアそのものでは、人間関係を構築したりすることは意味がない、とされてる。何度かスタッフさん達に釘を刺さされたが、この場は友人作りのためにあるわけじゃなく、再び社会に出るための準備をする所なのだ。ここでの社交に神経をすり減らしては、治療としては本末転倒。
●だから、デイケアの中では、個人情報の交換は禁じられている。名前はなんとなく知っていても、誰がどんな病気を患い、どんなクスリを飲んでて、どんな事情でココに来たとかは、お互いに話し合わない。職業も年齢も極力明かさない。
●そんなコトが前提ではありながら、週に何度もカオをあわせていれば、簡単な会話からポロポロ細かい事がわかってくる。


思考回路が乙女チックなまま、齢44歳になってしまった、手芸好きのケイトさん(仮名)。いつもウットリしながら「院長先生ってホントにダンディよね〜」と繰り返している。この人、なんとこの病院が出来た時から通院していると言う!え?この病院いつ出来たんですか?「うーんと、15、6年前かしら?」長え!そんなに永い間通ってんだ!その流れで思わず年齢聞いちゃったんだよね。「アナタおいくつ?」ボクは34歳です。「えーっ!テッキリ同い年くらいだと思ってた!静かで落ち着いてらっしゃるから!」普段は比較的若く見られがちの童顔のボクとしては、見た目年齢の最高記録だ。
●女子高生のような表情で、ケイトさんクレヨンしんちゃんのモノマネをボクに披露する。「おら、いけはたしんのすけですー」ボクは一瞬何のモノマネか全然理解出来ず失礼にも完全フリーズ、ケイトさん「ちょっと風邪気味くらいがよく似てるの」と恥ずかしそうに言い訳。で、このモノマネを憧れの院長先生に見せて大爆笑を誘った事を自慢しながら、「今度の院長診察ではナンのオハナシしようかしら〜」と楽しそうにオハナシするのだった。


モヒカン頭の内田裕也似オジさん、モヒカンさん(仮名)は、相変わらずヒップなシャツを着てくる。市川団十郎の歌舞伎シャツ、勧行大相撲の横綱シャツに引き続き、この前は花魁3ショットシャツが登場した。歌麿スタイルの美人画に「花魁」と渋く書き添えてある。本人が言う所によると、モヒカンさんの家は冷房器具がナニもない上に、天井がトタンなので、家に帰るとそりゃもうスゴい灼熱地獄になっているそうである。一体どんな家に住んでいるんだろう。


●そのモヒカンさんのマージャン仲間で、いっつもムッツリと腕組みしている強面のオジさんがいる。短い口ひげを生やし、大きなグラサンをかけているので、一瞬その筋の人にも見える貫禄である。で、ある日そのオジさんがなんと「ゴルゴ13」のTシャツを来てやってきた!あのデューク東郷が、愛器M16ライフルを片手に大股で疾駆する姿がデカくプリントされている。コレ、最高のツッコミドコロでしょ!「すいません、シャツがカッコ良過ぎます!ゴルゴ13じゃないですか。ドコで売ってるんですか?」オジさん口のスミッコだけでニヤリと笑い、小さな声で「ユニクロ…」と呟いた。今後このオジさんの事はゴルゴさん(仮名)と呼ぶ。
●デイケアでは朝イチにクジ引きを行い、当日の司会進行(日直的役割)を決める段取りがある。このゴルゴさんが司会になった時、ゴルゴさんが深刻に口ベタだって事がわかった。ムッツリしてるのは渋くキメて黙ってるわけじゃなく、全然しゃべれないのだ。人前でしゃべるとなると、もう大変である。
「意見箱」(←赤い厚紙で被われたポストみたいな箱。そんなもんあるなど気付かなかった)に寄せられた要望に関するディスカッションの進行など、もう見てられなかった。船場吉兆の女将が息子の会社幹部に発言内容を脇からささやいていたように、スタッフさんが議事進行をゴルゴさんに全部耳打ちして伝えている。議案は「朝のラジオ体操に第二を加えるべきか?」という、しょーもないといえばしょーもないモノだが、ナゼかゴルゴさん「最近人が歌ってるカラオケをマジメに聞いてないモノが多過ぎる」と個人的不満を突如主張したりと、ドエラい遠回りをしながら満場反対でラジオ体操第二は却下された。


いつもニコニコバタコさん(仮名)は、最近生まれて初めてのアルバイトに一生懸命。コンビニへ出荷するオニギリやサンドイッチを各店舗の発注通りにバスケットへ仕分けし、それを積み上げてトラックに積む仕事らしい。コンビニ行くとヨク見かける、トラックからパンやお弁当が配送されてくる時の、あのカゴだ。なにげに重たくなるあのカゴを抱えると、ヒジの内側にゴツゴツ当たってアザがいっぱい出来る。パッと見で、大量の注射痕かよ!とドキリとするくらいのアザだが、バタコさんは誇らしげにそのアザを見せてくれた。


●スタッフさんにも個性がある。一番年配のスタッフグランマキミさん(仮名)は、美輪明宏さんの話題をキッカケに、1950〜60年代の銀座で遊んでいた「みゆき族」であった事が判明した。
美輪さんのステージをボクが何度か見たことがあると言ったら、まだアンダーグラウンドだった美輪明宏さんが専属歌手としてパフォーマンスしてたシャンソン喫茶「銀巴里」に行った事があるというのだ!おいおい、伝説の現場だよ!グランマキミさん「もうあの人の大きな眼といったら!この世のものと思えない美しさ!」スゲエ!その時代じゃ「みゆき通り」にたむろしてた「みゆき族」にも近いですよね!「あの頃は、街を歩くオジさんまでもが VAN のズボンを穿いたりしてて、息子のモンをオヤジが穿く時代になっちまったと笑ったもんですよ。VAN、ご存知です?」えーえー、いわゆるアイビールックってヤツですよね!(一瞬スニーカーの VANS が頭に浮かんでしまった)「そう、ワタシはかねまつの靴を買ってね、よく歩いたもんですよ」こりゃマジで「銀ブラ」だ!「ええ、エノケンさんのお芝居も見たんですよ」それは浅草六区で?「いえ、帝劇です」ほー!ティーンネイジャーだった頃のグランマキミさんは、かなりのハイブロウなヒップスターだったわけですよ!ビックリ!………一方、バタコさんなど若いメンバー&スタッフさん達は、半世紀も前のユースカルチャー談義に「すいません、ハナシ半分もわかんなかったですけどテキトウにうなずいてました」いや、ボクも当然リアルタイムであるはずがないですけどね。


●先日はまたまた料理教室の日で、サラダうどんとチャンプルーなどを作るコトとなった。ニッカポッカさん(仮名)は「チャンプルーにはゴーヤは入んないのかよ?」と野次を飛ばしたが、先日ニッカポッカさん「ゴーヤはダメだぞ、ゴーヤは!」と抗議したから、トーフチャンプルーになった経緯を忘れてるらしい。ボクはこの人の無責任な野次が大好きだ。「オレはスタッフさんの給料日知ってるぜ、27日だろ!28日じゃない!」と今週も吹聴してた。
●オジさんメンバーのアイドルスタッフワーマさん(仮名)が担当するデザート班は即座に定員に達した(その中にはニッカポッカさんも、デイケアの長老ツエさん(仮名)もいる)ので、ボクはチャンプルー班に参加。しかしふと冷静になると、ゴーヤを入れずしてはチャンプルーはただの野菜炒めになってしまうのでは?と、不安になってきた。チャンプルーと野菜炒めの境界線とは…? しかし、最近デイケアに入ってきたボクと同世代の男性が「オレ、調理師免許持ってんですよ。仕事にしてるわけじゃないからペーパー調理師だけど」と宣言。オバさん連中もビックリする腕前で野菜をサクサク刻んでいく。このペーパー調理師さんの事は今後リシさん(仮名)と呼ぼう。リシさんの号令で四人のフライパン部隊が同時進行で野菜を炒め、味付けをリシさんが担当。見事4つのフライパンの味を均等にさばき、立派なチャンプルーに仕上げた。なぜ野菜炒めがチャンプルーになったのかボクにはさっぱり不明だが、他のメンバーさんからもこのチャンプルーは非常に評判がよかった。ボク個人としては、こんなに真剣に炒め物に立ち向かったのは、学生時代にプールサイドの焼きソバ屋さんでバイトした時以来だった。


●さて、このリシさん、不眠に悩まされてるとコボしてはいるが、端から見ると健康そのものでとても病気には見えない。なんでこんなにシッカリした人(おまけにイケメン)がココにいるのだろう。
●そんな彼は通常のデイケアとは別のククリとして、「OT」というプログラムも受けているという。「OT」が何の略だかはサッパリ分からないが、要は体力作りのためのスポーツ時間、しかも体育館でバスケやバレーボールをするような本格的に活発な運動をするモノらしい。「ここの6階にね、体育館があるんですよ。そこで一、二時間ほどカラダ動かすんです。麦茶とか飲み物も用意してあって、オモシロいですよ」えー!この建物には体育館まであるんですか?!すっげー!この病院はまだナゾが多過ぎて全容が掴めない。でもボクにはそんな過激な運動は無理だわ。また全身の筋肉が緊張して鍼灸を受けないといけなくなる。リシさんはスマートなスポーツマンタイプだからピッタリだろう。病院は病院でその人にあったプログラムをそれぞれの個性にあわせてキチンと提供してる。



で、非スポーツマンタイプのボクに新たに提案されたのが「分析的心理療法」というモノだ。
●週一回50分専属のセラピストがあてがわれて、その人とボクの抱える問題について語り合うという代物………とは言うが、具体的にはさっぱりナニをするのか分からない。提案を切り出した担当カウンセラーのチーさん(仮名)に、ボクのイメージする所を打ち明けてみた。ボク「あの、アメリカの映画とかでよく出てくる、長椅子がとうとう出てくるんですか?」精神科の治療風景で、長椅子に横たわって視界の外に座るセラピストと夢の内容について語り合う…そんな感じ?
チーさん、思わず笑いながら「ああ、アレはですね、ちょっと違うヤツなんですよ。アレは週4回とかやんなくちゃいけないモノで…。あの「精神分析」は確かに欧米では盛んですが、日本ではあまりやってません」ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい、「分析的心理療法」「精神分析」「精神」って字がついてるだけで全然違うものって訳ですか?「まー根本は一緒みたいなモンですが、「分析的心理療法」の方がカジュアルだって思って下さい。だから長椅子も出てきませんし、セラピストとフツウに対面して話するだけです」


で、その「分析的心理療法」の初回の日がやって来た。
●担当カウンセラーのチーさんは登場せず、このプログラム専属のセラピスト(結果的にはチーさんと同じ臨床心理士という立場)が現れた。ゲーさん(仮名)という小柄で若い女性だ。この病院で最初にやらされた大量の心理テストの結果をレクチャーしてくれた人……だが、正直そのレクチャーはなんか要領を得なくてよくワカランかった。ちょっと不安。

●いつものカウンセリングルームに入り、正面に相対して話をする。コレはいつもと一緒。でもそっからはなんかちょっと違う。ゲーさん「まず、今日を含めて4回の面談をして、その上でこの治療が本当に unimogroove さんに必要かどうか、確認していこうと思います」はあ。「最初に、unimogroove さんの中でこの治療に対する動機付けをどう考えてらっしゃるのか、教えて下さい」はあ??? すんません、カウンセラーのチーさんがコレを受けてみたらどうですかというから、はいやります、って言ったまでで、一体どんな内容の治療だかも知らないのに、動機付けと言われても…。むしろ、ボクはまな板の上のタイみたいに、一体どんな風に料理されるのかと思ってたトコロなんですけど。他の先生には「イヤな事も思い出させられるから気をつけて」と言われてますから、なんかイロイロボクの過去の経験や記憶とか家族関係とかをホジクられていくんだと思ってたんですが。だからそれ以上のイメージはないし、「やる」と即答したのはタダの好奇心です。単純にオモシロそうだから。

●なんだか堂々巡りのような話が続いて、一回目の面談は終った。面談室を出て廊下を二人で歩く際、ゲーさんに尋ねた。聞かないでイイんですか?ボクの家族のコトとか生育歴とか。ボクのしゃべったコトは、ゲーさんの狙いに沿った内容になってるんですか?思いっきり的外れなコトになってません?ゲーさん「あら、そんな風に相手の期待を探ってしまうタイプですか?」ヤベ、なんかこの一言でなんかの類型にハメコマれるフラグが立ちそうだ。ボク「いえ、しゃべってる間は相手のコトなんか全く気にしません!気にしないコトを自分で知ってるから、後から確認するんです。少なくともゲーさんが楽しんでくれるようなハナシにしたいと思いますけどね」実際率直な本音だ。

●実際の治療とやらは、まずあと3回の面談をクリアしないと始まんないようだ。始まったとしても、たいしてオモシロくなさそう。ゲーさんがもうちょっとカワイかったらモチベーションの持ち方も違ったかも。だって小一時間ずっとその人のカオを見つめながらトークするのよ、ゲーさんはフツウの時は愛想がイイのに面談中は本気モードなのかカオが深刻になるからねー。その点チーさんは鉄壁の笑顔でどんな場面でも終始ニコニコしてる。男性だけど、警戒感を全くコチラに抱かせない。コレがキャリアの差か。あ、そんなコト言ってちゃダメだ。前もカワイい女医さん希望とか言って失敗した事があったっけ。



●以前の「自律神経失調症とのお付合い」シリーズは下記の記事にまとめております。ご参考に。
 http://unimogroove.blog4.fc2.com/blog-entry-223.html